Paul BarschとTilman Hornigによる、ホワイトキューブの展示空間の領域外へ展示空間を拡張するプロジェクト「new scenario」の新作がベルリンビエンナーレの開催に合わせてアップされていました。
ジュラシックパーク、リムジンときて今回の展示場所はなんと肉体の「穴」です。コンセプトは「もし人間にミュージアムがあったとしたら、7つのギャラリーがある」とのこと。今回はテキストもあったり、こんなに体に穴ってあったっけ?って思ってしまうほどの作品数。なんと総計で40以上です。今回の展示はビエンナーレの一部でもあるようで、今までにない規模になったのはそのためかもしれません。
既存のキュレーションという概念を軽々と覆してみせる「new scenario」。そのラディカルな部分は、実際の展示を決して見ることができないという点にあります。彼らの展示の方法論は、フィジカルな展示であるにもかかわらず結果的にはイメージに定着されて初めて鑑賞しうるものです。そのコンセプトは、Artie Vierkantの〈Image Object〉の概念にとてもよく似ていますね。
しかし、とりわけ重要なのは、「new scenario」ではデジタルな意匠が消え去っているという点です。それはイメージが物質性から解放されることよりも、作品が設置される展示空間のフィジカルな性質から解放されることの方が、彼らが重要であると考えていることを意味しています。シンプルかつ小さなその発想の転換が、どれほど豊かな創造の可能性を生み出すのか、サイトを見てもらえれば理解してもらえると思います。過去の展示もすごいので、そちらもぜひチェックしてみてください。
http://newscenario.net/bodyholes/
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