Sputniko!がOIST展覧会に際して、
Art Blocks作品「Coral Colors」を公開

Sputniko!は、科学と技術をアートに取り込みながら社会、文化、倫理といった問題を探求するアーティスト。代表的な作品の一つである「生理マシーン、タカシの場合。」では、生物学的な男性が月経の痛みと出血を体験できるマシンを制作し、月経という女性の身体的経験がいかにタブー視されてきたかという問題提起を行った。また、Bright Moments Londonで発表した「The Nursery」や、Kazuhiro Tanimoto とのコラボレーション作品「Lucky Clover」など、ジェネラティブアートにも意欲的に取り組んできた。

Coral Colors by SPUTNIKO!は、沖縄科学技術大学院大学(OIST)施設内に位置するトンネルギャラリーで行われた、OIST初の客員アーティストとしての展示である。テーマは「沖縄のサンゴの時間軸、線と点」。観客は、1900年代の健康的で色彩豊かなサンゴ礁が、時間の経過とともに徐々にその色を失い、白化していく様子を目の当たりにすることで、温暖化による海水温上昇がサンゴ礁に与える深刻な影響を体感する。特に2000年代以降、白化のスピードが加速していく様子はまさに「ドゥームズデイ・カウントダウン」とも言えるような、危機的な状況を視覚的に示唆している。クリエイティブ・パートナーとしてP.I.C.S. TECHが参加し、上野陸氏がコーディングを担当。展覧会では、OISTが行う石西礁湖のサンゴ白化現象の研究結果に基づき、過去から現在までの時間軸とその断面を線と点で捉えた表現アニメーションとイメージコレクションが展示された。

展覧会の核となるのは、アニメーションとイメージコレクションという2つのアウトプットである。アニメーションは、過去から現在までのサンゴの白化の進行を時間軸に沿って可視化したもので、その色彩の変化は沖縄近海の海水温アノマリー値に連動している。このアニメーションの制作には、OISTのSSTデータと気象庁のデータ(1900~2023年)が用いられている。1900年代の色彩豊かなサンゴ礁から2024年まで、特に2000年代以降の海水温上昇に伴い白化が加速する状況を、データに基づいて鮮明に描き出した。

一方、イメージコレクションは、各時点におけるサンゴの白化率を100のコレクションとして提示するジェネラティブアートである。これらは、Art Blocks上で展開され、色の種類、パターン、形状といった要素がアルゴリズムによって生成される。作品はNFTとして販売され、売上の一部はOISTの科学研究支援に活用される。

この展覧会を通して、観客の思考の変化や、問題に対する意識の高まりを期待しながら、彼女自身も作品制作を通して気候変動に対する危機感をさらに深めたという。OISTでの「Coral Colors」展覧会は、Sputniko!がこれまで培ってきた科学と芸術の融合というテーマを、現代社会が直面する重要な課題である環境問題に向けて展開したものであり、アートとサイエンス/テクノロジーの融合によって、より多くの人々に環境問題への意識を高めるための試みだと言えるだろう。

https://www.artblocks.io/collection/0x0000000bf96eb73f37239f61c9344e40d4c3f665-1

沖縄科学技術大学院大学 – 「スプツニ子!コーラルカラーズ」展覧会
https://groups.oist.jp/ja/cpr/event/art-science-exhibit-coral-colors-sputniko
会場:沖縄科学技術大学院大学 トンネルギャラリー
会期:2024年11月29日- 2025年1月9日 (12/29 ~ 1/3 を除き、毎日開廊)
入場無料

Sputniko! – Coral Colors
https://sputniko.com/Coral-Colors