マルチすぎる鬼才Tristan Whitehillが運営するレーベル〈Squiggle Dot〉。その雑食的ラディカルさについて

ちょっと多すぎて今世界にどのくらいのレーベルがあるのか、全く見当もつきません。気付いた端から追いかけていっても、それ以上の速さで増えているのではないか?と勘ぐってしまいたくなるほどです。先日は〈Software〉の終了が明らかになって、ちょっとショックでしたが、世界を見渡すとおもしろい作品をリリースしているレーベルは星の数ほどあります。こうやって日夜探っていると、生態学の研究をしているような気持ちになりますね。

さて、今回紹介したいのはフロリダを拠点に活動する〈Squiggle Dot〉です。まず目を引くのは統一されたかわいらしいカバーワーク。サイケデリックで、その絵柄にはどことなくバンドデシネのようなスピリチュアリティも感じます。

このアートワークを手がけているのはTristan Whitehillというアーティストで、なんとこのレーベルのオーナー。彼はマルチ奏者/シンセシストでもあり、Euglossineという名義で活動しています。こうした多方面にわたる才能は、レーベル〈Orange Milk Records〉の主催でもあり、自分自身のカバーワークも手がける、Giant ClawのKeith Rankinとの共通点も感じます。

実際彼はその〈Orange Milk Records〉や〈Beer On The Rug〉といったレーベルからも作品をリリースしています。彼に影響を与えた音楽は、ディスコやドラムンベース、ヒップホップ、ハウス、ジャズを通過した70年代のファンクや、電子音楽、古典の方のニューエイジ、カンタベリー・ロックと、ものすごく幅広い。〈Squiggle Dot〉にも、こうした多様なジャンルの音楽性をさまざまな形で融合し、新しい世界観を作り出そうという意気込みを感じます。

最近公開されているのを見つけたのですが、Tristan Whitehillが作ったアニメーションです。映像まで作り始めるとは、どんだけ才能を示せば気がすむんでしょうか。

7月30日にリリースされる予定の作品、Kagami Smile “CLOUD DRM”です。培養された細菌が織り成すマイクロコスモスをイメージした世界観。多様な色彩の音の粒がノイジーな質感を作り出す、心地よいアンビエントです。こちらのアートワークはBeefstrongによるもの。リリースが待ち遠しいですね。

Kagami Smile “CLOUD DRM”

いちばん最近のリリースはこちら。まさにこのレーベルの看板のスタイルでもあり、ファンタスティックでドリーミーなニューエイジ/アンビエント。ジャケットのイメージは「自分自身のマインドから物質を作り出す恐竜」だそうです。

Novelty Toys “Gra​-​e”

個人的に好きなのはこれです。メキシコの作曲家Turning Torsoの作品ですが、アブストラクトなハーモニーにミニマルなビートの組み合わせ、そこにインプロっぽいアコースティックなサウンドが絡んでくるのが特徴的です。このレーベルの中でも彩度の低い世界観で、けっこう渋いです。

Turning Torso “Kāla”

Tristan WhitehillのEuglossine名義。〈Beer On The Rug〉からリリースされた作品です。早朝の爽やかな太陽の光のような、淡くてきらびやかなシンセポップ。重さのない肉体でハイウェイを滑空しているかのような、疾走感。ものすごくフュージョンぽい作品です。

Euglossine “Complex Playground”

name your priceで公開されているので、このへんのコンピレーションからレーベルの世界観を体験してみるのも良いかもしれません。

Squiggle Dot World Wide Vol. 2