Sean McCann – Saccharine Scores


Sean McCannの新作『Saccharine Scores』が、自身が運営するレーベルRecitalよりリリース。
ストックホルムのアート施設フィルキンゲンで演奏された表題曲のライブ音源ほか、新/既存の全4曲が収録されています。
またCDに付随するブックレットには、それぞれの曲にまつわるリーディングテキストやスコア、本人による解説やイラスト、演奏写真などがたっぷり掲載されており、彼のコンポジションをより深く知ることができる内容です。
約26分の長さから成る新曲『Saccharine Scores』は、実験音楽家John Chantlerが主催するフェスティバルでのパフォーマンスのために作曲されたもので、管楽器やコントラバス、ピアノなどのパートを含む10人の演奏者によってテキストのリーディングと楽器の演奏が行われながら、両者が混合していくという構成です。全体を統一する定まったリズムはなく、プレイヤーが与えられたテキストをそれぞれが好きなタイミングで読みあげ、次に楽器の演奏に移行し、またテキストの読みあげに戻る、という流れを繰り返し、その比重がテキストから演奏へと徐々に変移していくように指示されています。
休止や空間的な余白を強調しつつ、非常にゆったりとした速度で描かれる各々の音のラインは、抽象と具体の狭間を行きかうようにして鮮やかな色彩を帯び、そしてその色彩はまた次の色彩へとって代わられていきます。そんな様々な色が混濁しながら形成される全体のハーモニクスは、束ねられた「持続」を稼働として、絶えず変化を続け、また偶発的な生成を続けていきます。「動く」ことによってはからずも「結ばれていく」、そんな状態としての美しさが、この曲には意図されずに現れていると思います。レコーディング音源版もぜひ出してほしい。