0xhaikuとHideki Inabaによるコラボレーション
《Hash》と《Preview》を発表

0xhaikuとHideki Inabaによるコラボレーションプロジェクト、《Hash》と《Preview》を発表します。《Hash》はHideki Inabaデザインによるフォント、そして《Preview》は0xhaikuによるカスタマイズ可能なNFTです。ブロックチェーンに刻まれた永続的に利用可能なフォント《Hash》を用いて、コレクターによる共創と競争を促すNFT《Preview》を制作しました。昨年発売されたNFTの可能性について包括的に扱った書籍「THE NEW CREATOR ECONOMY」をきっかけに生まれた、歴史的な作品にぜひご参加ください。
※書籍「THE NEW CREATOR ECONOMY」(BNN)の特典付きを購入し、ウォレットアドレスを登録した方はガス代のみでミントが可能です

9月21日23時公開
Mint start in d h m s

コンセプトは「フォント」

「フォント」という言葉は、源泉あるいは泉(fountain)を意味する、活字を入れるための容器を指すラテン語「font-」が由来と言われています。フォント、つまり活字の発明は、15世紀のドイツの印刷業者ヨハネス・グーテンベルクによるもので、文字を個別に鋳造し、組み合わせることで書籍を大量に印刷することを可能にしたのが始まりです。印刷技術の発明は、情報の共有と保存に革命をもたらしました。それは現代のメディア社会の基盤となる状況をもたらした画期的な出来事です。

そんな「フォント」が、今度はDTP(ディスクトップパブリッシング)の普及により、クリエイターに新しい状況をもたらします。例えば、アメリカの活字製作所であったEmigreは、過激で実験的なフォントを制作・販売し、ポストモダンデザインと言われる新しい視覚コミュニケーションの様式を打ち出しました。それ以降、数多くのデザインされたフォントが雑誌やポスターなどのメディアを賑わします。フォントは、情報を伝えるだけでなく、時代固有の気分やスタイルを伝える、それ自体がクリエイターが創造的な表現を行う一種のメディアとなったのです。

Left: Emigre #10: Cranbrook, Right: Emigre #11: Ambition/Fear
当時のEmigre Magazineの誌面イメージがLetterform Archiveで公開されています

ブロックチェーンに刻まれたフォント《Hash》

Hideki Inabaがデザインした《Hash》は、そんな90年代に起こったデザインフォントのムーブメントを再考することをコンセプトにしたフォントです。DTPの広がりとデザインフォントが生み出した視覚表現をベースとした新しい文化は、NFTがもたらした新しい表現の民主化の源流であるとも言えます。今回、過去と現在に存在するそのような歴史の繋がりと交差を祝福するため、フォント《Hash》をブロックチェーン上に刻みました。イーサリアムのチェーン上に刻まれたフォントは、イーサリアムが持続する限り永続することが保証されます。

Etherscan
https://etherscan.io/address/0x0341618d556e503c13887aa299a08d033c7ccbac#code

耐改ざん性と完全な透明性を持つブロックチェーンは、すべての人々が許可なしでアクセスできる空間です。そのような場所に何かを置くことは、一種の公共財を作り出すことといえるかもしれません。それは創造を促すための種子のようなものです。《Hash》は創造的な行為が作り出すエコシステムの一部として、今の人々だけでなく、それを用いるかもしれない未来の人々に向けても開かれています。

カスタマイズ可能なNFT《Preview》

0xhaikuによるNFT作品《Preview》は、そのオンチェーンのフォント《Hash》を用いたカスタマイズ可能なNFTです。フォントをプレビューするためのアプリケーションをイメージして作られました。この作品の特徴は、作品のイメージが固定したものではなく、コレクターが自分自身の好みの「色」を選択できるという点にあります。使用できる色の数は、4096個(3桁のカラーコードで表現できる組み合わせの数)です。コレクターは4096色のなかから、フォントの色と背景色を選択することができます。

すべてが異なる色を持つユニークな作品

今回の作品には、ひとつだけルールがあります。ひとつの色はコレクションの全体で「一回」だけしか使用することができません。このルールにより、すべての作品が異なる色彩を持つ作品となります。また、アニメーションに関しても、コレクターが選択したカラー値をシード値として用い、動き方を決定しています。選択した色から、動きが一意に生成されるのです。ミントサイトを試してもらえれば、色とアニメーションが連動して変化するのを体感することができるでしょう。

このルールのもとでは、フォントカラーと背景色の合計2つの色が必要になります。そのため、1作品ミントされるたびに使用できる色が2色づつ減っていきます。最初にミントしたコレクターにとっては、4096通りの色の選択肢がありますが、組み合わせられるカラーの数は次第に減っていくのです。その結果、《Preview》は最大で2048のエディション数となります。

色の選択はとても重要な表現手法のひとつですが、《Preview》では、表現の自由度が狭まっていくことにより、作品を仕上げる難易度が上がっていきます。コレクターはほかの誰かに色を使用されてしまう前に、4096の色のなかから組み合わせを探索し、NFTとして固定化することを求められます。このルールは、コレクターとアーティストの共創を生み出しますが、同時にコレクター間の競走をも生み出すのです。

終わりに

NFTの技術が生み出した創造的な文化と、表現の民主化の歴史を祝福するために制作されたオンチェーンフォント《Hash》、そして「共創」と「競争」というコレクターとアーティストの新しい関係を可視化するNFT《Preview》。0xhaikuとHideki Inabaによるコラボレーションにより生み出された、この歴史的な作品にぜひ参加いただけたら幸いです。

9月21日23時公開
Mint start in d h m s

Token Type
ERC-721
Blockchain
ETHEREUM
Mint Price
BNN Allowlist: 0 eth
Public: 0.01 eth
Licence
CC BY-NC-ND 4.0

付録:p5.jsで《Hash》フォントを使う方法

p5.jsにはloadFont()関数が提供されており、これを使ってpreload()関数内でフォントを読み込むことができます。preload()は、スケッチが実行される前にファイルを完全に読み込むための関数です。

Name
Hash
Creator
Hideki Inaba
Licence
SIL License
Font
0x0341618D556E503c13887AA299A08d033C7CcbAc (Ethereum Mainnet)

0xhaiku
ソフトウェアエンジニアを経て、Web3におけるアートの可能性を試すために匿名で活動を始める。「誰もが参加できるアートの仕組み」や「Web3のリレーショナルアート」を研究テーマとし、コンセプチュアルでありながらも詩的な表現の探求も進める。jpg.spaceにて複数の作品が「Conceptual NFT」部門にコレクターの投票によってノミネート(2023)。Bright Moments residency (May 2023)に選択。近年の展示に「Made in Contract」(Neort++, 2023)。

Hideki Inaba
機械工学を学び1997年よりグラフィックデザイナーとして活動を始める。90年代後半から2000年初頭の「+81」「GASBOOK」など、DTPによる実験をおこなった第一世代であり代表的存在。以降、線の集合体「NEWLINE」や抽象化された造形、書体、立体など多数作品を発表。「Graphic Design Now」(TASCHEN)のカバーをはじめ多くのビジュアルメディアに取り上げられ、パリ・ルーブル美術館、マレーシア国立美術館、国立新美術館などに出展。2011年文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品に選出、パリ・ポンピドゥーセンターに招聘、作品展示をおこなった。