By Yusuke Shono
Wasabi Tapesのリリースから注目され『電影少女』の劇伴を手がけるなど、丹念に着実に成長の道を歩んでいるLe Makeupの、汎アジアを標榜するコレクティブ〈Eternal Dragonz〉からのリリース。叙情性と力強さを合わせ持つオリジナルなトラックを作り出してきた彼が、全編自身のボーカルをフィーチャーした作品となっている。人は人の声に否応なしに惹かれるものだけど、しかし誰しもがそうなのだから、普遍性は簡単に安直にもなり得る。だからこそこの作品のような、研ぎ澄まされた曖昧さが欲しくなる。言葉は物語を作り出すが、同時に解体もする。積み木のように、さまざまな形を作り出す夢と同じようなその余韻が、はっきりとした形をなす前にまた新たな動きを作り出す。繋がり合う言葉と、風のような軽やかに積み重ねられた意味がただただ吹き抜けていく、小気味よさに溢れた作品。