James Ferraroの最新作「Human Story 3」が発売

ニューヨークのプロデューサーJames Ferraroの最新作が届きました。数々の変名、レーベル〈New Age Tapes〉の運営のほか、ひとことでは語り尽くせない多様な顔を持つ、現代文明に異能な作品を捧げ続けるこのシーンの最重要人物です。都立現代美術館で行われた東京展に、EBM(T)キュレーションパートで参加していたことも記憶に新しいですね。

「ハイパー個人主義と幼形成熟プラスティックの市場性」への探求がテーマということですが、Vaporwaveの先駆けとも言われるように、分かるような分からないような、聴くものを煙に巻く諧謔精神と、独特のポエジーを併せ持つ作風はまさに独特です。その底の見えない創造性には、とても惹きつけられるものがあります。ちょっと乱暴な言い方かもしれないですが、彼の作品には都市文化の匂いがいつもリアルに閉じ込められている気がします。多分この人ほど、「現代」というものをうまく音楽で表現しているアーティストはほかにいないのではないでしょうか。

都市の混沌とした一瞬を写真のように切り取った叙情的で生命感溢れる前作から、こんどはエレクトロニックな側面は控えめとなり、意外にもクラシカルなサウンドへ舵を切った作品になっているようです。

我々はカフェラテ、ヨガ、クラウドコンピューティングの発明を見てきた、過剰に不自然な場所や、商業のシミュラクラ、永遠のたそがれ時の人間の危機と達成にその自己を見てきたのだ。21世紀の人間の物語は、次にどこへ行くのだろうか?

https://jjamesferraro.bandcamp.com

3枚組のLPもリリースされるみたいです。
http://www.factmag.com/2016/06/14/james-ferraro-rerex-viny-reissue-aguirre-records/

ノイジーな手触りの前作“Skid Row”。

参考までに国分純平さんのブログ「キープ・クール・フール」の彼の作品へ言及した文章へのリンクも貼っておきます。

http://blog.livedoor.jp/summerbreeze1/archives/7382381.html