2017-Jul-2036 Shares

ASAKUSAにて開催中のグループ展「3DRIFTS」。ゲームというフォーマットが作り出す、現実と仮想のフィードバックループ。

ASAKUSAとFederica Buzziのキュレーションによるグループ展「3DRIFTS」は Serafín Álvarez、Lawrence Lek、ゲーム開発スタジオThe Chinese Roomの3者がゲームの技術を用いて制作した作品を展示する、現在開催中(2017.7.10-8.7)のグループ展です。

3つのインタラクティブ映像からなる展示は、3Dの空間の中を彷徨いながら探検し、さまざまな形で生起するナラティブを体験していく形式が採用されています。本来遊びのために作られてきた技術を新たな芸術体験のために転用するこの試みで、制作者たちはゲームのなかにある風景や建築という現実と似た架空の世界とナラティブを結びつけます。鑑賞者はそれにより生起してくるさまざまな感覚に触れることになります。

展示場に置かれていた解説では、メディア理論家マッケンジー・ウォークの著書「ユートピア・リアリズム」のテキストに言及しながら、「すでに現実味を失った世界において、ゲーム空間があまりにも現実的に立ち現れるとき、その仮想領域が現実に影響を与えるゲーム空間は、架空の現実の認識にフィードバックの連鎖を作り出していえるといえるでしょう」と述べています。

ゲームのなかにある風景が、現実よりも強い印象を残すということはよくあることかもしれません。現実の出来事と、ゲームの中の出来事が等価になるとき、現実と仮想というふたつの世界は主従の関係を捨て、互いに記憶を通じて重なり合う奇妙な状態を作り出します。そのことで思い出すのがアーティストのJon Rafmanがインタビューでゲーム「Skyrim」について触れた次の発言です。

「将来、ヴァーチャルとリアルの差はなくなっていくだろう。実際、次世代はその二分法を理解するのはまったく困難となるかもしれない。(中略)例えば僕は、美しい夕日を見ると、よくSkyrimの夕日のことを思い出す。振り返るとそれはほんとうにすごい感覚つまり既にデジタル環境で経験した何かに遭遇することからくる既視感なんだ。」(032c

思い出すら架空の世界に紐付けられるこの時代に、ゲームという空間は現実とフィクションをよりうまく架橋する存在になりつつあるのかもしれません。現実から虚構へ、そして虚構から現実へというフィードバックループが生み出されているこの状態を活用し、その狭間のような空間でどのような表現が行われうるか、という問題提起はとても興味深いと思います。

特に、プレイステーション1のようなざらざらとした質感で形作られた荒涼とした海辺や洞窟を、ときおり挿入される断片的なナラティブを手がかりに探検する「Dear Esther」の思索的な世界は、2012年とすこし以前の作品ですがじっくりと鑑賞してほしい作品だと思いました。展示は8.7まで行われていますので是非訪れてみてはいかがでしょうか。

3Drifts
Serafín Álvarez, Lawrence Lek, The Chinese Room
12:00 – 19:00, 10 July – 7 August, 2017 *Open Sat. Sun. Mon.
Opening Reception: 17:00 – 20:00, Sunday 9 July, 2017
Curated by Asakusa and Federica Buzzi

Asakusa http://www.asakusa-o.com

Serafín Álvarez http://serafinalvarez.net
Lawrence Lek http://lawrencelek.com
The Chinese Room http://www.thechineseroom.co.uk


Courtesy Serafín Alvarez, Lawrence Lek, The Chinese Room, and Asakusa.
All installation views: Takashi Osaka Photography.

2017-Apr-0869 Shares

個展「超・いま・ここ」で辿る谷口暁彦の制作の軌跡。出来事の関連が作り出す、予言的な何ものか。

CALM & PUNK GALLERYで開催中(2017年4月8日〜23日)の「超・いま・ここ」は、2007年のICCでの出展以来、谷口暁彦がこの10年間に作り出してきた作品を並べ、そこに共通する問題を浮かび上がらせるという展示。変化の激しいこの領域で10年というとかなり長期間に思えるが、それを一堂に会すことで作家自身の思考の変遷を感じられるとても興味深い内容になっている。

今回の展示では、作家自身が作品について言語化するという趣旨がうたわれており、そのためか会場の中心には作品解説の掲載されたポスターが置かれている。解説ポスターには、会場にやって来る観客の過去の体験が描かれた絵画のような予言的な絵画を描きたいと発言する友人のエピソードが登場する。そして予言の本質的な前提として、双方の出来事が「似ている」ことに触れ、その類似によって「時間的な隔たりを、無時間的に短絡しあう」と指摘している。

本来は無関係な出来事同士が時間を超えて結びつくという跳躍は、谷口の作品の驚きの構造のとても明確な説明となっている。けれども個々の作品を眺めていると、谷口は結びつけるというより、接続されている状態と接続されていない状態の、不安定な中間を揺れ動いているようにも思える。そこにある余白は、彼の作品のひとつの特徴ともなっている。

経験する出来事はただ生起して消えていく。ときおりそれが、連続したシーケンスとして何かに関連付けられ、意識の上にぼってくるだけである。意識の隙間に消えた出来事が、新しく別ななにかに関係付けられるとき、それが新しい姿をまとい、予言的な何ものかとして現れるのかもしれない。しかしその出来事と出来事の結びつきの間の手前にある余白には、また別の純粋な状態が存在しているように思える。谷口の作品の中にどこか詩的な感触があるのは、そのためかもしれない。


会期:4月8日(土)〜4月23日(日)
※4月7日19時より、オープニングレセプションを開催致します。
開場時間 :12:00 – 19:00
※休廊日:日曜日、月曜日 /4 月 23 日 (日) のみ開廊
トークイベント:4月15日(土)17:00-18:30
ゲスト Houxo Que, 永田 康祐
入場:無料
会場:CALM & PUNK GALLERY
東京都港区西麻布 1-15-15 浅井ビル 1F 
http://calmandpunk.com/

2017-Mar-2184 Shares

今度の主人公は世界に存在する「あらゆるもの」。David OReillyの新しいゲームは、その名も「Everything」。

CGを用いた詩的な映像を作り出すクリエイター、David OReilly。映画「Her」で架空のゲームを提供し世界から注目を浴びたことも記憶に新しい彼が、新作ゲームを本日公開しました。iOSでリリースされた前作「Mountain」は「山」を主人公にしたシミュレーションゲームでしたが、「Everything」はそのコンセプトをさらに進化させた、まったく新しい形のゲームです。

トレーラーを確認すると、ユーザーが生き物を操作しています。その動きはかなり独特です。だけど興味深いのはそれだけではありません。このゲームで重要なことは、世界を探検しながら出会うもの全てに憑依できるということです。動物だけでなく、植物にも、そして無機物にも、最終的には銀河そのものにだってなることができます。

映像の後半はかなりすごいことになっています。「Mountain」で作り上げられた瞑想的なアンビエンスと、その奥にあるパーソナルな感触、そして笑いの中に垣間見える深淵のようなもの。David OReillyの作り出す全く新しいゲームの芸術がどのように進化しているのか、今から体験することが楽しみでなりません。

3/21にPS4ストア(USA、UK、Ireland、Germany、France)より、4/21にはSteamからリリースとなります。日本のユーザーは該当国のユーザを新しく作ってインストールするか、Steam版を待つしかなさそうですね…。

http://delicate-vacuum.com
http://www.davidoreilly.com

2017-Mar-1927 Shares

靄がかった世界との合流点。オンライン視聴室EBM(T)のIssue: 015は、$3.33 / Celia Hollanderによる作品「MERGE LANE」。

オンライン視聴室EBM(T)のIssue: 015が公開された。今回フィーチャーされたのはCelia Hollander、別名$3.33という、ロスアンゼルスを拠点にレコーディングや作曲、サウンドインスタレーション、テキストなどを用いた幅広い活動を展開するアーティスト・作曲家。

サイトを訪れてまず目にするのは、写真がレイヤー状に薄く重なねられた映像的なコラージュ作品。そのイメージに関連すると思われる出来事を綴ったテキスト。そして再生ボタンを押すと、公共の室内プールに沈められたグランドピアノで即興演奏された(?)という独特の音響が穏やかにオンラインの空間に広がっていく。

Celia Hollanderのサウンドには、何かの輪郭を探しているような手探りの感覚がある。テキストに書かれていることは、音の解説ではなく、音が別なものに結びつくという体験である。それはとても私的な体験である。

記憶は反芻されることによって確かなもの(ときには異なるもの)になっていく。デジタル以降のカオス状態は、全てが繋がりあった私たちの記憶に似ている。重なり合ったのこのイメージのように、それは遠くに霞んで見える。そのカオスの中で謎を紐解くヒントを探し、聴こえてくる反響に耳をそばだてること。私たちができることは、周波数を合わせるようにノイズの中に一枚の風景を見つけ出し、何かを存在させることしかない。それは過去だろうか、未来だろうか。靄のように曖昧な向こう側にある、確かに存在を感じられる世界。「MERGE LANE」はその合流点なのかもしれない。

March 17th (Fri) 2017 ~ May 14th (Sun) 2017
http://ebm-t.org

2017-Mar-1797 Shares

ローマに拠点を置くサイケバンド、Rainbow Islandの描くフューチャリスティックなノスタルジー。アルバム収録曲のコンセプトを表現したAwe IXによる360度動画が公開。

サイケデリックな異次元への旅。そんなウリ文句はよくあるものだけど、Rainbow Islandの特異な点は、その絶妙なバランス感覚。饒舌に物語を描き出すシンセサウンドに、原始的なドラミングが交信し合う。その終わりのない探求により持ち帰られたダビーで神秘的なサウンドには、メビウスが描くバンド・デシネにも似たフューチャリスティックなノスタルジーの魅力が詰まっています。

そんな彼らの最新アルバム「Crystal Smerluvio Riddims」に収録された「Jiāng」の瞑想的な世界観を引き立てるのは、〈Quantum Natives〉のメンバー、Awe IXの制作した360度動画。曲のコンセプトを表現するために、タイトルであるJiāng(長江)を題材に制作されたそう。実写にコンピュターグラフィックスが溶け出した走馬灯のような奇妙な光景が目の前へ流れ出し、聴くものをこのサウンドの持つ催眠的な世界へと誘い込みます。Awe IXの独自の映像コラージュはより洗練された完成度で、見たことのないような映像の世界を作り出しています。

スマートフォンなど360度動画視聴可能な環境でぜひチェックを。

https://flyingkidsrecords.bandcamp.com/album/crystal-smerluvio-riddims

2017-Mar-1418 Shares

ロシアのシーンのキーパーソンbuttechnoが再来日。エレクトロニックミュージック・コレクティブIN HAによるイベントが3/17に開催。

IN HAはUltrafog、RaftoそしてMari Sakuraiをメンバーとするエレクトミュージック・コレクティブ。2014年の夏から、オルタナティブな音楽性を持ったアーティストたちを毎回紹介し、全てのアクトが同じ方向を見るのではなく、カオスと調和が共存しているようなイベントを開催してきた。

7回目となる今回のイベントには、昨年の来日公演も大盛況だったbuttechnoがなんと再来日。ファッションブランド・ゴーシャラプチンスキーの音楽を手がけ、近年注目されているロシアのシーンのキーパーソンである彼を、IN HAが迎えます。buttechnoのライブセットに加え、ROTTENLAVA、DJ Soybeans、JR Chapparo、Fedor Kortukov、IN HAからUltrafogとRaftoのユニットライブ、Mari Sakuraiが出演する。

なお、この日のbuttechnoのライブは24時からスタートになるので、早めの来場がお勧め。

下記のFacebookイベントページでの参加表明で、前売り価格での予約を受け付けているそう。是非今のアンダーグラウンドシーンの新鮮な響きを体験してみてはいかがでしょうか。

https://www.facebook.com/events/117125282151917/

IN HA #7 ft.buttechno @Forestlimit
3.17(fri) Open 23:00
adv/door ¥1,500/¥2,000 + 1drink

– Live
buttechno
ROTTENLAVA
Ultrafog + Rafto

– DJ
JR Chapparo
DJ Soybeans
Fedor Kortukov
Mari Sakurai

– Flyer Design
hakke