一人称型のパズルゲーム「Desolus」で体験する、引き裂かれた次元の旅。

「Desolus」は異なる次元に引き裂かれたシュールレアリスムのような世界を探検する、一人称型のパズルゲーム。完全なジオメトリとシンメトリーをテーマに、天文学、シュルレアリスム、数学の芸術にインスピレーションを受けた息を呑むような美しい世界観が特徴です。

開発したのは、プログラマーのMark Mayers。2014年の大学時代から「Desolus」の開発をスタートし、現在はMITで人工知能の研究をしているそう。

ゲームの内容は、謎の災害により、破壊された現実を探検しながら、ブラックホールでエネルギーを操作して、スペースを曲げ、時間を逆転させ、次元間を移動していくというもの。解説だけ読んでいると、一人称型のパズルゲームの名作「Portal」を思い起こさせます。

現在の開発はアルファ段階にあり、リリースの予定は本年とのこと。PCあるいは、Oculus Rift、HTC VineといったVR装置で体験可能とのこと。はやくこの「Desolus」の世界を、じっくりと味わいたいです。

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日本の豊穣な地下シーンを50組のアーティストと楽曲で振り返る。50 Japanese track maker / musician 2017。#1-25

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2017年はみなさんにとってどんな年でしたか? ふつふつと沸騰する日本の地下音楽シーンは、その土台を着実に固め、今年も数多くの素晴らしい作品を生み出しました。特に印象的だったのは、オンラインを経由したアンダーグラウンドの拡張を実際に体験する機会が多くあったこと。Infraフェスティバルの新世代クラブや、日本のアーティストと縁の深い〈angoisse〉のショーケース、そして150回目を迎えたK/A/T/O MASSACREなど、このシーンにいる多くの人々の情熱が結晶化したイベントを多く体験できた年でもありました。

またフィジカルリリースも多かった印象があります。日本からは、〈CNDMM〉の限定7インチシングルのコンセプトを感じるリリースの手法が印象に残りました。またミックスをアーカイブするプロジェクトGrey Matter Archivesや、Dirty Dirtさんと舘脇悠介さんのマンスリートークイベント”Buy Nowers Club”など、ゆっくりとだけど、さまざまな方向であたらしい何かが始まりをみせています。

ぼくらといえばやはり紙の雑誌を出すことができず、あまり沢山の人々を紹介できなかったことを悔んでいます。その代わりといってなんですが、この年の最後に今年よかったリリースのリストを作りました。ぼんやりとですが、そのうちMASSAGEでもなにか音源をリリースしてみたいとも思っています。

それでは今年の50です。順位が付けられないので、アルファベット順に並べてみました。

Ak. – uuuurrrraaaauuuunnnnyyyy

Snow Contemporaryでおこなわれたuraunyの展覧会の一部として構成された、ハードでダーティな6曲。uraunyと彼が集めたアーティストたちによって作られたこの展示は、普段意識に上らない禁忌を作品を介して体験するものだった。わたしたちはネットを介して、人々の欲望に毎日素手で触れている。集合的な欲望の痕跡は、加工された画像、文字、音のなかに見つけられる。切り刻まれ、捻じ曲げられたその残骸は、私たちの欲望が通過した軌跡であり、同時に自分自身が存在した証明なのだ。(S)

Aki Tsuyuko – Empty talk

もともとは2016年にリリースされていた自主制作CDが、LPとなって今年再び発売。生ピアノとキーボードから溢れでる音群たちは、偶然に交差しては互いを照らし合わせ、曇りは白に変わり、やがて透明となって消滅する、かのようにみえるが、じつはそこにいる。「ある」と「ない」の余白にじっと耳をすませば、かすかな息吹や震えにも似た、気配を感じることができるはずだ。イラストレーター松井一平氏によるジャケットからも、アルバムに潜む気配が共通して漂っており素晴らしい。(T)

Alma – イノセント・スキン

「救済」というより、「変容」のような感覚。その瞬間を目の当たりにできるライブはスペシャルだし、彼女の作品を買う行為にもやっぱり特別な意味が存在している。受注生産で作られるという「イノセント・スキン」は、カードを付属のHOLY WATERで浸すと浮かび上がったコードでデータのロックを解除できるというもの。USBには、作品のバックグラウンドになったストーリーが入っている。(S)

Asuna – Mille Drops

金沢在住、国内/外で活躍するサウンド・アーティストASUNAの、3曲入りの新作。フランスを拠点に活動するレーベルRECITから発表されたこの作品は「水や雨、水滴や波紋」をテーマとしながら、彼の作曲に一貫してみられる音の「発生」と「持続」を、より広義の意味と手法で捉え直したものといえる。アルバムタイトル曲である『Mille Drops』の、細かく砕かれた、断続的な音の粒子が集合体となって、大きなうねりを伴った波形を生み出す様子は、一滴の雫が結合して水溜を作るかの如く、滑らかで流動的な運動を描き出す。発生と減衰という音の自然的な現象が幾多にも重ね合いながら、全てはひとつのまとまりへと収斂していく。(T)

bonnounomukuro – HerbLessDUB

神戸を拠点に活動するbonnounomukuroのライブセットを〈New Masterpiece〉が音源化したもの。この世界のどこかに人知れず存在する音楽。偏在するその密やかな痕跡を耳をそばだてるようにしてわたしたちは聴く。繊細なテクスチャーにはさまざまな国を旅するような感覚があって、世界の裏側を覗いているような気持ちになる。(S)

ブギーアイドル – 音楽より遠く

過去に遡って、きらびやかで美しい日常にそっと触れる。クリアな音質、スムーズで心地よいムード、全てのディテールで破綻がない。楽天的で希望に溢れた資本主義の価値観も、今は夢と消えた。そんな幻となった希望や憧れ、都市のきらめきがくっきりとした輪郭で立ち上がる完璧なフューチャーファンク。(S)

Cemetery – Vessels

CONDOMINIMUMの主催者でもあるKota WatanabeのソロプロジェクトCemeteryの作品。柔らかくきらびやかな表情を持つメロディが、ゆっくりと揺れ動く光景を描き出すA面。そしてB面には、希望を描くように飛翔感のある旋律に心地よいドラムパートがフィーチャーされ、聴くものを幻想的な霧がかったサウンドの世界に引きずり込む。アンビエントをポップな感覚で昇華した、まさに今の感覚を持った作品。(S)

CRZKNY – MERIDIAN

広島の鬼才CRZKNYによる3枚目の3枚組アルバム。まるで大地を通して鳴っているような、重低音。再生する環境そのものが問われているような、極限に振り切れたその音はちょっと聴いたことがないバランス。遅れてやってくるようなテクノライクな質感のリズムは、その響きでありとあらゆるものを振動させる。(S)

CVN – XXXII

Nobuyuki SakumaことCVNによる2020年の東京オリンピックにインスパイアされたという作品。金属的な電子音響が、切り刻まれて破片となり、さまざまな質感を持つ抽象的な形を作り出す。音楽と音との間をチューニングされながら行き来するように、作り出された音の連なりが、ときに凶暴に、ときに優しく、不定形で歪な電気的グルーブを作り出していく。東京から拠点を移したCVNは、さまざまなアーティストのミックスをリリースするGrey Matter Archives も開始。独特のグラフィックにも素晴らしいセンスを発揮している。(S)

dagshenma – EDIROL

むき出しになったデジタルなテクスチャーの感触が嵐のように吹き荒れる。即興的につくられるエレクトロニックな彫刻みたいに、それはいまだ聴いたことのない新しい音の姿を次々と表出させる。これは可能性としての音楽なのかもしれない。抽象絵画のように、その孤立した存在感を楽しみたい。(S)

dok-s project – Daily Sound Collection

Orange Milk〉から日本人の作品が出るたび、自分の知らない音楽家がまだまだ日本にいるのだと驚かされるのだけど、dok-s projectもそんな感じで知ったうちの一人。このテープが届いたのが、東京在住最後の日だったとツイートしてたから、今はきっと東京ではないどこかで活動をしているのかもしれない。複雑な構造とリズムをまとってはいるけれど、どこかアナログ的な柔らかさも兼ね備えている。手を伸ばしたら届きそうなスケール感の幸福に、ほんの少しの切なさを漂わせた傑作。もっともっとたくさんの作品を聴いてみたいアーティスト。(S)

emamouse – Build a parallax

ゲームのBGMのような疾走感のあるインストルメンタルと、おなじみの不思議な歌詞とボーカルで構成されたアルバム。続々と打ち出されるシンセが作り出す独特のメロディには、過去でも未来でもあるようなどこか懐かしい感覚が宿る。皮膚という設定のマスクを被って行うパフォーマンス含めて、その背後でシュールで強固な世界観を作り出している。漫画のリリースや映像の発表なども、精力的に行っている。(S)

Enitokwa – o.n.s.a.

京都の老舗茶門屋「宇治香園」共同でのリリースとなる今作品は、茶園で録音されたフィールドレコーディング音や、実際に茶が器に注がれるまでの具体音といった生の音に、電子音やピアノが精密に配置されミックスされた、ドキュメンタリー手法がとられている。しかしそこには「記録」としての一面だけではなく、日常的時間と音楽的時間が互いを含有し、同調しあって、また別のひとつの姿が顕れている。「生活」という現実の次元、「音楽」という想像の次元、それぞれの境界が融和した、稀有な一枚。(T)

Former_Airline – The Discreet Charm of the Ghostmodern World

Former_Airlineの7番目のアルバム。冷たく研ぎ澄まされたミニマルなトラックと、幽玄的なノイズの配合が、不思議なハーモニーを奏でる。バリエーション豊かな音色が、独特のストイックさでゆっくりと重ねられていき、独特のダビーな音像を作り出していく。抽象的だけど、どこかユーモラスな構えもあって、とてもバランスがよい。レコードで聴いてみたい。(S)

日本の豊穣な地下シーンを50組のアーティストと楽曲で振り返る。50 Japanese track maker / musician 2017。#26-50

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日本の豊穣な地下シーンを50組のアーティストと楽曲で振り返る。50 Japanese track maker / musician 2017。#26-50

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GOODMOODGOKU & 荒井優作 – 色

goodmood gokuと荒井優作による耽美的かつ冷めたプロダクションが描く世界では、たとえば24時間という1日の単位は引き伸ばされ、「俺とステキな女の子たち」とのエピソードやある種の夢がつながっていく。ここで鳴っているのは現在進行形のヒップホップ・R&Bだが、それがラップとともに総体として心象風景を描いたり時間旅行へ誘うような詩でもある。ぶっ飛ばしてくれるものは大抵、スイートであり抵抗なぞする余地もない。(N)

H.TAKAHASHI – Raum

Where To Now?〉からリリースされたフルレングスLP。iPhoneを用いたという作曲方法は、ギミックではなく、場所の制約なく音楽制作をするため編み出された方法だそう。アンビエントというキーワードがますます注目されるようになった本年だが、高橋は吉村弘から芦川聡などの日本のミニマリストの作品から、エリック・サティにジョン・ケージ、ブライアン・イーノ、レデリウスなど、アンビエント・ミュージックの歴史をの流れを再び遡り、現代的な解釈によりあたらしいサウンドを作り出した。電子的パルスの響きが幻想的な模様を波紋のように放出し、聴くものの身体をやわらかな音の絨毯で包み込む。空間的なその感性は、建築家という職業に由来しているのだろうか。稀有な美しさを持った作品。(S)

長谷川白紙 – アイフォーン・シックス・プラス

〈Maltine Records〉より、iPhoneに関する叙事詩をテーマに描いたという長谷川白紙「アイフォーン・シックス・プラス」。高速で打ち出されるジャズのリズムが、複雑な和音と歌声に絡み合う。躁的なハイパーさのある楽曲にも、全体としてはどこか柔らかく、軽くポップな印象。歌詞があまり聴き取れないのだけど、奇妙な詩情ただよう歌がとてもよい。ジャケットはアーティストの山形一生が手掛けた。(S)

Iku Sakan – Prism In Us All

大阪出身、現在はベルリン在住の、アーティスト/DJであるIku Sakanの初のLP。同じく今年マンチェスターの「Natural Sciences」からリリースされたカセット作品『Human Wave Music』にも通ずるが、まさにタイトル通り、光がプリズムを通して、屈折し反射しあうかのように、反響音の強いパーカッションときらびやかな音たちが飛んでは跳ね返り、リズミカルに多面体を描き出す。抑制の効いた音作りでありながら、角度を変えれば無限に色彩を変化させるかのように、聴く度に新しい発見と、移ろいの美観をあたえてくれる。(T)

Jobanshi – Koko

〈Bedlam Tapes〉よりリリースされた本作は、エレクトロニックな音響のなかに自然音が融合されたアンビエント・アルバム。揺らめきのような繊細な響きが、聴くものを淡く和やかな幸福感で包み込む。子供時代に見た風景を表現したという、どこかファンタスティックな感じのする音響など全体を通して、とても和やかで優しい。本作の予告ビデオのナレーションは、本サイトで連載を持つ捨てアカ氏が担当したとのこと。(S)

Jun Kamoda – The Distorted Haunted Ballroom EP

イルリメや(((さらうんど)))のメンバーとして知られる鴨田潤の、ラップ同様にトラックメイカーとしての才気のほとばしりが感じられる作品。不規則に連打されるトランペットと打楽器がうねるように複雑なリズムを作り出し、聴くものをレイブ的な熱狂へと引きずり込む「Body&Soul」、短く刻まれたシンプルな反復ビートがゲットーな楽しさを放出する「(((BYE)))」、エコーの掛かったボーカルサンプルがジャングルのような幻想的な色彩を描く「Dopey Forests」と、バラエティに富んだ3曲が収録されたEP。(S)

角銅真実 – 時間の上に夢が飛んでいる

様々な場所への楽曲提供・演奏を行い、バンドceroのサポートメンバーとしても活躍する、打楽器奏者/作曲家である角銅真実初のソロアルバム。各パート間の絶妙なバランスもだが、自由自在に伸びては縮み、あちらこちらへと飛んでいくかのような楽曲の軽妙さと、彼女の歌声がとても楽しい。その身軽さは、形自体は明瞭でありつつ、夢と現を行き来するかのように不安定で止まりをもたず、聞こえてくる全ての音が本当でも嘘でも、どちらでも信じてしまえるような気持ちになる。形容が難しいのですが、こちらのインタビューを是非読んでみてください。(T)

Kazumichi Komatsu – Aggressively Unedited

京都をベースに活動するアーティスト・音楽家MadeggことKazumichi Komatsuの〈angoisse〉からのリリース。こちらは笹塚ボウルにて行われた”Bower Room R1″でAbleton LivとPure Dataを用いて行われた24分のライブ音源。絞り出されるように積み重ねられていく音の雲に、高音域のフラグメントが積み重なねられ、柔らかく抽象的な形を描く。目的もなく、感情もない、知らない国の映像を眺めているような、実在の希薄さ。曖昧で形をとらない思念のように、それらは現れては消えていく。(S)

koeosaeme – Sonorant

koeosaemeはRyu Yoshizawaが2014年にスタートしたプロジェクト。高橋幸宏率いるサウンドクリエーター集団、OFFICE INTENZIOに所属していたり、キャリアのあるアーティスト。〈Orange Milk〉よりリリースされた本作の内容は、音の粒子が自由自在に飛び回る華やかな電子音楽。切り刻まれた電子音、歪んだボーカル、メロディやリズムが渾然一体となった複雑性の中に、カオティックな美がときおり顔を覗かせる。独特のグルーブ感が特徴で、静と動のような激しい陰影のある作品。(S)

Laxenanchaos – Mental Akses

覆面ブレイクコアアーティストのLaxenanchaosの初のカセットテープによるソロ・リリース。微分法的に刻まれていくビートが、シンプルな音色と次第に交錯し、波のうねりのようなゆらぎを作り出していく。打ち鳴らされる高速ドラムは全体を通して抑えた調子で、どちらかというとその電子的な残響のほうが耳に残る。強靭なビートの奥に、儚さも感じさせる作品。(S)

Le Makeup – Hyper Earthy

レッドブル主催の音楽フェスティバル「AT THE CORNER」にも出演を果たしたLe Makeupの新作。特徴である歪んだ電子音に、アコースティックな味わい。織りなされるさまざまな音の表情は、楽曲全体として柔らかな印象を形作っている。繊細ともいえるタッチには、どこかエモーショナルで個人的な感触がある。写真のように瞬間の気分を書きた止めたスケッチのような楽曲。定式化されたダンスミュージックの退屈を吹き飛ばすのは、こういう個人的な視線なのかもしれない。(S)

LSTNGT – Holy Machine

巨大なビル群の合間を、光の軌跡が高速で過ぎ去っていく。SF小説の表紙に描かれているような未来都市のビジョンにピッタリのサウンドトラック。トランシーでエモーショナルなそのサウンドから立ち上がるニュアンスはとてもはっきりしているのに、イマジネーションを喚起する余白もある。蛍光管を用いたライブもめちゃくちゃかっこよい。(S)

Masahiro takahashi – でんでん虫の殻の中の音楽

アーティストのユニス・ルックの展示『Music of inside the snail’s shel でんでん虫の殻の中』に合わせて制作された音源が、カセットとなってリリース。アコースティックと電子音、環境音が交わりながら、適度な湿度と空気を含んだ、ゆったりとした味わい。想像上の生態系の中で、有象無象の生物や植物たちが、各々のざわめきと共に協演しているかようでもあり、聞き手によって異なるイマジネーションとスケープが膨らむであろう、有機的なアンビエント・ミュージック。(T)

メトロノリ – 湖に行って!

一曲だけのシングルだけど、これといった派手な出来事はなにも起こらない。だけど、しびれのような、かすかな存在の感覚だけが残る。なにかがただ「ある」というような佇まいのある不思議な一曲。Simに手紙付きで掲載された須藤なつ美監督の映像も素晴らしかった。(S)

NHK – Exit Entrance

NHK yx KoyxenはKohei Matsunagaのソロプロジェクトで、90年代よりMille Plateaux やPANなどの名門レーベルから作品をリリースするなど、20年のキャリアを持つ人物。本作は、NYの名門〈DFA〉よりリリースされた。美しく仕上げられた音像を持つそのサウンドは、実験的で歪つなミニマルテクノ。そのタイトルや本人同様に、どこか匿名性も感じさせる。持ったアルバムの制作中に急逝した友人・コラボレーターのMika Vainioに捧げられた楽曲も収録されている。(S)

Old Man Archives 『The Remnants of love』『Across the river』

『OLD MAN ARCHIVES』は日常で目にする老人たちの語りをその場で録音し、本人の年齢の数だけ限定でリリースする、という少し変わったアーカイブ・プロジェクト。これまでに5本の作品が発表されているこのシリーズ、美しいパッケージも魅力的だが、カセットというフォーマットの脆弱性や不可逆性に呼応しながら、独白から浮かび上がる匿名の記憶は、当人でしか体験しえなかった境遇や出来事、そこに生じる感情や想いが入り混じった澱のようなもので、それは「かけがえのない」と同時に、誰しもが時間の経過と共に持ちうるという、自然に「ありふれた」存在でもある。それに耳を澄まし、想いを馳せるということは、個人を超えてうまれる、集合的な記憶に対峙するかのような感覚もあり、郷愁ではなく、どこか宙づりにされてしまったかのような、そんな不思議な気持ちにもなる。(T)

http://oldmanarchives.xyz/

パソコン音楽クラブ – SHE IS A

(僕のような)90年台のカルチャーを謳歌した者にとって80年代の文化には、軽薄で浅はかといった悪いイメージが伴っている。そうした「ダサいもの」とされていたものをあえて取り上げて解釈し直していくことも意味のある手法だと思うけれど、今のVaporwaveシーンには、もっとピュアな姿勢を感じる。Vaporwaveのメタ的な視線のほかに、より強く感じるのは、夢の中にずっとい続けたいというモラトリアム的な姿勢のほう。これだけ世界が病んできているのだから、わたしたちはポストモダンの生理的な欲求に従って、デジタルなプラスチックの幻想を量産し続け、消費し続けるほかはない。その先にはきっと、誰も全く見たことのない光景が広がっている。(S)

Phew – Light Sleep

70年代後半からのキャリアを持つアヴァンギャルド・シンガー、電子音楽家、Phewのライブ会場限定で発売していたCDRから編集された6曲入りのLP。彼女の特徴的な声による朗読の下で、重厚かつヌケの良いエクスペリメンタルな電子音が炸裂する。実験音楽の持つスリリングな前衛性と、今のシーンにも繋がる現代的な感性の両方を併せ持った怪作。(S)

Rhucle – Wonderland

環境音のサンプルに、ゆったりと響きわたるシンセサウンドの組み合わせが耳にひんやりとした質感を残す。どこか非現実的なそのゆらめきに身を委ねているうちに、眠っていた意識がゆっくりと覚醒していく。今年はマンスリーで作品をリリースするなど、一年を通して多くの作品をリリースした。(S)

Ryushi – Soul

SEAGRAVE〉よりリリースされた、関西で活動する3人組Ryushiのアルバム。タイトルの「Soul」は、土地から立ち上がってくる魂のイメージがリズムと融合したらどうなるのか?という制作中の考えから付けられたもの。スモーキーな電子音響に、街角の片隅から綴られた詩情が重ねられていくポエトリーリーディング。JjakubとIce_Eyesによる狂気のリミックスも収録。(S)

Saskiatokyo – FANTASIA

saskiatokyoの初となるEP。物憂げな声質のボーカルの下で、デジタルな空気感を持った音のテクスチャーが絡み合い、複雑なモザイク模様を織りなす。歌詞はよく聴き取れないのだけど、素晴らしいと思いながらも夢のように実体のない、とある場所について語っているそう。予定調和に収束しない不協和音のような独特の響きが耳に残る作品。(S)

SAYOHIMEBOU – The Gift from Neon Planet

トレードマークは、ネオンカラーのおかっぱ頭のアンドロイドのようなキャラクター。きらびやかでラグジュアリーな音色とファンタジー感のある和やかな旋律が、フォトショップで加工されたきらびやかな都市的光景を描く。遠くで鳴ってるような響きを持つボーカルは、どこか遠い未来のスペースオペラのよう。複雑なカットアップ・コラージュ、ポップかつクリアな音色を持つ自由に飛び回る電子音はまさに今の音という感じで、Vaporwaveの作法に沿ってはいるけれど、確実にそれを更新しているような感覚がある。(S)

seaketa – My Sumaho

タイトルは「My Sumaho」。ザッピングしていくようなコラージュ感覚の詰まった、エレクトロニックな実験音楽。「いるか息」や「tiny翻訳」といった人を食ったタイトルのように、音もどうにもとらえどころがない。全体にわたってぬめりとした不思議な印象を作り出している。(S)

$ega & The Rainbow Streets – 想いで100景

Noumenal Loom〉からリリースされた$egaの作品は、DJWWWW名義のスタイルから距離を起き、豪華なバンド的なサウンドへと舵を切った内容。ハウスミュージックの牧歌的な部分を抽出したような多幸感と、見知らぬ国を旅するロードムービーのような切なさがある。ただただ過ぎ去っていく風景を見て懐かしさと悲しさを覚える理由。どこかにおいてきた遠い記憶のような美しさには虚構的な要素があって、ハリボテのような美しさは、たぶんハリボテだからこそ美しいのだ。(S)

Suburban Musïk – The Gold Ink’

CONDOMINIMUMが設立したレーベル〈CNDMM〉からの限定7インチの第3弾は、EVIAN VOLVIKによるユニットSuburban Musïkの初EP。低音の方向へと歪み切った、荒れたテクスチャ―、ビリビリと重く深く響くビート。野生的で凶暴な底に暗い美しさがある。ラストの吠えるように歌うゴシックなボーカルの曲も良い。(S)

SUGAI KEN – UkabazUmorezU (不浮不埋)

インターネットが世界のリスナーたちの距離を狭め、私たちは物理的距離や時間から自由になった気分になることがある。しかし、我々全員が個々の人生においてどこで生きてきたか、その中で五感が感じ取ってきたものはあらゆる表現につきまとう。日本の伝統的な…という冠とともにレビューされる本作であるが、「浮かばず埋もれず」に多くの日本で生きてきた人間が懐かしくもつきまとうような感覚を思い出させる環境を創り出す作品である。美しく、まるで幽霊のように。(N)

Swan Meat & Yoshitaka Hikawa – KNIFE SPLITS ICE

日本のYoshitaka Hikawaと、シカゴ在住のサウンドデザイナーで詩人のReba FayによるプロジェクトSwan Meatが1年に渡るオンライン上のコラボレーションにより作り上げた作品。切り刻まれて破片となった音素がデジタル的なテクスチャーとなり、鋭利で抽象的な世界像を作り上げている。Fayのポエトリーはどこか冷たくて、あまり人間的な感じがしない。まるでマシーンが作り出したポエジーのようだ。インスピレーションとなったというFayの病院での体験がどのようなものかはわかないが、神話的といってもよいほどの冷たさと、非人間的なイメージは、そこに由来しているのだろうか。(S)

toiretstatus – Nyoi Plunger

ディズニー・アニメの誇張された動きのように、想像力が生み出すものすごいグルーブ感。彼の音楽に出会ったときはびっくりしたけど、本作はよりそのスタイルを進化させていて、ポップさも増している。伸びたり縮んだりする時間のような感覚は、音楽が時間芸術だということを思い出させてくれた。どうなってるのか全くわからないけれど、耳の奥ををかき回す心地のよい混乱がある。最高に奇妙ですばらしい電子音楽。(S)

Tomoko Sauvage – Musique Hydromantique

パリ在住のサウンド・アーティストであるTomoko Sauvageによる、名門Shelter Pressからリリースされた今回のアルバムは、元製紙工場で録音されたというバックグラウンドも相まって、その特殊な空間と彼女の身体が深く共振した、音響作品。水のフォルムを手の動きによって形成し、音の彫刻を作りこむイメージ、と述べていたが、聞き手である私たち自身も、これらの音に、文字通り「触れて」いるかのような感覚がある。水や空間といった媒介物を通して、私たちの聴覚器官が文字通り「触覚」として音を受容するということは、根源的な知覚であるがゆえに、普段の意識には昇らない。その始まりに遡ってみれば、より自由で広がりをもった、音と音楽との接点があるかもしれない。(T)

豊平区民TOYOHIRAKUMIN – リフレクション

札幌市在住の日本では数少ないVaporwaveアーティストのひとり豊平区民TOYOHIRAKUMIの、2016年の〈New Masterpiece〉からのリイシュー「メモリーレーン」を20のリミックにより再構成した作品。リミックス陣には猫シCorp.、VAPERROR、CVLTVRE、t e l e p a t hなどそうそうたるメンツが並ぶ。切なく消えてしまいそうな夢の物語。記憶を反芻するように、熟成した芳醇な湿気のなかに曖昧なイメージが表れては消えていく。(S)

Ultrafog / m do – Split

Ultrafogと、USカンザス在住のRYAN LOECKERによるプロジェクトm doの〈angoisse〉からリリースされたスプリット・カセット。硬質で重い音の雲を漂うようなUltrafogのA面に、ミニマルな音響がゆったりと波のようなパターンを描き出すm doのB面。アンビエント/ドローンといったカテゴリーを超えて、オンラインで繋がりあって拡張していく実験音楽のシーンの確実な成果物。ただただ豊かな音の質感に抱かれながら飛翔する極上の体験を楽しみたい。(S)

woopheadclrms – Kamechiyo

Wasabi Tapes〉より愛知県を拠点に活動するトラックメイカーwoopheadclrmsの作品。ものすごい速さで流れ去るオンライン上のコンテンツのエッセンスだけ抽出し、濃い部分だけ音に置き換えたような、個性的で色とりどりの音たち。コラージュ的な手法でつくられたそのサウンドは、まるで生きているように自由奔放。斬新だけどどこかユーモラスな感覚もある。YouTubeにあがっている作品群もすばらしいものばかり。(S)

Yoshimi – apanese Ghosts II

YOSHIMIは菱田吉美という名義で映画のサウンドトラックやCM音楽を手がけるなど、作曲家として長いキャリアを持つ人物。本作は怨霊、翁、生霊、鬼、妖怪、物の怪、来訪神、良きも悪きもが現実と非現実の境を超えて都市空間に流出してくるさまを描いた作品とのことで、物語性を感じるシネマティックな音像はまさに〈PYRAMIDS〉の音という感じ。そのハードさや暗さも含めてイギリスのレーベルと日本的感覚の親和性の高さが証明された作品といえるかもしれない。和楽器とエレクトロニックな音響がノイジーなテクスチャーの中で溶け合っていて、その独特の間や湿り気は、やはりこの日本の風土から生み出された感覚だと思う。新しさと古さを乗り越え、独特の佇まいを獲得した作品。(S)

Yullippe – Selfish&Anchor

大阪を拠点とするプロデューサーYullippeの最新作は、鋭利かつ重厚なインダストリアルテクノ。電子的な質感をまとった本作は、ボーカルを押さえてより硬質なサウンドに変化を遂げた。工業的なカッコよさと雄大な自然のようなアンビエンスが融合されて、エレクトロニクスの歪みのなかでそれが陰影を作り出している。美しさの中にも現代的な感触を感じさせる作品。(S)

夕方の犬 – Paint Room

夕方の犬による「Paint Room」はピアノとバイオリンによる6曲入りのEP。クラシカルな楽曲がうっとりとするような張り詰めたアンビエンスと、叙情性を紡いでいく。シンプルな音の美しさとその響きに耳をやると、意識がどこか遠くへ行ってしまいそうになる。その静かな世界は孤立していて、止ってしまった時間のような切なさがある。(S)

YXIMALLOO – THE BEST OF YXIMALLOO 1

ドイツのレーベル〈Konpakt〉が、当時、制作者不明の音源を探すために「WANTED(指名手配)」と名付けてリリースしたという逸話もある、イシマルーこと石丸尚文。80年代の録音を中心に厳選された自身の自主レーベル〈桜れコーず〉からの2枚組LP。ただただ音楽を作り続けてきた行為のピュアな積層が、ゆったりとした時間感覚の中に結晶化している。(S)

http://www014.upp.so-net.ne.jp/yximalloo/

日本の豊穣な地下シーンを50組のアーティストと楽曲で振り返る。50 Japanese track maker / musician 2017。#1-25

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八広HIGHTIの13年

てくてくと見知らぬ川べりの土地の歩くとたどり着く、バラックのような建物。都心で遊んでいる身からしたら、ちょっと遠いなあと思ってしまう距離感。廃墟のような空間に一歩足を踏み入れると、よく見知ったアンダーグラウンドな熱気がある。当時、美大出身の作家たちが自分たちで居住空間を手作りして、夜な夜な友人などを呼んでライブなどを行っている面白い場所があると噂になっていたのを耳にして取材したのが2007年のMASSAGE8号のとき。その八広HIGHTIの13年の活動をまとめた展示が本日より始まった。

展示を見てはじめて、つい最近までその空間が存続していたということを知って驚いた。あのころいろいろなジャンルをまたがって面白い場所を見つけて遊んでた友人たちも、震災のあとはばらばらになってしまったから、なんとなく勝手に彼らも活動をしていないのだと思いこんでいた。その場所から彼らはどんな風景を見続けていたのだろう。きっと長い期間だから変化もしてきただろうけど、住んで、作って、遊ぶをそんな長い期間にわたって繰り広げてたなんて、あらためて理想の生活の形だなあと思う。

けれど、そんな場所がもう今はないという事実に、なんとも言い知れぬ喪失感も感じてしまった。たしかにそんな生活を送れるのも人生の限られた期間だけなのかもしれない。海外だとアーティストを泊めて制作することも、もうすこし一般的だし、日本でも東京以外ならそんな場所をつくることも可能だろう。知らないだけど、今も生まれたり、消えていったりする面白い場所がほかにもあるのかもしれない、とも思う。世の中が内向きになっているのか、人間関係を超えて感覚で繋がることがなんだか前より難しくなった気がするけれど、そういう場所で生み出された感覚はきっとその人の作品とか感性を通して、転生していっているはず。またいつかそういうものと出会いたい、と思う。

「HIGHTI 展」
相川勝 矢代諭史 工藤幸平 中野恵一 
2017年12月21日(木)〜2018年1月28日(日)
http://akibatamabi21.com/exhibition/

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Visible Cloaksの新作ビデオ、「Keys」が公開。

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JACOB – Intracerebral Hemorrhage

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過去と今をコネクトするレーベル
〈New Masterpiece〉。

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結構前の話ですが露骨KITの別名義、虫ミュージックの「月へ行くなら」というアルバムをよく聴いてた頃がありました。その独特の感触はどこにも当てはまらないパズルのピースのようで、当時はうまく形容するのが難しかった。時代がちょっと早すぎたのかなと思うと同時に、今ならそんな特異なスタイルの作品とも毎日のようにインターネットを介して出会える。幸せだけどちょっと恐ろしい時代になったと思うわけです。

そんなはまらないピースのような感覚に、ピタッと当てはまるような新しい名前があるかどうか。たとえばVaporwaveも今、その名前がなかったら集まることのなかった繊細な感覚の受け皿になっている側面がある。曖昧な感覚をより多くの人々の間で共有していくために、輪郭をはっきりさせていく仕事が必要なのは間違いないことです。

あまりしっかりした音楽メディアがない代わりに、その輪郭を描くことがもしかしたら今の音楽レーベルの役割なのかもしれません。日本にもいくつもレーベルがあるけれど、Vaporwaveと接続した〈New Masterpiece〉の最近のリリースが際立ってきている気がします。

ちょっと前にDiploがRihannaに曲を聴かせたとき、「空港でかかってるレゲエみたい」と発言したことが話題になりましたが、その逸話を受けて作られた架空のジャンル「エアポートレゲエ」を集めた〈New Masterpiece〉のコンピレーションは、ひねりが効いていて痛快、内容も非常に良かったです。最近の音楽家たちのメタ的な視点というのは、アカデミックなそれというより、あくまでも空想の奥に、夜中のチャットルーム的な感覚を確かに感じ取ることができる。その地に足がついた新しい生活感が私たちの同時代性なのだと感じます。

一方で、〈New Masterpiece〉は虹釜太郎の膨大なリリースを2週間に一度2作配信。別アカウントではありますが、故人となってしまったうっど漫まん aka WOODMANの作品をアーカイブするなど、過去に作り出されてきたさまざまな異色の感覚を持った音へのアクセスを作り出してもいます。

https://woodtapearchives.tumblr.com/post/156311755353/information
https://woodtapearchives.bandcamp.com

対照的に、札幌在住のVaporwaveアーティスト・豊平区民TOYOHIRAKUMINや、Vaporwave的な感触を更新した作品をリリースするSAYOHIMEBOUのリリースや、爆速で売り切れた『蒸気波要点ガイド』の発行などといった現代のあたらしい音楽性を紹介する仕事も行っています。日本の音楽の過去と現在をつなぎ合わせる彼の試みは、世代間の断絶が大きくなってしまった現在だからこそ、より価値のある刺激的な試みなのではないかと。今後のリリースも楽しみにしています。

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カタルーニャ、バルセロナ拠点とするレーベル、〈angoisse〉の日本ツアーが12/9(土)よりスタート。

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ラファエル・ローゼンダールがひっそりとアプリをリリース

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ブラウザをベースにした作品から、近年はフィジカルへと進化したデジタル固有の感覚を作品化してきたラファエル・ローゼンダールが、ひっそりとアプリをリリースしていました。

その名も「Blurrrrr」。カメラに映るものを「ぼかす」というシンプルな内容です。単にブラーをかけるというのではなく、目の前の世界がラファエル・ローゼンダールの世界に一変します。この効果には彼の特徴である配色の効果が大きそうですが、単純なエフェクトの中にも彼の作品の中にある感覚を感じ取れることができて面白いです。

https://itunes.apple.com/us/app/blurrrrr/id1282509957?mt=8

アプリの制作者はTibor Udvariというアーティスト。ほかにもいろいろラファエルとアプリをリリースしています。僕が知らなかっただけかもしれませんが、思ったよりありました。こちらもダイナミックでなかなかよい。

https://itunes.apple.com/us/app/here-hear/id1249413969?mt=8

結構前に遡ると、こういうのも。対戦型のゲームで、タップで陣取り合戦をするという例に漏れずシンプルなアプリ。

https://itunes.apple.com/us/app/finger-battle/id424405825?mt=8

Tibor Udvariはラファエル以外の作品も作っています。下記は、アートブックにスマホカメラをかざしてAustin LeeのCG作品を楽しめるアプリ。

http://www.spheres-publication.com/product/spheres-austin-lee-second-edition

ARの手法を用いて、作品を作るのが得意な方のよう。ラファエル・ローゼンダールのようなデジタル領域のアーティストなら、アプリを作ること自体は目新しいことではないかもしれませんた、アーティストの作り出す世界の一端を感じることのできるリリースを手に入れられるのは、単純にとても嬉しいニュース。是非遊んでみてください。

Rafael Rozendaal
http://www.newrafael.com

Tibor Udvari
http://tiborudvari.com

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アンダーグラウンド・カルチャーの価値とは。La Mano Friaとその10年。

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アンダーグラウンド・カルチャーの価値ってなんだろう?そんな基本的な問いをあらためて口に出して言ってみたくなったのは、先日、UPLINKの展示のために訪れていたLa Mano Friaと久しぶりに会うことができたからでした。La Mano Friaの展示は、自身の10年の活動を振り返るもので、日本のガムテープを用いて、彼が生み出してきたロゴやグラフィックワークを再構成したコラージュ作品をメインとしたものです。現在はすでに展示は終わってしまいましたが、再び彼と語り合えたのはとても嬉しい出来事でした。

2000年台初頭に僕は、彼の発信する強烈な社会的メッセージが込められたTシャツやレコードジャケット、レーベルのCDやレコードなど、その活動の虜になっていました。思い起こせば、彼のようなハードコアな姿勢で活動する人たちの出会いがもっとも大きなインスピレーションの源で、それがなかったら僕もこのようなメディアを作ることはなかったかもしれません。

それから結構年月が経ち、シーンの姿も様がわりしました。自分自身が自明と思っていた価値も、長く続けていくうちに色あせて、その意味合いも不明瞭なものになっていきます。生き物のように人間の表現も進化していくものだから、僕は変化しいてくのは当然だと思っています。こうしてアンダーグラウンドな表現領域を見続けて、いままた改めてこう口に出してみたくなってしまいました。アンダーグラウンド・カルチャーにある価値とは何なのか、と。

この世界では日々新しいものが生み出され続けています。毎日のように入れ替わっていくヒットチャートや、人々の気分や流行、進化するテクノロジーなどといったものと、アンダーグラウンド・カルチャーは何かが違うのでしょうか?

そこには二通りの解答しかありません。一つ目の答えは、アンダーグラウンドもそのほかのものも何も違わないというものです。こう言うこともできるでしょう。あらゆる価値は等価であって、それを愛でる人の数が違うだけなのだと。

実際、その考え方は理解できるものです。そのことを一度理解してしまえば、等しく同じ姿勢であらゆるものを楽しむことができます。極めて柔軟だし、とても開放的な姿勢だといってもいい。文化を等しく楽しむそのような姿勢から、今後さらに新しいものが生み出されるかもしれない、そういった予感すら持っています。僕の印象をいえば、こうした姿勢は今の若い人たちに多いような気がしています。

もう一方の答えはもう言わなくてもわかりますよね。僕はいまだアンダーグラウンドな文化にある価値を信じ続けています。先程触れたように、これは世代的なものかもしれません。アンダーグラウンドの文化自体が、当時は身の回りに溢れていたから、その価値自体を自明のように思っていました。きっとこの領域にいる人はだいたいそうで、皮膚感覚で生きているから、その価値が何なのかなんて口に出したり、ましてや書いて発表するなんてことはありません。

僕に言えることは、La Mano Friaのようにその価値を見つけた人々が、たとえ実際にはどのような苦境に立たされていても、自分の信じた価値をさまざまな表現の形に変えて発表し続けているという事実だけなんです。僕が彼からインスピレーションをもらったように、それがまた誰かに伝わっていく。表現者、そしてそれをサポートする者、観客やメディア、レーベルすべてが輪のように繋がっている。それがこのカルチャーの全容なのです。そこになにか価値があるとしたら、その文化の全体としか言いようがない。そういうことです。

うーん、やはり伝えるのは難しい。言いたいこと、うまく伝わりましたでしょうか?

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