By Yusuke Shono
2017年のリリース以来、〈Orange Milk〉からは2作目となる、Ryu Yoshizawa のプロジェクトKoeosaemeによる作品。聴くものの聴覚を切り裂くような、研ぎ澄まされた鋭利さで編まれた音像が、多次元的な複雑さで次々と予想不可能な形を描き、ダイナミックに異形で抽象的な世界を織り出していく。電子音響から、断片的に垣間見えるヴォーカルチョップ、きしむように響くストリングスなどの生音まで、多様な表情を持つ音響が、まるで新しい言語であるかのように特別な空間を作り出していく。型破りであるだけでなく、サウンドデザイナーとしての職業で培ったと思しき精密さも併せ持つ。音の響きにより、現代音楽からダンスミュージックにいたるまで、あらゆる初期衝動をすべてを取り込んだかのような純度の高いアイデアにより、編まれた作品。