MukqsとDJWWWWによるスプリットがテープにて8月1日にリリース。二つの才能が生み出した共鳴と衝突。

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Mukqsはシカゴを拠点としたGood Willsmithのメンバーであり、〈Hausu Mountain〉の運営も行うMax Allisonによる名義。Good Willsmithは高評価だったアルバム「Things Our Bodies Used To Have」を出したばかりで、日本勢との絡みで言えば、AllisonがConstellation Botsuの「Miracle Hentai」の「土下座強制機」という曲に参加していたのも記憶に新しいです。

そしてBサイドを担うのが、最近新しい音楽ブログSim magazineを立ち上げたばかりのDJWWWWことKenji Yamamoto。

A面は、ここちよいサンプルのメロディが次第に崩壊していき、切り刻まれ、抽象的な構成へとグラデーションをえがきます。曇りガラスから世界を覗いているような独特の質感をもち、粒子が乱反射しているような音の輪郭が曖昧なコラージュサウンドですが、重さはなく、どこか懐かしささえ感じる、ファンタスティックで色彩豊かな世界が表現されています。

粒子感がカオティックな印象のA面に対し、DJWWWWが担当するBサイドは束の間の晴れ間が訪れたようなクリアな世界に入っていきます。ボーカルサンプルが絡む反復ビートから、複雑なコラージュ的な作品まで、アブストラクトだけど常にポップ。

まさに二人の世界観が共鳴しあい、あるいは個性が衝突しあって浮かび上がったあたらしい世界。怪作といってよいのではないでしょうか。
レーベル〈Phinery〉より8月1日にリリース予定。

thumpのサイトで視聴が可能です。
https://thump.vice.com/en_us/track/muqks-djwwww-split-tape-phinery-stream-listen?utm_source=thumptwitterus

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奇才BALAM ACABの新作「&&&heartsss;;;」がname your priceにて公開。多幸感あふれる強烈に美しい作品。

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Thvndermag、FELT、cloaque。コラボレーション、キューレーション、メディア的活動が混在するオンラインならではの面白い場所。

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オンラインマガジンは星の数ほどありますが、今日はインターネットぽい表現を紹介している際立ったものを幾つか紹介してみたいと思います。

ひとつ目は「Thvndermag」。スペイン語なのでスペイン語圏なのでしょうか。MASSAGE 9でもインタビューさせてもらったO FLUXOがスペインではとても有名ですが、前に紹介したShallowwwもマドリッドを拠点にしていたり、スペインにはインターネットの文化がとても盛んで面白いアーティストがたくさんいるイメージがあります。このThvndermagはテイストがとてもくっきりしていて、コンピューターグラフィックとファッションのエッジな部分を取り上げている印象です。更新頻度もけっこう高い。

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ふたつ目は「FELT」。こちらは正直に言うと、ぜんぜん正体がわかりません。正式名称がTHE FELT ART COLLECTIVEなのでメディアというよりアーティストの集まりなのかもしれません。ショウをブルックリンでやってたりするので、US発信と思われます。特集のようなコーナーがあってこれまで九つのイシューが掲載されています。Kim Laughtonといったおなじみのメンツもいます。Facebookページがけっこう活動的です。

最新のフィーチャーはConor Stautzという人で、アニメをモチーフにした独特の質感の作品が気になるのですがインスタしかアカウントがなくてこちらもどんな人なのかよくわからないといったふうになっています。

http://feltzine.us/issues/9/conorstautz

スクリーンショット 2016-07-22 16.39.40

最後は、メディアじゃないんですが「cloaque」を紹介したいと思います。インターネット界隈の作家がこぞって参加。リンクを辿っていくだけで素晴らしいアーティストにたどり着けます。日本からは谷口暁彦さんも。いろんな作家の作品がTumblrサイト上に積み重なっていくというオンライン展示の一種で、かなり以前から活動しているのですが、最近Diego NavarroというアーティストのBAD DRAGONという作品がアップされていましたので加えて紹介しました。

スクリーンショット 2016-07-22 16.39.52

オンラインギャラリーのCermaもFloat Galleryと名を変えてスタートするみたいですし、コラボーレション、キュレーション、メディア的な活動がぐちゃぐちゃに混在しながらあたらしいものが生まれていくのもこの場所ならではの面白さだと思います。これからもまだ見ぬ多様な表現とたくさん出会えることを楽しみにしています。

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メキシコのアーティストコレクティブ/音楽レーベル〈NAAFI〉のミックスがフリーDLで公開中。

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〈NAAFI〉はメキシコのアーティストのコレクティブ/音楽レーベル。プロデューサやデザイナーなど幅広い人材を擁し、Lao、Omaar、Imaabsなどの才能を世界中に発信。そのコンセプトにRitmos Periféricos(辺境のリズム)を掲げており、その姿勢通りに、ローカルミュージックから最先端のエレクトロミュージックまでを貪欲に吸収した音楽性はとにかく多彩。才能あるメンバーたちが国境や政治、ビジネスや音楽といったさまざまな領域を柔軟に切り開くことで、世界各地で名声を獲得しつつある。

今回発表された「Pirata 3」はNAAFIファミリーのアンオフィシャルなエディットやリミックスを収録した「Pirata」シリーズの第三弾となる。

https://www.hulkshare.com/playlist/131798

過去のやつもめちゃ良い。
http://naafi.mx/pirata-2/
http://naafi.mx/pirata/

PIRATA-3-600x600
NAAFI-TRIBAL

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フリーカルチャーとT.A.Zを実践する「テクニバル」。スパイラル・トライブとの歴史、そしてテクニバルJPNについて

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本日公開したYAYA23のインタビューの補足として、初めての方に向けて、もうすこし詳しくテクニバルについて紐解いておきたいと思います。

インタビュー記事はこちら http://themassage.jp/yaya23/

「テクニバル」はテクノとフェスティバルを融合して造られた造語。いわゆる野外レイブのようなものです。しかしその内容はふつうのレイブとはぜんぜん違う。たとばテクニバルには、一般的にオーガナイザーと呼ばれる役割は存在していません。主催者が指定した場所、時間に、参加者たちは自前のサウンドシステムを持ち寄り、それぞれが自由に音を出したりして楽しむ。出演者としてDJをやるのも、あるいは食材を持ってきて調理して提供するのも、とにかくすべてが自由。テクニバルのキャッチコピーは、ノー・オーガナイズ、ノー・コマーシャル、ノー・マネーシステム。だから入場料も無料というわけです。

ダンスミュージックは文化として広く深く定着し、多くの人に楽しまれるものになったけれど、テクニバルはその遊びを追求した先にあるフリーカルチャーの理念を形にしたものと言ってよいでしょう。今回、YAYA23にインタビューしてくれたベルリン在住のDestr∞yについてはMASSAGE 9で詳しく書いたので重複になってしまうけれど、一箇所に定住せず、フェスティバルの会場を追いかけて旅をするトラベラーと呼ばれる人々、あるいはスクウォットをして廃ビルなどに暮しているアーティストやDJ、そういうライフスタイルに共鳴し参加する人々、そんな彼らの作り出している生活のスタイルはとにかくすごく洗練されたものに思えました。レイブのなかだけでなく、その思想は世界各地のさまざまな部分で育ち、実践されているのです。

さて、ここで少しだけテクニバルの歴史をおさらいしておきたいと思います。その由来は、イギリスのサッチャー首相の時代にまで遡らなくてはなりません。イギリスでは当時、彼女の元で富裕層が厚遇される新自由主義的な政策がとられていました。その結果、職がない人々、あるいは定職に就かず、ノマド的な生活スタイルを送る人々があらわれました。彼らの楽しみといえば、音楽に合わせてダンスすること。ダンスミュージックは、彼らの不満や不安を解消してくれる安価な楽しみでした。しかしそのシーンが大きくなりすぎたことを問題視した政府は、「クリミナル・ジャスティス・アクト」という、音楽に合わせて集団で踊ることを禁止する法律を施行してしまったのです。

当時、イギリスには中古のトラックにサウンドシステムを積み込んで、国内を放浪する集団がいました。その中のひとつが、スパイラル・トライブと呼ばれる集団です。けれども「クリミナル・ジャスティス・アクト」の影響で、国内での取り締まりが強化され、彼らはやがて国外へと追いやられてしまいます。そしてヨーロッパから北アメリカまで世界中を旅しながら、同じようなサウンドシステムのクルーを仲間にしていきました。彼らは時期を決めて、同じ場所でサウンドシステムを持ち寄ってパーティをやり始めます。それが徐々に大きくなって、現在のテクニバルの形態になっていったと言われています。

SpiralTribeTheFreeForceOfTeknoFlyer

実は、かなり前のことですが日本でテクニバルを主宰するフランス人の方にインタビューさせてもらったことがあります。彼はフランス在住時に、イギリスから渡ってきたテクニバルに出会って衝撃を受けたそうです。彼はその後日本に移住し、この地でもテクニバル・ジャパンを始めることにしたのです。そんなことがきっかけでついに日本でも、テクニバルが開催されることになりました。

そう実はまだその流れは受け継がれていて、この夏この日本のどこかで、ふたたびテクニバルが開催されます! 詳細は明かされていないので、興味がある人は下記から問い合わせてみてください。

http://freeteknojapan.blogspot.jp

さて、最後にYAYA23のインタビューでも触れられているT.A.Zというキワードについて触れて締めたいと思います。

T.A.Zという言葉はハキム・ベイという思想家が提唱したもので、Temporary Autonomous Zoneつまり一時的自律ゾーンの略称です。一時的にでも自分自身の空間を出現させ、その内部に、自由で自立した状況を作り出そうというわけです。それは、断続的にT.A.Zの空間や時間を広げていくことで、社会の不自由さそのものに対抗していこうという考え方でした。T.A.Zはテクニバルや、バーニングマンの形成に大きな影響を与えたと言われています。

パーティの楽しさとは究極的には、社会から強制されるさまざまな拘束から逃げ出すこと、そしてそのことにより、たとえ一時的にでも自由の感覚を獲得することにほかなりません。その“一時的”という部分をずっと引き伸ばし続けついにはそれを日常にしてしまうこと、なかなか簡単にできることではありませんが、それがYAYA23や、Destr∞yといったテクニバルのライフスタイルを追求するトラベラーたちの生き方、なのかもしれませんね。

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突然の新作です。VaporwaveのオリジネーターVektroidが、3つの新作をドロップ

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〈PC Music〉の設立者、A. G. Cookの久しぶりの新曲“Superstar”。フリーDLで公開中

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マルチすぎる鬼才Tristan Whitehillが運営するレーベル〈Squiggle Dot〉。その雑食的ラディカルさについて

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[R.I.P.]Oneohtrix Point Neverとして知られるDaniel Lopatinが主宰するレーベル〈Software Recording〉の活動が終了。 🙏

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ありゃ。ちょっとショックなニュースが飛び込んできました。レーベル〈Software Recording〉のホームページのトップに意味ありげなBob Weirの言葉の引用が掲載されていて、何かと思ったらどうもショップがクローズするようです。主宰は今や世界的に注目を集めるアーティストOneohtrix Point Neverとして知られるDaniel Lopatinですが、レーベル活動はその役割を終えたということでしょうか。

ウェブを訪れると、ブラックの背景に「2011 – ∞」という表記と、無限に続くスクロール。〈Software Recording〉はOneohtrix Point Neverの作品だけでなく、印象的なアーティストの作品を多くリリースしてきました。〈Software Recording〉のラインナップをあらためて眺めてみると、いろいろ聴いたなーと感慨が湧いてきます。もしまだ未聴の方は、ぜひ彼らの活動を振り返ってみてくださいね。

http://softwarelabel.net

software-recording-co

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Baconより夏を感じさせるstrawberrysexの最新ミックスが到着。

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夏が来ました!こんな季節に聴いたら良い感じの、涼しい音源が次々と届き始めましたね。久しぶりにBaconより最新ミックスです。もはや説明はいらないと思うのですが、いちおう言っておくとBaconとはオンライン上で活動する匿名の集団で、いろいろなものをリブログしたりリリースしたりしている人たちです。SOBOでの展示をすこしだけ紹介したこともありましたね。

http://themassage.jp/exibition-space-sobo/

さて、今回そんなBaconに邂逅したのはstrawberrysexさんです。今回の提供は2回目で、前回は3年前だそう。

ぜひ彼らのウェブ上でお楽しみください。

http://bacon-index.tumblr.com/bcnmix11

以前公開されたstrawberrysexさんのオルタナティブなアイドルをテーマにしたミックスへのリンクも貼っておきます。

http://bacon-index.tumblr.com/BCNMIX05

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Nozomu Matsumotoのシングル「Pre-Olympic」。Zaha Hadidのイメージが切なさを感じさせる、ゴージャスでリラクシンなユートピアサウンド

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現実の中にとうとう仮想現実が…。「Pokemon GO」でセルフィーに浮かれる海外の人々の反応

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すでに海外では先行してリリースされている「Pokemon GO」ですが、プレイしている人たちがポケモンとの自撮りをシェアしまくっていて羨ましいです。とにかく楽しんでいますね〜。なんというか浮かれている感じが伝わってきて、とても微笑ましいです。

任天堂といっしょに「Pokemon GO」を作り上げたNiantic社は元Googleのプロジェクトで、拡張現実ゲーム「Ingress」をリリースしたことで有名です。そこからの「Pokemon GO」というのはすごく理解できる展開。「Ingress」のときもワクワクしましたが、その彼らと任天堂という組み合わせは最強というほかありません。「Ingress」はまさにこのための実験だったといってもよいのではないでしょうか。

ただポケモンを追いかけて高速道路まで行ってしまい、大事故になってしまった例や、水死体を発見してしまった人なども出てきました。そのゲーム内容のせいか、すでに人を奇行に走らせるとまで言われはじめています。現実の中に空想の世界が急に入ってきたことの副作用かもしれません。これからやる人はくれぐれも無茶をしないように気をつけてくださいね。

すでにリリースされているアメリカではいきなり売り上げ一位だそう。これは日本でもすごく流行りそうですね。

http://www.cartelpress.com/pokemon-go-major-highway-accident-man-stops-middle-highway-catch-pikachu/

http://news.livedoor.com/article/detail/11743363/


https://twitter.com/_megannoel/status/752015262077947904

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異世界にはまり込む恐怖と快楽。ギーガの世界観を表現したFPS「Scorn」

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たまにはゲームの話題でも。H・R・ギーガーのあの狂った世界観をまるっと再現してKickstarterで資金調達が失敗するも、あらたに資本を調達して開発に入っているというFPS「Scorn」。その再現度が本気過ぎて、プレイするのを躊躇してしまいそうなくらいです。2017年にプラットフォームはPCで発売されるようです。

プレイする自分自身が宇宙人という設定で、登場するキャラクターもものすごく異質なのですが、特に生き物のような兵器がとても気持ちがわるいです。昆虫とかの世界もそうですが、自分の属している世界の体系とあまりに異なるデザインに出会ったとき、わたしたちは気持ちのわるさを感じるのでしょうか。その感覚は、軽いものでいうと外国語に接した時のような疎外感や馴染みのなさ、もうすこし強いものだと未知のものに感じる危機意識のようなものなのかもしれません。

アートも音楽も同じだと思うのですが、あたらしい表現を目の前にしたとき、前頭葉ではなくてもうすこし原始的な脳の部分が反応している感じがするんですよね。おそらくそれは、生きものとして引き起こされている生理的な反応なのでしょう。けれども違和感のあるものや、一見気持ち悪いと感じるものが、馴染みのある感覚に転換されるその瞬間、最も大きな快楽が生み出される気がします。そういう感覚は常に新しい表現を知りたいという、好奇心のある方なら分かる感覚じゃないでしょうか。まあ、世の中には全然そうじゃない人の方が多い気もしますが…。

http://www.scorn-game.com

Scorn-8-1

Scorn-4

Scorn-3

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アルゴリズムが作り出す新しい景色。Danelawの「QNAPP001」とレーベル〈quantumnatives〉について

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Meishi Smileのアルバムより収録曲「Belong」のミュージックビデオが公開。光と闇の二重のものがたり。

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オンラインギャラリーcerma設立者のManuel Roßnerの新プロジェクトFloat Gallery。コンセプトは「現代のインテリア」

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オンラインキュレーションという手法により、アートの概念をあたらしく更新しようという意欲的な展示「What we call sculpture」などをキュレーションし、大きな話題を呼んだオンラインギャラリーcerma。その設立者、Manuel Roßnerの新プロジェクトが立ち上がりました。その名も「Float Gallery」。cermaのサイトからこちらに移動するので、今後はこの名義での活動になるようです。本サイトでcermaで行われた展示のアーカイブも見ることができます。

トップのイメージからもわかるように、そのコンセプトは「現代のインテリア」。ネットワーク化され、テクノロジーによりヴィジュアライズされたリビング空間へさまざまなアーティストがアプローチしたものになるようです。先日彼が来日しているときに聞いたのですが、展示に参加するメンバがーとてもやばいことになっています。これは公開がめちゃくちゃ楽しみですね。

そのManuel Roßnerですが、MASSAGEで彼のインタビューを来月あたりのどこかで公開できるかもしれません。

スクリーンショット 2016-07-07 17.43.46

Manuel Roßner http://www.manuelrossner.de
Float Gallery https://float.gallery/

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スタイルという呪縛からの解放。チェコのグラフィティクルーCREWAGAINSTPEOPLEについて。

メディアをやっていると、紹介したいけどいろいろな理由でお蔵入りになってしまって伝えられなかったネタがいくつもあります。今回紹介するものもはその一つでした。CREWAGAINSTPEOPLEという名前の、グラフィティのクルーです。

彼らはチェコのグラフィティライターのようなのですが、初めて彼らの作品を知ったのはベルリンのある書店で彼らが作ったこの書籍が目に飛び込んできたからでした。

http://crewagainstpeople.org/index.php?/shop/cap-book-crew-against-people/

色紙に落書きのようなイラストが書いてあるだけの、そっけない表紙。その渋さに惹かれるように手がその書籍にさっと伸びたのが出会いでした。ちなみにこの表紙は広げるとポスターになるような装丁になっています。

知っている人は知っているかもしれませんが、僕らは2000年代初頭ぐらいに日本や海外のグラフィティのアーティストを紹介する雑誌を作っていたことがあります。当時は中目黒に大図実験というライターたちが集まるギャラリーがあったり、日本でもグラフィティの文化は今より盛り上がっていた記憶があります。

実はMASSAGEも一番最初の頃にライターのZISさんの光のグラフィティを紹介したりしました。彼らの作り出すアウトラインに、なにか表現の初期衝動的な部分を感じて、その表現と破壊の間にある謎の部分というか、ずっとそれはなんなのだろう?という疑問があるんですね。それがこの領域にずっと興味を持ち続けている理由です。

さて、このCREWAGAINSTPEOPLEに話題を戻したいと思います。彼らの本を買って以来、ずっとその本が気に入っていてたまに作品を眺めていたんですよね。なかなかこれほど魅力を感じるグラフィティにはこれまで出会えなかったというのもその理由のひとつです。

本の最後に批評家のような人が書いた解説が載っているのですが、その文章によると彼らの作品は当初けっこうディスられていたようです。下手くそだとか、まあそんな内容でした。なんといっても彼らのピースにはスタイルが全然なくて。グラフィティライターといえば、自分の決めたピースや絵柄をさまざまな場所に描くスタイルが多いと思うんですが、彼らが描く内容といったら人を小馬鹿にしたような謎なモチーフ、きわどい表現やらいろいろなんです。もちろんクルー名「CAP」を絵に取り込んだスタイルもあります。

しかし、こういう表現をライターの人たちが悪く言うのもなんとなく気持ちがわかる気もします。なんせスタイルがないのですから。でも僕はそのスタイルがないことに、雷に打たれたかのように衝撃を受けました。グラフィティというスタイルからの呪縛から、その表現が解放されているような気がしたからです。これはグラフィティではないのかもしれませんが、やはりグラフィティにほかならない。新しいグラフィティだと思うのです。彼らがディスられるのは、そのピースたちが単にこれまでのグラフィティが作り上げてきた基準から語れない場所に存在しているからにほかなりません。

ただウェブサイトはあまり更新されていないようで、もしかしたらすでに活動を休止している可能性もあります。メールしても全然帰ってきませんでした。ライターの人はあまりインタビューを受けてくれないのでそのせいかもしれませんが…。こういうふうに紹介したい衝動を受け取るもの出会ったととき、すでにとき遅しこともあるんです。もちろん時間が経てば亡くなる人もいますし、いろいろな理由で辞めてしまう人も。わりと長いこと活動してきて思うことは、時間との戦いだなと。それはその人がアクティブな時間と自分のアクティブな時間が重なり合うことだと思うのです。実はそんな瞬間的な出会いがあることなんてなんて僅かなんですよね。そのことは肝に銘じて活動していかなくてはと思っています。

グラフィティのクルーはもう一組取り上げたい人がいるので、その話はまた近いうちに書きたいと思います。

http://www.crewagainstpeople.org/

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“音のグラフィティ” 都市との相互作用を探る、サウンドアーティストMatt Lewisについて

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リアルタイムな話題がせわしなく続いたので、この辺でまた気になるアーティストを紹介したいと思います。ロンドンを拠点に活動しているサウンドアーティストで、その名をMatt Lewisといいます。彼は障害者や都市計画など社会問題に焦点を当てており、アクティビストとしての側面を持つのも特徴です。彼はミュージシャンでもあり、サウンドアーティストでもあるのですが、そのあたりちょっと体験構築型の作家とは一線を画している部分があると思います。またC&Rというサウンドアートをテーマにしたギャラリーの設立者でもあるみたいですね。

さて今回特に紹介したいと思っているのが、彼の「Audio Graffiti」という作品。彼はその作品を「オーディオ/ソニックグラフィティ」と呼んでいます。ようはグラフィティの音版と考えればわかりやすいかもしれません。彼は様々な公共の場所に、許可なしに安価なオーディオデバイスを設置します。おそらく通りがかった人たちはストリートで唐突なサウンドに出会うことになるのでしょう。彼が意図していることは、都市環境とサウンドの相互作用。資本によってデザインされた都市環境に異物を導入し、そのオルタナティブな可能性を検証することこそグラフィティの可能性の一つ。また同時にそれが、彼が音のグラフィティでやろうとしていることの価値なのだと思います。

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その他にも興味深い作品がたくさんあるので、ぜひチェックしてみてくださいね。

http://www.mattlewis.info/

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