Independent Culture Shop: Nice Shop Su

大阪の古い木造アパートで営まれるジンやカセットがひしめく謎めいたショップ、ナイスショップスーを紹介する。

Text: Yusuke Shono

もしあなたが華やかなショーウィンドウを持つ路面店や、洗練された高名なセレクトショップより、マンションの一室で密かに営まれている特殊な品揃えのショップを好むタイプの人間なら、ぜひ大阪にあるナイスショップスーに立ち寄ってみてほしい。運営に携わる二人の住居を兼ねたそのスペースは、今はもう目にすることも珍しくなった、歴史を感じさせる木造アパートの一室で営まれている。ショップというより少し変わったライフスタイルを営んでいる友達の家に遊びに行くといった趣で、ジンやアートブック、カセットなどのおもいっきり偏向した品揃えを楽しむことができる。そのラインナップはかなり独特だが、ナイスショップスーのふたりがいろいろなところから集めてきた(ゴミのような?)ものをコラージュした一点もののジンもかなりオリジナリティがある。自分たちのつくったものや収集した商品、そして場所の選び方など、その世界観作りにふたりの独特のセンスが発揮されている。特に最近は、世界中のアーティストのさまざまなプロダクツを買い集めていて、そのラインナップがかなり面白くなってきている。その独特の世界を味わうための入門編としては、かなり力の込もった作りのウェブショップがあるので、そのあたりから探検してみてはどうだろうか。

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ナイスショップスーの立ち上げは何年でしょうか?もし立ち上げのきっかけやエピソードがありましたら、教えて下さい。
たしか2013年に、とある展覧会のクロージングパーティで、「めりす」というフリーペーパーを作っているエメラルドクリトリスのディナミシャイ介さんと、関西を中心にDJなどの活動をしているobocoさんと知り合ったのですが、その時にディナミさんが「何か始めたら絶対楽しいよ」みたいなことを言っていたので、何か始めようと思い2014年にナイスショップスーを始めました。
ショップという媒体を選んだのは、いろんなところにショップがたくさんあるからで、ショップなら出来るだけ生活に溶け込む形で美術や音楽、文化を紹介できると思ったからなのですが、たぶん今のナイスショップスーはだいぶ変わった謎のショップに見えてしまっていると思います。もっと庶民的なショップに見えるようになれば、さらに面白いショップになりそうだなと思っています。

ショップが入っている建物が特徴的ですが、どうしてその場所を選んだのでしょうか?
特に今の場所を選んだという理由はなくて、以前から住んでみたいなと思っていたこの建物に、数年前に引越したからここで始めたというすごい安易な理由なんです。
始めは今と違う部屋に住んでいたのですが、物置として使われてる大きな部屋があることを知り、その部屋に住みたいと管理会社に相談してみたら、自分たちで片付けたら好きに使っていいよと言ってもらえたので、その部屋に移って今の形のショップを始めました。気持ち的には、商店街などで営まれている住居兼タバコ屋みたいな形だと思っていたのですが、ボロボロのアパートの一室でこの形態はだいぶ特徴的な変わったショップなんだなと始めてから実感しました。

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商品のライナップがとてもおもしろいですね。買付にあたっては、どのようなポイントに惹かれることが多いですか?
まだまだ仕入れたいものを全部仕入れるほどの売上や金銭的な余裕もなく、もっともっとすごい商品をいっぱい仕入れたいと思っているのですが、少しずつ仕入れたい商品を仕入れられるようになってきたので、そう言ってもらえるととても嬉しいです。ナイスショップスーは、いろんな表現を知りたいけどまだよくわからないという方たちと、日本にもたくさんある素晴らしい専門店的な音楽ショップや本屋などのショップ、素晴らしい催しを開くギャラリーやイベントスペースなどを繋ぐ架け橋になることを目指しています。
仕入れる際に大切にしていることは、作家自身の思いが純粋に現れた商品を取り揃えることです。有名無名、新旧問わず、すごいと思ったものを仕入れていきたいです。そして、私たちが取り扱う商品を通して世界中の素晴らしいアーティストを身近に感じ、世界中にはいろんな可能性が溢れているということを実感していただけるような場所になれるようもっと頑張ります!

ご自身でもジンなどを作られていますが、そうしたものを作るようになったのはお店を作る前からですか?もし自分でそうした活動を行うようになったきっかけやエピソードがありましたら、教えて下さい。
節約のためではありますが、簡単な家具やアクセサリーを自分で作ったり、他にも自炊など、人並み程度ですが物作りを行っていました。でも、他者に何か伝えようというような美術的な物作りを始めたのはショップを始めてからかもしれません。
ショップを始めた頃はまだ商品の仕入れ方も全然わかっていなかったので、仕入れと並行して町を歩いて拾った美しいものを集めた「にせしょっpすー」というウェブショップを作っていたのですが、もの自体というよりそのものと場所の関係とか持ち帰れないようなことを仕入れたい気持ちになってきたので、そういう商品などを自分たちで作り始めました。

二人三脚的な活動の仕方も印象的です。お二人の出会いは?役割分担などはありますか?
ナイスショップスーは、アルバイト先で出会った中尾(女)とささじま(男)の2人で運営しています。役割分担を簡単に説明すると、ささじまが仕入れなどの情報収集や今後の方向性を提案し、中尾が最終的な判断を行うという感じなんですが、言葉で説明すると堅苦しいですね(笑)。とにかくどちらか1人だけではなく、2人で感動を共有できる物事を取り扱うことを一番大切にしています。

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オススメの商品について、もしよければその作家さんの背景なども含めて教えてもらえたら嬉しいです。
インスタグラムで偶然見つけた今年フランスの美大を卒業したばかりのエイドリアン・バーネットという作家の作品がめちゃくちゃかっこいいです! 昨年彼に始めて連絡した時は、インスタグラムと自身のウェブサイト以外でまだ作品を発表したことがないというほど無名だったのですが、絵画作品やフォント作品の制作、本やウェブサイトのデザインなど学生時代からとても魅力的な作品をたくさん制作されていて、その中でも特に彼が描いた洞窟壁画を現代的に再構築した絵がとにかくすごいので、もっといろんな人に知ってもらいたいと思い昨年末からお互いグーグル翻訳を駆使してその絵をまとめた日本語版の本を一緒に制作しています。昨年から始まったCOOPという全て手作りの出版物を発売するレーベルからもうすぐ発売出来ると思いますので、早くいろんな方に見ていただきたいです!
それと、このウェブマガジンを読んでいる方で、まだMASSAGE 9と10を読んでいない方にはMASSAGE9と10をオススメします!私たちは、MASSAGE9を読んでインターネットを使うと世界が身近に感じられてめちゃくちゃ楽しいということを知りました。当店でも取り扱っていますが、全国のいろんな書店でも購入できますので、ぜひ!今後の人生がより豊かになると思います!

ナイスショップスー
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