CVN – I.C.


Grey Matter ArchivesのキュレーションやAvyss Magazineの運営者としても知られるCVNの〈Orange Milk〉からとなる新作。ジャケットは「PHENOMENON:RGB」展にも参加したSabrina Rattéであり、NTsKiや、Cemetery、Le Makeup、LSTNGT、ROTTENLAVAなど盟友たちとのコラボレーションを繰り広げた、まさに現行のシーンをアルバムの上に広げたマガジンのような作品となっている。印象的な一曲目のNTsKiをフィーチャーした「成分」はまどろんだアトモスフィアの中を彼女の柔らかな声質が響き渡り、都市的な背景のもとノスタルジックな和やかさと安心感で包み込む。ノイジーでインダストリアルな感触を持つ楽曲からリズミカルに聴くものを揺さぶるダンストラックまで、よりフリーキーにより自由に組み合わされたサウンドで心地よく耳を刺激する。静と動、秩序と無秩序の間で引き起こされてきた駆け引きを紐解きながら、即興のさなかに生み出された解を目撃しているかのような研ぎ澄まされた洗練。音の振動すべてが楽器であるような、録音上の徹底呈した平等性は、デジタルによりもたらされた現代の音の洗練の極地と言ってよいだろう。異質なもの同士の重ね合わせと結合により作られたそれらは、調和を否定することによって逆説的に美しさを生成するという、現代におけるバロック的な美であるといってよいかもしれない。(S)