2016-May-3074 Shares 

Exibition Space: Workstation.

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高円寺の商店街を脇道に入り5~6分の距離にWorkstation.はある。Workstation.はギャラリーの名前であり、6名の作家から成るアーティスト集団の名前だ。毎月、メンバーによる展示が行われ、個々のアート作品が発表される。貸しギャラリーとは違い、メンバーがギャラリーという場を持ち自分たちで運営している。しかも自然発生的にメンバーはつながりコミュニティーが生まれ、互いの作風が共鳴している。そんなスタイル、なかなか無いと思う。各々の作品発表と、メンバー全員が参加するギャラリーの運営。このWorkstation.としての活動は、どのようなきっかけで始まったのだろうか。

「もともとは清水と二人で、アートブックのレーベルとして立ち上げたのが初めで。ZINEをDIYで作るという活動からスタートしたんです。アートブックレーベルとしては一昨年まで活動していて、そのレーベル名がWorkstation.。その後、互いの作品などを通じてメンバーと知りあっていき作家同士のコミュニティー、ギャラリーの名前としてWorkstation.を運営していくことになったんです。コンセプトは、しいて言えば作品づくりを『ちゃんとやる』ってことかな(矢満田)」

「この場所で作品の展示を行うというアイデアは矢満田くんから。矢満田くんがフキンさんにこの場所を引き渡すから何かやる?と誘ってもらって。そのちょっと前に僕が矢満田くんと知り合って、大学は違うけど予備校のつながりだったり、友達の友達という感じで集まってきて今の6人の体制になったんです。この場所はもともとASOKOというフリースペースだったんだけど、僕たちがやるならギャラリーがいいんじゃないかと(丸目)」

安部悠介 左「GOOD LUCK」右「I am fish」
日高理樹 
高見澤優海 左「more useless hours than can ever be repaid」右「Untitled」
鈴木夏海 左「Hard work out」右「Work it」
丸目龍介 左上「Do THE RiGHT Thing」左下「Ocean Spray Alliance」右上「Kiss of life」右下「Viaggio di nozze」

2名のアートブックレーベルから始まり6名で構成されるアーティストのコミュニティーへと成長、そしてフリースペースから彼ら自身のギャラリーへと展開したWorkstation.。そのメンバーは次のとおりだ。矢満田一輝(東京芸術大学院在籍中)、丸目龍介(東京芸術大学院在籍中)、鈴木夏海(東京芸術大学院修了)、安部悠介(多摩美術大学在籍中)、高見澤優海(多摩美術大学卒業)、清水将吾(多摩美術大学卒業)。メンバーの専攻は多岐におよび、個々の作風や作品に込められた価値や意図、さらにメンバー自身のキャラクターもバラバラだ。でも、Workstation.のグループ展で全員の作品を観てみると、そこには通底している部分があるように感じる。6名の作品は別々に成立しながらも、時代性とかカルチャーとかを共有しているように思える。

「僕は多摩美に通っていたんですが、4年前に北海道から東京に来て、大学では意気投合できる友達を見つけようと意気込んでいました。でも、1年半くらい友達ができなくて……。そんな時期に高見澤くんと作品を通して打ち解け合え、その流れで丸目さんや鈴木さんとも知り合えて。メンバーは個々の作品を本当に好きだと思っているんですよ。だから、作品だけでなく人間性にも共感できる(清水)」

Workstation.になる前のASOKOはDJやミュージシャン、アーティストなど種々雑多なジャンルの人々が不定期に集まり、ライブやトークショーをUstreamで配信したり、アルコール片手になんとなく集結しだべり合ったりというユルくて何でもありな場であった。いわゆるオルタナティブスペースみたいな感じ。しかし、Workstation.になってからは、メンバーの作品発表の場として役割や目的が明確になっている。端的にいえば、いたって真面目でストイック。そこには、どんな作品制作の意図やギャラリー運営の狙いがあるのか。

「うーん、アートのみにとらわれるのではなくて、僕が好きなストリートカルチャーの文脈もベースになっているし、自分たちにとって新しい表現や作品の価値を創り出せたらいいかなと。自分の思う芸術っていうのはこれまで習ってきたアートへの対抗というような意識は無くて、ただ今までにはない価値を提示する作品をつくりたいと思っているだけかな(丸目)」

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丸目をはじめWorkstation.のメンバーは美術大学および大学院に在籍・卒業している。美術の教育をみっちり受けてきた彼らだが、これまで勉強してきたアートの変遷の歴史や文脈にぎっちり縛られることはない。実際、メンバーそれぞれが影響を受けてきたカルチャーをベースに、自分たちにとってカッコイイ・新しい価値を追求して作品づくりを続けている。高見澤はキャンバスにチャンピオンの靴下を幾つも貼り付けてみたり、清水は商品を取り出した後のパッケージのようなものを加工し作品にしてみたり、これはなんだ?という表現を行っている。

例えば、矢満田は大学の卒業制作としてOneohtrix Point Neverというアーティストのライブステージを作り上げた。丸目はTシャツの型に切った厚紙に抽象や具象のペインティングを描く。街中に散在するグラフィティを意識したような作品もある。安部は子供の頃に親しんだゲームのキャラクターを模してユーモラスかつ迫力ある筆致で絵画を制作している。本人が好きだった人や物をモチーフにまっすぐ作品づくりを行っている。単に流行りをなぞるのではなく、ストリートに溢れるアイテムやカルチャーをメンバーそれぞれが作品世界に表現している。

ws_yamanta 矢満田一輝 左 「kazuki#02」 右 「kazuki#01」 ws_shimizu 清水将吾 上「Blu-ray package and reversible camo」下「Standee #0」

「僕はここに展示されている作品のような感じでしか絵画を描けないんですよ。自分が形づくられてきたもの、例えばゲームのキャラクターだったりで自分の絵を成立できればいいなと今は思っていて。それで最終的には崇高なというか抽象的な絵画と同じレベルで自分の作品が語られるようになればいいかなと(安部)」

「個々が好きな物やカルチャーが作品にどれだけ表出されているかは、メンバーによって様々かな。でも、Workstation.に共通して言えるのは、カルチャーがベースになって作品が作られているということだと思う。共通して好きなカルチャーもあるし、共感し合える部分があるんですよ(高見澤)」

今回のグループ展では全員の作品が一挙に展示された。そこで見えた通底した感覚には、過去・現在に影響を受けた事柄が個々の作品に表れているように思えた。今後、Workstation.は現在の6名体制からさらにメンバーが増えていくのだろうか。そして、集団でギャラリーをオーガナイズしていくなかでどんな展開をしていくのだろうか。

「作品を見て、あっ!この人ならWorkstation.でやれるという感覚があれば、ギャラリーで展示してもらいたいし、メンバーに加わってもらうことも積極的に考えています。べつにこの6名に限定しているわけではないし。まだまだ美術のフィールドでの認知はないけど、展示を継続し個々が成長していきながら制作活動とギャラリー運営を続けていきたいと思っています(丸目)」

Workstation.
東京都杉並区高円寺北3-31-19
exhibition#07 “愛に正直なメロン” 鈴木夏海 開催中
2016/5/27-2016/6/1 14:00-21:00
http://work-station.tumblr.com

2016-Feb-0911 Shares 

Independent Culture Shop: Nice Shop Su

もしあなたが華やかなショーウィンドウを持つ路面店や、洗練された高名なセレクトショップより、マンションの一室で密かに営まれている特殊な品揃えのショップを好むタイプの人間なら、ぜひ大阪にあるナイスショップスーに立ち寄ってみてほしい。運営に携わる二人の住居を兼ねたそのスペースは、今はもう目にすることも珍しくなった、歴史を感じさせる木造アパートの一室で営まれている。ショップというより少し変わったライフスタイルを営んでいる友達の家に遊びに行くといった趣で、ジンやアートブック、カセットなどのおもいっきり偏向した品揃えを楽しむことができる。そのラインナップはかなり独特だが、ナイスショップスーのふたりがいろいろなところから集めてきた(ゴミのような?)ものをコラージュした一点もののジンもかなりオリジナリティがある。自分たちのつくったものや収集した商品、そして場所の選び方など、その世界観作りにふたりの独特のセンスが発揮されている。特に最近は、世界中のアーティストのさまざまなプロダクツを買い集めていて、そのラインナップがかなり面白くなってきている。その独特の世界を味わうための入門編としては、かなり力の込もった作りのウェブショップがあるので、そのあたりから探検してみてはどうだろうか。

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ナイスショップスーの立ち上げは何年でしょうか?もし立ち上げのきっかけやエピソードがありましたら、教えて下さい。
たしか2013年に、とある展覧会のクロージングパーティで、「めりす」というフリーペーパーを作っているエメラルドクリトリスのディナミシャイ介さんと、関西を中心にDJなどの活動をしているobocoさんと知り合ったのですが、その時にディナミさんが「何か始めたら絶対楽しいよ」みたいなことを言っていたので、何か始めようと思い2014年にナイスショップスーを始めました。
ショップという媒体を選んだのは、いろんなところにショップがたくさんあるからで、ショップなら出来るだけ生活に溶け込む形で美術や音楽、文化を紹介できると思ったからなのですが、たぶん今のナイスショップスーはだいぶ変わった謎のショップに見えてしまっていると思います。もっと庶民的なショップに見えるようになれば、さらに面白いショップになりそうだなと思っています。

ショップが入っている建物が特徴的ですが、どうしてその場所を選んだのでしょうか?
特に今の場所を選んだという理由はなくて、以前から住んでみたいなと思っていたこの建物に、数年前に引越したからここで始めたというすごい安易な理由なんです。
始めは今と違う部屋に住んでいたのですが、物置として使われてる大きな部屋があることを知り、その部屋に住みたいと管理会社に相談してみたら、自分たちで片付けたら好きに使っていいよと言ってもらえたので、その部屋に移って今の形のショップを始めました。気持ち的には、商店街などで営まれている住居兼タバコ屋みたいな形だと思っていたのですが、ボロボロのアパートの一室でこの形態はだいぶ特徴的な変わったショップなんだなと始めてから実感しました。

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商品のラインナップがとてもおもしろいですね。買付にあたっては、どのようなポイントに惹かれることが多いですか?
まだまだ仕入れたいものを全部仕入れるほどの売上や金銭的な余裕もなく、もっともっとすごい商品をいっぱい仕入れたいと思っているのですが、少しずつ仕入れたい商品を仕入れられるようになってきたので、そう言ってもらえるととても嬉しいです。ナイスショップスーは、いろんな表現を知りたいけどまだよくわからないという方たちと、日本にもたくさんある素晴らしい専門店的な音楽ショップや本屋などのショップ、素晴らしい催しを開くギャラリーやイベントスペースなどを繋ぐ架け橋になることを目指しています。
仕入れる際に大切にしていることは、作家自身の思いが純粋に現れた商品を取り揃えることです。有名無名、新旧問わず、すごいと思ったものを仕入れていきたいです。そして、私たちが取り扱う商品を通して世界中の素晴らしいアーティストを身近に感じ、世界中にはいろんな可能性が溢れているということを実感していただけるような場所になれるようもっと頑張ります!

ご自身でもジンなどを作られていますが、そうしたものを作るようになったのはお店を作る前からですか?もし自分でそうした活動を行うようになったきっかけやエピソードがありましたら、教えて下さい。
節約のためではありますが、簡単な家具やアクセサリーを自分で作ったり、他にも自炊など、人並み程度ですが物作りを行っていました。でも、他者に何か伝えようというような美術的な物作りを始めたのはショップを始めてからかもしれません。
ショップを始めた頃はまだ商品の仕入れ方も全然わかっていなかったので、仕入れと並行して町を歩いて拾った美しいものを集めた「にせしょっpすー」というウェブショップを作っていたのですが、もの自体というよりそのものと場所の関係とか持ち帰れないようなことを仕入れたい気持ちになってきたので、そういう商品などを自分たちで作り始めました。

二人三脚的な活動の仕方も印象的です。お二人の出会いは?役割分担などはありますか?
ナイスショップスーは、アルバイト先で出会った中尾(女)とささじま(男)の2人で運営しています。役割分担を簡単に説明すると、ささじまが仕入れなどの情報収集や今後の方向性を提案し、中尾が最終的な判断を行うという感じなんですが、言葉で説明すると堅苦しいですね(笑)。とにかくどちらか1人だけではなく、2人で感動を共有できる物事を取り扱うことを一番大切にしています。

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オススメの商品について、もしよければその作家さんの背景なども含めて教えてもらえたら嬉しいです。
インスタグラムで偶然見つけた今年フランスの美大を卒業したばかりのエイドリアン・バーネットという作家の作品がめちゃくちゃかっこいいです! 昨年彼に始めて連絡した時は、インスタグラムと自身のウェブサイト以外でまだ作品を発表したことがないというほど無名だったのですが、絵画作品やフォント作品の制作、本やウェブサイトのデザインなど学生時代からとても魅力的な作品をたくさん制作されていて、その中でも特に彼が描いた洞窟壁画を現代的に再構築した絵がとにかくすごいので、もっといろんな人に知ってもらいたいと思い昨年末からお互いグーグル翻訳を駆使してその絵をまとめた日本語版の本を一緒に制作しています。昨年から始まったCOOPという全て手作りの出版物を発売するレーベルからもうすぐ発売出来ると思いますので、早くいろんな方に見ていただきたいです!
それと、このウェブマガジンを読んでいる方で、まだMASSAGE 9と10を読んでいない方にはMASSAGE9と10をオススメします!私たちは、MASSAGE9を読んでインターネットを使うと世界が身近に感じられてめちゃくちゃ楽しいということを知りました。当店でも取り扱っていますが、全国のいろんな書店でも購入できますので、ぜひ!今後の人生がより豊かになると思います!

ナイスショップスー
現在、実店舗での営業は予約制です。
下記のURLやSNSなどからお気軽にお問い合わせください。
http://nnnnnnnnnnnnn.web.fc2.com/nn.html
HP: http://nnnnnnnnnnnnn.web.fc2.com
MAIL: enuu@live.jp

2016-Jan-2610 Shares 

Exibition Space: SOBO

ギャラリー「SOBO」で行なわれている展示が、毎回とても面白いので紹介したい。SOBOは神保町に2015年6月よりオープンしたAsylが主宰するオルタナティブスペース。ビルの中にはギャラリー以外にも、スタジオなどがあり、複合的な施設となっている。キュレーションは、ASYL、SOBOで働く人たちが共同で行っていて、純粋に自分たちが見たいと思う作家をピックアップしている。写真や絵画作品だけでなく、プログラマーやメディアアーティストなど、幅広いジャンルをカバーし、有名無名にとらわれず新世代のアーティストを取り上げているのが特徴。これまで培ってきたつながりを生かして、小さいスペースながら、他で見ることのできないユーニークな展示を行っている。

では、以下にこれまでSOBOで行われてきた展示を幾つか紹介しよう。

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谷口暁彦 個展「スキンケア」[2015.10.30–11.11]
https://vimeo.com/149553519

3Dスキャンされたお菓子の立体データに、これまたスキャンした表面のイメージが貼り付けられている。実世界では、お菓子のパッケージが白く塗りつぶされており、そこにもテクスチャーのイメージがプロジェクターから投影されている。平面、立体、デジタル、フィジカルの間をさまざまなメディアを介して繋ぐ複雑な作品。

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Vacant Room [2015.7.17-29]
http://ucnv.org/vacantroom/

アーティストucnvがキュレーションしたグループ展。ホワイトキューブには作品の土台以外には一見なにもない白い空間が広がっている。来場者は指定の方法で、スマートフォンを用いて作品を見ていくことができる。現実空間と非現実空間の間にある落差を顕在化させるような方法で、鑑賞行為自体を作品化した展示。

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 BACON「unknown dào fú」[2015.6.19-7.1]
http://bacon-index.tumblr.com/unknowndaofu

スウェットのような生地がキャンバスに貼り付けられており、その周囲には中華風の飾りつけとともに、日用品のようなオブジェクトが並ぶ。イメージが作り出す微妙な感触を、最小の作為により定着させている。

SOBO
〒101-0054東京都千代田区神田錦町3-20 アイゼンビル 2F / 3F
http://sobo.tokyo

開催中
youpy / Rainforest [2016.1.8-1.23]

今後の展示の予定
箕浦健太郎 個展 [2016.1.29-2.13]
時里充 個展 [2016.2.19-3.5]

Aaron Flint Jamison, Christian “Megazord” Oldham 二人展
渡邉朋也 個展
タダ飯山 グループ展
ただ、中澤耕平 二人展
など