誰もが予想をしていなかったトランプ大統領就任から一夜明け、21日に行われたトランプへの抗議と女性の権利向上を主張するために行われたウィメンズ・マーチ。その数は大統領の就任式に集まった人数をゆうに超える50万人となり、ホワイトハウスの周辺はピンクの帽子をかぶった人々で埋め尽くされました。また東京を含む世界60カ国でも連動した抗議が行われ、その抗議の波は世界中へと広がりを見せています。
当初から女性蔑視的な発言を繰り返して来た大統領への反発は当然とはいえ、悪くなっていく世の中に決して黙せずアクションを畳み掛けていくエネルギーは、都市における多様性の共存というテーマを動物という比喩を介して表現した『ズートピア』のような映画をどメジャーな場所で作りだしてしまうようなアメリカの強い良識の部分が表れていると感じます。
驚いたのが海外のInstagramのフォロワーたちが関連する写真をあげまくっていて、タイムラインがウィメンズ・マーチ一色になってしまったことです。日本ではセレブのデモなんて揶揄する人もいますが、立場のある人だからこそ発言するというのはひとつの常識、ということなのでしょう。アーティストやミュージシャンもしかり。そこで今回は新しいガールパワーも予感させる、印象に残ったプラカードや写真をピックアップしたいと思います。
Dismagazineより。あまり示威効果はなさそうですが控えめさが逆に目を引きます。わたしが一番ってやっているみたいで、かわいいですね。
こちらもDismagazine。Disに関してはあまり政治的なスタンスは明らかにしていない印象がありましたが、さすがにということなのでしょう。写真のトリミングにDisらしい斬新さがありますが、クローズアップすぎて場所がどこなのかよくわかりません。彼らの拠点のNYでしょうか。
とにかく手書きのプラカードがかわいい。日本でもプラカードに統一感を出しておしゃれにする動きがありましたが、なかなかこういうのは作れないなあと思います。手書きなのにいろいろな字体があって見ていて飽きません。
こちらも手書きのプラカード。モデルのようにポーズを取っているのはどうやらリアーナのようです。どういうシチュエーションでこうなったかわかりませんが、プラカードをおいていっちゃうのは欧米スタイルなのでしょうかね。
こういった横断幕もよく見かけますが、プラカードとはまた違う趣があってよいです。文字が傾いていたり、歪んでいるのも味わいがありますね。女性だけでなくすべてのジェンダー・スペクトラムへ向けたメッセージのようです。
タイムズスクェア前でとても美しいパフォーマンスを作り出す、アーティストSigne Pierceのインスタより。こちらは成金趣味で悪名高いトランプタワーの前ですが、パフォーマンスのようなことを行なっているのでしょうか。
パンク・ シーンでの性差別に反対して生まれたライオットガールのムーブメントのドキュメンタリーを作成しているプロジェクト、The Riot Grrrl Projectより。独特のフェイスペイントとプラカードがマッチしていてパワフルです。
こちらはGurls Talkという女性のためのコミュニティをつくる運動体のインスタ。モデルのAdwoa Aboahによって設立された団体だけあって、おそろいの衣装がおしゃれですし、スウェットに書かれたメッセージも気がきいています。
ざっと駆け足で見て来ただけですが、こうやってみると世界中にどれだけ多くのコミュニティや運動体が存在しているのかを改めて実感します。わたしたちがふだん接している文化や物事は、そうした見えない意思の存在によって支えられてきたのかもしれません。普段ばらばらに存在しているそうした流れも、危機にさらされた時には抵抗の声をあげ、また連帯して動いていくのだと思います。正直未来は暗いと感じざるを得ませんが、こうした個人が作り出す動きの中には可能性の光が潜んでいるのではないでしょうか。