By Yusuke Shono
ケイト・ワックス名義で活動してきたスイス/ネパールの混血プロデューサー、アイシャ・デヴィの本名名義の2作目。原型のわからなくなるほど電子的に変形された「声」が作り出す音響が、古代の儀式を目撃するかのような瞑想的で抽象的な世界へと誘う。自身が設立メンバーでもある、ポストインダストリアルともいわれる挑発的で実験的なテクノをリリースし続けるスイスのレーベル〈Danse Noire〉の世界観とも共振する、解放されたクラブミュージックの新しい進化の形。レーベルの世界観もそうだけど暗い神秘性を秘めたこの質感、やはりヨーロッパの風土が生み出すものなのだろうか。