ヴァーチャルギャラリーDiMoDAが作り出した、知覚を変容させる鑑賞体験というアート。

いわゆるインターネットネイティブといわれる世代が固執するヴァーチャルな三次元空間への憧憬は、おそらく世代的にゲームの体験に由来しているのではないでしょうか。フラットな世界から立体への移行という革命の最初の経験は、これからくる未来への期待に彩られており、私たちはその技術的な欠点や未熟さをイマジネーションで埋めることができました。そしてそこにある不完全性は次第に新しさや独自性に転換し、ひとつの文化的領域を形作るまでに拡張したように思います。

そして近年ではUnityやBlenderなどの登場により、ほとんど無料でそれと同等かそれ以上の技術を用いることができます。アーティストたちは美術を正式に学ぶより前に、こうしたツールで作品を作りまくることが可能です。こうした今の状況は、美術に対する空間への意識も変化させずにはおかないでしょう。そしてオンラインギャラリーとVR技術の組み合わせはそうした創作物の最適な保管場所であり、またそれゆえにそれらはホワイトキューブの空間に変わる新しい礼拝所になりつつあります。

さて今回紹介するのは、DiMoDAというヴァーチャルギャラリーです。DiMoDAはDigital Museum of Digital Artの略とのこと。アーティストのAlfredo Salazar-Caroと、William Robertsonにより、2013年に構想、2015年にThe Wrong Biennaleのパビリオンとして最初の展示を行って以来、年二回、少数のアーティストたちからなる展示を作り出してきました。

ユーザーはフロントとなるインパクトのある建物から、ポータルを介して3つの会場に行くことができます。会場にはそれぞれ独自の物理的な特性があり、作品を見るのと同時に自身へフィードバックされる感覚の変容も見所になっています。

彼らの特徴のひとつは、そのプロジェクト自体をさまざまなフィジカルな空間で展示している点かもしれません。マイアミビーチで開催されたアートバーゼル、NYのTransfer Galleryなどで展示を行うなどなかなかエネルギッシュに活動しています。またこの一月からは、ロードアイランド州のRISD MuseumでVR展示を行う予定とのこと。

最新の展示は以下のサイトからダウンロードできますので、是非体験してみてください。

http://digitalmuseumof.digital/art/