Peladaは、プロデューサーのTobias RochmanとボーカルのChris Vargasによるデュオで、カナダのモントリオールを拠点に活動している。ベルリンのレーベル〈PAN〉では初めてのリリースとなる「Movimiento Para Cambio」は、Tobias Rochman のブレイクビーツやジャングル、アシッドハウスなどビート感溢れるサウンドとChris Vargasの自由で解放的で感情的なボーカルが社会や政治への不満などの強いメッセージを歌い上げる、非常にエモーショナルでパワフルな作品。 メッセージは、社会における女性のあり方やセクシャルハラスメントの克服への道、経済がビッグデータで個人を監視する時代を迎えたことへの不満や、グローバル資本主義への不満など実に多岐にわたるが、まさに今目の前で起こっている現実そのものなのだろう。PELADAは、自身らの音楽を通して社会や政治への不満や警告を個人に呼びかけ、彼らのアイデンティティや自己再帰性を呼び起こしたいと考えているのだろうか。アルバムの前半は、冷静かつ疾走感溢れるビートと怒りとも感じられるボーカルとのコントラストが彼らのメッセージを強調しているように感じる。中盤~後半につれてボーカルとビートが一体化しさらに疾走感を増す。ラスト2曲の落ち着いた曲調の中、何かを呼びかけるようなボーカル。アルバム全体を通してPELADA伝えたいものへのパワーを十分に感じられる作品。ライナーノーツに書かれている ‘ABRE TUS OJOS, LA BESTIA SE ALIMENTA DE LA EXPLOTACIÓN’ (“OPEN YOUR EYES. THE BEAST FEEDS ON EXPLOITATION” ) こそが、彼らが皆に伝えたいメッセージそのものなのかもしれない。