By Yusuke Shono
Sun Arawのレーベル〈Sun Ark/Drag City〉からリリースされた食品まつりのアルバム。JUKEをルーツとしながらも、既成のフォーマットに囚われない隙間の多いスカスカしたリズムやエレクトロニックでカラフルな音色は、極めて自由奔放なフリーキーさを持ちながら、その佇まいにはいつも不思議な普通さが宿っている。アルバムを聴き進めるに従い、サイケデリックな独特の風情を持つ音の感触はまろやかになり、匿名の心地よさのなかに溶けていく。既視感も未視感も、陳腐さも前衛も、ノスタルジーも未来への憧憬もすべてを独特の懐の深さで包み込んでしまう。この奇妙で予想のつかない音の動きの奥には、日常にあるユートピアが広がっている。めちゃくちゃひねくれているのに、こんなストレートな楽しさに貫かれた音楽はほかにはない。