しー辰は2012年の設立以来、現行カセットシーンで重要なアンビエントの作品をリリースし続けてきました。そのへんのことは以前、Dirty Dirtさんが連載で紹介してくれましたね。
https://themassage.jp/dirt-on-tape-vol-05/
そんな〈Constellation Tatsu〉がレーベルの強い美学を感じさせる、本日新しい作品を4ついっぺんにリリースしてくれました。
東京のアンビエント作家Rhucleによる繊細さの奥に、強い芯を感じさせる「Fantastic Garden」。水が流れる具体音にメタリックなシンセの持続音が少しずつ変化しながら交錯していく。極端なほどに削ぎ落とされた要素が、ミニマルであるがゆえの幻想をかきたてます。スピーカーから流れるサウンドで空気さえ浄化されてしまいそうな、清々しい作品。
イギリスを拠点に活動する古いカセットテープを掘り起こすテープコレクター、Stuart Chalmersの作品「In the Heart of Solitude」。エコーの効いたギター音が、生き物のように次々と見たことのない形を作り出し、新しい絵を描いていく。たった5曲の間に数光年を旅したかのような、長大な物語が圧縮されているような展開。その抽象性の中に、どこか懐かしさすら感じるニューエイジ、アヴァンギャルド・フォーク。
8年間で50作以上のフルアルバムを制作したという精力的に活動する、日本のアンビエント/ドローン作家Hakobuneによる作品「In Arboreal Whispering」。流れる温風のように厚みのある持続音がゆっくりと脈動し、サウンドの皮膜に包み込まれてしまうような独特の安心感を感じさせる、気持ちのよい作品。
RoseはReuben Sawyerというイラストレーターの名義のよう。幻想的なロマン派的な画風で、とても独特です。絵と同様に暗く、粒子の粗いノイジーな音楽性。ささやくような女性ボーカルに、底から支えるように一定のビートが刻まれる。廃墟になった教会に鳴り響く賛美歌のような、退廃的な風景に差し込んだ光のような作品。彼のイラストが見られるTumblrも以下に貼っておきます。
こういうずっと続けているレーベルが、常に先端の音を求めながらも、強い芯をつかんで離さないでいられるというのは本当にすごいことだと思います。ぜひ聴いてみてくださいね。
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