シンプルな音が持つ、強烈な熱量と高揚感。
「Strange Reality 奇妙な現実」は、それを存分に感じさせてくれる作品だ。
King Rambo Soundは、仙台を拠点に活動する音楽家でありDJのAtsushi Akamaによるソロプロジェクト。本作品は、ダブ、テクノ、レゲエなどのリズムがベース音とともにループし、静かに淡々と繰り返す空間に人の気配と熱気を感じる。
ループの中に時折ちらりと現れるオーガニックなフレーズ、ガリガリとしたグリッチ音、シンセ音などがとてもファニーで、それらの音とループ音の対話が、まるでブラックユーモアの物語に出てくる人物たちの話の掛け合いのように滑稽で奇妙だけれども、その巧妙さに気づいた瞬間に高揚感のギアが一瞬でドンと上がり、その世界観にどんどん身を任せたくなる。
King Rambo Soundは作品紹介で「僕の目に映る世界はとても奇妙で時にグロテスクだ」と語っているが、本作品の聴衆が高揚感と共に自由に踊る姿は、彼にとっての不思議な世界のひとつなのかもしれない。