SHUTA HIRAKIは、長崎在住の電子音楽家。本作は、自身の非24時間睡眠覚醒障害から着想したもの。ごくシンプルな音で構成され、刻々と時間が刻まれる空間で、時折地を這うような音が重く身体にのしかかる実験的アンビエント作品。私たちの1日の生体時計は約25時間。生体は光や時計時刻などをもとに概日リズムを毎日約1時間短く調整している。そのおかげで私たちは1日24時間で生活できている。しかし、この調整がうまくできないと生体時計が25時間となり、睡眠・覚醒のリズムを始め、体内の様々な概日リズムが1日1時間ずつ遅れていく。本作は、そのサイクルの逸脱に着目し、概日リズムの値を音に変換、適用している。淡々とした音が広がる奇妙な世界観は、自身が体験した時間の歪みなのか、まどろみながら感じる日の光なのか。