2012年からはじまった、インターネットをテーマにしたマーケット「インターネットヤミ市」。毎日のようにフェイクニュースや炎上が巻き起こるネットとは真逆に、ヤミ市はネットからインスパイアされた「おかしな」アイデアに満ちたアイテムがひしめく、あかるい?マーケットです。
今回旅行も兼ねて、2度めの開催となるブリュッセルのヤミ市に潜入。はじめての土地で荒んだ空気に若干ドキドキしながら開催場所のiMALに向かいました。到着したときはNotendoというグリッチニットのブランドを手がけるJeff Donaldsonが、自身の作品のコンセプトを解説するプレゼンテーションを開始する寸前。「いいタイミングに来たね」というような会話で、再会を祝いました。Jeffさんは各国のヤミ市に出品していて、日本にも何度か訪れたことがあります。今回は新作アイテムを出品しているとのこと。
開催場所だった地下空間はまるでガレージのようなスペース。規模感は日本での開催と比べて少し小さく感じたものの、ホームパーティに訪れたような落ち着いた雰囲気が漂っています。ビールでも飲みながら出品者たちと対話を楽しんだり、ゆったりと過ごすのが良さそう。聞くとヨーロッパではこういった空気感になることが多いそう。
今回はネットアーティストであるJan Robert Leegteと、彼が教えるArtEZ美術大学の生徒がたくさんのアイテムを出品しており、学生たちの腕試しの場ともなっていました。
ブリュッセルのヤミ市も出品者のテイストや方向性は、日本とそんなに大きな違いはなさそう。強いていえば作品の売り買いというより、自分の作品についてプレゼンしたり、参加者たちで交流する場という性質が強い感じがしました。
インターネットが今や巨大になりすぎたといっても、そこに居住して遊ぶアーティストを含んだ人々は、まだたぶんそんなに大きな人数ではないのかもしれません。だからこうやって実際に会ったりできることにも、不思議な感動があります。SNSなどで繋がったりしていても、今の今をリアルに感じたり、実際にいっしょにビールを飲んだりできる。小さな喜びかもしれませんが、そういう普通の営みも結構重要だと感じました。そんなことをビールを片手に考えながら更けていく、夜のインターネットヤミ市@ブリュッセルでした。
写真提供:iMAL