By Yusuke Shono
インスタレーションや映像など、京都を拠点にアーティストとして活動するKazumichi Komatsuが、はじめての本名名義での発表となった〈FLAU〉からの新作。これまでの多様な活動で実験してきた蓄積を、凝縮した作品となっている。グリッチ感のある荒れたような粒子感のある音色はそのままに、アルバム全体によりリラックスしたムードが流れている。まどろんでしまいそうな、ゆったりとしたアコースティックな響きに、対極的な角度から差し挟まれる電子音響が異なる関係を切り結んでいく。シンプルながら感覚を静かに刺激する、引き伸ばされたような特異な時間感覚を持った作品。Sean McCannによるマスタリング、そしてDove & LeMakeupや、Cristel Bereを迎えたボーカル曲もその世界観にとてもマッチしている。