ラファエル・ローゼンダールがひっそりとアプリをリリース

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ブラウザをベースにした作品から、近年はフィジカルへと進化したデジタル固有の感覚を作品化してきたラファエル・ローゼンダールが、ひっそりとアプリをリリースしていました。

その名も「Blurrrrr」。カメラに映るものを「ぼかす」というシンプルな内容です。単にブラーをかけるというのではなく、目の前の世界がラファエル・ローゼンダールの世界に一変します。この効果には彼の特徴である配色の効果が大きそうですが、単純なエフェクトの中にも彼の作品の中にある感覚を感じ取れることができて面白いです。

https://itunes.apple.com/us/app/blurrrrr/id1282509957?mt=8

アプリの制作者はTibor Udvariというアーティスト。ほかにもいろいろラファエルとアプリをリリースしています。僕が知らなかっただけかもしれませんが、思ったよりありました。こちらもダイナミックでなかなかよい。

https://itunes.apple.com/us/app/here-hear/id1249413969?mt=8

結構前に遡ると、こういうのも。対戦型のゲームで、タップで陣取り合戦をするという例に漏れずシンプルなアプリ。

https://itunes.apple.com/us/app/finger-battle/id424405825?mt=8

Tibor Udvariはラファエル以外の作品も作っています。下記は、アートブックにスマホカメラをかざしてAustin LeeのCG作品を楽しめるアプリ。

http://www.spheres-publication.com/product/spheres-austin-lee-second-edition

ARの手法を用いて、作品を作るのが得意な方のよう。ラファエル・ローゼンダールのようなデジタル領域のアーティストなら、アプリを作ること自体は目新しいことではないかもしれませんた、アーティストの作り出す世界の一端を感じることのできるリリースを手に入れられるのは、単純にとても嬉しいニュース。是非遊んでみてください。

Rafael Rozendaal
http://www.newrafael.com

Tibor Udvari
http://tiborudvari.com

食品まつり a.k.a foodman × SUGAI KEN

和製電子音楽家が語る、日本の音楽の過去・未来。

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MASSAGE / Text: Kazunori Toganoki, Photo: Ryosuke Kikuchi

現代アンビエント/ニューエイジにおいて、新しい価値観と美学をもたらしたVisibel Cloaksの11月日本ツアーを目前に、最終日28日の東京公演に出演する食品まつり氏とSUGAI KEN氏による、異色の対談が行われた。今回が初共演となる2人の音楽性は、一方はアンビエントの「静」、一方はダンスミュージックの「動」を軸としながら、独自の「和」の感覚を作曲の内に取り入れており、彼らのアップデートされた新鮮な電子音楽は、国内/外を問わず人口に膾炙している。
普段は異なるフィールドで活動を行う2人だが、対談からいくつか意外な共通点が明らかに。お互いが思う「日本」について、現在のシーンについてなど、あれこれ話してもらった。

SUGAI KEN(以下S 最初からいきなり重いかもしれませんが、今日は食品まつりさんに質問を考えてきたんです。「10年後まで音楽を続けるには何が必要ですか?」という質問です。

Foodman(以下F もう亡くなっちゃったのですが、ススム・ヨコタさんが大好きなんです。トレンドを押さえてはいるんだけど、そこに入り込み過ぎない絶妙なポジションをずっとキープし続けているのがすごいなと。

S 「付かず離れず」ですかね。

F 何かに巻き込まれて消費されるというのではなく、適当な感じで「いる」みたいな。たまに若者の感覚も取り入れつつ、おっさんの部分もあるからそこから離れてみたり。

S 食品さんはオープンマインドに活動されているのに、打ち出す作品で物議を醸したり、そのバランスがすごいですね。

F 自分のミュージシャンとしてのスキルは結構低いんですよ。で、その低さがアウトプットされるので、自分の感じにならざるをえない。真似できないんですよね。その部分でいえば、スガイさんも日本のものを解釈して自分なりに表現するという楽しさを追求している人ですよね。他にやっている人もあまりいないし。

今のスタイルにいく何かきっかけはあったんですか?

S もともとは高校生の時に、地元の友達と一緒にヒップホップ・グループを組む、みたいなところから始まって。そこで順当な流れでサンプリング手法を知って、ソウルとかを聴いて、「海外の人はルーツとしてこういう音楽を選んでいるけれど、自分達は何ができるんだろう?」って考えるようになり、次第に日本の古いもので使えるものはないかと、今の自分の音楽の背後にあるようなものに目を向けるようになりました。 

F スガイさんの視点は結構ドープというか、キマりたい聴き方をする人だと思っていて。やっぱりヒップホップのバックグラウンドがあったんですね。そこは嬉しい。

ということは、今のご自身の音楽の手法も、どちらかというと、「ネタ」として音源を掘っている感覚に近いんですか?

S そうです。日本の音楽でいえば、由緒正しいところから出ている訳ではなく、「この音ヤバいな」という感覚が初めにあります。何度かアカデミックな分野の方とご一緒したことはあるんですが、基本自分はボンクラなのでその人たちには出せない感覚をベースにしつつ、そのコンプレックスもバネにしつつ、という。部外者、片足突っ込むくらいの感覚です。

F スガイさん今おいくつですか?

S 37歳です。

F 僕は36歳で早生まれなので、同世代ですね。当時聴いていて、同じ影響を受けたものがあるかもしれないですね。ちなみにヒップホップは最初、何を聞いていたんですか?

S Native tonguesとかです。食品さんて今横浜に住んでますよね。実は僕、地元が横浜なんです。

F 関東に来る前は名古屋にいたんですが、横浜と名古屋ってヒップホップのつながりがないですか?こっちに引っ越した時に、似た印象を感じました。

S 名古屋にはいかつい、ウェッサイなイメージがあります。

F 実際ここでは言うのも憚ってしまうような人もいらっしゃいましたね。口にするのも恐ろしい。危険な香りがあってもちろん怖いんですが、それが逆に面白いというか。今にはない異世界感がありました。

S 行く時、気合いを入れないといけないようなね。

F あと最近はめっぽういなくなってしまいましたが、普段何をしているのか全くわからないような、世捨て人がいっぱいいましたね。Forestlimitとかに行くとたまに見かけますけど。ああいうのを見ると「変なとこに来た」ってなって、楽しい感じになるんですよ。

S あのポジション、僕は必要だと思うんですよね。そういえば前にコンビニのビニール袋かぶって踊っている人をForestlimitで見て、「いいな」と思いました。

F そういうのが許容されている方がいいですよね。みんなで相互監視していても楽しくないですし。

ではスガイさんも、もともとはヒップホップとか、そちら側のシーンにいらっしゃったわけですね。

S 細々とやっていました。横浜の、外人とグラマーなお姉さんしかこないような、テリの強い人がたくさん集まる場所があって、そこでインストゥルメンタルとかをかけていたんですけれど、案の定オーナーに「ちゃんとしろ」と詰められて。自分はキャラクター的に論破するようなタイプではないですし、怖かったですね。

F そのときはラップのトラックを作られていたんですか?

S というよりは、インストを試行錯誤して作っているだけでした。

F じゃあそれが回り回って、今につながっているのかも?

S そうかもしれないですね。

F 確かに、今回のアルバムにもヒップホップ的なところがあって、嬉しくなりました。ビートはないけれど、ビートを感じました。

S そういう風に感じとっていただけるのは、自分の出処が現れていて嬉しいですね。実は自分がアンビエントと括られるのに違和感があって。Los Apson?の山辺さんが付けて下さった“和”ンビエントというワードは個人的に記念になっていますが、多分自分からそう名乗ったことはないはず。だからアンビエントと思って買った人が、「全然アンビエントじゃないじゃん」ってなるのが申し訳ないなって(笑)。

本人としては、「アンビエント」的なカテゴリーに属している訳ではないと。

S そうですね。

今回の作品『Ukabaz UmorezU』も含めてなのですが、スガイさんの制作におけるプロセスや手法を教えていただけますでしょうか。

S 最近の作り方なんですが、一つは、俚伝や郷土物から得たぼやっとした視覚的イメージをもとに、音で近づけていきます。絵画のような感覚です。二つ目は、俚伝や郷土物の中で要素分解すると数値化やパターン化できるモノを探し出して、別の音に当てはめるプロセスがあります。これは工作のような感覚で、ミュージック・コンクレートや「見立て」の概念に近い。ミュージック・コンクレートの手法はヒップホップの人たちに響くと思うんです。なぜならあれはサンプリングに近いから。

F その「見立て」とは…?

S 例えばこの携帯を「携帯」として見ずに、別のものとして流用するみたいに、対象を他のものになぞらえて表現することを「見立て」といったりしますよね。考えとしてはこれもサンプリングに近い気がして。例えばトランペットの吹く音を録音して、それを別の用途、スネアとか、全然違う用い方をしたり。本来の役目じゃない役目をさせる、というか。そういうのを考えるとコンクレートにもつながるし、サンプリングとも親和性を感じるんですよね。

F なるほど。自分もサンプリングでいえば、「この音いいな」って思ったのを使ってやる、というポイントではスガイさんと同じで。それと、これを入れると崩壊してしまうような音をあえて入れるようなことも好きですね。美しいピアノにおっさんの声をいれるとか、おかしなバランスだけど、これはこれでありなのかもしれないみたいな。

S 僕の音楽はあまリアルタイムで経験していない古きイメージとしての日本ですが、逆に食品さんは駄菓子みたいな、日常に根付いたリアルな日本感がありますよね。

F やっぱり日本は不思議な国ですよね。クリスマスやハロウィン、正月が一緒くたにあって、なんでも取り入れるし、気が強いようにみえて、実は弱かったりするし、器用だけど、そうじゃなかったり。世界のなかの不思議ちゃんですよね。だからモチーフにするものはたくさんあるんですよ。トラディショナルなものも、今のものも。「抹茶カフェ」とかやばいですね。あの同列してる感じが。昔のこととかはほぼ想像と推測で話していますが、縄文とか弥生時代にはどんな音楽があったんだろうって、勝手に想像して。

S 実は江戸とかって、僕たちが知らないだけで、今でいうパーティー感覚な人たちがたくさんいたから、今のフェスとかとあんまり違わない気がするんです。徹夜で踊り続ける郡上おどりとか、トランス感のあるものにヴァイブスを感じるんですよ。僕が祭りとかでドープを感じたのが、以前に友達と熊野古道に行った時に、それは世界遺産になった以降なんですけど、夜に八咫(やた)の火祭りをやっていたんですよ。30メートルくらいある、大きな鳥居が広大な田んぼの中心にぽつんとあって、そこでやっていて。子供が唄っている声も聞こえて、なんとも言えない感じで飛ばされて。あれがひとつの大きい経験ではあります。

F それはすごそう。

S 農村のサイケデリック感、みたいなのが好きです。あとは農村独特の「いなたさ」も好きですね。70過ぎたおじいちゃんがお祭りで、毎年仕方なくやらされている感。実際動きとかぎこちなくて、リズムもとれてないし、すごく下手なんですけど(笑)。うまくないほうが絶対いいんですよ。洗練されてないほうがエグい。個人的な考えですが、今の自分たちが欧米に憧れるように、当時の人はきらびやかな中国に憧れていて。で、食品さんの音楽にはその中国の絢爛豪華さがあると思います。

F 自分の母ちゃんが石垣島出身で、南島のカラフルな感じが好きなんですよ。沖縄も面白くて、明るくて開放的なのに、暗さも同時にあって。実際に病む人が多くて、もちろん過去も絡んでいると思いますが、自殺率も高いみたいです。

S なるほど。あと、最近の自分の経験則から見えてきたのが、僻地の芸能は情報が遮断されている分、面白いものがありますね。

F それでいうと、5年くらい前に、カラオケのデータを作る仕事をしていたときがあって。たまたま演歌歌手を手掛けていたんですが、Kプロダクションていう事務所の所属芸人がすごかった。スガイさんのいう、農村のサイケデリック感があります。YouTubeで探したんですけど、全然でてこなくて。

S それがまたいいですね。こういうの僕らがまだ発掘しきれてないだけで、いっぱいあるのかも。

F もうひとつの日本のやばさですね。今少子化じゃないですか。だから逆に上の世代の文化を取り入れていかないと、先は厳しい。演歌とかね。あれもやばいって言われているでしょう。カラオケのデータをみても、音の作り方にアンビエントっぽさがある(笑)。なにかが入ったらなにかが抜けてを繰り返していて。三番まで絶対にあって。カラオケだからMIDI音源で、アップデートされてるところも格好良いし、ビートもレゲエぽいノリが腰にくるところもあって。そこに細川たかしみたいな声がのっかってきて。彼の、あの「カァーン」とした声、大好きなんです。

S マイクなくてどこまで届くんだ、みたいな。

F こう、竹を「コーン」と叩いたときの、気持ち良さがある音なんですよ。

S もう5年後とかに、普通に演歌の人たちと一緒にやっているかもしれませんね。

F ありえますよ。それこそSonarみたいな海外のでかいフェスで出れば、会場の全員を完全にロックすると思う。声だけで全部もってかれる。細川たかしはケミカル・ブラザーズとか、それこそOPNとかとやってほしいですね。

S 自分たちみたいなアングラの場所にいると、ポップスなんてってなりがちですけど、曲作りの面でいうとレベルが雲泥の差じゃないですか。

F クラブミュージックもよいけれど、細川たかしも同列に好きです。音楽のパワーですよ、やばいものはやばい。やっぱり聴くと自分を騙せないですね。

これからそういうふうに変わっていくかもしれないですね。自分たちの世代はとにかく舶来ものに弱いというか、洋楽絶対主義だった。でも今は自分たちのものを外に出さないといけなくなってきているし、ローカルな面白さを自分たちの音楽から作っていかないと面白くない。同じ質ではないですが、食品さんもスガイさんも「和」の要素がある部分は共通してはいますよね。

F 日本の中に「和」を受け入れられる受け口があるのが面白い。

DJ krushのアルバムの漢字2文字が格好良いみたいな時がありましたよね。ほかのアジア国に目を向けると、Howie leeや、Do Hitsの周辺とか。伝統的な面をギリギリに出しながら、良い個性をだしていて。

F 同時代でいうとメキシコのN.A.F.F.I.とかもね、あの自然とでているローカルさが良いですよね。最高です。

S デジタル・クンビアとか、シャンガーンとかもですね。

F これまでよいとされてきた欧米の良さが絶対的なものじゃなくなっていて、それが痛快ですね。

海外に発信するという点からいえば、食品さんは海外でツアーをされる時に、日本人のアーティストとして見られていると意識することはありますか? あるいは演出されるとか。

F 極端に演出されることはあまりないですかね。単純にみんな音を求めて来ているっぽい。

スガイさんはバックグラウンドの部分やアートワークを含め、海外などでそこを求められそうですね。

S そうですね、自分は今こういう風に装っているので、間違った風に受け取られて、自爆する確率は高いと思います。

Rvngから今回の新作を出される際、何かレーベルから注文みたいなものはあったんですか?

S 全くなかったです。分かりやすい和楽器が入ったほうがいいのかな、とか思ったんですけれど、レーベルの意向を汲み取りながら、やりたいようにやっても大丈夫かなと。

F あからさまな和のテイストは今回のアルバムにはないですよね。

S 全くないと思います。あと日本人って僕自身もそうですが、パターン的に和のモノを使うと、「ウッ」となるじゃないですか。そこにもどううまく踏み込んでいけるかっていう、まだ正解でてないですけど。ただわかられるのも悔しいし、分かってくれないのも不毛だとは思うので、どうむっつり仕込んでうまく漂わせられるかが、今後の課題です。まあ細く長くやっていくスタンスなので、付かず離れずの距離感を維持できれば、自分の最初の質問じゃないですが、「10年後まで音楽を続ける」ことがもしかしたらできるかもしれません。

RVNG Intl. Japan Showcase Tour 2017

本誌でも以前にインタビューを掲載したVisible Cloaksの初来日となる〈RVNG Intl.〉のジャパン・ツアーが11/24~28に開催される。今回対談に登場していただいたSUGAI KENがツアーに帯同、28日には食品まつりも参加する。オルナタティブな電子音楽の傑作をリリースしてきた〈RVNG Intl.〉のショーケースということもあり、現在のアンビエント、アヴァンギャルドシーンのエッセンスを感じられる貴重なツアーであることは間違いない。是非見逃さないよう。

11/24 fri at WWWβ | RVNG Intl. – club night –
http://www-shibuya.jp/schedule/008479.php

11/25 sat at Kiageba Church | experimental rooms #27
http://www.experimentalrooms.com

11/26 sun at Marco Nostalgy (Warehouse) | RVNG Intl. Japan Showcase Osaka
http://www.newtone-records.com/event.php?eid=761

11/28 tue at WWW | Balearic Park – RVNG Intl. Japan Showcase –
http://www-shibuya.jp/schedule/008480.php

Special Guests: dip in the pool —Tokyo, Chee Shimizu —Tokyo, Ssaliva (Ekster) —Tokyo, SKY H1 (PAN) —Tokyo, 食品まつり a.k.a foodman —Tokyo, Tomoyuki Fujii —Niigata, Phantom Kino Ballet (Lena Willikens + Sarah Szczesny) —Osaka, YPY —Osaka, 7FO —Osaka, 威力 —Osaka, etc…

主催: WWW, newtone, Experimental Rooms, 協力: Inpartmaint / melting bot / scent

アンダーグラウンド・カルチャーの価値とは。La Mano Friaとその10年。

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アンダーグラウンド・カルチャーの価値ってなんだろう?そんな基本的な問いをあらためて口に出して言ってみたくなったのは、先日、UPLINKの展示のために訪れていたLa Mano Friaと久しぶりに会うことができたからでした。La Mano Friaの展示は、自身の10年の活動を振り返るもので、日本のガムテープを用いて、彼が生み出してきたロゴやグラフィックワークを再構成したコラージュ作品をメインとしたものです。現在はすでに展示は終わってしまいましたが、再び彼と語り合えたのはとても嬉しい出来事でした。

2000年台初頭に僕は、彼の発信する強烈な社会的メッセージが込められたTシャツやレコードジャケット、レーベルのCDやレコードなど、その活動の虜になっていました。思い起こせば、彼のようなハードコアな姿勢で活動する人たちの出会いがもっとも大きなインスピレーションの源で、それがなかったら僕もこのようなメディアを作ることはなかったかもしれません。

それから結構年月が経ち、シーンの姿も様がわりしました。自分自身が自明と思っていた価値も、長く続けていくうちに色あせて、その意味合いも不明瞭なものになっていきます。生き物のように人間の表現も進化していくものだから、僕は変化しいてくのは当然だと思っています。こうしてアンダーグラウンドな表現領域を見続けて、いままた改めてこう口に出してみたくなってしまいました。アンダーグラウンド・カルチャーにある価値とは何なのか、と。

この世界では日々新しいものが生み出され続けています。毎日のように入れ替わっていくヒットチャートや、人々の気分や流行、進化するテクノロジーなどといったものと、アンダーグラウンド・カルチャーは何かが違うのでしょうか?

そこには二通りの解答しかありません。一つ目の答えは、アンダーグラウンドもそのほかのものも何も違わないというものです。こう言うこともできるでしょう。あらゆる価値は等価であって、それを愛でる人の数が違うだけなのだと。

実際、その考え方は理解できるものです。そのことを一度理解してしまえば、等しく同じ姿勢であらゆるものを楽しむことができます。極めて柔軟だし、とても開放的な姿勢だといってもいい。文化を等しく楽しむそのような姿勢から、今後さらに新しいものが生み出されるかもしれない、そういった予感すら持っています。僕の印象をいえば、こうした姿勢は今の若い人たちに多いような気がしています。

もう一方の答えはもう言わなくてもわかりますよね。僕はいまだアンダーグラウンドな文化にある価値を信じ続けています。先程触れたように、これは世代的なものかもしれません。アンダーグラウンドの文化自体が、当時は身の回りに溢れていたから、その価値自体を自明のように思っていました。きっとこの領域にいる人はだいたいそうで、皮膚感覚で生きているから、その価値が何なのかなんて口に出したり、ましてや書いて発表するなんてことはありません。

僕に言えることは、La Mano Friaのようにその価値を見つけた人々が、たとえ実際にはどのような苦境に立たされていても、自分の信じた価値をさまざまな表現の形に変えて発表し続けているという事実だけなんです。僕が彼からインスピレーションをもらったように、それがまた誰かに伝わっていく。表現者、そしてそれをサポートする者、観客やメディア、レーベルすべてが輪のように繋がっている。それがこのカルチャーの全容なのです。そこになにか価値があるとしたら、その文化の全体としか言いようがない。そういうことです。

うーん、やはり伝えるのは難しい。言いたいこと、うまく伝わりましたでしょうか?

Esprit 空想の新作アルバムをVRで体験する、オンライン視聴会が開催

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本日、Esprit 空想の新作「200% Electronica」をみんなで聴く会をやるみたいです。

どうやら今夜、一日だけのために作られたアプリを用いて、VR体験ができる実験的なイベントみたいです。メールすると、100人だけアプリ(特定のスマホ、Samsung Galaxy s7といった機種で動作)が送られてきて、体験できるよう。

これでも見ながら開始を待ちましょうか…。

詳しくはこちら。
https://www.facebook.com/events/499433367080779/

開催日時:11月16日(木) 21:00 – 1:00 (現地時間)

日本の作曲家YOSHIMIが〈PYRAMIDS〉より、「Japanese Ghosts II」をリリース。

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Dream Catalogue〉の姉妹レーベル〈PYRAMIDS〉より、2016年にリリースされた「Japanese Ghosts」につづくYOSHIMIの2作目となるアルバムがリリース。

シネマティックな音像の中に、見え隠れする乾いた叙情性。和楽器とエレクトロニックな音響は、そのノイジーなテクスチャーの中で溶け合い、新しさと古さを乗り越えた新しい佇まいを獲得している。怨霊、翁、生霊、鬼、妖怪、物の怪、来訪神、良きも悪きもが現実と非現実の境を超えて都市空間に流出してくるさまを描いた作品。

YOSHIMIは、以前は菱田吉美という名義で深作欣二監督作品『いつかギラギラする日』のサウンドトラックやCM音楽を手がけるなど、作曲家としてすでに長いキャリアを持つ人物。過去の日本のCMなどからサンプリングを繰り返してきたVaporwaveという若いジャンルに、とうとう本家の日本のミュージシャンが参入した事例としても興味深い。

ちなみにジャケットデザインはレーベル主催のHKEによるものだそう。

Internet Yami-Ichi Brussels #2 インターネットヤミ市の夜@ブリュッセル

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2012年からはじまった、インターネットをテーマにしたマーケット「インターネットヤミ市」。毎日のようにフェイクニュースや炎上が巻き起こるネットとは真逆に、ヤミ市はネットからインスパイアされた「おかしな」アイデアに満ちたアイテムがひしめく、あかるい?マーケットです。

今回旅行も兼ねて、2度めの開催となるブリュッセルのヤミ市に潜入。はじめての土地で荒んだ空気に若干ドキドキしながら開催場所のiMALに向かいました。到着したときはNotendoというグリッチニットのブランドを手がけるJeff Donaldsonが、自身の作品のコンセプトを解説するプレゼンテーションを開始する寸前。「いいタイミングに来たね」というような会話で、再会を祝いました。Jeffさんは各国のヤミ市に出品していて、日本にも何度か訪れたことがあります。今回は新作アイテムを出品しているとのこと。

開催場所だった地下空間はまるでガレージのようなスペース。規模感は日本での開催と比べて少し小さく感じたものの、ホームパーティに訪れたような落ち着いた雰囲気が漂っています。ビールでも飲みながら出品者たちと対話を楽しんだり、ゆったりと過ごすのが良さそう。聞くとヨーロッパではこういった空気感になることが多いそう。

今回はネットアーティストであるJan Robert Leegteと、彼が教えるArtEZ美術大学の生徒がたくさんのアイテムを出品しており、学生たちの腕試しの場ともなっていました。

誰もが知るあのデスクトップイメージを背景に、ポララロイド撮影できるサービス

一時期海外の人達の間で話題になったアノ絵文字も

出品者から解説を聞かないと、なんだかわからないものが多いのもヤミ市の特徴のひとつ。

以前、本サイトでも取り上げた、The Internet Shopのメンバーとリアルで会えたことも嬉しかった思い出

グリッチニットのパターンがどのように生み出されているかを解説するJeff Donaldson

Hard Disk Bandはハードディスクの回転音で音階を作り出し、演奏を行った。どうやって音階をつくっているのか謎です

顔認識の仕組みをで遊べるグラフィックTシャツSnapshirtのショーケース

ブリュッセルのヤミ市も出品者のテイストや方向性は、日本とそんなに大きな違いはなさそう。強いていえば作品の売り買いというより、自分の作品についてプレゼンしたり、参加者たちで交流する場という性質が強い感じがしました。

インターネットが今や巨大になりすぎたといっても、そこに居住して遊ぶアーティストを含んだ人々は、まだたぶんそんなに大きな人数ではないのかもしれません。だからこうやって実際に会ったりできることにも、不思議な感動があります。SNSなどで繋がったりしていても、今の今をリアルに感じたり、実際にいっしょにビールを飲んだりできる。小さな喜びかもしれませんが、そういう普通の営みも結構重要だと感じました。そんなことをビールを片手に考えながら更けていく、夜のインターネットヤミ市@ブリュッセルでした。

写真提供:iMAL