鬼才BALAM ACABの溢れ出る大量の新作。そして彼の新プロジェクトivyauraについて。

先日、多幸感あふれる作品「&&&heartsss;;;」をドロップしたばかりのプロデューサーAlec KooneによるプロジェクトBALAM ACABの周囲がにわかに慌しくなってきました。長い沈黙の後に急に饒舌に喋り出した人のような、留まることのない大量のリリースはいったい??

そしてなんと、ivyauraという新バンドのスタートも発表されました。メンバーはポートランドを拠点とする2人組のバンドMolly shannon, Molly shannonの片割れのMichael。

以下は先日リリースされたivyauraのシングル。メランコリックな歌声をフィーチャーした、ノイズ感のあるテクスチャーが特徴の退廃的サウンド。かすかな光を手掛かりに暗闇を手探りで進んで行くような、BALAM ACABのスローで重厚な世界観も健在。彼によると、ふたりのコラボレーションはこれから発展する予定で、EPが出るかもしれないとのこと。

ivyaura, “SCUMBODY”

以下からはBALAM ACAB名義。彼のすごい部分は、重厚なヘビメタルのような金属的で内省的な世界に、ファンタスティックとさえ言えるような多幸感が融合しているところ。悪魔と天使が交合しているようなその世界観は、ウィッチハウスなどと形容されたりもしましたが、やはりこれほど独特な世界へと昇華できる感性はほかにはないと感じました。

水中のスピーカーで音楽を聴いているようなBALAM ACAB独特の音響は久しぶりに聴いいてもやはり素晴らしい。上昇感のあるメロディに、粘りのある反復ビートが絡む。独特の音響に伸び上がるようなヴォーカルが響き合う作品です。このジャケは一体なんでしょうね?

BALAM ACAB, “Just Stay / Come True 7″”

こちらは不協和音を奏でる絶妙なメロディに、スクリューされたボーカル使い。超高重力の惑星で鳴っているような低音と、サウンドの上昇感はより研ぎ澄まされており、古い教会で超大音量で聴けたらすごく気持ちよいのにと思いました。

BALAM ACAB, “SEE BIRDS ERA”

2011年の傑作「Wander / Wonder」を連想させるタイトル。「Wander / Wonder」の続きに位置付けられたシングルなのかもしれません。爽やかなボーカルに水中でノイズを聴いているような不思議な音の粒がまとわりつく、ファンタスティックで寂しげな楽曲。重厚さの中にも、ゆっくりと海面へ向かうかのような浮上感があって、心地よい。

BALAM ACAB, “WANDER / WONDER ERA”

こちらはアルバム。ドバイの水中ホテルのイメージというカバーはまるでVaporwave作品のようですが、サウンドは一転して軽やかでエクスペリメタルなグライムビート。煌びやかさとファンタスティックさが前面に打ち出された一曲目「FAIRYLAND」から、イルカの鳴き声が可愛らしすぎる「DOLPHINSTOMP」、トリを締めくくる「DUBAI SIREN」まで、「水」というコンセプトを表現した作品になっています。

BALAM ACAB, “CLUB WATER DISCUS”