“Blush” は紅潮。頬を赤らめること。言葉にできない戸惑いや恥じらいの感情が体を駆け巡った証。
もしかすると ”Blush” は、少女の頃にだけ許される最高の魅力なのかもしれない。
ドイツはベルリンのアーティストでプロデューサーのava*による初アルバム「Blush」は、香港のレーベル〈Absurd Trax〉よりリリースされた。5年間にわたるフィールドレコーディングを織り込んだ本作品は、やわらかで繊細なテクスチャー。水彩画のような曖昧な輪郭を描きながらゆっくりと時に激しく展開するアンビエントな作品。
自由に飛び回るサウンドは、まるで少女の感情を表したかのようにどこかはかなくて、ゆるやかに上ったり下りたりするシンセのメロディーと一緒に聴いていると、瞑想中のような遠い日の記憶を見ているような感覚になり、その曖昧さがまた心地よい。
ぼんやり先に見えてきたのは幼い頃の記憶。空を眺めていると今日はやけに雲の流れが早い。いつもと違う速度で目の前の景色が変わっていく。これから何か起こるのかしら?胸がざわつく…なんだか不安…その感覚を鮮明に思い出すとアルバムは終わっていた。
どこでもいい。どこか遠く離れた場所へ。記憶を辿る旅に出るのもいいだろう。