By Yusuke Shono
20分弱に及ぶ組曲。パンデミック以降、私たちの生活方式は大きく変わってしまった。人もまばらになった都市を、なにかを恐れるように人々がすり抜けていく。多くの活動がオンラインに移行し、聴衆の熱気や息遣いを直に感じることができなくなった。そんなゴーストタウンとなった都市環境を描くべく、未来的な電子音とサンプルがゆっくりとアンビエンスを構成していく。電流のほとばしる流れを思わせるその持続音は、繊細な感覚の変化を追いかけるようにゆっくりと変化していく。その引き伸ばされた時間感覚にはどこか孤独な気配が漂うが、獏としたその空虚さの奥には、不思議と和やかな感情がある。