By Yusuke Shono
久しぶりに出会えることが嬉しい、Kenjiによるリリース。乱暴に扱ったら壊れて消えてしまいそうな、微細な感覚の集合体。誰にでもできることではないけれど、そんな印象がますます濃いものとなっている。さまざまなところから集められた音の断片とその新たな組み合わせが、儚く脆いけれど、新鮮で柔らかなひとつのニュアンスを作り出している。形をなす前に、次々と姿を変えていく、そのような移ろいに身を委ねることこそ、音楽を聴くという体験だと思いたくなる。静かに放たれる言葉は、ひっそりとだが、作り手の繊細な存在感を映し出す。その背後にはどのような日常や感情が、潜んでいるのだろうか。少ないヒントの中にひっそりと佇むその影を読み取る。