彼がInternet flushと呼ぶ、スクリーンを流れる大量の情報を断続的に摂取し続けるライフスタイルが作り出す見方から、コンピュータグラフィクスやゲームのテクノロジーを用た観客の新しい応答性を探る幅広い作品を作り出すロサンゼルス在住のアーティスト、Theo Triantafyllidis。観客をアーティスト自身への体内へと導くVR作品や、オブジェクトがヴィジュアルによるギャグを無限に生成し続けるシミュレーション絵画作品など、荒唐無稽なアイデアが表現される一方で、そのスタイルはポップでどこかユーモラスな感触を湛えている。ゲームの文化や新しいテクノロジーと伝統的な芸術の領域が融合されたその作品には、人間とテクノロジーの間に奇妙で、新鮮な対話が生み出される可能性がさまざまな形で表現されている。Eva Papamargaritiとの新作、「Obscene Creatures、Resilient Terrains」を発表中の彼に話を聞いた。

いろいろな国で暮らしているようですが、あなたの歴史について教えていただけますか?

僕はギリシアのアテネ出身で、アテネ工科大学で建築学を卒業した。在学中、実験的な建築と面白い空間条件を作り出す可能性に興味を持ったんだ。卒業して北京に移り、建築家として働いたよ。 当時、インターネット上でアートを作っているコミュニティーのアーティストたちと出会って、そこから少しずつ制作を始めた。その時に、プロの建築家として向かないと気づいて、アーティストになることにしたんだ。北京でいくつかの作品展をした後、ロサンゼルスに移り、やりたいことを学ぶための最高の場所だと思ってカリフォルニア大学ロサンゼルス校のDesign Media Arts MFAで勉強したんだ。昨年の夏卒業して、現在もロサンゼルスに拠点を置いている。

建築の考え方は現在の作品に影響していますか?

もちろんアーティストとしてすごく影響を受けているし、基礎になってる。しばらくの間、建築家としての合理的で構造化された方法を避けようとしていたんだけど、最近、VRで作成する時に学んだ建築に関することがとても有用なことに気がついたんだ。VRでの作業の重要な部分は、没入型の環境と面白い空間体験を作り出すこと。そして、これが一番楽しい部分なんだ。

How to Everything, 2016
Theo Triantafyllidis
Screen piece, custom software, live simulation.
HD Projector, gaming PC

「How To Everything」はライブシュミレーション作品とのことですが、どのようなアルゴリズムで作られているのでしょうか?

それはナンセンスを作るためのアルゴリズムなんだ。空っぽの場面をつくって、いくつかのオブジェクトを住まわせ、その物体を構成に整列させようとして、それで物体の動きを繰り返し実行するんだ。次の場面へ移動する時、いくつかのオブジェは破壊されて、新しい物体が導入される。よく観客は映画の場面のカットと同じように、場面場面の繋がりを描こうとするけれど、繋がりは必ずしもあるとは限らない。それは永遠に生成されるハウツー基礎ビデオみたいなものだ。

この作品ではヴァニタス(寓意的な静物画)というキーワードが挙げられています。あなたはこの作品によって絵画の歴史とデジタルな表現を繋げようとしているのでしょうか?

特にデジタルアーティストたちには、アートの魅力的な歴史はインスピレーションの大元になっていると分かったんだ。芸術が歴史の中でどのように社会で特定の機能を果たしていたか、そしてどのようにこれが歴史と技術の発展に関わってきたのか興味を持っている。絵画の歴史については、絵画や物の二次元性のなかで知覚される表面の概念に興味がある。僕にとって2次元の方は難しくて、3次元と彫刻形式での制作の方がすごく作業がしやすいんだ。スクリーン上の表面は絵画にとてもよく似ていて、これは僕がこの作品で探求していたテーマの1つだよ。3次元を2次元に感じるものに圧縮しようとして、空間を表面に圧縮しようとした。もし、”How to Everything” とヴァニタスの関係について興味があるなら、ここに詳細があるよ。

実際の彫刻なども作っていますが、デジタルのときと制作の姿勢は変わりますか?

デジタルと物体との境界線を繰り返しシームレスにする作業が本当に好きなんだ。僕の最近の作品で“Mountain”というのがあるんだけど、その中で3Dスキャンされたセラミックの物体をゲームエンジンに入れた。ゲームエンジンからもらったアイデアをセラミックの物体に付け加えた。だから僕にとってそれは、フィジカルな物とデジタルな物の間で続いている対話なんだ。その2つが衝突して、合体する瞬間が好き。最近、スタジオを構えようとしていて、作業台や大きな道具などを揃えようとしていたんだけど、Vive VRヘッドセットを揃えてスタジオはほぼ空っぽの空間にしたから、 結局のところこれは“デジタルな空間”だね。


World Atlas, 2016
Theo Triantafyllidis
Found objects, acrylic paint, metal pins
Dimensions: 60×60″

Serving Suggestion, 2014
Theo Triantafyllidis
ceramics, mixed media casts, table, dinnerware

アートとゲームという2つの領域にまたがった作品を作ることに、どのような可能性を感じますか?

ビデオゲームはアーティストがほとんど探究してない比較的新しいメディアだけど、とても刺激的な分野だ。初期の頃の作品では、ゲーム部分を観客ための一種の引っ掛け(罠)として使っていた。いくつかゲーム要素がある時に、人々が時間をかけて探求し、細部までよく見ていることに気がついたんだ。彼らは何度も何度もゲームをしてハマってやめられなくなてっるのに、アートギャラリーの中では作品を数秒間見て、そのギャラリーから出て行ってしまうという具合だった。今はゲームにもっと面白いことがあるとわかっているから、近い将来より複雑なゲームを開発することに興味を持ってる。Adult Swimから依頼されて、”Gecko Redemption“というオンラインマルチプレイヤーブラウザゲームを友人のAlex Rickettと一緒にリリースしたばかりだよ。ペトペト動き回るヤモリで、口から物を出したり、レーザーを撃ったり、なんにでも登ったりすることが出来たりする対戦型のスポーツゲーム。僕の“ちゃんとした”ゲームといえる最初の作品なんだ。

DiMoDaのために作られたあなたの新しい作品、Self Portrait (Interior)も体験しました。今回はどうして「自分自身」を素材として扱ったのでしょうか?

より多くの人々を関連する表現手段として自分自身を使ったんだ。自画像のフォーマットはアーティストがキャンバスとして自分の考えや疑問を世界に伝えることを可能にするため、芸術ではごく一般的なツール。VRの自画像を作ることは、観客との距離をさらに近づけてくれるから探検する価値があるように思えたんだ。このプロジェクトで一番面白かったのは、人が遊んでる風景を撮影した投稿した映像を目にしたこと。それを公開した数日後(ちょうどそれをitch.ioに投稿した)、どういう訳かユーチューバーの取り上げられたんだ。 この映像に本当に驚いちゃったよ。 この作品は、まさにとてもパーソナルなものだったので、人々がオンラインで遊んで、コメントを書いているのを見た時には、僕は実際に僕たちがメタカンバーセーション(メタ会話)をしているように思ったよ。

Self Portrait (Interior), 2016
Theo Triantafyllidis
virtual reality experience
VR Headset, software, gaming PC

インターネットとアートについてのテクスト「internet flush」もとても興味深かったです。あなた自身はインターネットの中毒ですか? またインターネットの文化から作品へのフィードバックされているものはありますか?

そう。あのテキストで説明している “internet flush” という感覚は、多くの作業の原動力なんだ。芸術作品を刺激するこのインターネットの流れのサイクルは、その流れにフィードバックされるよりも、今ではアーティストたちや評論家たちによって広く探求されてる。近頃は、僕はデドックスする段階へ進んでいる。今、いくつかの新しい作品に取り組んでいる最中だよ。”Obscene Creatures、Resilient Terrains“展のための新しいライブシミュレーション作品、スクロールランドスケープを、ロンドンのAssembly PointでEva Papamargaritiといっしょに行ってる。また、ドイツのNRW Forumでは、VRグループ展の“Unreal” では、新しいVR作品を展示してて、ある人がヘッドセットを取ると、VRを過剰摂取している砂漠のシーンという設定なんだ。僕はVRにハマってしまったみたいだよ。

Theo Triantafyllidis
http://slimetech.org