2017-Mar-2158 Shares

今度の主人公は世界に存在する「あらゆるもの」。David OReillyの新しいゲームは、その名も「Everything」。

CGを用いた詩的な映像を作り出すクリエイター、David OReilly。映画「Her」で架空のゲームを提供し世界から注目を浴びたことも記憶に新しい彼が、新作ゲームを本日公開しました。iOSでリリースされた前作「Mountain」は「山」を主人公にしたシミュレーションゲームでしたが、「Everything」はそのコンセプトをさらに進化させた、まったく新しい形のゲームです。

トレーラーを確認すると、ユーザーが生き物を操作しています。その動きはかなり独特です。だけど興味深いのはそれだけではありません。このゲームで重要なことは、世界を探検しながら出会うもの全てに憑依できるということです。動物だけでなく、植物にも、そして無機物にも、最終的には銀河そのものにだってなることができます。

映像の後半はかなりすごいことになっています。「Mountain」で作り上げられた瞑想的なアンビエンスと、その奥にあるパーソナルな感触、そして笑いの中に垣間見える深淵のようなもの。David OReillyの作り出す全く新しいゲームの芸術がどのように進化しているのか、今から体験することが楽しみでなりません。

3/21にPS4ストア(USA、UK、Ireland、Germany、France)より、4/21にはSteamからリリースとなります。日本のユーザーは該当国のユーザを新しく作ってインストールするか、Steam版を待つしかなさそうですね…。

http://delicate-vacuum.com
http://www.davidoreilly.com

2017-Mar-1924 Shares

靄がかった世界との合流点。オンライン視聴室EBM(T)のIssue: 015は、$3.33 / Celia Hollanderによる作品「MERGE LANE」。

オンライン視聴室EBM(T)のIssue: 015が公開された。今回フィーチャーされたのはCelia Hollander、別名$3.33という、ロスアンゼルスを拠点にレコーディングや作曲、サウンドインスタレーション、テキストなどを用いた幅広い活動を展開するアーティスト・作曲家。

サイトを訪れてまず目にするのは、写真がレイヤー状に薄く重なねられた映像的なコラージュ作品。そのイメージに関連すると思われる出来事を綴ったテキスト。そして再生ボタンを押すと、公共の室内プールに沈められたグランドピアノで即興演奏された(?)という独特の音響が穏やかにオンラインの空間に広がっていく。

Celia Hollanderのサウンドには、何かの輪郭を探しているような手探りの感覚がある。テキストに書かれていることは、音の解説ではなく、音が別なものに結びつくという体験である。それはとても私的な体験である。

記憶は反芻されることによって確かなもの(ときには異なるもの)になっていく。デジタル以降のカオス状態は、全てが繋がりあった私たちの記憶に似ている。重なり合ったのこのイメージのように、それは遠くに霞んで見える。そのカオスの中で謎を紐解くヒントを探し、聴こえてくる反響に耳をそばだてること。私たちができることは、周波数を合わせるようにノイズの中に一枚の風景を見つけ出し、何かを存在させることしかない。それは過去だろうか、未来だろうか。靄のように曖昧な向こう側にある、確かに存在を感じられる世界。「MERGE LANE」はその合流点なのかもしれない。

March 17th (Fri) 2017 ~ May 14th (Sun) 2017
http://ebm-t.org

2017-Mar-1713 Shares

ローマに拠点を置くサイケバンド、Rainbow Islandの描くフューチャリスティックなノスタルジー。アルバム収録曲のコンセプトを表現したAwe IXによる360度動画が公開。

サイケデリックな異次元への旅。そんなウリ文句はよくあるものだけど、Rainbow Islandの特異な点は、その絶妙なバランス感覚。饒舌に物語を描き出すシンセサウンドに、原始的なドラミングが交信し合う。その終わりのない探求により持ち帰られたダビーで神秘的なサウンドには、メビウスが描くバンド・デシネにも似たフューチャリスティックなノスタルジーの魅力が詰まっています。

そんな彼らの最新アルバム「Crystal Smerluvio Riddims」に収録された「Jiāng」の瞑想的な世界観を引き立てるのは、〈Quantum Natives〉のメンバー、Awe IXの制作した360度動画。曲のコンセプトを表現するために、タイトルであるJiāng(長江)を題材に制作されたそう。実写にコンピュターグラフィックスが溶け出した走馬灯のような奇妙な光景が目の前へ流れ出し、聴くものをこのサウンドの持つ催眠的な世界へと誘い込みます。Awe IXの独自の映像コラージュはより洗練された完成度で、見たことのないような映像の世界を作り出しています。

スマートフォンなど360度動画視聴可能な環境でぜひチェックを。

https://flyingkidsrecords.bandcamp.com/album/crystal-smerluvio-riddims

2017-Mar-1417 Shares

ロシアのシーンのキーパーソンbuttechnoが再来日。エレクトロニックミュージック・コレクティブIN HAによるイベントが3/17に開催。

IN HAはUltrafog、RaftoそしてMari Sakuraiをメンバーとするエレクトミュージック・コレクティブ。2014年の夏から、オルタナティブな音楽性を持ったアーティストたちを毎回紹介し、全てのアクトが同じ方向を見るのではなく、カオスと調和が共存しているようなイベントを開催してきた。

7回目となる今回のイベントには、昨年の来日公演も大盛況だったbuttechnoがなんと再来日。ファッションブランド・ゴーシャラプチンスキーの音楽を手がけ、近年注目されているロシアのシーンのキーパーソンである彼を、IN HAが迎えます。buttechnoのライブセットに加え、ROTTENLAVA、DJ Soybeans、JR Chapparo、Fedor Kortukov、IN HAからUltrafogとRaftoのユニットライブ、Mari Sakuraiが出演する。

なお、この日のbuttechnoのライブは24時からスタートになるので、早めの来場がお勧め。

下記のFacebookイベントページでの参加表明で、前売り価格での予約を受け付けているそう。是非今のアンダーグラウンドシーンの新鮮な響きを体験してみてはいかがでしょうか。

https://www.facebook.com/events/117125282151917/

IN HA #7 ft.buttechno @Forestlimit
3.17(fri) Open 23:00
adv/door ¥1,500/¥2,000 + 1drink

– Live
buttechno
ROTTENLAVA
Ultrafog + Rafto

– DJ
JR Chapparo
DJ Soybeans
Fedor Kortukov
Mari Sakurai

– Flyer Design
hakke

2017-Feb-2016 Shares

シンセサイザー+バイク=? LOOK MUM NO COMPUTERが作り出す改造楽器と偏愛的実験的シンセサウンド

エレクトロミュージックが好きな方なら大量の配線を抜き差しし、ツマミをグイグイと回して変則的な電子音を作り出すアーティストの動画を一度は見たことがあるのではないでしょうか。それは電子音をいちから制作できるモジュラーシンセというシンセサイザーの一種なのですが、一旦その説明は置いておきます。今回はそんなモジュラーシンセサイザーを自作し、パフォーマンスをインターネットで拡散しているLOOK MUM NO COMPUTERというアーティストについてご紹介したいと思います。

26歳の彼はイギリス在住で、Zibraというバンドでボーカルをしながら、シンセサイザーを自作して演奏し、そのプロセスをYoutubeで公開しています。今までもシンセサイザーの演奏動画は「弾いてみた」系のキーワードと共に公開されてきましたが、彼が特殊なのはシンセをまったく異なる領域のマシンと組み合わせている点です。

その例のひとつがシンセバイク。そう自転車です。彼は自転車のハンドルやトップチューブにモジュラーシンセを搭載、車輪にも手を加え速度によってテンポが変化するように改造しました。

SYNTH BIKE 2.0 SYNTHESISER LOOK MUM NO COMPUTER

シンセバイクの解説動画:Synth Bike – In Depth

1999年に発売され、日本でも爆発的な流行になったファービーも彼の手によればコンテンポラリーノイズマシーンに早変わり。(動画前半が解説、後半が演奏)

How to sync a circuit bent furby to a synth video

モジュラーシンセのドラムパターンに合わせて悲鳴のようなノイズを発するファービー。魔改造されたファービーの姿が少し衝撃的ですが、既存のオブジェクトの破壊によって新しい音楽が再構築されています。

また、彼はシンセサイザーと生ドラムの即興演奏動画も公開しています。モジュラーシンセと生ドラムのライブセットは、リアルタイムに変化する複雑なモジュラーシンセの音の波と重厚なリアルドラムサウンドによって私たちを楽しませてくれます。

Look Mum No Computer LIVE Modular Synth And Drums

彼のようにシンセサイザーやおもちゃの回線を自分で改造することを「Circuit Bent」と呼びます。Youtubeだと約8年前から数多くの魔改造レトロトイのCicuit bent動画を確認することができます。とくに彼が面白いのは冒頭にも述べたように、自転車やダーツボード、ソーラーパネルといったほかのマシンとシンセサイザーを融合し、改造のプロセスを公開している部分だと思います。

DARTBOARD SYNTH – PLAYING MUSIC WITH A DARTS?
(最終的に手でダーツボードを押していますが、そこはご愛敬)

モジュラーシンセを配線位置から設計して制作するギークな彼ですが、Zibraというバンドではキャッチーで明るいシンセサウンドを作り出しています。

Zibra – Wasted Days (Official Video)

LOOK MUM NO COMPUTERのYoutubeチャネル登録数は約4400(2017年2月18日)。実験的で偏愛的で時にトラッシュな彼の活動を通じてエレクトロミュージックの面白さと奥深さをぜひ感じてみてください。

LOOK MUM NO COMPUTER
Youtube https://www.youtube.com/channel/UCafxR2HWJRmMfSdyZXvZMTw
Facebook https://www.facebook.com/LOOKMUMNOCOMPUTER/?hc_ref=PAGES_TIMELINE

(Text: 小松塚悠太)

2017-Feb-1640 Shares

プラハの〈Genot Centre〉より、Dane Lawのアンビエント・ハウス作品「r.bit」を体感するフライトゲームが公開

アルゴリズムを用いた手法でエレクトロニック・ミュージックを制作してきたプロデューサーDane Lawの、アンビエント・ハウス作品がプラハのレーベル〈Genot Centre〉よりリリースされ、続いてアルバムの世界観に呼応したゲームがフリーDLで公開されました。

ゲームの世界観から感じられるのは、スピリチュアルな宇宙の探索、生命とテクノロジーの関係、古典的な「人工知能」といった90年代に流行したテーマ群。いまVRの登場で息を吹き返しつつありますが、それらは当時多くの人々が夢見ていたコンセプトにほかなりません。実は今回のプロジェクトは、実際に90年台に活躍したUKクラブミュージック界の重鎮であるWilliam Orbitの商業的なアンビエント・テクノからインスパイアされたものだそうです。

リバイバルをコンセプトにした作品とはいえ、現代的な感覚を通過したその音響は今も不思議と新鮮に響きます。クラブミュージック的な没入感と覚めたような感覚がレイヤーのように重なり、シンプルな構造の中にも奥行きを感じられる作品になっています。

楽曲があえてコンサバティブな世界を作り出している一方で、ゲームの重力のない新しい空間を作り出そうという態度は対照的です。ユーザーはこの惑星のシステムを模した上も下もなく、始まりも終わりもない箱庭的な環境を探索していかなくてはなりません。シフトキーを押すと前進(これがわからず、最初ちょっと苦戦しました)。最初は無音ですが、あることをすると「r.bit」の楽曲が次第に聴けるようになっていきます。

開発はReaper Death Seal Corporation。Mac、Windowsで動作可能。さらにOculus riftとも互換性があるとのこと。是非試してみてくださいね。

Dane Law, “r.bit”
https://genot.bandcamp.com/album/r-bit
Gameのダウンロードは以下。
http://genot.cz/rbitgame.htm