ミュージシャンのSun ArawとデジタルアーティストのTheo Triantafyllidisがコラボレーションしたゲーム『Velocity Holomatrix Warp7』が11月25日にリリースされた。OSXおよびWindowsのスタンドアロンで体験できる。
本ゲームは、架空の小惑星『VHW7』をSun Arawの実験的な音楽とともに探索しながらインタラクティブな体験ができる。音楽は、2017年のCPN Vinter Jazz FestでSun Arawとポーランドのダブル・ベース奏者のTomo Jacobsonが即興で演奏したもので、浮遊感に溢れていて心地よい。小惑星『VHW7』のビジュアルは暗くて少し不気味な雰囲気だが、即興演奏の繊細な音のコミュニケーションや展開が小惑星内で起こった化学反応のようにリアルタイムで視覚化されていく。プレイヤーは耳でキャッチした音の変化と自身の反応を目で捉えながら心地よい没入感を楽しむことができる。
今回、ゲームのテーマになぜ小惑星を選んだのか、Theo Triantafyllidisに話を聞いた。
「Sun Arawと知り合った当初は特にゴールを決めていなかったんだけど、ゲームの音源を聴いて、何層にも重なる音と曲の構造の複雑さをビジュアル化したいと思ったんだ。そこで、この複雑な構造を探索しながら楽しめるような環境を作りたいと思って小惑星を選んで、音に反応するシステムを作ったんだ。小惑星は、複雑な構成要素と重力を絶妙なバランスで調節しながら不規則な形状を保っているでしょ。それはまるで誰かが手を加えているかのような高度で繊細な作業だと思うんだ。例えば盆栽は、繊細で美しい技術を伝統として昔から現在まで受け継いで、今もなおその造形美を維持している。もしかすると、小惑星は不規則な形状を維持するために宇宙人の高度な技術によって彫刻を施されてきたのかもしれない。そう思うと、惑星に生命体が存在したっていうのは証拠はないけど間違いとは言い切れないよね。僕自身は、以前MASSAGEでインタビューを受けた時から作品へのアプローチ方法やインスピレーションを受けるものは変わっていないけど、最近はより多くの人たちに作品を知ってもらえるように、ライブやインスタレーションでの発表に関心があるよ。」
今後もSun Arawとコラボレーションしながら作品を発表していく予定とのこと。