グラフィカルな快楽への探求は、またたく間に現れては消える泡宇宙のような場を形成している。そのような加速度的に進化する空間で、受容者であるわたしたちの感覚はよりピュアに、よりプリミティブになっているのではないだろうか? それは進化というより、来た道筋を逆に遡る退化のようなものかもしれない。人から、動物、そして植物、そしてバクテリアの住む不分明な世界へ。Kai Yoshizawaによる、生命進化を逆さまに辿るかのようなグラフィックは、深海に生きる原始的な生き物のような有機的な形象を描き出す。海藻やプランクトンのような形態に惹かれるという、彼の作品は偶発的なおもしろさと大胆で奇妙な感覚に満ちている。そのイメージの輪郭は環境と一体化するように溶解し、さまざまなものの間にある境目を曖昧にする。ファッションのように皮膚感覚的な刺激に満ちたグラフィック。それは絶えず形を変化させ、次なる動きへの予兆を残して、見るものの視覚をすり抜けていく。
Kai Yoshizawa: Subsurface
Image: Kai Yoshizawa, Text: Yusuke Shono