突然の新作です。8月1日にSiddiqをフィーチャーした新しいアルバムの発売がアナウンスされていたVaporwaveのオリジネーターVektroidですが、先ほど新作が3つもドロップされました。ずいぶん急ですよね。突然でしかも大量。驚かせてくれますね。
Vektroid “RE•SET”
暗い深海をさまようような、実験的アンビエント。粒感のあるグリッチノイズは、ローファイなそれではなく、もやがかかったような幻想性を与えています。サイケデリックでありながら、ドリミーな世界観はそのまま。もはや振り返る過去はなく、未来へ向けて歩き出したというような傑作です。
Vektroid “Big Danger”
うってかわってこちらはサウンドコラージュ作品です。さまざまな音のテクスチャーが揺らめき、恍惚感あふれる光景へと没入を誘います。プランダーフォニックスを彷彿とさせる引き伸ばされ、寸断され、逆回しされた具体音。そこに持続音やノイズが結合され、独特の世界観が紡ぎ出されています。エクスペリメンタルな音響アンビエント作品。
Vektroid “Texture Maps”
こちらは2009から2013年にかけて作られた未発表音源集のようです。過去の作品とあってもっともVaporwave的なアプローチを感じることができます。Vaporwaveの真骨頂サンプリングそのままの曲やスクリューされたビート、グルーヴィなFuture funkサウンド、メランコリックかつロマンティックな世界観が展開されます。予定のない休日に、ベッドルームで一人静かに聴いてみたいそんな音源集です。
Vaporwave勢の中でもVektroidのサウンドは安定感が抜群で、その奥底から伸び上がるような落ちついた飛翔感は、むやみに騒がしい感じではなく、その奥底には瞑想的な雰囲気すら漂っています。Vektroidという人はやはり常に時代の先端の気分を作っている人で、ブレがないのが良いなあと思います。ぜひお気に入りの作品を見つけてみてくださいね。
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