By Yusuke Shono
Raft of Trashは、環境との対話による自然のリズムとサウンドシステムにインスパイアされた活動を行う、Thom Isom、Andrew PM Hunt、JC LeisureによるMIDIコラボレーションプロジェクト。都市開発シミュレーションゲームであるシムシティ3000で使用されているサウンドトラックを使用して、即興的に絶えず変化するライブのMIDIデータを生成する。前作「Grouw」で即興的に作り出された、4つの「ゾーン」(楽曲)は、今作の5つのゾーンに引き継がれそのユートピア的なニュアンスを奏でている。非生命の存在がささやきあうような響きは人工的なそれではなく、どこまでも有機的。身を委ねたくなるソフトな電子音の流れが心地よいランダムネスの中に溶けて、複雑な対話を重ねながら入り組んだ模様を次々と紡いでいく。人間中心的な視線から解放された自由を獲得したその響きは、どこまでも広がっていく生命的なディテールを持っている。テクノロジーから自然へというグラデーションを描きながら、人間の不在の可能性を描き出したこのアルバムはまた、エコロジーへの意識を高めるツールとして音を使用することについての進行中の対話のための実験でもある。すべての収入はプラスチック汚染の分析と調査の活動を行っている非営利団体5 Gyresに寄付されるとのこと。