ニューヨークを拠点に置くアーティスト、アニメーターであるCarl Burtonによる初のゲーム作品「ISLANDS: Non-Places」がリリースされました。
ユーザーが旅するのは、絵画のようにワントーンの色彩で描かれた日常の風景。どこにでもあるその事物の間をユーザーはシンプルな操作を行って移動していきます。淡々と繰り広げられる不思議な出来事を白昼夢を彷徨うように旅する、超現実的なロードムービーのようなゲームです。
ユーザーは制約された操作の中で先へ進む方法を見つけなくてはなりません。そのストイックな操作性は、David O’Rillyのゲーム「Mountain」を思い起こさせますが、「ISLANDS: Non-Places」の独自な点は、映画のワンシーンに迷い込んだようなそのムードにあるといって良いと思います。オブジェクトは霧がかった世界に溶け込むように存在しており、明確な輪郭を失っています。そこで引き起こされる出来事は、その絵のスタイルと同じようにどのようなストーリーも明確には描きませんが、それが逆にデビッドリンチの脚本のように無意識に語りかけてくるような効果を生み出しています。
このユーザーを拒絶するような感覚は、本人も影響を受けたと明言している名作ゲーム「Myst」の、さまざまなことを試みていくうちに世界の奥深くに誘われていく、あの孤独感と中毒性を思い起こさせます。
インディペンデントゲームのシーンが新しい表現の場になって久しいですが、David O’Rillyに匹敵するようなヴィジュアルの独自性に加え、ゲームのあたらしい体験を創造したという意味で、「ISLANDS: Non-Places」はアートとしてのゲーム史に刻まれる作品になるに違いありません。
Carl Burtonのほかの作品もとても良いです。
http://carlburton.io/#_=_
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