夜、帰りに特にこれといって目的はなく立ち寄った本屋やコンビニエンスストアでぼんやりした時間を過ごす。旅行中、滞在先へと帰る途中で開いているお店に入って、見たことがないパッケージが並ぶ棚を眺める。暗い夜の景色の中で光を放つお店にはいつでも安心感と高揚感がある。その光の中に入ると、わずかながらも確実にわいてくるわくわくした気持ちに乗せられて、ついいらないものまで買ってしまうのも常だけれど、あとで「別にいらなかったな」と思うところまでがそのわくわくの中には含まれているのだろう。Donor Lensの『Midnight Store』には、アートワークからしてすでにその空気が漂っている。扉を開けたところにあるのは、よく知っている(知っていた)日常や知らない人しかいないところにぽつんと存在している自分という非日常。深夜のお店には豊かさがあると思う、特に今は。