hardvapourを標榜するウクライナ発のレーベル、〈H.V.R.F. CENTRAL COMMAND〉よりハローウィンにちなんだコンピレーションがリリース。

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久しぶりにhardvapour関係の記事です。ウクライナ発のレーベル、〈H.V.R.F. CENTRAL COMMAND〉よりハローウィンにちなんだコンピレーションが届きました。hardvapourというと〈ANTIFUR〉というレーベルが目立っていますが、こちらもウクライナ発。ちょっと想像できないですが、ウクライナのシーンってどんなことになっているのでしょうか。

hardvapourというと僕なりの理解では、Vapourwaveの暗い部分を推し進めたようなジャンルというイメージ。フィリップ・K・ディックの描くようなサイバーパンク、汚れた空気が汚染する未来都市の倦怠と憂鬱を想像します。こういうサウンドがVapourwaveの系統に由来するということには若干違和感を覚えるのですが、北の果ての大地でまったく異なる創造性を獲得したのかもしれません。まったく今風ではないこのジャケットデザインといい謎が多い。ある種のギークぽさも感じます。そのあたりは姿勢として共通している部分も感じますが…。

そのhardvapourを標榜するレーベルが、ハローウィンというテーマというのはまさにという感じです。全体的にホラー感に貫かれていますが、実際のところかなり幅広い。49曲というボリュームに加え、アーティストのセレクトが興味深いです。

なにかと巷を騒がせているVapourwaveのアーティストPZAや、先日レーベル〈Hausu Mountain〉のインタビューで紹介したLockbox、日本からは Constellation Botsuなどの名前も挙がっています。ラップなんかも入っていたりと縦横無尽に横断していく感性には自由さを感じますし、なんだか共感するところもあります。

Name Your Priceで49曲とは、かなりお得な一枚ではないでしょうか。

しー辰こと〈Constellation Tatsu〉より、Rhucle、Hakobuneなど2人の日本人を含む4つのアンビエント作品がリリース。

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しー辰は2012年の設立以来、現行カセットシーンで重要なアンビエントの作品をリリースし続けてきました。そのへんのことは以前、Dirty Dirtさんが連載で紹介してくれましたね。

https://themassage.jp/dirt-on-tape-vol-05/

そんな〈Constellation Tatsu〉がレーベルの強い美学を感じさせる、本日新しい作品を4ついっぺんにリリースしてくれました。

東京のアンビエント作家Rhucleによる繊細さの奥に、強い芯を感じさせる「Fantastic Garden」。水が流れる具体音にメタリックなシンセの持続音が少しずつ変化しながら交錯していく。極端なほどに削ぎ落とされた要素が、ミニマルであるがゆえの幻想をかきたてます。スピーカーから流れるサウンドで空気さえ浄化されてしまいそうな、清々しい作品。

イギリスを拠点に活動する古いカセットテープを掘り起こすテープコレクター、Stuart Chalmersの作品「In the Heart of Solitude」。エコーの効いたギター音が、生き物のように次々と見たことのない形を作り出し、新しい絵を描いていく。たった5曲の間に数光年を旅したかのような、長大な物語が圧縮されているような展開。その抽象性の中に、どこか懐かしさすら感じるニューエイジ、アヴァンギャルド・フォーク。

8年間で50作以上のフルアルバムを制作したという精力的に活動する、日本のアンビエント/ドローン作家Hakobuneによる作品「In Arboreal Whispering」。流れる温風のように厚みのある持続音がゆっくりと脈動し、サウンドの皮膜に包み込まれてしまうような独特の安心感を感じさせる、気持ちのよい作品。

RoseはReuben Sawyerというイラストレーターの名義のよう。幻想的なロマン派的な画風で、とても独特です。絵と同様に暗く、粒子の粗いノイジーな音楽性。ささやくような女性ボーカルに、底から支えるように一定のビートが刻まれる。廃墟になった教会に鳴り響く賛美歌のような、退廃的な風景に差し込んだ光のような作品。彼のイラストが見られるTumblrも以下に貼っておきます。

http://rainbathv.tumblr.com

こういうずっと続けているレーベルが、常に先端の音を求めながらも、強い芯をつかんで離さないでいられるというのは本当にすごいことだと思います。ぜひ聴いてみてくださいね。

水野勝仁 連載第6回 モノとディスプレイとの重なり

《Empty Horizon》という「ディスプレイ」を抽出するモノ

Masanori Mizuno /
Masanori Mizuno / Text: Masanori Mizuno, Title Image: Akihiko Taniguchi

これまではディスプレイが常に光を明滅させている状態を考察してきた。しかし、電源がオフのとき、つまり、光の明滅面が機能していないとき、ディスプレイはディスプレイなのだろうか、それとも、単なる黒い平面をもつモノなのだろうか。そもそも、私たちは「ディスプレイ」のみを見ているのだろうか。iPhoneやiPadのディスプレイは、どこまでがディスプレイで、どこからがiPhoneでiPadなのだろうか。ノートパソコンのディスプレイはどうだろうか。もちろん、それらは分解すれば「ディスプレイ」をモノとして取り出せるだろう。しかし、それらはあくまでもモノとしてのディスプレイであって、「ディスプレイ」そのものではない。「ディスプレイ」そのものをモノとディスプレイとの重なりから抽出することは可能なのだろうか。今回は、須賀悠介の作品《Empty Horizon》という木製のディスプレイを通して、「ディスプレイ」そのものを切り出してみたい。

どこがディスプレイなのか?

須賀悠介のスマートフォンの割れたディスプレイを木彫で表現した作品《Empty Horizon》を見て、最初に気になったのは、スマートフォン前面のディスプレイ以外の部分、iPhoneで言えばホームボタンやフロントカメラなどは排除されていることであった。確かに、ホームボタンなどのところはディスプレイではないから、当たり前である。しかし、「ディスプレイが割れた」というとき、実際に割れているのはスマートフォンの保護ガラスであって、それはホームボタンやフロントカメラの周囲を覆っているモノである。だから、「割れたディスプレイ」というとき、それは単にスマートフォンの前面の保護ガラスが割れるのであって、ディスプレイの光の明滅面が割れるということではない。保護ガラスが割れるだけだから、スマートフォンにおける光の明滅面は機能している。しかし、多くの人は保護ガラスの割れを「ディスプレイの割れ」だと思う。恐らく、須賀はこのような問題を回避するために、光が明滅する部分のヒビのみを彫ることにしたのだろう。そうすることによって、ヒビはより光の明滅面に密着することになり、ディスプレイの上に位置して、スマートフォン前面全体を覆っていた保護ガラスがディスプレイの一部となる。須賀はスマートフォンからディスプレイのみを切り取るために、光の明滅面の上のヒビ割れたガラスだけを木の板に彫り、それ以外を捨象する。それにともない、スマートフォンというモノからガラス面と光の明滅面とが結合された薄い膜のような平面がスパッと切り取られたかたちで、木の板に表現されるのである。その際、ヒトはガラス面にはモノとして厚みを感じるとしても、光の明滅という現象が起こる平面にモノとしての厚みを感じるのだろうか。

木製のディスプレイ

スマートフォンの画面が割れるとディスプレイがモノ化し、立体化する。光の明滅面は平面であり続けるけれど、ガラス面は立体化するため、割れる前までは一体化していたガラス面と光の明滅面とが分離する。割れたガラスは平面には戻れない。平面に戻れないスマートフォンの割れたディスプレイを木に彫り込んだレリーフである《Empty Horizon》は、木であることを覆い隠すように黒く塗られた表面は周囲の光を反射はするけれど、木製のレリーフが自ら光ることはない。「光の明滅」という原型的性質を失ったディスプレイは、もはやディスプレイでないといえるかもしれない。けれど、ディスプレイを保護するガラスのヒビの形状を彫り込まれた板状の木がディスプレイに擬態しているようにみえるのも事実である。このどっちつかずの状態は、ディスプレイが単にモノなのでもなく、モノと光の明滅という現象のふたつの層から構成される存在であることを示している。

ディスプレイはモノとして存在しているが、それは電源を入れた瞬間に光を明滅しはじめ、常に変化する平面に変わる。電源を落とすとディスプレイはモノとして存在しはじめるけれど、それはディスプレイの原型的性質を消失したモノである。原型的性質を消失したとしても、それは「かつてディスプレイであったもの」となるわけではなく、ディスプレイでありつづけ、電源がONになればディスプレイとして機能するようになる。電源がOFFになっているディスプレイの平面は一度モノに回収されているようにみえる。しかし、実際は電源が切られて黒い平面になったディスプレイは、光の明滅によって変化する平面でもなく、モノの平面でもなく、ただの黒い平面なのかもしれない。光の明滅という機能を一時的にも失った平面は、何も表示しない黒い平面というモノとしても、現象としてもヒトの注意を引きつけない存在になっている。モノと光の明滅という現象とが重なり合う平面は黒い平面のなかにのみ込まれてしまい、「ディスプレイ」がテレビやスマートフォンというモノに融け込んでしまうのである。

しかし、ディスプレイと一体化しているかのようなガラスが割れると、「ディスプレイ」がモノとして剥き出しな状態で常に存在するようになる。電源が点いていようが、消えていようが、割れて立体化したディスプレイがモノとしてそこにあり続ける。割れたガラスがディスプレイを黒い平面に回収させずに、モノとして立体化したディスプレイの状態を剥き出しにする。だが、それはディスプレイの光が無い状態での話である。光が明滅しているディスプレイでは、ガラスが割れることで、ガラスというモノがつくる平面と光の明滅という現象がつくる平面というふたつの平面に分離される。同時に、光の明滅という現象はガラスが割れてもこれまで通りに起こり、ガラス面もこれまでと同様にその光を透過させ、ヒビに光が入り込みガラス面と光の明滅とが同化していくのである。

だが、木製のディスプレイは決して光りはしないがゆえに、ヒビに光が同化することはない。だからこそ、須賀は木の表面を黒く塗り潰し、光の明滅面をモノに最も近い状態である黒い平面にして、ディスプレイを構成するガラスと光の明滅面とを徹底的にモノとして彫り出すのである。光の明滅という現象は彫り出せるものではないけれど、ディスプレイがモノに同化した平面、言い換えれば、光の明滅が無の状態ならば、光の明滅面をガラスのヒビと同化したかたちで彫ることができる。それゆえに、《Empty Horizon》では、本来のディスプレイでは分離しているモノとしての平面と光の明滅面とが同一平面に存在するようになる。須賀は《Empty Horizon》で、ヒビ割れたガラスというモノと本来は彫るという行為が不可能な光の明滅という現象とを同一の平面に置いて彫り出そうとしているのである。

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「ディスプレイ」を「一様な厚みをもつ面の層」として切り出す

須賀の作品はガラス面というモノの平面と黒い平面としてモノ化された明滅面とが、木に彫り込まれたヒビを介して同一平面に存在するようになっている。このことが強く意識されるのは、作品を見る視点を作品の横に移動したときである。正面から見ると黒く塗り潰された平面はモノというよりは、光の明滅を模したように外界を反射して像を表示している。けれど、作品を斜め横からみると、そこにはディスプレイアームにマウントされた木製ディスプレイのエッジが一定の厚さを持って示される。それは彫られた木の物理的なモノとしての厚さであるけれど、そこにガラスというモノの平面と光の明滅面とが結合したディスプレイそのものの厚みがとても薄いことを感じさせるのである。《Empty Horizon》が示すディスプレイの厚みを作品制作に用いられている「レリーフ」という手法から分析していきたい。19世紀ドイツの彫刻家であるアードルフ・フォン・ヒルデブラントは『造形芸術における形の問題』で、レリーフは三次元の物理世界を二次元に落とし込むひとつの手法で有効であることを、ヒルデブラントは次のように書く。

芸術家には、複雑な三次元の表象を、まとまりのある像の表象に変えるという課題が与えられている。わたしたちが前の章で見てきたのは、芸術家は、この課題を解決しようと思えば、対象の面としての作用と包括的な奥行表象とを対置することに、しだいに全力を集中せざるをえなくなるということだった。この両者をうまく対置することができれば、芸術家は、単純明快な容量の表象、つまり、奥行方向へと続く展開の出発点となる、一枚の面の表象を手に入れることができる。この表象方式をわかりやすくするには、ガラス板を二枚平行に立てて、その間にそれと平行に人体をはさみ、人体のいちばん外側の点がガラスに触れるようにしたところを考えるとよい。このとき、この人体が要求するのは、奥行の厚みがどこもすべて等しい、ひとつの空間だ。ここで人体は、同じ厚みの奥行のなかに手足を配置することで、この空間の存在を物語ることにある。こうして、ガラスを通して前から見れば、この人体は、見分けやすい対象の像として、一様な厚みをもつ面の層のなかでまとまって見える。 1

須賀は無色透明で存在しているガラスがその姿をあらわすひとつの形態であるヒビ割れた状態をレリーフとして模すことによって、ディスプレイを表現する。それはディスプレイを保護するガラスを立体化することで、光の明滅面とのあいだに「一様な厚みをもつ面の層」という平行空間をつくることを意味する。そこはヒルデブラントが平行に立てられたガラス板のあいだに立つ「人体が要求するのは、奥行の厚みがどこもすべて等しい、ひとつの空間」と呼ぶような、2枚の平行する板のあいだに押し込められたすべての存在が一様の厚さでスッパリと切り取られてしまう空間である。ディスプレイはガラス面と光の明滅面とがつくる平行空間であって、そこではすべての存在の厚みが一定の薄さに切り出された状態で存在しているはずなのである。

しかし、光の明滅面は三次元の奥行きをつくる画像を表示するがゆえに、そこには奥行きが生じているように見える。光の明滅面を現象として扱っている限りは、ヒビ割れたガラスという半立体的な平面を前面としても、背面に物理空間を模した画像がひろがるため、ガラス面が物理世界と画像とをつなげるインターフェイスとして機能してしまう。それゆえに、ここにはディスプレイがつくる「一様な厚みをもつ面の層」を見ることは難しい。けれど、光の明滅面を黒く塗り潰して明滅が無の状態にしてしまえば、奥行きを示す画像が消失し、ひとつの平面となる。そして、その無の明滅面をヒビ割れたガラスというモノの平面と重ねると、そのあいだにディスプレイそのものを抽出したような平行空間がある一定の厚みをもったモノとして出現する。

ガラスと無の明滅面との重なりという意味ではスマートフォンの電源がオフのときのディスプレイは割れていなくても、一定程度モノに融け込んでいるものである。だから、スマートフォンのディスプレイはモノのように持ち歩け、正面だけでなく、あらゆる角度から見ることが出来る。しかし、スマートフォンの場合は、ディスプレイがモノに融け込んでいるがゆえに、たとえガラスが割れている場合でも、どんな角度から見ても、ディスプレイそのものをスマートフォンから抽出することは難しい。しかし、ヒビ割れたガラスとともに光の明滅の無の状態のみを彫り出した《Empty Horizon》を少し斜め横から見ると、そこにはヒビ割れと同一平面にある黒く塗り潰された平面の存在が強調され、光の明滅面という普段はその厚みを知ることができない平面が現れ、モノの平面と平行空間をつくり、「一様な厚みをもつ面の層」を示すのである。

木に彫られたガラスのヒビというモノと、モノと同化された無の状態の光の明滅面とが組み合わされて、普段は明確に区別することができないモノとディスプレイとの重なりから「ディスプレイ」のみが「一様な厚みをもつ面の層」をもつモノとして抽出される。《Empty Horizon》という木彫りの割れたディスプレイは、ディスプレイに関して光の明滅という原型的性質も含めて徹底的にモノ化することで、「ディスプレイ」という存在をガラス面と光の明滅面とを結合した「一様な厚みをもつ面の層」として切り出し、その厚みを抽出して、木のエッジが示す薄さとそこからひろがる平面に擬態させているのである。

この木のエッジの物理的なモノとしての厚さとそこからひろがる平面が「一様な厚みをもつ面の層」を切り出すと同時に、ディスプレイ特有の二次元平面と三次元空間、モノとイメージとが交錯する特異な状態である「薄っぺらい空間」をつくりだしている。「薄っぺらい空間」は、ディスプレイがモノとして厚みをもちながら、その原型的性質が厚さをもたない光の明滅であることから生じるものである。前回取り上げた谷口暁彦の作品「滲み出る板《D》」は「薄い板」としてのiPadのディスプレイが「薄っぺらい空間」を示したけれど、須賀の《Empty Horizon》はモノとディスプレイとの重なりによって、「薄っぺらい空間」をつくるわけではない。谷口の作品は、斜めから見た時のiPadのモノとしての厚さとそのディスプレイにうつる3DCGの窓枠が示す厚さをもたない平面とのあいだに「薄っぺらい空間」を表示させたけれど、《Empty Horizon》が示すのは、ともにモノとして彫り出されたガラス面と光の明滅面とが結合したディスプレイそのものの厚みである。実際にはそれは木の厚みにすぎないものが、理念的なディスプレイの厚みへと擬態するのである。それは「理念的」であるがゆえに、実際は厚さを示さないマルセル・デュシャンの「アンフラマンス」のような極薄の印象を見る者に与えるのである。須賀は「ディスプレイ」という装置のモノとしての側面を木彫りのレリーフという手法で前面にだし、木の表面そのものに光の明滅という現象面をもモノとして彫り出すことで「薄っぺらい空間」を木のエッジの薄さとそこからひろがるヒビ割れた黒い平面に出現させるのである。

参考文献
1. アードルフ・フォン・ヒルデブラント『造形芸術における形の問題』、加藤哲弘訳、中央公論美術出版、1993年、pp.55-56

水野勝仁
甲南女子大学文学部メディア表現学科准教授。メディアアートやネット上の表現を考察しながら「インターネット・リアリティ」を探求。また「ヒトとコンピュータの共進化」という観点からインターフェイス研究を行う。

Label Interview: Hausu Mountain

未来と過去のはざまに見つかった、レーベル〈Hausu mountain〉の実験と探求。

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MASSAGE / Text: Yusuke Shono, Translation: chocolat, Goh Hirose

Hausu mountain〉はDoug KaplanとMax Allisonの二人によって2012年に設立された音楽レーベル。電子音楽の実験的な作品をリリースし続け、深海のように豊かなその未知の領域を開拓してきました。レーベル名のもとになった日本の映画、そしてMax Allisonが手がけるカバーアートなど、彼らが作り出す世界観の底には、漫画やレトロゲーム、サイファイ文化、そのほかさまざまな領域のサブカルチャーへの愛が貫かれています。

彼らはまたGood Willsmithというトリオのメンバーとしても知られており、〈Umor Rex〉からリリースされた最新のアルバム「Things Our Bodies Used To Have」が、高評価を得たことも記憶に新しい。その音楽性は、レーベルカラーともシンクロするローファイな感覚を持った実験性。時代と空間を旅しているような幅広いムードや感情。それらを作り出している電子音から生音まで含めた、豊かな音色も特徴的です。

過激な実験性と飽くなき探求の奥に、どこか人間的な温かみすら感じさせるレーベルカラー。独自のスタイルを持つ〈Hausu mountain〉は、Good Willsmithメンバーのソロ作を3作揃ってリリースしたばかり。その彼らにレーベル設立の経緯からコンセプトの由来、バンドプロジェクトなどについて聞いてみました。

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レーベル設立の経緯はどのようなものだったのでしょうか? 二人の出会いについて聞いても良いでしょうか?

僕たち(DougとMax)はエバンストンにあるノースウェスタン大学で出会ったんだ。すぐにベストフレンドになったよ! それからThe Earth is a Manっていうバンドを一緒に始めて、2011年に卒業した後は一緒にシカゴに引っ越しして音楽を作り続けた。〈Hausu Mountain〉は、2012年に、もともとは自分たちの音楽、Good WillsmithやThe Big Shipのようなバンドの音楽をリリースするために始めたレーベルで。ほかのレーベルからリリースしてもらうのは難しいってわかったから、自分たちでやることにしたんだ。その後すぐに、友だちとか、自分たち以外のプロジェクトの音楽を主にリリースするようになっていった。Doughと僕はずっといい友だちだし、僕たちはレーベルを良いものにしていくために一生懸命動くのがとても好きだよ。

レーベル名は大林宣彦の映画のタイトルからとったと聞いたのですが、ほんとうですか?

ほんとうだよ。レーベルの名前は大林宣彦監督の映画『ハウス』からつけたんだ、ホドロフスキーの『Holy Mountain』と組み合わせてね。僕たちはこのふたつの映画が大好きだから。サイケデリック・アートのクラッシックで、とてもたくさんの不思議、ユーモア、恐怖、驚きが含まれてる。独自のルールや雰囲気があって、作品全体でその独特の世界や宇宙を描いていて、すごく好きなんだ。僕たちのレーベルでやろうとしていることも同じ。新しいサイケデリックの世界を構築することとか、シリアスにやりすぎないこととか。観るといつも楽しくて驚きがあるから、これらの映画はクラッシックになっているんだね。

Good Willsmithの活動のレーベルへの影響はありますか? その音楽性も含め、音楽活動とレーベル運営の仕事に連動している部分はありますか?

Good Willsmithを始めたのとほぼ同時期にレーベルを始めたから、Good Willsmithはレーベルのフラッグシップ・プロジェクトのようなものになったけど、Good Willsmithは〈Umor Rex〉や〈Baked Tapes〉のようなほかのレーベルとも仕事をしているし、もちろん〈Hausu mountain〉はとてもたくさんのほかの色んなプロジェクトと一緒にやってる。Good Willsmithのサウンドは僕たちがレーベルでやろうとしていることをとてもよく表していると思う。ライブ演奏の音楽、ノイズとテクスチュアが元になっている音楽、とても多様で説明するのが難しい音楽、ムードで変化して色んな雰囲気の間を素早く行ったりきたりする音楽、ヘビーでノイジーな音楽、美しくもある音楽、エレクトリックとエレクトリックでない楽器を組み合わせた音楽、即興の音楽。これはGood Willsmithにも、僕たちがやっているほかのプロジェクトのほとんどにも当てはまることだね。でも、音楽活動とレーベル運営がつながっていることで一番大きいのは、全部一度にやらなければならないってことかな! 人生には限られた時間しかないし、僕たちは忙しい。Good Willsmith、〈Hausu mountain〉の全責任、ソロプロジェクトの作業、たくさんのショウでプレイすること、そしてもちろん、音楽以外でやらなければならないほかの仕事、それらを全部やりくりするのはたいへんかもしれないけど、僕たちはそうするのがとても好きだし、ほかのやり方ではできないんだよね。

トリオであるGood Willsmithのメンバーの一人、TALsoundsことNatalie Chamiによる作品。日々の即興的なセッションの過程により生み出された、複雑で叙情的な「声」の世界。衣擦れのようなソフトさとスモーキーな気だるさ。その絶え間ない音の旅により作り出されたアンビエントノイズ。

レーベル主宰者の一人、Doug KaplanによるMrDougDoug名義の作品。Geocities MIDI CollectionでみつけたMIDIファイルで作られたという本作には、ロックやレゲエやカントリー、ヘビメタのブラストビートのようなサウンドの片鱗を聴くことができる。そのサウンドは微小な断片へと砕かれていき、スピードとエネルギーだけが抽出される。形を変えながら蠢めく靄のような、サウンドテクスチャーとビートが複雑に交錯した作品。

レーベル主宰者の一人でもあるMax AllisonによるMukqs名義としては初となるフルレングス作品。ゲームミュージックの古典に触発されたというメランコリックで叙事詩的なメロディが、オーガニックなシンセの音色と共鳴し合うアンビエント。オーバーダブなしのライブレコーディング作品。

2012年から活動していますが、レーベルの方向性には変化や進化はありましたか?

自分たちの音楽をリリースするっていうことから、ほかの人たちの音楽をリリースするっていうことへ、単に変化という以上のものがあったね。僕たちのレーベルは2012年からたくさん変化してきていると思う。スキルは向上してるし、音楽をリリースできるようになるまでも速くなっているし、それを発表して世の中に広めることも上手くなってきてる。もちろん長い間やっていて、興味を持ってくれる人の数が増えてくれば、これは自然なことで、一生懸命やってきたこと、そして決してあきらめなかったことの成果なんだ。音楽自体に関しては、たくさんのおもしろいミュージシャンたち(たいていはGood Willsmithとツアーをやってくれたり、たくさんのショウでプレイしてくれたりした人たち)に会って、時間を過ごしてきているから、以前にも増して数多くの、幅広いアーティストたちと一緒にできるようになってきてる。僕たちが今リリースする音楽のほとんどは、The Big Shipのような初期のリリースのアコースティックでギター志向のサウンドと比べると「エレクトリック」寄りになることが多い。今は、音楽を作るのにさまざまな方法を使う色んなアーティストたちがとてもたくさんレーベルにいるから。ドラムマシンやコンピューターで作るビートミュージック、アナログシンセサイザー、モジュラーシンセサイザー、機械でミックスしたボーカル(声)、あらゆる種類の作り方をね。

実験性を尊ぶレーベルカラーが非常に明確ですが、あなたは自分のレーベルのコアなコンセプトはなんだと思いますか?

僕たちはエクスペリメンタルミュージックが一番好きだよ。でも、もちろん、色んな種類の「エクスペリメンテーション(実験)」がたくさんある。自然の中で静かにやっていたり、極端にゆっくり進めることに特化していたりするようなエクスペリメンタルミュージックには僕たちはもうあまり興味がなくなってきてる。僕たちは、複雑で、多様で、ジャンルにしばられない、わくわくするような音楽に興味があるんだ。リスナーとして、僕らはすぐに飽きてしまうからね。40分間変化しないドローン・パフォーマンスや現代のノイズの多重録音にはもう興味が持てなくて。音楽を刺激的なものにするために、そして、聴く人々を楽しませるために、考えて、変えて、作業をする、そんなクリエイターの頭の中を見せてくれるような音楽が好きなんだ。流行りに乗ったり、ほかのアーティストそっくりにしようとしたりしない音楽が僕たちは好き。アーティストからダイレクトに個人的な表現、その人独自の、ほかの誰かにはできない形の表現、そういうものを受け取っているように感じられる音楽が好きだね。これが僕たちにとっての「エクスペリメンタル」の真の定義なんだ。

Hausu mountain〉の面白い部分はその時代感覚だと思います。古いようでもあり、新しいものでもあるような感じと言ったらいいのでしょうか。このような感覚はどこからくるのでしょうか?

ありがとう。その発想、とても好きだよ! 「アナクロニズム(時代の風潮に逆行していること)」っていう概念が僕たちにとって大切なんだと思う。たぶん、より潜在意識レベルでの。間違った時代にはまってしまったみたいな感じがする何かとか、時代遅れのように見える奇妙なものとか。そういったことは、テレビゲームやマンガからの素材をよく使ってるレーベルのビジュアルアートにも現れてるよ。アルバムのアートワークのテーマは「フューチャリスティック(未来的)」のことが多い。ロボットとか科学技術とか宇宙空間みたいな。ただ、未来的といっても、そういうテーマの表現方法はわざとお決まりのマンガっぽいものにすることもよくある。そうやって、過去と未来の間の境界をあいまいにするんだ。これは音楽自体にも当てはまることで。僕たちのレーベルの多くのアーティストは(Good Willsmith、Moth Cock、Davey Harms、Long Distance Poison、Piper Spray、Radiator Greysなどのようなプロジェクトも含めて)、音楽を演奏するのにコンピューターやソフトウエアを使わないで、意図的にアナログやハードの機材を使うことにこだわってるんだ。そうすることで、サウンドを過去から持ってきたもののようにすることができる。そういった機材の限界のせいでね。けど、アーティストたちは、「古い」機材を使って、新しく、奇妙で、独特に聞こえるものを作ることに成功してる。これは僕らにとってはパーフェクトなコンビネーションだね。僕たちは、未来的で、耳触りがいい、サイバーっぽいタイプのレーベルだって思われることにも興味がないから。自分たちの基準でクールな音楽だと思うものをリリースしたい、それに合ったクールなビジュアルを音楽に合わせたいだけなんだ。

デンバーの21歳Jesse BriataことLockboxによる「Demonoid」は、ローファイなビートの探求から高解像度のプロダクションへと舵を切った「Prince Soul Grenade」に続く作品。切り刻まれたサンプルと複雑なビートパターンによりつくられたデジタル雲のような音の造形が、その形態を液体のように変えながらさまざまな風景を横断していく、ノイジーな実験テクノ。

HeadboggleことDerek Gedaleciaは、〈Spectrum Spools〉、〈Hanson Records〉、〈NNA Tapes〉そして〈Experimedia〉などから60以上のリリースを行う、サンフランシスコのシンセシスト、作曲家。モジュラーシンセの音色への探求と、タブーを恐れない実験精神を特徴とする彼の最新作、「In Dual Mono」はモノラル録音が二つのスピーカーから同時に乱打されるという、電子音響の実験盤。

クリーブランドのプロデューサー、パフォーマーTim ThorntonことTiger Villageによるシリーズ作品、「Tiger Village VI: Effective Living」。濁流のように押し寄せるシンセのメロディとリズムが、コラージュのように速度を変えながら予測不能なパターンを描いていく。囁くようなどこかメランコリックな声のサンプルが、電子音響と融合し、未来の歌声のように響く。

Maxさんのアートワークも毎回素晴らしいですね。ゲームやコミックがモチーフになっていますが、そうしたサブカルチャーからの影響は強いのでしょうか?

ありがとう! Maxはレーベルのほとんどのアートワークをやっているんだ。自分で自分のリリースのアートをやったり、友だちにやってもらっているアーティストも多いけどね。でもMaxはレーベルの専属デザイナーで、マンガやテレビゲームのコラージュのアートワークは全部彼がやってる。テレビゲームとマンガはどちらもMaxの人生にとても大きな影響を与えてるんだ。彼は1990年生まれで、SNES(海外版スーパーファミコン Super Nintendo Entertainment System)、N64(Nintendo64)、Playstationのような初期のテレビゲームの頃に子どもだったりティーンだったりしたからね。ビジュアルスタイルに関して、それから、音楽に関しては特に、こういう形のアートは究極に人の心を開かせるよ。マンガやグラフィックノベル(大人向け長編のマンガ)もそうだし、アニメは特にそう。こういうタイプのアートすべてがMaxのビジュアルと音楽のスタイルに影響を与えているんだ。でも2016年の今、テレビゲームをやったり、マンガを読んだりする時間がMaxにはもうない。レーベルやバンドなどのためにやらなければならない、たくさんの楽しいことのおかげでね。だから今度は、テレビゲームやアニメやマンガのスタイルをレーベルのアートワークに取り入れるのがベストなんだ。Maxの目標は、ピクセルで構成されたテレビゲームアートのシンプルで美しい質感を復活させること、それをテレビゲームの歴史の外で、新しいやり方で使うこと。ノイズ音楽のアルバムのジャケットにテレビゲームのピクセル画っていうのは奇妙に見えるかもしれないけど、テレビゲームのイメージの認識を変える、あるいは進化させるひとつの方法なだけ。古いアートの形を懐かしむっていうことじゃない。こういった古いアートの形は決して置き去りにされたりしない、いつだってふつうに美しいし、楽しいんだって、アートワークは伝えようとしているんだよ。

最後にレーベルに影響を与えたものがあれば教えて下さい。音楽でもそれ以外でもかまいません。

すごくすごくたくさんのものが僕たちのレーベルに影響を与えてるよ。主なもののリストを書いてみた。

  • Terry Riley、La Monte Young、Steve Reichのような20世紀のミニマル音楽の巨匠たち。
  • Miles Davis、Sun Ra、John Coltrane、Alice Coltraneのような20世紀のジャズの巨匠たち。
  • Captain BeefheartとFrank Zappa。
  • Jim O’Rourkeと彼の無限のプロジェクト。
  • Sunn 0))、Boris、EarthのようなSouthern Lord(サザンロード・レコーズ)を代表するバンド。
  • the Grateful Deadに関連するすべてのこと。
  • Can、Faust、Neu!、Cluster、Harmoniaなどのようなバンドを含む「クラウトロック」の流儀。
  • 今現在アメリカのアンダーグラウンドで僕らの友だちが運営している、とてもたくさんのレーベル。〈Patient Sounds〉、〈Orange Milk〉、〈Baked Tapes〉、〈NNA Tapes〉、〈Hanson Records〉、〈905 Tapes〉、〈Haord Records〉、〈Refulgent Sepulchre〉、〈Moss Archive〉。それから、〈Umor Rex〉、〈Phinery〉、〈Singapore Sling〉のような、ほかにももっともっとあるインターナショナルなカセットレーベル。
  • Moebius、大友 克洋、Roland Topor、Brenna Murphy、Keith Rankin、Rob Beattyのビジュアル・アート。
  • 湯浅政明の映画とテレビ番組。
  • 世界中の友だち、みんな。

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Hausu mountain

http://hausumountain.com
https://hausumountain.bandcamp.com

虚構世界で使い果たされた時間と夢。White Goblinの彷徨える亡霊のようなサウンド

MASSAGE /

White Goblinはロンドンを拠点として活動するミュージシャン。〈Psalmus Diuersae〉からのリリース以降、その作品が確認できるのはYouTubeぐらいで、そのプロフィールは謎に包まれていました。ひとつはっきりしていることは、彼がTeribilis、Dj Save The NHS、Oxhy、Englesia、Ganx、Intentionally cold、infernal butcheressなどが所属するコレクティブXquisite Nihilの一員だということぐらいです。

そんなWhite Goblinの新作が、本日10月17日に〈Quantum Natives〉よりフリーDLにてリリースされました。独自の世界を持つ〈Quantum Natives〉からというのはとても頷ける素晴らしい展開ですね。また、YouTubeで発表されたビデオもとてもよいです。

ノイジーなテクスチャーの中にかすかななにかが形を取り始め、気づくとその燃立つ夕焼けのような世界に没入しています。泡のように不定形な音響、繊細かつローファイな、寂しくも懐かしい感覚。White Goblinのサウンドには、使い果たされた時間と夢の追体験しているかのような、荒廃した光景が広がっています。

ダウンロードはこちらより。

今回の収録曲、「🎲 U0001f3b2 (Seventh Realm)」について書かれたsimforartの美しいテキスト。以下のリンクより読むことができます。

http://simforart.blogspot.jp/2016/06/white-goblin-u0001f3b2-seventh-realm.html

現在、simforartの主催者でもあるDJWWWWと地下ダンジョン的なアルバムを一緒に制作しているみたいなので、そちらもとても楽しみです。

3週間このゲームをプレーしている
そして町の門にいる赤の集団に殺されずいまだ何もすることができない
泥棒たちは私のものっているものを奪っていく、青ブロックのプレイヤー、そしてショップでは犯罪者たちによって殺される
このゲームには嫌がらせをする者たちしかいない
彼らは殺し、その持ち物を奪うことで最初の街から去らないことがはっきりしている

私はゼロからスタートし続けなければならなかった
そしてただ騎乗の獣医に殺されるためだけに、自分のいた場所をバックアップした
彼らの鎧はほとんど破壊不能だった…
…そしてその武器は鎧を真っ二つにし、一撃で殺すことができた
彼らは初心者が行く街の墓場でお金を稼ぐためにキャンプさえした。

そのコミュニティはあらゆるものについて秘密主義だったので、新しいプレイヤーが成長するのは難しい。
そのコミュニティのほとんどのプレイヤーが大きな力をひけらかしているからだ。
彼らは追跡し、殺すために街の外の土地をパトロールしている。
だから生きて世界を探検するのがやっとだろう。

その土地を探検する唯一つのやりかたは幽霊のようになることだ
このゲームはうまくあなたの人生を引き継ぐかも知れない

自分の体を包む銀のローブとともに数字を入力する
私を盲目にし、恐れでいっぱいにする
彼らは何をしてるのか私に尋ねる。
いくらゴールドを持っているのかと。
なにを運んでいるのかと。

私は肉しか持っていないと伝えた
彼らは所持品を捨てるように言った

娘が私に所持品を捨てるように言った。

私はすべての希望をなくしている。

彼らは私を殺すと言う。

終わりは近い。

直線的なヴァーチャルから、錯乱した現実へ。iphoneと洞窟壁画をテーマにした展示「iphone mural」が10月28日より開催。

MASSAGE /

布施琳太郎キュレーションによる展示「iphone mural」が10月28日より開催されます。この展示はiphoneとミューラル(壁画)という言葉からなるタイトルからイメージされる通り、スマートフォン以降に出現したわたしたちの新しい自然環境を、かつての洞窟壁画に描かれた古代の人々の自然への向き合い方と対照させようという試みです。

会期終了後には本展示の記録写真/画像を中心に批評などを掲載した冊子を刊行。また映画監督のスズキケンタによるCM、そして岡野謙人によるドキュメンタリーが公開される予定とのこと。

インタフェース/メディアとしてのiPhoneが作り出したわたしたちのフィジカルな新しい環境に、古代における洞窟という空間の意味や、描くという行為がいったいどのように接続するのでしょうか。とても気になります。

〈iphone mural〉は、現代の錯乱した「現実」について、洞窟壁画を通して考える中で用意された企画である。旧石器時代からの超時間的な断絶を経て、新しいバージョンの自然として「現実」は現前した。実際、あの化石的絵画の自然との向き合い方は、近代のパースペクティブを逸脱しており、最も知的な現代アートのパラレルな可能性であるとさえ言うことができるだろう。そこで本展では洞窟壁画のパラレルな可能性を提示する。

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布施琳太郎/「不誠実な声帯」/2016/会場の建材、ディスプレイ他

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urauny/「pop up store」/2016

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ぼく脳/「みど漫」/2016/漫才

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海野林太郎/「イメージとのまぐわいかた」/2016/インスタレーション

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國冨太陽/「1000001しょうけん命がんばるシーン」/美術・キャスティング國冨太陽

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山形一生/「レイズデッド」/2015/展示会場近辺の草、モーター、蛍光灯、プログラム/写真:川久保ジョイ

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香月恵介/「Nymphéas-1905」/900x1000mm/2014/Acrylic on canvas panel

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ナクヤムパンリエッタ ツイッターアイコン

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都築拓磨/「在りし日のLE5-002」/2015/パネルに油絵具

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庄島明源/「気持ちは属しているけど性質は属していない-概念を表わす名辞テルム」/2016/粘土

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鐘ケ江歓一/「HELLO-RACE」/2016/映像

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磯村暖/「地獄の星」/2016/インスタレーションビュー

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iphone mural (iPhoneの洞窟壁画)
2016年10月28日16:00より10月31日6:00まで

企画・配置:布施琳太郎/メインビジュアル:rei nakanishi
出展作家:
「iPhone」布施琳太郎/rei nakanishi
「説明のない匂い」urauny/ぼく脳/海野林太郎/國冨太陽
「ι δ έ α」香月恵介/都築拓磨/山形一生/ナクヤムパンリエッタ
「無限の無」磯村暖/鐘ケ江歓一/庄島明源

会場:BLOCK HOUSE B1F (神宮前6-12-9)
アクセス:明治神宮前駅より徒歩5分、原宿駅より徒歩8分
http://m0n0g0t0r1.tumblr.com/iphone_mural

Lily~ultrademonのレーベル、〈DeepSpaceObjects〉よりコンピレーション「Beta Orionis」がリリース。

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シーパンクからジューク、ゴルジェという新しいカテゴリーを取り込み、華麗に変身を遂げたLily~ultrademon。日本ツアーの記憶も新しい彼女のレーベル〈DeepSpaceObjects〉より、カセットテープのコンピレーション「Beta Orionis」が10/15にリリースされます。

〈DeepSpaceObjects〉はAnuj GirdharとLilyにより今年初めに設立されたばかりの音楽レーベル。レーベルとしては3つ目のリリースとなる。メンバーはLilyのようなLGBTコミュニティの出身者だけでなく、さまざまな国籍や民族から構成されている。Del Dot名義で​コンピに参加の共同主催者Anuj Girdharはプロフィールがなにやらただならぬ感じで、電子音楽の作曲家であるのみならず理論物理学者でもあるよう。仕掛け人のような立ち位置なのでしょうか。

本コンピには〈anybody universe〉主宰のLaxenanchaosをはじめ〈CLOCKHAZARD〉主宰者のLimited Tossや食品まつりなど、ツアーの影響か日本勢も多く収録されている。実験的かつハイエナジーなスタイルの表現が集められている印象です。

さらに、先日行われたLilyのツアーをきっかけに、日本発のコンピレーションも制作されることになったそう。ツアーのために集った3つのレーベル〈anybody universe〉、〈Booty Tune〉、〈GORGE.IN〉が主体となりLilyを含む総勢15組のコンピレーションを、そしてフットワークジャングルを打ち出す集団AMENLIFE/AMENDJZもコンピレーションを制作中だそうです。

Lilyをきっかけになにかが形をとり始めた予感。どんなものになるのか、とても楽しみです。

Side A
Sweetie​ – Sleep In My Arms
Jon Monteverde​ – Ita
Del Dot​ – Drowning
Jeremiah Fisher​ – Queen Moet
Lauren Bousfield​ – Amethyst Payment Plan
Swim Choir​ – Stay
食品まつり aka Foodman​ – Ika
Twelvecoaster – Brain Freeze

Side B
Anika​ – Tel-a-car
Renick Bell​ – Glistening (Fractal Beats 160617a)
Jana Rush​ – Beat Maze
Lily​ – Alpha Primed Catwalk
Laxenanchaos​ – Way Back After She Ditched Me
Limited Toss​ – Get Down (160VIP)
Sha Sha Kimbo​ – Destroyed By Madness

Interview with toiret status

実験の極北が反転したポップ。toiret statusの作り出す独特のグルーヴ、
そして未知の表現が持つ美しさとエネルギーについて。

MASSAGE /
MASSAGE / Text: Yusuke Shono

トイレの水がカラフルな音響とともに流れ出すイントロから、畳み掛けるように襲いかかる未視感の連続。変転していくリズム、引き伸ばされ縮められたサンプル音、予想のできない展開が、ダイナミックなうねりを生じさせる。三半規管がかき混ぜられるようなその独特のグルーヴを作り出すのは、山口県在住の今最も注目を浴びているトラックメーカーtoiret status。〈Orange Milk〉よりリリースされた「◎omaru◎」は、独特の表現が凝縮した傑作というべきアルバムだ。硬質なプリセット音を盛り合わせて作られたデジタルな色彩を持ったその豊穣なサウンドは、未知だけが持つ美しさと、突き抜けたエネルギーを内包している。実験の極北が反転するとポップになるという証明そのもののようなサウンド。そんなアルバムをリリースしたばかりの彼に、toiret statusやxPhone tweeted hatenaなどのプロジェクトについて聞いてみた。

toiret status “◎omaru◎”

まずは活動歴的なところからお聞きしたいと思います。toiret statusの前はバンドをやられていたそうですが、どんなバンドだったのでしょう?

いろんなバンドで活動していました。もともと高校時代にメロコアバンドのドラムを始めたのが最初なんですが、そこからいろいろと音楽を聴くようになって。ベースとドラムの二人組で即興ノイズバンドや、ギターとドラムの二人組でマスロックみたいなことをやったり。The shaggsみたいなスカムバンドをやったり、大所帯のノイズバンドでドラム叩いたり、ジャンクでハードコアなバンドでドラム叩いたりしていました。影響を受けたアーティストはいろいろいますが、特にLIGHTNING BOLTのBrian Chippendale、HellaやDeath GripsのZach Hill、Aids WolfのYannick Desranleau、この三人のドラマーの影響が大きくて、どちらかというと激しくてうるさいバンドばかりやっていました。

そういうバンドの活動から、今のような実験的なトラックメイキングをやりはじめたのは、なにかきっかけがあったんですか?

今まで自分が聴いたことない音楽をはじめて聴いたときの感動が大好きで、自分も誰も聴いたことがないような音楽を作りたいと思うようになったのがきっかけです。ノイズバンドをやりはじめた当初は本当に無知で、こんなバンド世界で自分たちしかいないと思ってたんです。田舎に住んでいるので、周りに前衛的なバンドなんて全然いないですし。でもあとから、実は自分たちよりももっとすごいノイズバンドが昔から沢山いることを知って…。なんだか悔しい気持ちになったことを覚えています。

それでバンドをやりつつも何かしら新しい音楽を作りたいなぁとずっと思ってて。ひとりでサンプラーとドラムを同期させてソロでライヴをやってみたり、サンプラーだけで曲っぽいものを作ったりしていました。バンドマンだったので、DTMに対する憧れみたいなのがあったんです。それで去年から本格的に作曲を始めてみたところ、楽しくて楽しくて、一番自分に合う表現方法だと気が付いたんです。

特に三半規管を揺さぶるような変化していくグルーブ感がtoiret statusの特徴だと思うのですが、制作においてビートやリズムの構造というのはどれぐらい意識していますか?

toiret statusではかなり意識していますね。もともと僕はドラムしかできず、コード進行とか音楽理論とかも理解していないので、ビートを作るときも何かのメロディを作るときもiPadを直観的に叩いて作ることが多い。iPad上のドラムもキーボードも打楽器みたいにしているので、そういう意味では全てのトラックがリズムとして機能しているのかもしれません。あと、リズムやビートだけでなくてポップであることも意識してます。最初に例に挙げたLIGHTNING BOLTなどのバンドは前衛的で実験的だけど、どのバンドもとてもポップなんです。僕はそういう人やアーティストが好きで、toiret statusでもポップと実験性のバランスを大切にしています。

今回の〈Orange Milk〉からリリースされた「◎omaru◎」も実験性とポップさが両立したアルバムだと思います。しかもさらなる音楽性の広がりも感じました。よければこのアルバムの制作のプロセスについて教えていただけますか?

誰かと制作するとき以外は基本的にコンセプトやテーマを決めずに作っていくので、曲ごとでやりたいことをやったり、いろいろ試しながら作りました。曲作りの際には、「この小節ではキック3発まで」とか、「ビートより先にメロディを作る」とか、曲ごとに謎の自分ルールを決めてから作っています。昔からチマチマした作業にぼーっと熱中するのが好きなので、ルールを決めることで作曲を作業的にして、深く考えずに制作できるようにしてるんです。あとついつい曲の展開を多くしてしまうので、ルールを決めることで曲としてのまとまりが出るんじゃないかと。

ちなみに曲作りはどのようなセッティングで行っていますか? サンプリングと打ち込みの比率はどのような感じでしょうか?

toiret statusの作曲はiPadのアプリ「GarageBand」だけで作ってます。ミックスダウンとマスタリングはAbleton Liveでやっていますが。比率は曲によってサンプリングの音ばっかりだったり、その逆もあるのですが大体はサンプリングした音が8割で2割がプリセットの音って感じですかね。omaruに収録されている曲の生ドラムやギター、ピアノなどの音はGarageBandのプリセットを使ってます。打ち込みの比率に関しても曲によってそれぞれなんですが、iPadの画面を叩いて録音したものをそのまま使うときもあれば、ポツポツと一から打ち込んで作っていくこともあります。飽きっぽい性格なので、曲ごとに違うルールを設定し敢えて作り方を変えるようにしています。

Elevation X Toiret Status “T​.​D​.​I​.​M”

xPhone tweeted hatena名義は携帯で曲を作っているそうですが、ほんとうですか?

ミックスとマスタリングはtoiret statusと同じようにAbleton Liveを使っているので、携帯だけで作っていると言えばウソになっちゃうんですが、作曲はiPhoneのGarageBandのみでやってます。iPhoneとiPadのGarageBandはほとんど機能的には変わらないんですが、携帯さえ持っていれば曲を作れることが面白いと思って始めたプロジェクトで。いつでもどこでもフィールドレコーディングして作曲に使えるし、なんならトイレで用を足してるときにも制作できるし。携帯で音楽を作れるのって今では当たり前でも、ひと昔前からしたらすごいことだなあと。携帯でこんな曲作れるのか?って聴いてくれた人にビックリして貰いたくてやっています。あとxPhone tweeted hatenaではtoiret statusと比べて、より実験性に特化した音楽を作ろうと思ってます。

〈PEDICURE RECORDS〉の1st EPからわりととんとん拍子でさまざまなレーベルからリリースされていますね。今回の〈Orange Milk〉のアルバムでも共演されていますが、Lil $egaさんとの出会いはどのようなものでしたか?

〈PEDICURE〉に参加したある日、Lil $egaくんがメッセージを送ってくれて、それがキッカケでいろいろと一緒に制作をするようになりました。彼のことは知り合う前からメディアや音楽を見て一方的に知っていたので、メッセージを送ってくれたのがとても嬉しかったことを覚えています。当時はtoiret statusが山口を拠点にしていることも、名前も明かしていなかったのですが、山口県の二人をアメリカの〈PEDICURE〉が繋げてくれたことは面白いと思うし、すごく感謝しています。

そんな〈PEDICURE〉から1st EPをリリースした後の夏に、Lil $egaくんとToiret $egatusというユニットを組んで、彼のレーベルである〈Wasabi Tapes〉からアルバムをリリースしたことも自分にとってはかなり大きかった。こういう形でふたりでひとつの作品を作るのははじめてだったので、バンドとはまた違った共作の楽しさを感じました。そのアルバムをリリースしてすぐにSmokeのdagshenmaさんや〈Orange Milk〉のKeithとSethからリリースのオファーが来たので、自分でもものすごく驚いたし、本当に感謝と嬉しさで一杯になりました。

山口県はどんなところですか? 音楽の制作も含めて、どんな生活を送っているのでしょう?

山口県はその名のとおり、山ばかりです。自然が豊かで、萩とか角島の海とか本当に美しいところなので、ぜひ訪ねてみて欲しいです。ただ若い人たちはどんどん街からいなくなっているので、周りはおじいさんとおばあさんばかりですね…。生活は仕事から帰ってきたら曲をつくる。というのをずっと繰り返してて、仕事以外はタダの引きこもりって感じです。でも田舎に住んでいるほうが、外からの誘惑がないので制作に集中できるし、ネットで自分の作品をどんどん発表できるのでなんだかんだで今の生活を楽しんでいます。といってもやっぱり刺激が足りないので、もっと沢山面白い作品を作って自分の作品が自分をもっと面白いところに連れていってくれたらなあ、と妄想する毎日です。

この先のリリースの予定はありますか?

いつリリースされるかハッキリは分かりませんが年内にxPhone tweeted hatenaのアルバムと、toiret statusのEPをリリースする予定です。あとToiret $egatasの2ndアルバムも制作中です。それからYoshitaka Hikawaさん、Nozomu Matsumotoくん、Kenji Yamamoto(Lil $ega)くん、僕の四人でミクステを制作中です。これもいつリリースになるか分かりませんが、みんなに刺激を貰いながらゆっくり制作を進めています。

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toiret statusこと、Yorichikaさんのアートワーク。

Isamu Yorichika
toiret status / xPhone tweeted hatena / yolichika / Toiret $egatus
http://isamuyorichika.tumblr.com

Interview with Turning Torso

新しいサウンドテクスチャーへの探求。Turning TorsoことDavid Sanchezに、
その音楽性やメキシコの音楽シーンなどについて聞いた。

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MASSAGE / Text: Yusuke Shono, Translation: Noriko Taguchi, Goh Hirose

刻々とループが変化していくうちに、複雑なリズムが生み出すポリリズムは溶け出して、テクスチャーのようになってしまう。エレクトロニックな音響に、みごとに融合されたアコースティックな音色。ジャズの影響を受けたというその独自の探求は新しいサウンドテクスチャーへの探求に置かれている。先日コラムでも紹介した前衛レーベル〈Squiggle Dot〉や、磨きのかかった実験的リリースで名高い〈SEAGRAVE〉からリリースされるなど、その音楽性はエクスペリメンタルミュージックの前線を走るレーベル群からも注目されている。新作「Leap」の発売に合わせ、その独特なサウンドがどのような環境から生み出されているのか。Turning TorsoことDavid Sanchezのミニインタビューをお届けします。

Turning Torso, “Leap”

音楽を始めたきっかけを教えてください。
長いこと音楽をやってきたし、たくさんの種類の音楽を人生のさまざまな段階で聴いてきた。最初はコード進行や自分で構成したものを組み合わせて、影響を受けたものを真似しようとしていた。そのあとは、出演やライブセットの必要が多くなってきて、制作の過程はループ志向のライブ構成とダンスフロアに向けたリズムに変化していったんだ。最後に結果として生じる音楽は、楽しみのための即興の瞬間が残ったものにすぎないんだ。

あなたが住んでいるのはどんな場所ですか? ローカルなシーンからの影響はありましたか?
メキシコシティは、コントラストの詰まったカオスなメガロポリスだよ。それと同時に、世界中の多くのさまざまな人がここで芸術やクリエイティブなことをやろうとしている。そこには私も追いかけている特殊なシーンやジャンルがあるけれど、主な影響はインターネットから来ている。

アコースティックなサウンドとエレクトロニックなサウンドがとても自然な形で融合していますね。このようなサウンドはどのようなプロセスで生み出されているのでしょう?
MIDIコントローラと、基本的にはドラムラックを制御する16ステップのシーケンサーとしてMax for LiveのM4Lデバイスなんかを使って、Ableton上で処理したギターをループさせてライブを行っている。

あなたの音楽はポリリズムとそれが生み出すテクスチャーが独特ですね。こうしたサウンドに影響を与えたものはなんですか?
テクノロジー、そして夢状態の意識。それが自分の音楽に影響を与えたコンセプトだね。Mark Fell、Laurel Halo、Lee Gambleの作品がとても好き。それから、〈Phinery〉、〈PAN〉、〈UIQ〉と〈Seagrave〉のようなレーベル。繰り返すこと、調和、そして新しいテクスチャへの探求が自分の一貫したサウンドだと思っている。

メキシコの音楽シーンで興味があるものはありますか?
国内の広い範囲だけど、White Visitation、AAAA、Nima IkkiとCamille Mandokiなどの電子音楽のプロデューサーはコンスタントに活動しているね。Juan Jose Rivas&Gudinni Cortinaのようなアーティストがさまざまなプロセスや自作の楽器で探求しているエクスペリメンタルなシーンもあるよ。

http://tutorso.com

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