Utsuro Spark – Static Electricity

なんともみずみずしく、きらきらした、どこか時間を巻き戻したような空気のあるサウンド。わかりやすい記号的なものを使わず、時代の空気を含ませることに成功している。それが制作者の意図するところかどうかは私にはわからないが、ここは成功と言いたい。その良さは、音程は安定していながらも、どこか未成熟な部分を感じさせるボーカルによるところも大きい。マスに向けて作られ、その目的にじゅうぶんに応え得るポピュラーソング的な前向きさと輝きがある(もちろん良い意味で)。特に1曲目の“ネオン”は、人知れず眠っていた旧作が発掘されて何かのCMソングに使われているのだと言われれば、ふつうに納得してしまいそうだ(個人的には冬季限定ビールなどがぴったりだと思う)。とはいえ、懐かしい匂いがするだけではなく、どこか少し先の未来を見ているような気持ちにさせられるところもある。これは、過去、現在、未来をつなぐサウンドといえるのかもしれない。