タイトル『Soviet Freakout Volume 2』(Volume1は今年1月にリリース)、レーベル名(もくしはアーティスト名)はSoviet Freakout、場所はアメリカ、マサチューセッツ州のマリオンとなっている。Bandcampのページの情報はこれだけで、作品解説にも何も記入されていない。ただ、Instagramのアカウントは存在していて、ロシア語が書かれたレコードジャケットの画像が多数アップされている。マイケル・ジャクソンやルイ・アームストロングやビートルズもある(中にはブートもあるもよう)。再生してみると、ジャケットに書かれているとおり、「サイケデリック、ファンク、ディスコ、ロック」が何を言っているのかまったくわからない歌詞で次々に流れてくる。カセットの曲目リストによると、収録されているのは、ポーランド、モルドバ、ロシア、ハンガリー、ラトビア、カザフスタン、エストニア、セルビアで70年代〜80年代にリリースされた曲。これがなんともいい。国も時代も今いる「ここ」とはズレている感覚に心地良さを感じる。どこかで聞いたことがある気がする(もちろん知っているあの曲ではない)メロディに出くわしたりすることもたびたび。誰か違う人の記憶の中に入り込んだみたいなみょうな感じがある。時代の持つ空気感のせいだろう、まるでインターネットなどなかった時代のリビングのソファにでも座っているような……そんなことをとりとめもなく考えていたら、いつの間にかSide Oneは終わっていて、Side Twoもあと数分になっている。スマホもWi-Fiも存在しない世界の空気の中に少しの間トリップしてみるのも楽しいものだ。とはいえ、インターネットがなければこの作品を知ることもなかったのだけれど。