By Yusuke Shono
この曲を聞いていて、突然「国道20号線」という映画のことを思い出した。国道という普通の風景に横たわる若者たちの生き様の生々しさは、鋭く心をえぐられるものがあった。このハリボテのような現実からの出口のなさ、というかそもそも出口などないという現実を前に、わたしたちはこの生身の体を燃料に生きるほかない。そうやって自分を失いながら、次第に老いながら、感覚を鈍磨させながら、希望を引き換えに生き延びていく。この非現実的でヒリヒリとした刹那の儚さを持つ音楽は、そんな現実を燃やしたあとの夢の残り香ような切なさを響かせている。