Midori Hiranoは、ドイツはベルリン在住の音楽家/コンポーザー/プロデューサー。別名義でMimiCofとしても活動している。「Mirrors in Mirrors」は、オーストラリアはメルボルンを拠点とするレーベル〈Daisart〉より、以前本誌のMONTHLY REVIEWで取り上げたNico Niquo (https://themassage.jp/massage-monthly-review-9/)に次ぐ2作目のアルバムとしてリリースされた。これまで、ピアノや弦楽器、声、フィールドワークなど多彩な音と電子音を構造的に作り上げた作品や、MimiCofでは電子音楽を中心とした作品をリリースし、ポスト・モダン、アンビエント、エレクトロニカの新しいかたちを体現している。本作はピアノを中心とし、電子音が光を紡ぎ模様を織りなすアンビエントな世界観が美しい作品。まるで息づかいが聞こえそうなテクスチャーで、力強くもやさしいピアノの旋律と、光のように繊細で時に鋭い電子音や丁寧で美しいシンセサイザーが凛とした音響を作り出す。タイトル「Mirrors in Mirrors」のように、合わせ鏡に映る自分を見た時に覚えた、限定された視覚空間に存在する色や光のプリズムによる奇妙で美しい情景を、新鮮でどこかノスタルジックに描いた作品。