〈Local Visions〉と〈New Masterpiece〉がVaporwaveのレジェンドたちを招聘するNEO GAIA LEGENDを開催

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2018年に開催され、日本のVaporwaveシーンにインパクトを刻んだあのNEO GAIAが、再び帰ってくる。彼らを迎えるのは、当初の想定を超えて受け継がれていくVaporwaveの可能性を日本から更新しようと目論む2つの代表レーベル、〈Local Visions〉と〈New Masterpiece〉。出演は、レーベルの主宰VAPERRORや、bl00dwave、さらに神戸在住のFutureFunkアーティストVANTAGE//、韓国からは식료품groceriesなど。日本勢はパソコン音楽クラブからソロユニットの青龍WEST、さよひめぼう、ミカヅキBIGWAVE、捨てアカウントらの出演が決まっている。Vaporwaveシーンの新しい息吹を肌で感じられる貴重な機会となるだろう。また、12月にはVaporwaveガイドブック『新・蒸気波要点ガイド』の刊行も控えている。

New Masterpiece × Local Visions Presents
“NEO GAIA LEGEND”
11/8(金) OPEN 20:30/START 21:00-
渋谷CIRCUS TOKYO
前売 ¥3,000.-/ 当日¥3,500.-/ 学生証提示¥2,500.-
TICKET(前売予約): Peatix (https://neogaialegend.peatix.com/)

LIVE/DJ:
VAPERROR / bl00dwave / VANTAGE// / 식료품groceries /
Equip / R23X / death’s dynamic shroud /
青龍WEST from パソコン音楽クラブ / ミカヅキBIGWAVE /
さよひめぼう / Port Tower ’86 (DJ badboi+kissmenerdygirl) /
ΔKTR / upusen / 捨てアカウント VirtualDJset
VJ:
玉田伸太郎 / fm

https://neogaialegend.tumblr.com/

Equip, R23X, death’s dynamic shroud
“NEO GAIA PHANTASY NOVEMBER 2019”
11/8(金) NEO GAIA LEGEND @渋谷 CIRCUS TOKYO
(w/ VAPERROR, 식료품groceries, bl00dwave, VANTAGE//…etc.)
11/9(土) 大阪心斎橋Club STOMP
(w/ VAPERROR, 식료품groceries …etc.)
11/11(月) NEO GAIA LEGEND AFTER PARTY @渋谷 7th FLOOR
(w/ VAPERROR …etc.)
11/14(木) 京都UrBANGUILD
11/15(金) 神戸Otohatoba (Local Visions Presents)
11/16(土) LIVE AMBIENT 山の音11 @奈良ナイヤビンギ
11/20(水) K/A/T/O MASSACRE @幡ヶ谷Forestlimit
11/24(日) New Masterpiece @新宿BE-WAVE
(death’s dynamic shroudのみ出演)

アートコレクティヴMSHRの新作インスタレーション『Frame Wave』が、西麻布・CALM & PUNK GALLERYにて発表

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MASSAGE / Text: Kazunori toganoki

フィードバックシステムに基づく音響機材の開発やパフォーマンス、3DCGを用いた彫刻や映像作品、デザインワークの発表など、横断的な領域で音楽/美術制作を行っている、Birch CooperとBrenna MurphyによるNY拠点のアートコレクティブ、MSHR。

そんな彼らが近年新たなアプローチとして取り組んでいるVRインスタレーションのシリーズ新作「Frame Wave」が、西麻布・CALM & PUNK GALLERYにて、本日10/26から11/3の役一週間にわたって開催されている。昨年に来日公演を行った彼らだが、インスタレーションの開催は国内では初めてとなる。

今作「Frame Wave」は、彼らの作品テーマのひとつである、現実とバーチャル空間領域のクロッシングと循環を試みたもの。鑑賞者はVR内で入れ替わる4つのエリアを探索できる一方、鑑賞者の動きがトリガーとなって会場内のサウンドと照明に変化が生じる仕組みになっており、サイバネティックな視聴覚体験を生み出していく。

また壁と床に施されたサイケデリックな文様は、このVRシステムを作動させるフローチャートを図式化したもので、鑑賞者は構造と実装された空間が入れ子のように交わる様子をその身をもって確かめることができるだろう。

また今回の展示終了後、MSHRはDMBQの増子真二との国内ツアーが決定している。こちらも合わせてチェックしたい。

会期: 2019.10.25(土)~11.3(日)
入場: 無料
開場時間: 12:00 – 19:00 * 月曜日休廊
会 ¥場: CALM & PUNK GALLERY
東京都港区西麻布 1-15-15 浅井ビル 1F
http://calmandpunk.com/

alpha_rats / coeur_netによる展示、「Celestial Reactors」がCORNER PRINTING KGにて開催

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ベルリンを拠点に活動するヴィジュアルアーティスト、alpha_rats(アルファラット)、coeur_net(ケールネット)による展示が中野にあるCORNER PRINTING KGにて行われている。デベロッパーでもあるalpha_ratsは、ビデオゲームやデジタルメディアを扱う新しいアーティストの作品を集めたアンソロジー “Spektrum Crush zine” を運営する傍ら、ゲームエンジンを用いたアートや実験的なVR体験を生み出してきた。また、coeur_netはシンクタンクDigital Poetry Labを運営しながら、デジタル環境、および拡張されたデジタルアイデンティティの詩的な可能性を探求している。今回の展示も、現代におけるアイデンティティと自己最適化をコンセプトに、彼らが作り出してきたサイファイな世界観を構成したものとなる。

展示は、VRによる体験やポスターやジンなど多角的に彼らの世界観を展開した内容。現代社会に広がるネットワークの比喩でもある、蜘蛛が作り出すウェブや複雑に絡み合った蟻の巣といったモチーフが登場し、VR装置を用いて鑑賞者はそのサイファイな世界を、ハンドサインを用いながら進み鑑賞していく。抽象的で幻想的なその空間はいくつかのステージに分かれており、そのバーチャルギャラリーを移動するという体験そのものが物語性として立ち上がってくるようになっている。また、同じ世界をモチーフに描かれたグラフィックと詩からなるジンで、その世界観をより深く味わうことも可能だ。

また、彼らは「光」という要素を、エネルギー、情報、そしてパフォーマンスの比喩として使っているという。ときにカオティックでときにフューチャリスティックなそのヴィジュアルと比喩や詩、そしてテクノロジーを用いながら現代、あるいは未来に課題となる事象を取り扱う。彼らの作品はイメージと言葉を用いて現在と未来が接合する点を問い直す、それそのものが詩であるような試みといえるだろう。

2019.06.29 [sat] – 07.15 [mon]
13:00-20:00 Closed: wed
https://www.kg-cornerprinting.com/celestialreactors

ベルリンと東京を拠点に活動するミームレーベル、e6849bがハックするブランドという記号

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e6849bはベルリンと東京を拠点に活動するミームレーベル。そのネーミングである文字コードが象徴するように、私たちのファッションの文化が織りなしてきた文化的なコードを転換するような実践を行っている。

例えば、Amazon Fashion Week TOKYOのメイン会場となった渋谷ヒカリエ、表参道ヒルズ付近で、路上生活者をモデルに起用したゲリラショーを開催したり、広告を掲載しない真っ白な大型アドトラックを走らせたりと、それらはこの都市を覆う既成の文化を真っ向から挑発する実験的な内容である。

また、購入者自身のアイテムにリブランディングを施す往復配送サービス “Ark” を展開。公式サイトで購入手続きを済ませた後、送られてきたパッケージにTシャツ等のアイテムを入れて指定住所に郵送すると、ロゴやシンボルが黒塗りされ、タグが64桁のハッシュ値に貼り替えられたアイテムが返送される仕組みとなっている。

ロゴを黒塗りにするという洋服におけるブランド性をリコンストラクションする試みに加え、Instagramでは路面店のロゴや、町中の広告が消去された映像を投稿している。これらは、この都市を埋め尽くす企業やブランドが作り出してきた文化的な記号を、余白へと戻してやることで、そこにもともと存在していた領域を露わにする試みであると言えるだろう。彼らが「自らのアルゴリズムを取り戻す」と表現するように、その余白には想像力を刺激する豊かさが感じとれる。

http://e6849b.com
https://www.instagram.com/e6849b/

New Scenarioがビデオとサウンド、テキストが織り重なる重層的な作品“Cameron Nichole is Chloë Sevigny is Bruce Nauman”を公開。

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オンラインキュレーションにより作品を発表するプラットフォームNew Scenarioの新作は、ビデオとサウンド、テキストが重層的に織り重ねられたブラウザ上で鑑賞される作品。映像は、アメリカの現代美術家Bruce Naumanが1968年に制作したフィルム「Playing A Note on the Violin While I Walk Around the Studio」の再制作として作られたもので、そのオリジナルは、Bruce Naumanが倍音による「ビート」が生じるように一つの音階をゆっくりとシフトさせながら、スタジオ内を移動し続けるというパフォーマンスである。

再制作とはいえ、New Scenarioの映像は多くの点でオリジナルと異なっている。女性奏者はまず、モーションキャプチャー用と思わしきグリーンのドットを身につけており、スタジオではなく夕暮れの都市を背景に歩き回りながらバイオリンを演奏する。演奏されるバイオリンのサウンドも、エレクトロニックな響きを持つものに置き換えられている。このように、時代を隔てて作られた2つの作品の間には、様々な次元からのズレが入り込む。ふたつの作品の間にあるズレ、そして映像にも実際の楽器と音の間にある作品内におけるズレという、二重のズレがそこに忍び込んでいる。

そこにレイヤーのように重ねられるのが、映像から引き出された8つの物語である。サイトをスクロールダウンすることにより現れるテキストは、この再制作された映像をもとに、8人の著者が何の追加の情報もなしに執筆したもの。それぞれの執筆者は、互いに同じ映像が送られていることは知らされていなかったという。

しかしテキストを読むためには、鑑賞者は映像をテキストによって隠さなければならない。執筆者が各々独自の視点を編んだ、互いに響き合うテキストによって映像は覆われることになる。映像が隠されたとき、視覚的にはただウィンドウ内にデザインされた文字のみが現前している。背後に映像があることにより、そのテキストは浮遊してるように感じられる。その文字は、パフォーマンスを解説するキャプションとして映像の側に所属するのと同時に、またそれを表示するためのブラウザにも所属しているからである。こちら側でもあり、あちらの側でもあるそのテキストの背後で、ただ奇妙な響きを持つバイオリンのサウンドだけが奏者の存在を示すかのように、終わることのない演奏を続けている。

newscenario.net

「イン・ア・ゲームスケープ ヴィデオ・ゲームの風景,リアリティ,物語,自我」

ゲームの可能性を検証する、2人のキュレーターによる展示の試み

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土居伸彰と谷口暁彦の共同キュレーションによる展示、「イン・ア・ゲームスケープ ヴィデオ・ゲームの風景,リアリティ,物語,自我」が現在開催されている。ゲームに関する展覧会は過去にいくつか開催されているものの、アートの側からゲームの可能性を問う展示として、この規模のものは初となるのではないだろうか。さまざまな方向からゲームの可能性を実践する作品が世界各地で多く誕生している中で、ようやく日本でもまとまった作品を見ることができるという喜びは、とても大きい。

「イン・ア・ゲームスケープ」展の最大の特徴は、異なった視点を持つ2人のキュレーションであるという点だろう。2つのテーマが並走するという前例のない挑戦的な展示である。2人が持つ視点のズレや重なりは、そのまま今のこの領域の可能性をも代表している。表立って批判されているように、2人の視線は明確なだけに、異なる機会でそれぞれが企画すれば、より際立った形でそれぞれの可能性を伝える展示が成立したかもしれない。だが、それでは今回の展示が持つ奥行きは生まれなかっただろう。むしろ私はその差異の衝突と重なりにこそ、今回の展示において重要な点が存在しているように感じた。このテキストでは、駆け足にはなるがその点について確認しておきたい。

まず、土居伸彰によるキュレーションは、自身の専門であるアニメーションの領域から見たゲームの可能性の提示ということになるだろう。近年のインディゲームの興隆は、かつてのアートアニメーションの持っていたような、「個人的」な体験を普遍的な作品性へと拡張する回路を作り出す可能性を拓いた。特に、アニメーションからゲームという接続で、近年で鮮烈な印象を残したのは、David Oreillyの《Mountain》や《Everything》といった作品である。

David Oreillyのゲームにおいては、アニメーション作品からの断絶も特徴的である。彼が破壊的なナラティブで紡いできたポエジーは、ゲームにおいては世界の創造に立ち会っているかのような神秘の感覚に置き換わっている。その変化は、アニメーションが直線的な時間性を追体験するメディアであるのに対して、ゲームが多元的な空間や時間の特性を持っていることによって生み出されているように感じる。

一方で、谷口暁彦のキュレーションはメディアアートの側からのビデオゲームへの回答ともいえるものである。より具体的にいえば、環境としてのゲームを利用した作品群ということになろう。それは、ネットアートがネット上を表現の場としながら、単にそれを空間的に利用するだけでなく、あたかもインターネット自体を拡張するかのようにその可能性を伸ばしていった様子にも類似している。彼の視点が、ひとつの歴史を辿るような印象をあたえるのはそこにも理由があるかもしれない。

彼のキュレーションの中心をなすのは、イップ・ユック゠ユーの《プラスチック・ガーデン》や、ジョナタン・ヴィネルによる《マルタンは咆哮する》などからなる、ゲームからインタラクションを廃したマシニマ作品である。彼はマシニマという一見狭く思えるテーマを、時代を超えて展開することにより、クリアにその可能性の広がりを描き出している。特に、若い世代のマシニマ作品は、ゲームの中での個人的な体験が滲み出している、という点に特徴があるように思われる。ゲームが作り出す環境によって、私たちのゲームの中で過ごす時間は所与のものとなり、日常の一部となっていく。そしてそこで起こる出来事は、現実と同じような意味を持つようになり、記憶に刻みつけられていく。それとは対照的に、《Parallel I–IV》でHarun Farockiはゲームへのもっと無垢な視線を投げかける。そこにはゴダールのシネマのような、メディアが映し出す世界そのものに対しての存在論的な問いかけが存在している。

しかし2人のキュレーションが見せた、ゲームそのものの作品性へと向かうベクトル、そしてゲームを出発点とし、そこから別種の作品を生み出そうとする2つのベクトルの間には断絶も見られる。異なる文化風土から来たそれらはやはり交わってはいないが、その奥にはどちらも同時代的な視線から切り取られた個人的な風景が横たわっている。この地点こそ、異なる場所を出自とする土居伸彰と谷口暁彦のキュレーションが交差している場所といえるだろう。

そして、最後にもう一点付け加えておきたいのは、両者ともにゲームという領域の外側からアプローチされたものである、ということである。そこに導入されている外部性こそ、産業としてのゲームとは異なる可能性をこの領域に拓くのに必要な要素のように私には思われる。領域の枷から解き放たれることによってのみ、メディアそのものの可能性を探求し、開拓することができる。そしてその試みは、盤石なるわたしたちの生きる世界が構成する時間や空間の概念と自由に遊びながら、これからもそれらを更新していくだろう。

会期:2018年12月15日(土)—2019年3月10日(日)
会場:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] ギャラリーA
開館時間:午前11時—午後6時(入館は閉館の30分前まで)
http://www.ntticc.or.jp/ja/exhibitions/2018/in-a-gamescape/

Takuro Tamayama Solo Exhibition “Dirty Palace”

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素材は布、照明器具、真鍮、木材、アクリル、コンクリート、ポリエステル、モニター、ソファー、食品サンプル、モーター、映像などである。脈略のないその組み合わせによって作り出されるのは、色彩が醸し出すアンビンスに満ちた白昼夢のような空間そのもの。鮮やかなカーテンに仕切られたその空間では、幾段にも入れ子になった構成を見ることができる。部屋の中に置かれたモノたちはそれがもともと持っていた機能や意味を失い、飛躍した切断面の美しさを見せている。それらは擦り切れるまで消費されたイメージのように平準化されて常に抽象的なイメージへと昇華される。象徴的なのは、美しいフォルムの回転するモップである。その単調な動作が作り出す光景は、意味から無意味へという奇妙な転移の証拠である。機能を持たないその場所は、ある種非人間的なような冷たい感覚を放つ。モニターの向こう側のように、そこには私たちが存在していない。しかし所有という重みから切断され、自由となった記号は、彼の空間で解放された喜びに満ちているようにも思える。レコードジャケットのイメージのように虚無的で、存在を主張しない倦怠のような。あるはずのものがない、というよりは、それはないものが在るというような感じ。その空洞はまるで音楽のように心地よい。

2018.11.10 Sun ~ 11.27 Tue
CALM & PUNK GALLERY 東京都港区西麻布 1-15-15 浅井ビル 1F
http://calmandpunk.com/

Vaporwaveアーティストの来日公演 “NEO GAIA PHANTASY” equip, R32X, death’s dynamic shroud JAPAN Tour が開催

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MASSAGEでもずいぶんVaporwaveのアーティストを取り上げてきたような気がしますが、アンダーグラウンドなこのムーブメントもここにきてその果実が様々な形で現れてきた、という実感を持っています。リリースが多過ぎてついていくのが大変だったひところに比べたら、熱さが落ち着いてきた分、しっかりとしたリリースと出会えることも増えてきました。子供から大人へと進化を遂げた、今のVaporwaveの生態系の一部をなす更新されたプレイヤーたちの今後の活躍もとても楽しみにしています。

さて、今回は100%ELECTRONICA, Dream Catalogueなどのレーベルから、代表アーティスト3組が来日。この前代未聞の稀有なムーブメントが作り出した特殊な空気を体験する貴重な機会です。ぜひ目撃しに来てください。

全日程出演:
equip (100%ELECTRONICA)
R23X (Dream Catalogue
death’s dynamic shroud (Dream Catalogue, Orange Milk Records

11/2(fri) 岡崎ひかりのラウンジ
11/3(sat) 京都Cafe La Siesta
11/9(fri) 大阪pehu
11/10(sat) 神戸Otohatoba
11/14(wed) 東京・幡ヶ谷Forestlimit
11/16(fri) 東京・渋谷O-nest

2018/11/10(土)
NEO GAIA PHANTASY JAPAN TOUR at KOBE
神戸Otohatoba
OPEN// 18:30 START// 19:00
DOOR// ¥1500 +1Drink ¥500
w/ Tsudio Studio (Local Visions), pool$ide, UMrooms, Adiem Ouskyer Reyskuo

2018/11/14(水)
K/A/T/O MASSACRE
幡ヶ谷forestlimit
START// 19:00
DOOR// ask
w/ hakobune, Dirty Dirt, and more…

2018/11/16(金)
New Masterpiece
渋谷O-nest
OPEN// 17:30 START// 18:00
DOOR// ¥3,000.-(w/1D)
w/ さよひめぼう (Business Casual, PLUS100), DJ badboi,
kissmenerdygirl (ピンクネオン東京), 常盤響,
909state, 数の子ミュージックメイト, DJ消しゴムはんこ,
捨てアカウント VirtualDJSet (Local Visions), ΔKTR
VJ// 玉田伸太郎, fm

http://newmasterpiece.tumblr.com/post/179077349618/20181116
https://www.facebook.com/events/1879787208805223/
http://nnnnnnnnnnnnn.web.fc2.com/n/neogaiaphantasy.html

マティアス・ガルシア個展 “SOMBRE PRINTEMPS” 暗い春

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フランス・パリを拠点に活動するペインター、マティアス・ガルシアの個展が中野のKGギャラリーで開催されています。子供たちや悪魔、人魚などが描かれた暗く幻想的なムードの下には、諸星大二郎の漫画の世界に登場するようなおおらかで不思議な愛らしさと、Arcaの音楽にも通じるような、夢のような錯乱した喜びが流れています。そのキャンバスは、透けるほどの薄い顔料で塗られていて、艶めかしい質感を持つ輝きを放っていました。この世界の正常さに嫌気がさしているのでしたら、ぜひこの怪しく奇妙な事物たちが持つ美しさに触れてみてください。

@CORNER PRINTING KG
〒164-0001 東京都中野区中野3丁目 47-14
2018.10.19[金]-11.02[金] 12:00-20:00 *月曜日休廊

​https://www.kg-cornerprinting.com/matthias-garcia-soloshow

彼の世界観に触れることができるInstagramもおすすめです。

https://www.instagram.com/galilanguille/

すべてのVaporwaveファンに捧ぐクールな書籍「Memphis Megahertz and the Kansas City Fractal」

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Robness ロブネスより、すべてのVaporwaveのファンへ捧げられた日本語と英語のハイブリッド言語の書籍が届きました。機械翻訳によって生み出された愛すべき奇妙さに満ちた、詩のように涼しくて爽快な空気が詰まっています。それはインターネットの集合知が生み出した、無という資本主義の最高のプロダクツです。私たちの20年間の営みのように、ここには塵のような空虚が含まれています。その夢はまだ続いている。そう、私たちが目覚めた後でさえ。Amazonでも入手可能。amzn.to/2NB2Ddt

アーティースト集団DISが「SSENSE」本店にて、映像3部作「XOXO, Safety Net」を発表

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カナダに本拠地を置く高級オンラインセレクトショップ「SSENSE」が、NYのアーティースト集団 DISが手掛けた映像3部作を10月11日よりモントリオール本店にて上映するとのことです。

「XOXO, Safety Net」は2000年代半ばの金融危機が、ミレニアル世代のリアルな日常にもたらした政治的や経済的な影響を描いたコメンタリー映像作品。3つの短編フィルム、ティーザーキャンペーン、そして実店舗での展示があるとのこと。彼らはサイト上で教育と映像というテーマで活動すると予告していたので、そうしたテーマの作品になっているのかもしれません。

第2次世界大戦の直後、ウィンストン・チャーチル(Winston Churchill)は、『せっかくうまい具合に起きた危機を、利用しない手はない』と言ったとされています。今回制作された3部作は、2008年に起きたサブプライム住宅ローン危機とそれに端を発した金融危機による文化的、経済的、社会的な影響、そしてミレニアム世代が直面する不透明な経済の先行きについて考察しています。SSENSE が持つ若い顧客層と幅広いリーチを鑑みるに、私たちが歴史から学ぶべき今回の教訓を拡散するプラットフォームとして、SSENSEは理想的です

2010年に設立されたDISは、ニューヨークを拠点に、特定のサイトでの活動からオンライン全般まで、幅広いメディアやプラットフォームで活躍するクリエイティブ集団。最近では、2018年1月に立ち上げられた動画ストリーミング プラットフォーム DIS.ART で、教育の未来をエンターテインメントとして捉える作品を発表している。今回、SSENSE の依頼で制作された映像は、DIS.ARTによるリリースのシリーズ第2弾にあたる。

「XOXO, Safety Net」は、10月11日から25日まで、SSENSEモントリオール本店にて上映されるとのこと。

XOXO, Safety Net
10月11日 – 10月25日
オープニング | 10月11日 7-11 pm
SSENSE モントリオール本店
418 Rue Saint-Sulpice

https://www.ssense.com/ja-jp/locations/montreal

アートの魂はどこに宿るか。エキソニモとYCAM共同企画「メディアアートの輪廻転生」について

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MASSAGE / Text: Yusuke Shono

エキソニモとYCAM共同企画による「メディアアートの輪廻転生」を見に、山口に行ってきました。東京から新幹線に乗って6時間、山々に囲まれた平地をとにかく歩いてYCAMへ向かいました。

YCAMの入口に入ってすぐ目に留まる、芝生で作られた巨大な山形のオブジェが今回のメインの展示物。その内部に収められているのは、アーティストたちがすでに「死んだ」と考える自らの作品です。富士山のような形をした山は、メディアアートの亡骸を収めた古墳をイメージして作られているようです。

入り口の前面には、CDプレイヤーやMD、iPod、ICレコーダーなど懐かしさを感じるさまざまな音声メディアが並べられています。鑑賞者はそのメディアから一つを選び、解説を聞きながら作品を見て回ることができます。照明の落とされた内部の空間には、8つの作品が並べられており、アーティストによる解説によって、それらが死んだとされる理由が明らかにされていきます。

死の原因はそれはもうほんとうに様々。物にも生き物のような死がある、と見るならば、人間と同じようにメディアアートにも当然いろいろな形の死があります。それはメディアアートでなくても、そうなのです。芸術に永遠の命があるように思いがちだけれども、案外そうじゃなかったりする。さまざまな死因を眺めながら、メディアアート作品も自分たちの営みと近い存在なのだと思うと、ちょっとエモーショナルな気分に襲われました。

もちろんメディアアートを黎明期から支えてきたアーティストたちによる出展なのだから、その死はメディアアートそのものの生と死を描き出しているはずです。けれども、こうして過去に作られた作品を裏側から眺めるという行為は、作家の個人的な感情に近づく性質を持っているもののように感じられました。

展示の序文には、エキソニモによる印象的なエピソードが掲げられています。

NYのギャラリーでメディアアート作品を展示した時、ギャラリーのディレクターからこんなことを聞かれた。「もし作品が売れた後、壊れたらどうする?」「壊れたら直しますよ」即答すると彼は笑ってこう返してきた「いや、君たちがいなくなった後の話だよ」

このやりとりを機に、彼らは「アートの寿命」についてもっと真剣に考えるようになったといいます。メディア環境の変化が激しくなった今、メディアアートに関心を持ってきた人々の間でそのような問題点が多く取り沙汰されるようになってきた、ということなのかもしれません。その問いを言い換えるとすれば、次のようなものになると思います。

「アートに魂があるとしたら、それはどこにあるのか」

アートが死を迎えることは、かならずしもその形を失うということを意味するのではありません。「形」が作品の肉体だとしたら、その死は、アートの魂が消滅することなのです。そう考えると、その答えにはさまざまなヴァリエーションがあるはずです。それどころか、作り手の数だけ異なる考えがあるほうが自然でしょう。そう思うと、今回の展示の本体は、実は、アーティストたちへのインタビュー、そして周囲に飾られた無数の声であるというように思えてきました。

インタビュー映像の中で、藤幡正樹はメディアアーティストにおいては、作品と観客の間にある体験が重要であると述べています。また、森脇裕之は反芸術という前衛芸術の意思を受け継ぐメディアアートが、美術館のなかで生き延びること自体に葛藤を感じると言っていました。また衝撃的だったのは今は絵本作家に転身している岩井俊雄が、自分たちは当時デジタルの永遠性に酔っていて、単に企業の作り出したキャッチフレーズに騙されていたのではないか、と発言していたことでした。

いまやアーティストではなく企業体が大規模な作品を展開し、会場に列をなすほどメディアアートは人々の間に身近な存在になっています。けれどそんな現代において、メディアアートの第一人者たちがその死や寿命について語ってる。それが指し示す意味に実際、重い心持ちになったのも事実です。作品と同じようにジャンルにも寿命があります。むしろその寿命は作品の命より短い。ジャンルは明確に社会的な役割を担わされているからです。そんなメディアアートにある現在の意識を、顕在化させたのがエキソニモによるこの展示でした。またこの展示そのものが、象徴的にではありますが、メディアアートというジャンルの死を宣告してもいる。そう感じる展示であり、またこの展示そのものがそうしたメッセージを孕んだ作品である、と感じました。

メディアアートの輪廻転生
https://www.ycam.jp/events/2018/reincarnation-of-media-art/
開催日時:2018年7月21日(土)〜10月28日(日)10:00〜18:00

サイケデリックな虹色の世界を描く漫画家Jesse Jacobsの、キュートでスピリチュアルなゲーム「Spinch」。

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Jesse Jacobsはカナダのハミルトン在住の漫画家で、精神世界への傾倒を思わせるようなサイケデリックな独特の物語を描いてきました。「Spinch」はその彼の世界観を、オーソドックスな横スクロールの8ビット風のゲームに移植したゲームです。

「Spinch」は、あなたの自身の真の形態。プレイヤーはその超高速生物となり、物質領域を超越して、Jesse Jacobsの描く虹色の、ファンタスティックなサイケデリアあふれる世界に入っていきます。ゲームの目的は無限に生まれる奇妙で不思議な形の敵を避けながら、失われた子供のかけらを救出するというもの。なんといってもこのゲームの魅力は、彼の作り出した独自の動きをする多彩なキャラクターと、それらが織りなす世界観だと思います。

まだ発売前でそのゲーム性は映像から推し量るしかありませんが、リリースは今年2018年の夏とのこと。早く体験してみたいですね。

https://store.steampowered.com/app/794240/Spinch/

真っ黒なオーブに封入されたSDカード。LDX / ROEの歪なテクノ

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ガンツ玉みたいな真っ黒なオーブに、SDカードが封入された限定品。謎めいたそのパッケージに封入された音楽性は、ヤスリで削られたような歪なテクノ。ノイジーなテクスチャーに、暗く重く歪んだリズムがさまざまなパターンを描く。粒子の霧の中でただ催眠的な気持ちよさに包まれていたい。エクスクルーシブな映像と、483のサンプル付き。

http://alwayshumantapes.com/album/ldx-roe-aht101
http://ldxroe.com

一人称型のパズルゲーム「Desolus」で体験する、引き裂かれた次元の旅。

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「Desolus」は異なる次元に引き裂かれたシュールレアリスムのような世界を探検する、一人称型のパズルゲーム。完全なジオメトリとシンメトリーをテーマに、天文学、シュルレアリスム、数学の芸術にインスピレーションを受けたという息を呑むような美しい世界観が広がっています。

開発したのは、プログラマーのMark Mayers。2014年の大学時代から「Desolus」の開発をスタートし、現在はMITで人工知能の研究をしているそう。

ゲームの内容は、謎の災害で破壊された現実を探検しながら、ミニブラックホールでエネルギーを操作して、スペースを曲げ、時間を逆転させ、次元間を移動していくというもの。解説だけ読んでいると、一人称型のパズルゲームの名作「Portal」を思い起こさせます。その壮大で神秘的なコンピューターグラフィックスといい、「Portal」のような、まさにゲームでしかできない形式の表現が詰まった作品の予感がします。

現在の開発はアルファ段階にあり、リリースの予定は本年で、PCあるいは、Oculus Rift、HTC VineといったVR装置で体験可能とのこと。ほんとに今年中にできあがるのかはわかりませんが、ぜひともはやく「Desolus」の美しい世界をじっくりと味わいたいです。

日本の豊穣な地下シーンを50組のアーティストと楽曲で振り返る。50 Japanese track maker / musician 2017。#1-25

MASSAGE /
MASSAGE / S=Yusuke Shono, T=Kazunori Toganoki, N=Shigeru Nakamura

2017年はみなさんにとってどんな年でしたか? ふつふつと沸騰する日本の地下音楽シーンは、その土台を着実に固め、今年も数多くの素晴らしい作品を生み出しました。特に印象的だったのは、オンラインを経由したアンダーグラウンドの拡張を実際に体験する機会が多くあったこと。Infraフェスティバルの新世代クラブや、日本のアーティストと縁の深い〈angoisse〉のショーケース、そして150回目を迎えたK/A/T/O MASSACREなど、このシーンにいる多くの人々の情熱が結晶化したイベントを多く体験できた年でもありました。

またフィジカルリリースも多かった印象があります。日本からは、〈CNDMM〉の限定7インチシングルのコンセプトを感じるリリースの手法が印象に残りました。またミックスをアーカイブするプロジェクトGrey Matter Archivesや、Dirty Dirtさんと舘脇悠介さんのマンスリートークイベント”Buy Nowers Club”など、ゆっくりとだけど、さまざまな方向であたらしい何かが始まりをみせています。

ぼくらといえばやはり紙の雑誌を出すことができず、あまり沢山の人々を紹介できなかったことを悔んでいます。その代わりといってなんですが、この年の最後に今年よかったリリースのリストを作りました。ぼんやりとですが、そのうちMASSAGEでもなにか音源をリリースしてみたいとも思っています。

それでは今年の50です。順位が付けられないので、アルファベット順に並べてみました。

Ak. – uuuurrrraaaauuuunnnnyyyy

Snow Contemporaryでおこなわれたuraunyの展覧会の一部として構成された、ハードでダーティな6曲。uraunyと彼が集めたアーティストたちによって作られたこの展示は、普段意識に上らない禁忌を作品を介して体験するものだった。わたしたちはネットを介して、人々の欲望に毎日素手で触れている。集合的な欲望の痕跡は、加工された画像、文字、音のなかに見つけられる。切り刻まれ、捻じ曲げられたその残骸は、私たちの欲望が通過した軌跡であり、同時に自分自身が存在した証明なのだ。(S)

Aki Tsuyuko – Empty talk

もともとは2016年にリリースされていた自主制作CDが、LPとなって今年再び発売。生ピアノとキーボードから溢れでる音群たちは、偶然に交差しては互いを照らし合わせ、曇りは白に変わり、やがて透明となって消滅する、かのようにみえるが、じつはそこにいる。「ある」と「ない」の余白にじっと耳をすませば、かすかな息吹や震えにも似た、気配を感じることができるはずだ。イラストレーター松井一平氏によるジャケットからも、アルバムに潜む気配が共通して漂っており素晴らしい。(T)

Alma – イノセント・スキン

「救済」というより、「変容」のような感覚。その瞬間を目の当たりにできるライブはスペシャルだし、彼女の作品を買う行為にもやっぱり特別な意味が存在している。受注生産で作られるという「イノセント・スキン」は、カードを付属のHOLY WATERで浸すと浮かび上がったコードでデータのロックを解除できるというもの。USBには、作品のバックグラウンドになったストーリーが入っている。(S)

Asuna – Mille Drops

金沢在住、国内/外で活躍するサウンド・アーティストASUNAの、3曲入りの新作。フランスを拠点に活動するレーベルRECITから発表されたこの作品は「水や雨、水滴や波紋」をテーマとしながら、彼の作曲に一貫してみられる音の「発生」と「持続」を、より広義の意味と手法で捉え直したものといえる。アルバムタイトル曲である『Mille Drops』の、細かく砕かれた、断続的な音の粒子が集合体となって、大きなうねりを伴った波形を生み出す様子は、一滴の雫が結合して水溜を作るかの如く、滑らかで流動的な運動を描き出す。発生と減衰という音の自然的な現象が幾多にも重ね合いながら、全てはひとつのまとまりへと収斂していく。(T)

bonnounomukuro – HerbLessDUB

神戸を拠点に活動するbonnounomukuroのライブセットを〈New Masterpiece〉が音源化したもの。この世界のどこかに人知れず存在する音楽。偏在するその密やかな痕跡を耳をそばだてるようにしてわたしたちは聴く。繊細なテクスチャーにはさまざまな国を旅するような感覚があって、世界の裏側を覗いているような気持ちになる。(S)

ブギーアイドル – 音楽より遠く

過去に遡って、きらびやかで美しい日常にそっと触れる。クリアな音質、スムーズで心地よいムード、全てのディテールで破綻がない。楽天的で希望に溢れた資本主義の価値観も、今は夢と消えた。そんな幻となった希望や憧れ、都市のきらめきがくっきりとした輪郭で立ち上がる完璧なフューチャーファンク。(S)

Cemetery – Vessels

CONDOMINIMUMの主催者でもあるKota WatanabeのソロプロジェクトCemeteryの作品。柔らかくきらびやかな表情を持つメロディが、ゆっくりと揺れ動く光景を描き出すA面。そしてB面には、希望を描くように飛翔感のある旋律に心地よいドラムパートがフィーチャーされ、聴くものを幻想的な霧がかったサウンドの世界に引きずり込む。アンビエントをポップな感覚で昇華した、まさに今の感覚を持った作品。(S)

CRZKNY – MERIDIAN

広島の鬼才CRZKNYによる3枚目の3枚組アルバム。まるで大地を通して鳴っているような、重低音。再生する環境そのものが問われているような、極限に振り切れたその音はちょっと聴いたことがないバランス。遅れてやってくるようなテクノライクな質感のリズムは、その響きでありとあらゆるものを振動させる。(S)

CVN – XXXII

Nobuyuki SakumaことCVNによる2020年の東京オリンピックにインスパイアされたという作品。金属的な電子音響が、切り刻まれて破片となり、さまざまな質感を持つ抽象的な形を作り出す。音楽と音との間をチューニングされながら行き来するように、作り出された音の連なりが、ときに凶暴に、ときに優しく、不定形で歪な電気的グルーブを作り出していく。東京から拠点を移したCVNは、さまざまなアーティストのミックスをリリースするGrey Matter Archives も開始。独特のグラフィックにも素晴らしいセンスを発揮している。(S)

dagshenma – EDIROL

むき出しになったデジタルなテクスチャーの感触が嵐のように吹き荒れる。即興的につくられるエレクトロニックな彫刻みたいに、それはいまだ聴いたことのない新しい音の姿を次々と表出させる。これは可能性としての音楽なのかもしれない。抽象絵画のように、その孤立した存在感を楽しみたい。(S)

dok-s project – Daily Sound Collection

Orange Milk〉から日本人の作品が出るたび、自分の知らない音楽家がまだまだ日本にいるのだと驚かされるのだけど、dok-s projectもそんな感じで知ったうちの一人。このテープが届いたのが、東京在住最後の日だったとツイートしてたから、今はきっと東京ではないどこかで活動をしているのかもしれない。複雑な構造とリズムをまとってはいるけれど、どこかアナログ的な柔らかさも兼ね備えている。手を伸ばしたら届きそうなスケール感の幸福に、ほんの少しの切なさを漂わせた傑作。もっともっとたくさんの作品を聴いてみたいアーティスト。(S)

emamouse – Build a parallax

ゲームのBGMのような疾走感のあるインストルメンタルと、おなじみの不思議な歌詞とボーカルで構成されたアルバム。続々と打ち出されるシンセが作り出す独特のメロディには、過去でも未来でもあるようなどこか懐かしい感覚が宿る。皮膚という設定のマスクを被って行うパフォーマンス含めて、その背後でシュールで強固な世界観を作り出している。漫画のリリースや映像の発表なども、精力的に行っている。(S)

Enitokwa – o.n.s.a.

京都の老舗茶門屋「宇治香園」共同でのリリースとなる今作品は、茶園で録音されたフィールドレコーディング音や、実際に茶が器に注がれるまでの具体音といった生の音に、電子音やピアノが精密に配置されミックスされた、ドキュメンタリー手法がとられている。しかしそこには「記録」としての一面だけではなく、日常的時間と音楽的時間が互いを含有し、同調しあって、また別のひとつの姿が顕れている。「生活」という現実の次元、「音楽」という想像の次元、それぞれの境界が融和した、稀有な一枚。(T)

Former_Airline – The Discreet Charm of the Ghostmodern World

Former_Airlineの7番目のアルバム。冷たく研ぎ澄まされたミニマルなトラックと、幽玄的なノイズの配合が、不思議なハーモニーを奏でる。バリエーション豊かな音色が、独特のストイックさでゆっくりと重ねられていき、独特のダビーな音像を作り出していく。抽象的だけど、どこかユーモラスな構えもあって、とてもバランスがよい。レコードで聴いてみたい。(S)

日本の豊穣な地下シーンを50組のアーティストと楽曲で振り返る。50 Japanese track maker / musician 2017。#26-50

日本の豊穣な地下シーンを50組のアーティストと楽曲で振り返る。50 Japanese track maker / musician 2017。#26-50

MASSAGE /
MASSAGE / S=Yusuke Shono, T=Kazunori Toganoki, N=Shigeru Nakamura

GOODMOODGOKU & 荒井優作 – 色

goodmood gokuと荒井優作による耽美的かつ冷めたプロダクションが描く世界では、たとえば24時間という1日の単位は引き伸ばされ、「俺とステキな女の子たち」とのエピソードやある種の夢がつながっていく。ここで鳴っているのは現在進行形のヒップホップ・R&Bだが、それがラップとともに総体として心象風景を描いたり時間旅行へ誘うような詩でもある。ぶっ飛ばしてくれるものは大抵、スイートであり抵抗なぞする余地もない。(N)

H.TAKAHASHI – Raum

〈Where To Now?〉からリリースされたフルレングスLP。iPhoneを用いたという作曲方法は、ギミックではなく、場所の制約なく音楽制作をするため編み出された方法だそう。アンビエントというキーワードがますます注目されるようになった本年だが、高橋は吉村弘から芦川聡などの日本のミニマリストの作品から、エリック・サティにジョン・ケージ、ブライアン・イーノ、レデリウスなど、アンビエント・ミュージックの歴史をの流れを再び遡り、現代的な解釈によりあたらしいサウンドを作り出した。電子的パルスの響きが幻想的な模様を波紋のように放出し、聴くものの身体をやわらかな音の絨毯で包み込む。空間的なその感性は、建築家という職業に由来しているのだろうか。稀有な美しさを持った作品。(S)

長谷川白紙 – アイフォーン・シックス・プラス

〈Maltine Records〉より、iPhoneに関する叙事詩をテーマに描いたという長谷川白紙「アイフォーン・シックス・プラス」。高速で打ち出されるジャズのリズムが、複雑な和音と歌声に絡み合う。躁的なハイパーさのある楽曲にも、全体としてはどこか柔らかく、軽くポップな印象。歌詞があまり聴き取れないのだけど、奇妙な詩情ただよう歌がとてもよい。ジャケットはアーティストの山形一生が手掛けた。(S)

Iku Sakan – Prism In Us All

大阪出身、現在はベルリン在住の、アーティスト/DJであるIku Sakanの初のLP。同じく今年マンチェスターの「Natural Sciences」からリリースされたカセット作品『Human Wave Music』にも通ずるが、まさにタイトル通り、光がプリズムを通して、屈折し反射しあうかのように、反響音の強いパーカッションときらびやかな音たちが飛んでは跳ね返り、リズミカルに多面体を描き出す。抑制の効いた音作りでありながら、角度を変えれば無限に色彩を変化させるかのように、聴く度に新しい発見と、移ろいの美観をあたえてくれる。(T)

Jobanshi – Koko

〈Bedlam Tapes〉よりリリースされた本作は、エレクトロニックな音響のなかに自然音が融合されたアンビエント・アルバム。揺らめきのような繊細な響きが、聴くものを淡く和やかな幸福感で包み込む。子供時代に見た風景を表現したという、どこかファンタスティックな感じのする音響など全体を通して、とても和やかで優しい。本作の予告ビデオのナレーションは、本サイトで連載を持つ捨てアカ氏が担当したとのこと。(S)

Jun Kamoda – The Distorted Haunted Ballroom EP

イルリメや(((さらうんど)))のメンバーとして知られる鴨田潤の、ラップ同様にトラックメイカーとしての才気のほとばしりが感じられる作品。不規則に連打されるトランペットと打楽器がうねるように複雑なリズムを作り出し、聴くものをレイブ的な熱狂へと引きずり込む「Body&Soul」、短く刻まれたシンプルな反復ビートがゲットーな楽しさを放出する「(((BYE)))」、エコーの掛かったボーカルサンプルがジャングルのような幻想的な色彩を描く「Dopey Forests」と、バラエティに富んだ3曲が収録されたEP。(S)

角銅真実 – 時間の上に夢が飛んでいる

様々な場所への楽曲提供・演奏を行い、バンドceroのサポートメンバーとしても活躍する、打楽器奏者/作曲家である角銅真実初のソロアルバム。各パート間の絶妙なバランスもだが、自由自在に伸びては縮み、あちらこちらへと飛んでいくかのような楽曲の軽妙さと、彼女の歌声がとても楽しい。その身軽さは、形自体は明瞭でありつつ、夢と現を行き来するかのように不安定で止まりをもたず、聞こえてくる全ての音が本当でも嘘でも、どちらでも信じてしまえるような気持ちになる。形容が難しいのですが、こちらのインタビューを是非読んでみてください。(T)

Kazumichi Komatsu – Aggressively Unedited

京都をベースに活動するアーティスト・音楽家MadeggことKazumichi Komatsuの〈angoisse〉からのリリース。こちらは笹塚ボウルにて行われた”Bower Room R1″でAbleton LivとPure Dataを用いて行われた24分のライブ音源。絞り出されるように積み重ねられていく音の雲に、高音域のフラグメントが積み重なねられ、柔らかく抽象的な形を描く。目的もなく、感情もない、知らない国の映像を眺めているような、実在の希薄さ。曖昧で形をとらない思念のように、それらは現れては消えていく。(S)

koeosaeme – Sonorant

koeosaemeはRyu Yoshizawaが2014年にスタートしたプロジェクト。高橋幸宏率いるサウンドクリエーター集団、OFFICE INTENZIOに所属していたり、キャリアのあるアーティスト。〈Orange Milk〉よりリリースされた本作の内容は、音の粒子が自由自在に飛び回る華やかな電子音楽。切り刻まれた電子音、歪んだボーカル、メロディやリズムが渾然一体となった複雑性の中に、カオティックな美がときおり顔を覗かせる。独特のグルーブ感が特徴で、静と動のような激しい陰影のある作品。(S)

Laxenanchaos – Mental Akses

覆面ブレイクコアアーティストのLaxenanchaosの初のカセットテープによるソロ・リリース。微分法的に刻まれていくビートが、シンプルな音色と次第に交錯し、波のうねりのようなゆらぎを作り出していく。打ち鳴らされる高速ドラムは全体を通して抑えた調子で、どちらかというとその電子的な残響のほうが耳に残る。強靭なビートの奥に、儚さも感じさせる作品。(S)

Le Makeup – Hyper Earthy

レッドブル主催の音楽フェスティバル「AT THE CORNER」にも出演を果たしたLe Makeupの新作。特徴である歪んだ電子音に、アコースティックな味わい。織りなされるさまざまな音の表情は、楽曲全体として柔らかな印象を形作っている。繊細ともいえるタッチには、どこかエモーショナルで個人的な感触がある。写真のように瞬間の気分を書きた止めたスケッチのような楽曲。定式化されたダンスミュージックの退屈を吹き飛ばすのは、こういう個人的な視線なのかもしれない。(S)

LSTNGT – Holy Machine

巨大なビル群の合間を、光の軌跡が高速で過ぎ去っていく。SF小説の表紙に描かれているような未来都市のビジョンにピッタリのサウンドトラック。トランシーでエモーショナルなそのサウンドから立ち上がるニュアンスはとてもはっきりしているのに、イマジネーションを喚起する余白もある。蛍光管を用いたライブもめちゃくちゃかっこよい。(S)

Masahiro takahashi – でんでん虫の殻の中の音楽

アーティストのユニス・ルックの展示『Music of inside the snail’s shel でんでん虫の殻の中』に合わせて制作された音源が、カセットとなってリリース。アコースティックと電子音、環境音が交わりながら、適度な湿度と空気を含んだ、ゆったりとした味わい。想像上の生態系の中で、有象無象の生物や植物たちが、各々のざわめきと共に協演しているかようでもあり、聞き手によって異なるイマジネーションとスケープが膨らむであろう、有機的なアンビエント・ミュージック。(T)

メトロノリ – 湖に行って!

一曲だけのシングルだけど、これといった派手な出来事はなにも起こらない。だけど、しびれのような、かすかな存在の感覚だけが残る。なにかがただ「ある」というような佇まいのある不思議な一曲。Simに手紙付きで掲載された須藤なつ美監督の映像も素晴らしかった。(S)

NHK – Exit Entrance

NHK yx KoyxenはKohei Matsunagaのソロプロジェクトで、90年代よりMille Plateaux やPANなどの名門レーベルから作品をリリースするなど、20年のキャリアを持つ人物。本作は、NYの名門〈DFA〉よりリリースされた。美しく仕上げられた音像を持つそのサウンドは、実験的で歪つなミニマルテクノ。そのタイトルや本人同様に、どこか匿名性も感じさせる。持ったアルバムの制作中に急逝した友人・コラボレーターのMika Vainioに捧げられた楽曲も収録されている。(S)

Old Man Archives 『The Remnants of love』『Across the river』

『OLD MAN ARCHIVES』は日常で目にする老人たちの語りをその場で録音し、本人の年齢の数だけ限定でリリースする、という少し変わったアーカイブ・プロジェクト。これまでに5本の作品が発表されているこのシリーズ、美しいパッケージも魅力的だが、カセットというフォーマットの脆弱性や不可逆性に呼応しながら、独白から浮かび上がる匿名の記憶は、当人でしか体験しえなかった境遇や出来事、そこに生じる感情や想いが入り混じった澱のようなもので、それは「かけがえのない」と同時に、誰しもが時間の経過と共に持ちうるという、自然に「ありふれた」存在でもある。それに耳を澄まし、想いを馳せるということは、個人を超えてうまれる、集合的な記憶に対峙するかのような感覚もあり、郷愁ではなく、どこか宙づりにされてしまったかのような、そんな不思議な気持ちにもなる。(T)

http://oldmanarchives.xyz/

パソコン音楽クラブ – SHE IS A

(僕のような)90年台のカルチャーを謳歌した者にとって80年代の文化には、軽薄で浅はかといった悪いイメージが伴っている。そうした「ダサいもの」とされていたものをあえて取り上げて解釈し直していくことも意味のある手法だと思うけれど、今のVaporwaveシーンには、もっとピュアな姿勢を感じる。Vaporwaveのメタ的な視線のほかに、より強く感じるのは、夢の中にずっとい続けたいというモラトリアム的な姿勢のほう。これだけ世界が病んできているのだから、わたしたちはポストモダンの生理的な欲求に従って、デジタルなプラスチックの幻想を量産し続け、消費し続けるほかはない。その先にはきっと、誰も全く見たことのない光景が広がっている。(S)

Phew – Light Sleep

70年代後半からのキャリアを持つアヴァンギャルド・シンガー、電子音楽家、Phewのライブ会場限定で発売していたCDRから編集された6曲入りのLP。彼女の特徴的な声による朗読の下で、重厚かつヌケの良いエクスペリメンタルな電子音が炸裂する。実験音楽の持つスリリングな前衛性と、今のシーンにも繋がる現代的な感性の両方を併せ持った怪作。(S)

Rhucle – Wonderland

環境音のサンプルに、ゆったりと響きわたるシンセサウンドの組み合わせが耳にひんやりとした質感を残す。どこか非現実的なそのゆらめきに身を委ねているうちに、眠っていた意識がゆっくりと覚醒していく。今年はマンスリーで作品をリリースするなど、一年を通して多くの作品をリリースした。(S)

Ryushi – Soul

SEAGRAVE〉よりリリースされた、関西で活動する3人組Ryushiのアルバム。タイトルの「Soul」は、土地から立ち上がってくる魂のイメージがリズムと融合したらどうなるのか?という制作中の考えから付けられたもの。スモーキーな電子音響に、街角の片隅から綴られた詩情が重ねられていくポエトリーリーディング。JjakubとIce_Eyesによる狂気のリミックスも収録。(S)

Saskiatokyo – FANTASIA

saskiatokyoの初となるEP。物憂げな声質のボーカルの下で、デジタルな空気感を持った音のテクスチャーが絡み合い、複雑なモザイク模様を織りなす。歌詞はよく聴き取れないのだけど、素晴らしいと思いながらも夢のように実体のない、とある場所について語っているそう。予定調和に収束しない不協和音のような独特の響きが耳に残る作品。(S)

SAYOHIMEBOU – The Gift from Neon Planet

トレードマークは、ネオンカラーのおかっぱ頭のアンドロイドのようなキャラクター。きらびやかでラグジュアリーな音色とファンタジー感のある和やかな旋律が、フォトショップで加工されたきらびやかな都市的光景を描く。遠くで鳴ってるような響きを持つボーカルは、どこか遠い未来のスペースオペラのよう。複雑なカットアップ・コラージュ、ポップかつクリアな音色を持つ自由に飛び回る電子音はまさに今の音という感じで、Vaporwaveの作法に沿ってはいるけれど、確実にそれを更新しているような感覚がある。(S)

seaketa – My Sumaho

タイトルは「My Sumaho」。ザッピングしていくようなコラージュ感覚の詰まった、エレクトロニックな実験音楽。「いるか息」や「tiny翻訳」といった人を食ったタイトルのように、音もどうにもとらえどころがない。全体にわたってぬめりとした不思議な印象を作り出している。(S)

$ega & The Rainbow Streets – 想いで100景

Noumenal Loom〉からリリースされた$egaの作品は、DJWWWW名義のスタイルから距離を起き、豪華なバンド的なサウンドへと舵を切った内容。ハウスミュージックの牧歌的な部分を抽出したような多幸感と、見知らぬ国を旅するロードムービーのような切なさがある。ただただ過ぎ去っていく風景を見て懐かしさと悲しさを覚える理由。どこかにおいてきた遠い記憶のような美しさには虚構的な要素があって、ハリボテのような美しさは、たぶんハリボテだからこそ美しいのだ。(S)

Suburban Musïk – The Gold Ink’

CONDOMINIMUMが設立したレーベル〈CNDMM〉からの限定7インチの第3弾は、EVIAN VOLVIKによるユニットSuburban Musïkの初EP。低音の方向へと歪み切った、荒れたテクスチャ―、ビリビリと重く深く響くビート。野生的で凶暴な底に暗い美しさがある。ラストの吠えるように歌うゴシックなボーカルの曲も良い。(S)

SUGAI KEN – UkabazUmorezU (不浮不埋)

インターネットが世界のリスナーたちの距離を狭め、私たちは物理的距離や時間から自由になった気分になることがある。しかし、我々全員が個々の人生においてどこで生きてきたか、その中で五感が感じ取ってきたものはあらゆる表現につきまとう。日本の伝統的な…という冠とともにレビューされる本作であるが、「浮かばず埋もれず」に多くの日本で生きてきた人間が懐かしくもつきまとうような感覚を思い出させる環境を創り出す作品である。美しく、まるで幽霊のように。(N)

Swan Meat & Yoshitaka Hikawa – KNIFE SPLITS ICE

日本のYoshitaka Hikawaと、シカゴ在住のサウンドデザイナーで詩人のReba FayによるプロジェクトSwan Meatが1年に渡るオンライン上のコラボレーションにより作り上げた作品。切り刻まれて破片となった音素がデジタル的なテクスチャーとなり、鋭利で抽象的な世界像を作り上げている。Fayのポエトリーはどこか冷たくて、あまり人間的な感じがしない。まるでマシーンが作り出したポエジーのようだ。インスピレーションとなったというFayの病院での体験がどのようなものかはわかないが、神話的といってもよいほどの冷たさと、非人間的なイメージは、そこに由来しているのだろうか。(S)

toiretstatus – Nyoi Plunger

ディズニー・アニメの誇張された動きのように、想像力が生み出すものすごいグルーブ感。彼の音楽に出会ったときはびっくりしたけど、本作はよりそのスタイルを進化させていて、ポップさも増している。伸びたり縮んだりする時間のような感覚は、音楽が時間芸術だということを思い出させてくれた。どうなってるのか全くわからないけれど、耳の奥ををかき回す心地のよい混乱がある。最高に奇妙ですばらしい電子音楽。(S)

Tomoko Sauvage – Musique Hydromantique

パリ在住のサウンド・アーティストであるTomoko Sauvageによる、名門Shelter Pressからリリースされた今回のアルバムは、元製紙工場で録音されたというバックグラウンドも相まって、その特殊な空間と彼女の身体が深く共振した、音響作品。水のフォルムを手の動きによって形成し、音の彫刻を作りこむイメージ、と述べていたが、聞き手である私たち自身も、これらの音に、文字通り「触れて」いるかのような感覚がある。水や空間といった媒介物を通して、私たちの聴覚器官が文字通り「触覚」として音を受容するということは、根源的な知覚であるがゆえに、普段の意識には昇らない。その始まりに遡ってみれば、より自由で広がりをもった、音と音楽との接点があるかもしれない。(T)

豊平区民TOYOHIRAKUMIN – リフレクション

札幌市在住の日本では数少ないVaporwaveアーティストのひとり豊平区民TOYOHIRAKUMIの、2016年の〈New Masterpiece〉からのリイシュー「メモリーレーン」を20のリミックにより再構成した作品。リミックス陣には猫シCorp.、VAPERROR、CVLTVRE、t e l e p a t hなどそうそうたるメンツが並ぶ。切なく消えてしまいそうな夢の物語。記憶を反芻するように、熟成した芳醇な湿気のなかに曖昧なイメージが表れては消えていく。(S)

Ultrafog / m do – Split

Ultrafogと、USカンザス在住のRYAN LOECKERによるプロジェクトm doの〈angoisse〉からリリースされたスプリット・カセット。硬質で重い音の雲を漂うようなUltrafogのA面に、ミニマルな音響がゆったりと波のようなパターンを描き出すm doのB面。アンビエント/ドローンといったカテゴリーを超えて、オンラインで繋がりあって拡張していく実験音楽のシーンの確実な成果物。ただただ豊かな音の質感に抱かれながら飛翔する極上の体験を楽しみたい。(S)

woopheadclrms – Kamechiyo

Wasabi Tapes〉より愛知県を拠点に活動するトラックメイカーwoopheadclrmsの作品。ものすごい速さで流れ去るオンライン上のコンテンツのエッセンスだけ抽出し、濃い部分だけ音に置き換えたような、個性的で色とりどりの音たち。コラージュ的な手法でつくられたそのサウンドは、まるで生きているように自由奔放。斬新だけどどこかユーモラスな感覚もある。YouTubeにあがっている作品群もすばらしいものばかり。(S)

Yoshimi – apanese Ghosts II

YOSHIMIは菱田吉美という名義で映画のサウンドトラックやCM音楽を手がけるなど、作曲家として長いキャリアを持つ人物。本作は怨霊、翁、生霊、鬼、妖怪、物の怪、来訪神、良きも悪きもが現実と非現実の境を超えて都市空間に流出してくるさまを描いた作品とのことで、物語性を感じるシネマティックな音像はまさに〈PYRAMIDS〉の音という感じ。そのハードさや暗さも含めてイギリスのレーベルと日本的感覚の親和性の高さが証明された作品といえるかもしれない。和楽器とエレクトロニックな音響がノイジーなテクスチャーの中で溶け合っていて、その独特の間や湿り気は、やはりこの日本の風土から生み出された感覚だと思う。新しさと古さを乗り越え、独特の佇まいを獲得した作品。(S)

Yullippe – Selfish&Anchor

大阪を拠点とするプロデューサーYullippeの最新作は、鋭利かつ重厚なインダストリアルテクノ。電子的な質感をまとった本作は、ボーカルを押さえてより硬質なサウンドに変化を遂げた。工業的なカッコよさと雄大な自然のようなアンビエンスが融合されて、エレクトロニクスの歪みのなかでそれが陰影を作り出している。美しさの中にも現代的な感触を感じさせる作品。(S)

夕方の犬 – Paint Room

夕方の犬による「Paint Room」はピアノとバイオリンによる6曲入りのEP。クラシカルな楽曲がうっとりとするような張り詰めたアンビエンスと、叙情性を紡いでいく。シンプルな音の美しさとその響きに耳をやると、意識がどこか遠くへ行ってしまいそうになる。その静かな世界は孤立していて、止ってしまった時間のような切なさがある。(S)

YXIMALLOO – THE BEST OF YXIMALLOO 1

ドイツのレーベル〈Konpakt〉が、当時、制作者不明の音源を探すために「WANTED(指名手配)」と名付けてリリースしたという逸話もある、イシマルーこと石丸尚文。80年代の録音を中心に厳選された自身の自主レーベル〈桜れコーず〉からの2枚組LP。ただただ音楽を作り続けてきた行為のピュアな積層が、ゆったりとした時間感覚の中に結晶化している。(S)

http://www014.upp.so-net.ne.jp/yximalloo/

日本の豊穣な地下シーンを50組のアーティストと楽曲で振り返る。50 Japanese track maker / musician 2017。#1-25

八広HIGHTIの13年

MASSAGE /

てくてくと見知らぬ川べりの土地を歩いていくとたどり着く、バラックのような建物。都心で遊んでいる身からしたら、ちょっと遠いなあと思ってしまう距離感。けれどその廃墟みたいな空間に一歩足を踏み入れたら、よく見知ったアンダーグラウンドな熱気がある。当時、美大出身のアーティストたちが、自分たちで居住空間を手作りして、夜な夜な友人などを呼んでライブなどを行っている面白い場所があると噂になっていたのを耳にして、記事を掲載したのがMASSAGE8号のとき。その八広HIGHTIの13年の活動をまとめた展示が本日より始まった。

展示を見てはじめて、つい最近までその空間が存続していたということを知って驚いた。あのころジャンルをまたがって面白い場所を見つけて遊んでた友人たちも、震災のあとはばらばらになってしまったから、なんとなく勝手に彼らも活動をしていないのだと思いこんでいた。その場所から彼らはどんな風景を見続けていたのだろう。長い期間だからきっと変化もしてきただろうけど、住んで、作って、遊ぶをそんな長い期間にわたって繰り広げてたなんて、あらためて理想の生活の形だなあと思う。

けれど、そんな場所がもう今はないという事実に、なんとも言い知れぬ喪失感も感じてしまった。たしかにそうした生活を送れるのも人生の限られた期間だけなのかもしれない。また自分が知らないだけで、今も生まれたり、消えていったりする面白い場所がほかにもあるのかもしれない、とも思う。世の中が内向きになっているのか、自分が内向きになっているのか、人間関係を超えて感覚で繋がることがなんだか前より難しくなった気がするけれど、そういう場所で生み出された感覚はきっとその人の作品とか感性を通して、転生していっているはず。またいつかそういう感覚と出会えたらと思う。

「HIGHTI 展」
相川勝 矢代諭史 工藤幸平 中野恵一 
2017年12月21日(木)〜2018年1月28日(日)
http://akibatamabi21.com/exhibition/