By Yusuke Shono
ベルリンを拠点とするYo van LenzとFlorian T M ZeisigによるデュオOCAによる2枚目のアルバム。Kelelaがリリースしたミックス「Aquaphoria」に楽曲が収録された前作「Preset Music」に続く本作は、記憶、経験、時間の経過に焦点を当て、クリアなサウンドの共鳴により色彩豊かな景色を描き出した現代的アンビエントミュージック。Alesis QS6シンセサイザーのみで作成されたというメロディをミニマルに反復するそのサウンドは、点と線のみで構成された多次元的な絵画のように、汲み取りきれないほど複雑な側面を垣間見せていく。そこにある楽しげでゆったりとした時間感覚は、一見普通であるものが内包している複雑性を拡大して見せている。慣れ親しんだものがときおり見せる奇妙さのような感覚。いろいろな温度を持つ、私たちの身の回りにある普通さのすべて。親しみと、豊かさを内包した普通さ。それはさまよいながら広がり私たちを包み込む、変化に飛んたサウンドスケープである。