2017-Apr-0869 Shares 

個展「超・いま・ここ」で辿る谷口暁彦の制作の軌跡。出来事の関連が作り出す、予言的な何ものか。

CALM & PUNK GALLERYで開催中(2017年4月8日〜23日)の「超・いま・ここ」は、2007年のICCでの出展以来、谷口暁彦がこの10年間に作り出してきた作品を並べ、そこに共通する問題を浮かび上がらせるという展示。変化の激しいこの領域で10年というとかなり長期間に思えるが、それを一堂に会すことで作家自身の思考の変遷を感じられるとても興味深い内容になっている。

今回の展示では、作家自身が作品について言語化するという趣旨がうたわれており、そのためか会場の中心には作品解説の掲載されたポスターが置かれている。解説ポスターには、会場にやって来る観客の過去の体験が描かれた絵画のような予言的な絵画を描きたいと発言する友人のエピソードが登場する。そして予言の本質的な前提として、双方の出来事が「似ている」ことに触れ、その類似によって「時間的な隔たりを、無時間的に短絡しあう」と指摘している。

本来は無関係な出来事同士が時間を超えて結びつくという跳躍は、谷口の作品の驚きの構造のとても明確な説明となっている。けれども個々の作品を眺めていると、谷口は結びつけるというより、接続されている状態と接続されていない状態の、不安定な中間を揺れ動いているようにも思える。そこにある余白は、彼の作品のひとつの特徴ともなっている。

経験する出来事はただ生起して消えていく。ときおりそれが、連続したシーケンスとして何かに関連付けられ、意識の上にぼってくるだけである。意識の隙間に消えた出来事が、新しく別ななにかに関係付けられるとき、それが新しい姿をまとい、予言的な何ものかとして現れるのかもしれない。しかしその出来事と出来事の結びつきの間の手前にある余白には、また別の純粋な状態が存在しているように思える。谷口の作品の中にどこか詩的な感触があるのは、そのためかもしれない。


会期:4月8日(土)〜4月23日(日)
※4月7日19時より、オープニングレセプションを開催致します。
開場時間 :12:00 – 19:00
※休廊日:日曜日、月曜日 /4 月 23 日 (日) のみ開廊
トークイベント:4月15日(土)17:00-18:30
ゲスト Houxo Que, 永田 康祐
入場:無料
会場:CALM & PUNK GALLERY
東京都港区西麻布 1-15-15 浅井ビル 1F 
http://calmandpunk.com/

2017-Mar-2170 Shares 

今度の主人公は世界に存在する「あらゆるもの」。David OReillyの新しいゲームは、その名も「Everything」。

CGを用いた詩的な映像を作り出すクリエイター、David OReilly。映画「Her」で架空のゲームを提供し世界から注目を浴びたことも記憶に新しい彼が、新作ゲームを本日公開しました。iOSでリリースされた前作「Mountain」は「山」を主人公にしたシミュレーションゲームでしたが、「Everything」はそのコンセプトをさらに進化させた、まったく新しい形のゲームです。

トレーラーを確認すると、ユーザーが生き物を操作しています。その動きはかなり独特です。だけど興味深いのはそれだけではありません。このゲームで重要なことは、世界を探検しながら出会うもの全てに憑依できるということです。動物だけでなく、植物にも、そして無機物にも、最終的には銀河そのものにだってなることができます。

映像の後半はかなりすごいことになっています。「Mountain」で作り上げられた瞑想的なアンビエンスと、その奥にあるパーソナルな感触、そして笑いの中に垣間見える深淵のようなもの。David OReillyの作り出す全く新しいゲームの芸術がどのように進化しているのか、今から体験することが楽しみでなりません。

3/21にPS4ストア(USA、UK、Ireland、Germany、France)より、4/21にはSteamからリリースとなります。日本のユーザーは該当国のユーザを新しく作ってインストールするか、Steam版を待つしかなさそうですね…。

http://delicate-vacuum.com
http://www.davidoreilly.com

2017-Mar-1927 Shares 

靄がかった世界との合流点。オンライン視聴室EBM(T)のIssue: 015は、$3.33 / Celia Hollanderによる作品「MERGE LANE」。

オンライン視聴室EBM(T)のIssue: 015が公開された。今回フィーチャーされたのはCelia Hollander、別名$3.33という、ロスアンゼルスを拠点にレコーディングや作曲、サウンドインスタレーション、テキストなどを用いた幅広い活動を展開するアーティスト・作曲家。

サイトを訪れてまず目にするのは、写真がレイヤー状に薄く重なねられた映像的なコラージュ作品。そのイメージに関連すると思われる出来事を綴ったテキスト。そして再生ボタンを押すと、公共の室内プールに沈められたグランドピアノで即興演奏された(?)という独特の音響が穏やかにオンラインの空間に広がっていく。

Celia Hollanderのサウンドには、何かの輪郭を探しているような手探りの感覚がある。テキストに書かれていることは、音の解説ではなく、音が別なものに結びつくという体験である。それはとても私的な体験である。

記憶は反芻されることによって確かなもの(ときには異なるもの)になっていく。デジタル以降のカオス状態は、全てが繋がりあった私たちの記憶に似ている。重なり合ったのこのイメージのように、それは遠くに霞んで見える。そのカオスの中で謎を紐解くヒントを探し、聴こえてくる反響に耳をそばだてること。私たちができることは、周波数を合わせるようにノイズの中に一枚の風景を見つけ出し、何かを存在させることしかない。それは過去だろうか、未来だろうか。靄のように曖昧な向こう側にある、確かに存在を感じられる世界。「MERGE LANE」はその合流点なのかもしれない。

March 17th (Fri) 2017 ~ May 14th (Sun) 2017
http://ebm-t.org

2017-Mar-1796 Shares 

ローマに拠点を置くサイケバンド、Rainbow Islandの描くフューチャリスティックなノスタルジー。アルバム収録曲のコンセプトを表現したAwe IXによる360度動画が公開。

サイケデリックな異次元への旅。そんなウリ文句はよくあるものだけど、Rainbow Islandの特異な点は、その絶妙なバランス感覚。饒舌に物語を描き出すシンセサウンドに、原始的なドラミングが交信し合う。その終わりのない探求により持ち帰られたダビーで神秘的なサウンドには、メビウスが描くバンド・デシネにも似たフューチャリスティックなノスタルジーの魅力が詰まっています。

そんな彼らの最新アルバム「Crystal Smerluvio Riddims」に収録された「Jiāng」の瞑想的な世界観を引き立てるのは、〈Quantum Natives〉のメンバー、Awe IXの制作した360度動画。曲のコンセプトを表現するために、タイトルであるJiāng(長江)を題材に制作されたそう。実写にコンピュターグラフィックスが溶け出した走馬灯のような奇妙な光景が目の前へ流れ出し、聴くものをこのサウンドの持つ催眠的な世界へと誘い込みます。Awe IXの独自の映像コラージュはより洗練された完成度で、見たことのないような映像の世界を作り出しています。

スマートフォンなど360度動画視聴可能な環境でぜひチェックを。

https://flyingkidsrecords.bandcamp.com/album/crystal-smerluvio-riddims

2017-Mar-1417 Shares 

ロシアのシーンのキーパーソンbuttechnoが再来日。エレクトロニックミュージック・コレクティブIN HAによるイベントが3/17に開催。

IN HAはUltrafog、RaftoそしてMari Sakuraiをメンバーとするエレクトミュージック・コレクティブ。2014年の夏から、オルタナティブな音楽性を持ったアーティストたちを毎回紹介し、全てのアクトが同じ方向を見るのではなく、カオスと調和が共存しているようなイベントを開催してきた。

7回目となる今回のイベントには、昨年の来日公演も大盛況だったbuttechnoがなんと再来日。ファッションブランド・ゴーシャラプチンスキーの音楽を手がけ、近年注目されているロシアのシーンのキーパーソンである彼を、IN HAが迎えます。buttechnoのライブセットに加え、ROTTENLAVA、DJ Soybeans、JR Chapparo、Fedor Kortukov、IN HAからUltrafogとRaftoのユニットライブ、Mari Sakuraiが出演する。

なお、この日のbuttechnoのライブは24時からスタートになるので、早めの来場がお勧め。

下記のFacebookイベントページでの参加表明で、前売り価格での予約を受け付けているそう。是非今のアンダーグラウンドシーンの新鮮な響きを体験してみてはいかがでしょうか。

https://www.facebook.com/events/117125282151917/

IN HA #7 ft.buttechno @Forestlimit
3.17(fri) Open 23:00
adv/door ¥1,500/¥2,000 + 1drink

– Live
buttechno
ROTTENLAVA
Ultrafog + Rafto

– DJ
JR Chapparo
DJ Soybeans
Fedor Kortukov
Mari Sakurai

– Flyer Design
hakke

2017-Feb-2016 Shares 

シンセサイザー+バイク=? LOOK MUM NO COMPUTERが作り出す改造楽器と偏愛的実験的シンセサウンド

エレクトロミュージックが好きな方なら大量の配線を抜き差しし、ツマミをグイグイと回して変則的な電子音を作り出すアーティストの動画を一度は見たことがあるのではないでしょうか。それは電子音をいちから制作できるモジュラーシンセというシンセサイザーの一種なのですが、一旦その説明は置いておきます。今回はそんなモジュラーシンセサイザーを自作し、パフォーマンスをインターネットで拡散しているLOOK MUM NO COMPUTERというアーティストについてご紹介したいと思います。

26歳の彼はイギリス在住で、Zibraというバンドでボーカルをしながら、シンセサイザーを自作して演奏し、そのプロセスをYoutubeで公開しています。今までもシンセサイザーの演奏動画は「弾いてみた」系のキーワードと共に公開されてきましたが、彼が特殊なのはシンセをまったく異なる領域のマシンと組み合わせている点です。

その例のひとつがシンセバイク。そう自転車です。彼は自転車のハンドルやトップチューブにモジュラーシンセを搭載、車輪にも手を加え速度によってテンポが変化するように改造しました。

SYNTH BIKE 2.0 SYNTHESISER LOOK MUM NO COMPUTER

シンセバイクの解説動画:Synth Bike – In Depth

1999年に発売され、日本でも爆発的な流行になったファービーも彼の手によればコンテンポラリーノイズマシーンに早変わり。(動画前半が解説、後半が演奏)

How to sync a circuit bent furby to a synth video

モジュラーシンセのドラムパターンに合わせて悲鳴のようなノイズを発するファービー。魔改造されたファービーの姿が少し衝撃的ですが、既存のオブジェクトの破壊によって新しい音楽が再構築されています。

また、彼はシンセサイザーと生ドラムの即興演奏動画も公開しています。モジュラーシンセと生ドラムのライブセットは、リアルタイムに変化する複雑なモジュラーシンセの音の波と重厚なリアルドラムサウンドによって私たちを楽しませてくれます。

Look Mum No Computer LIVE Modular Synth And Drums

彼のようにシンセサイザーやおもちゃの回線を自分で改造することを「Circuit Bent」と呼びます。Youtubeだと約8年前から数多くの魔改造レトロトイのCicuit bent動画を確認することができます。とくに彼が面白いのは冒頭にも述べたように、自転車やダーツボード、ソーラーパネルといったほかのマシンとシンセサイザーを融合し、改造のプロセスを公開している部分だと思います。

DARTBOARD SYNTH – PLAYING MUSIC WITH A DARTS?
(最終的に手でダーツボードを押していますが、そこはご愛敬)

モジュラーシンセを配線位置から設計して制作するギークな彼ですが、Zibraというバンドではキャッチーで明るいシンセサウンドを作り出しています。

Zibra – Wasted Days (Official Video)

LOOK MUM NO COMPUTERのYoutubeチャネル登録数は約4400(2017年2月18日)。実験的で偏愛的で時にトラッシュな彼の活動を通じてエレクトロミュージックの面白さと奥深さをぜひ感じてみてください。

LOOK MUM NO COMPUTER
Youtube https://www.youtube.com/channel/UCafxR2HWJRmMfSdyZXvZMTw
Facebook https://www.facebook.com/LOOKMUMNOCOMPUTER/?hc_ref=PAGES_TIMELINE

(Text: 小松塚悠太)

2017-Feb-1640 Shares 

プラハの〈Genot Centre〉より、Dane Lawのアンビエント・ハウス作品「r.bit」を体感するフライトゲームが公開

アルゴリズムを用いた手法でエレクトロニック・ミュージックを制作してきたプロデューサーDane Lawの、アンビエント・ハウス作品がプラハのレーベル〈Genot Centre〉よりリリースされ、続いてアルバムの世界観に呼応したゲームがフリーDLで公開されました。

ゲームの世界観から感じられるのは、スピリチュアルな宇宙の探索、生命とテクノロジーの関係、古典的な「人工知能」といった90年代に流行したテーマ群。いまVRの登場で息を吹き返しつつありますが、それらは当時多くの人々が夢見ていたコンセプトにほかなりません。実は今回のプロジェクトは、実際に90年台に活躍したUKクラブミュージック界の重鎮であるWilliam Orbitの商業的なアンビエント・テクノからインスパイアされたものだそうです。

リバイバルをコンセプトにした作品とはいえ、現代的な感覚を通過したその音響は今も不思議と新鮮に響きます。クラブミュージック的な没入感と覚めたような感覚がレイヤーのように重なり、シンプルな構造の中にも奥行きを感じられる作品になっています。

楽曲があえてコンサバティブな世界を作り出している一方で、ゲームの重力のない新しい空間を作り出そうという態度は対照的です。ユーザーはこの惑星のシステムを模した上も下もなく、始まりも終わりもない箱庭的な環境を探索していかなくてはなりません。シフトキーを押すと前進(これがわからず、最初ちょっと苦戦しました)。最初は無音ですが、あることをすると「r.bit」の楽曲が次第に聴けるようになっていきます。

開発はReaper Death Seal Corporation。Mac、Windowsで動作可能。さらにOculus riftとも互換性があるとのこと。是非試してみてくださいね。

Dane Law, “r.bit”
https://genot.bandcamp.com/album/r-bit
Gameのダウンロードは以下。
http://genot.cz/rbitgame.htm

2017-Jan-2267 Shares 

反トランプを掲げ立ち上がったアクション「ウィメンズ・マーチ」。世界中の人々の見せたウィメンズパワーとそのイメージ。

誰もが予想をしていなかったトランプ大統領就任から一夜明け、21日に行われたトランプへの抗議と女性の権利向上を主張するために行われたウィメンズ・マーチ。その数は大統領の就任式に集まった人数をゆうに超える50万人となり、ホワイトハウスの周辺はピンクの帽子をかぶった人々で埋め尽くされました。また東京を含む世界60カ国でも連動した抗議が行われ、その抗議の波は世界中へと広がりを見せています。

当初から女性蔑視的な発言を繰り返して来た大統領への反発は当然とはいえ、悪くなっていく世の中に決して黙せずアクションを畳み掛けていくエネルギーは、都市における多様性の共存というテーマを動物という比喩を介して表現した『ズートピア』のような映画をどメジャーな場所で作りだしてしまうようなアメリカの強い良識の部分が表れていると感じます。

驚いたのが海外のInstagramのフォロワーたちが関連する写真をあげまくっていて、タイムラインがウィメンズ・マーチ一色になってしまったことです。日本ではセレブのデモなんて揶揄する人もいますが、立場のある人だからこそ発言するというのはひとつの常識、ということなのでしょう。アーティストやミュージシャンもしかり。そこで今回は新しいガールパワーも予感させる、印象に残ったプラカードや写真をピックアップしたいと思います。

girls march #womensmarch

DISさん(@dismagazine)が投稿した写真 –

Dismagazineより。あまり示威効果はなさそうですが控えめさが逆に目を引きます。わたしが一番ってやっているみたいで、かわいいですね。

#womensmarch

DISさん(@dismagazine)が投稿した写真 –

こちらもDismagazine。Disに関してはあまり政治的なスタンスは明らかにしていない印象がありましたが、さすがにということなのでしょう。写真のトリミングにDisらしい斬新さがありますが、クローズアップすぎて場所がどこなのかよくわかりません。彼らの拠点のNYでしょうか。

とにかく手書きのプラカードがかわいい。日本でもプラカードに統一感を出しておしゃれにする動きがありましたが、なかなかこういうのは作れないなあと思います。手書きなのにいろいろな字体があって見ていて飽きません。

Rihanna at the #womensmarch in NY

@emmafntyが投稿した写真 –

こちらも手書きのプラカード。モデルのようにポーズを取っているのはどうやらリアーナのようです。どういうシチュエーションでこうなったかわかりませんが、プラカードをおいていっちゃうのは欧米スタイルなのでしょうかね。

こういった横断幕もよく見かけますが、プラカードとはまた違う趣があってよいです。文字が傾いていたり、歪んでいるのも味わいがありますね。女性だけでなくすべてのジェンダー・スペクトラムへ向けたメッセージのようです。

I used to walk to the Trump Tower after work when I was interning at the Met Museum. It was around the time of the Occupy Wall Street protests, and I would go sit in that gaudy temple of doom to reflect on how trickle down economics function (aka disfunction). ⛓ The Trump Tower is a dead mall. When you take the escalator upstairs, all that's there is shuttered stores that used to exist to attract tourists, but now are out of business shrines to nothingness. It is a metaphor for what this presidency is going to look like. So, my fellow Americans, it is up to us to fight back and to reclaim justice against those who seek to destroy & silence us in the name of greed & exclusionary uses of power. The next four years require strength & mobilization, and for us to come together to fight for what we believe in. Let's get to work.

Signe Pierceさん(@signepierce)が投稿した写真 –

タイムズスクェア前でとても美しいパフォーマンスを作り出す、アーティストSigne Pierceのインスタより。こちらは成金趣味で悪名高いトランプタワーの前ですが、パフォーマンスのようなことを行なっているのでしょうか。

#womensmarchonwashington photo by @madjohnchick

The Riot Grrrl Projectさん(@theriotgrrrlproject)が投稿した写真 –

パンク・ シーンでの性差別に反対して生まれたライオットガールのムーブメントのドキュメンタリーを作成しているプロジェクト、The Riot Grrrl Projectより。独特のフェイスペイントとプラカードがマッチしていてパワフルです。

🚫🚫🚫🚫🚫

GURLS TALKさん(@gurlstalk)が投稿した写真 –

こちらはGurls Talkという女性のためのコミュニティをつくる運動体のインスタ。モデルのAdwoa Aboahによって設立された団体だけあって、おそろいの衣装がおしゃれですし、スウェットに書かれたメッセージも気がきいています。

ざっと駆け足で見て来ただけですが、こうやってみると世界中にどれだけ多くのコミュニティや運動体が存在しているのかを改めて実感します。わたしたちがふだん接している文化や物事は、そうした見えない意思の存在によって支えられてきたのかもしれません。普段ばらばらに存在しているそうした流れも、危機にさらされた時には抵抗の声をあげ、また連帯して動いていくのだと思います。正直未来は暗いと感じざるを得ませんが、こうした個人が作り出す動きの中には可能性の光が潜んでいるのではないでしょうか。

2017-Jan-1933 Shares 

インターネットのお土産屋?プロダクトを売るコレクティブのプロジェクト「the internet shop」。

僕らが「インターネット・カルチャー・ショップ」という展示をやらせてもらったのは2014年のことですが、先日その名も「the internet shop」というプロジェクトを見つけたので、今日はこちらを紹介したいと思います。

そういえばインターネットはば英語で「The Internet」と書きます。Theがつくのはインターネットが世界で一つしかないからとのこと。しかしそれはこれまでの話で、去年AP通信が「internet」と普通名詞で表記するよう転換をしたというニュースがありました。確かにそれはそうだよねという感じです。

そう思うとインターネットってとうとう「海」とか「森」とか「宇宙」といった言葉と並べられるようなものになったのかなと。だから海の近くには海グッズを売る店があるような感じで、インターネットにもインターネットのグッズがあってもよいですよね。「the internet shop」はインターネット好きが訪れる、お土産物屋さんというイメージなのかもしれません。

そんな「the internet shop」ですが、立ち上げたのはVeryVeryContemporaryというクリエイターのネットワーク。メンバーを見て見ると、ドイツを中心にヨーロッパ界隈で集まっているという感じ。コレクティブみたいなやり方ってあまり日本では聞かないのですが、各々が独自に活動しながらゆるく集まって活動するこの感じはよいですよね。「the internet shop」はそんな感じで友人たちが作ったものを集めて売るプロジェクトなんではないかと想像します。

Welcome @sucukundbratwurst to #theinternetshop 💛 limited print #BEWATERMYFRIEND now exclusively available: #brucelee #vosswater #stayhydrated

The Internet Shopさん(@theinternetshop)が投稿した写真 –

collection for @laurakokinova is now ready for your neck 🌹

The Internet Shopさん(@theinternetshop)が投稿した写真 –

☃ snowden snowball ☃ #theinternetshop

The Internet Shopさん(@theinternetshop)が投稿した動画 –

O'cock 🔜 at #theinternetshop 🍆⏰

The Internet Shopさん(@theinternetshop)が投稿した写真 –

https://the-internetshop.com

2017-Jan-1823 Shares 

ヴァーチャルギャラリーDiMoDAが作り出した、知覚を変容させる鑑賞体験というアート。

いわゆるインターネットネイティブといわれる世代が固執するヴァーチャルな三次元空間への憧憬は、おそらく世代的にゲームの体験に由来しているのではないでしょうか。フラットな世界から立体への移行という革命の最初の経験は、これからくる未来への期待に彩られており、私たちはその技術的な欠点や未熟さをイマジネーションで埋めることができました。そしてそこにある不完全性は次第に新しさや独自性に転換し、ひとつの文化的領域を形作るまでに拡張したように思います。

そして近年ではUnityやBlenderなどの登場により、ほとんど無料でそれと同等かそれ以上の技術を用いることができます。アーティストたちは美術を正式に学ぶより前に、こうしたツールで作品を作りまくることが可能です。こうした今の状況は、美術に対する空間への意識も変化させずにはおかないでしょう。そしてオンラインギャラリーとVR技術の組み合わせはそうした創作物の最適な保管場所であり、またそれゆえにそれらはホワイトキューブの空間に変わる新しい礼拝所になりつつあります。

さて今回紹介するのは、DiMoDAというヴァーチャルギャラリーです。DiMoDAはDigital Museum of Digital Artの略とのこと。アーティストのAlfredo Salazar-Caroと、William Robertsonにより、2013年に構想、2015年にThe Wrong Biennaleのパビリオンとして最初の展示を行って以来、年二回、少数のアーティストたちからなる展示を作り出してきました。

ユーザーはフロントとなるインパクトのある建物から、ポータルを介して3つの会場に行くことができます。会場にはそれぞれ独自の物理的な特性があり、作品を見るのと同時に自身へフィードバックされる感覚の変容も見所になっています。

彼らの特徴のひとつは、そのプロジェクト自体をさまざまなフィジカルな空間で展示している点かもしれません。マイアミビーチで開催されたアートバーゼル、NYのTransfer Galleryなどで展示を行うなどなかなかエネルギッシュに活動しています。またこの一月からは、ロードアイランド州のRISD MuseumでVR展示を行う予定とのこと。

最新の展示は以下のサイトからダウンロードできますので、是非体験してみてください。

http://digitalmuseumof.digital/art/

2017-Jan-1211 Shares 

Boomkat Editionsの新シリーズ「12×12」がスタート。第一弾はRaimeの新名義、Yallyによるシングル。

イギリス、マンチェスターを拠点として、クラブトラックから実験的なベッドルーム・ミュージックまで幅広い電子音楽を取り扱うレコードショップであるboomkatが新しい12枚の12インチをシリーズでリリースする、『12×12』をスタートさせました。本シリーズは2017年でレコードショップとしての経営が20年目を迎え、またセルフレーベルboomkat editionsのスタート5周年を記念するものです。

その第一弾を飾るのはRaimeの新名義、Yallyによるシングル。いまだ1枚の7インチしかリリースされていない姉妹レーベルも含め、これまで『Blackest Ever Black』のみでリリースをしてきた彼らにとっては初の「外仕事」とも言えるでしょう。

ジャングルや2ステップなどのクラブ・ミュージックから小杉武久や裸のラリーズ、またFugaziやSlintといったハードコア、スロウコアのバンドからの影響についても公言してきた彼らは、これまでの2作のアルバムではインダストリアル,ノイズといったサウンドを主として展開してきました。yallyの名義での本作ではグライムやジャングルといったイギリスのストリートから産まれた音楽を主軸としたものとなっています。boomkatによるノーツでは,本プロジェクトは「ベース・フューチャーの開拓」と称されており、これまでのイギリスの音楽において常に重要なエッセンスであった「暗さ」がしっかりと受け継がれていることが感じられます。

さらに,Boomkat editionsの第2弾を飾るのは,先述のYallyと同じくロンドンを拠点として活動を続けるBeatrice Dillonです。

これまで〈The Trillogy Tapes〉や〈Where to Now? 〉のようなレーベルから,ゆっくりしたペースでリリースを続けてきた彼女は,半世紀近くの間、イギリス国内外の現代美術家の一つの重要な居場所となってきたLisson Garalleyなどでプレイするなど,先鋭的な音楽を芸術などの他のフィールドへ繋げていく(もちろん、音楽はそれ自体が非常に芸術的なものだけれど)活動を続けてきました。

第1段のYallyとは異なるアプローチながら,クラブミュージックの周縁を開拓し続けている彼女のリリースには,レフトフィールドと呼ばれるような音の実験と、音楽の革新の場であったクラブという空間を繋げてきたレーベルの先鋭的な姿勢を見ることができると思います。まさに本シリーズにふさわしい記念碑的なリリースです。

2017年となり、今後数ヶ月に渡って合計12枚のリリースを完成させる予定のBoomkat Editionsの『12×12』シリーズ。今後、どのようなアーティストやミュージシャンが我々の耳を驚かせてくれるのか、期待して待ちましょう。レーベルにとって記念すべき年となる2017年の電子音楽の台風の目となるかもしれません。

(Text: 中村繁)

2017-Jan-0614 Shares 

〈Quantum Natives〉より、ラトビアの二人組zolitudeによる「zolitude」。その和やかな高揚が呼び覚ます、街の記憶。

これまでにも数多く紹介してきた気鋭のレーベル〈Quantum Natives〉より、ホリデーのタイミングで新作が届きました。ラトビアの首都リガにある町の名を冠した二人組zolitudeの8曲入りコンパイル。メンバーのViktor Timofeev は、暗号をモチーフにした、未来的で凄く独特な作風のアーティスト。もう一人のKaspars Groševsのサイトにも、象形文字のような特徴的なドローイングがならびます。

レーベルからの情報には、zolitudeの町の区画についての説明があって(主要および建設予定の道路の名前やその数など)、つらつらとなんだか物々しいので、ついgoogle mapの航空写真で確認すると、一角には鈍く光る鉤形をした堀や柵、城壁のように配置された建物が。ストリートビューで見たら実際には団地のような集合住宅がなにかの要塞のように見えて、ああ、この既視感は何かと考えたらこれはまるで戦国時代の進軍をあらわす勢力図じゃないかと。「真田丸」ロスのみんなの心も満たしてくれる(?)、その音もまるで戦争叙事詩なのです。単体ではポップなデジタル音も、全体を覆うスモーキーなノイズのせいで銃声の暗喩のように響きます。

たとえば4曲目「Eiko-Klubs」では、ジャズを奏でながら練り歩くキャラバンがインベーダーに出くわし、ビームの応酬に遭いながらも我関せずと行程を変えず突き進んでいったり。次の5曲目、ユニット名でもある「zolitude」では、緩やかに高揚しては墜落していくベース音のループから、荒涼とした砂地に埋まった地雷のごとく予期できない音の欠片が滑り降り、跳ね回り、弾けとんだ挙げ句、防空壕から聞こえるようなくぐもったサイレン音へと収縮していきます。それに続く6曲目の「Dvor」は男前でダンサブルなミニマルでスタートするもやはり暗雲が立ち込めて、ドローンやらアラームやら二転三転し、なんとか生きながらえるかの渾身の14分。1〜2分と切り刻まれた曲が多い彼らの作品のなかでは大作の類で、白眉の作。

ラトビアにはこれまで数ヶ国に植民地支配された蹂躙の歴史があって、そのせめぎあう音の背後には欧州の歴史の重量を感じることもできるかもしれません。こうしてひたすらの感動を長々と書き綴ってしまいましたが、とりあえず1曲目「Zole」の映像を体験してみてください。遠景から映し出された装甲車は、見ればただ地を這う小さな虫なわけで。巨視と微視とをアンリズミカルに往き来するさまは、軽やかというよりもズンズンと重い。ていうかただただカッコイイ、とだけ言ってしまいたいのが本音なので、いますぐぜひ。

ダウンロードはこちら
http://www.mediafire.com/file/j41mawhnuow62fm/Zolitude+-+Zolitude+%28QNR008%29.rar

(文・松屋加奈子)

2016-Dec-28302 Shares 

2016年の日本の豊穣な地下シーンを50組のアーティストと楽曲で振り返る。Japanese track maker / musician 2016。#1-25

2016年、日本の地下シーンは沸騰前夜といってよい豊穣な一年でした。このような燃え上がる創造性の発現、そしてジュラ紀のような多様性の爆発は今まで経験したことがないものです。もちろんそれはこの数年の間に準備されてきたものだと思いますが、煮えたぎるような盛り上がりが可視化されることはありませんでした。ローカルな動きがオンライン経由でさまざまに繋がり合っていき、それが目に見える形で一気に顕在化したのがこの一年だったのではないでしょうか。

とりわけ重要なのが〈Orange Milk〉からの一連の衝撃的なリリースです。そして、UKのレーベル〈flamebait〉ではカオティックな側面を持つアーティストが、USの〈Squiggle Dot〉からはポップでアバンギャルドな感性にシンクロした作品が、〈H.V.R.F. CENTRAL COMMAND〉のHardvapour作品に混じり日本のアーティストがリリースされていたのも印象的でした。見渡すと世界の感性が日本のいろいろな局所的空間とシンクロし合っていることが分かります。

震災以降シーンが下火になり音楽メディアが消える一方で、地下茎のようにアンダーグラウンドでは新しい根が育ち、表現の部分ではむしろ熟成が進んだように思います。日本で表面化するより先に、その結実が海外の目利きたちに発見されていったというのが本当のところだったのかもしれません。

日本、海外という区分け自体はもう意味がなくなってきているとは思いますが、膨大なリリースのなかで日本の作品をあえて抽出してみると、その豊饒さを改めて感じてもらえると思います。だけど実際はそんな数ある面白い作品をこの冬は筆が追いつかず、全く紹介できていないという気持ちに苛まされていました。その代わりというわけではないのですが、年の終わりにいっきに50人の作品を紹介して2016年を締めたいと思います。一般的には順位をつけるのでしょうが、優劣を付けるのが苦手なのでアーティスト名のアルファベット順で並べてみました。

1. 7FO, “Water Falls Into A Blank”

7FOは、大阪を拠点に活動する音楽家。本作は〈RVNG Intl.〉の新プロジェクトとしてリリースされた。レゲエの影響を思わせるローファイで透明感のあるダビーな安定したビートに、フレッシュで透明感のある音響が交錯する。湖に浮かぶ光のゆらめきのような世界で、音の生き物たちが軽やかに舞い踊る箱庭的ユートピア。

2. Akobae, “[α ω α к є] му [ѕ σ υ ℓ]”

ネットの奥底から発掘されたきたようなコラージュ感覚とそこに垣間見えるセンスは、オンライン上でkawaiiとゴシック、そしてスピリチュアルが交雑し変異したような独特のもの。ノイズにより覚醒したドローン作品から、オンラインの落とし子といったコラージュ作まで。変名がいくつかあるようで、その全容はよく分からないけれど、強固で一貫したセンスを感じさせる。

3. alma, “Peach”

Lilyも参加の新宿眼科画廊の展示を終えたばかりのalmaは、ジェンダーの問題意識からさまざまな表現活動を行なっている。身体から発せられる声はとても繊細で、まるでそれ自体が電子音であるかのように、響きの中に溶け出していく。表現の前へ自身を投げ出していく全体を賭けた姿勢は、アーティストという存在の本来のあり方を思い出させてくれた。彼女のような存在が現れた意味を私たちは考えなくてはならないだろう。

4. 荒井優作

早熟な鬼才あらべぇから名義変更し荒井優作へ。モノクロームの映画の中で吹き荒れる静謐な嵐のような粒子の粗いアンビエント。彼が撮影した写真にも独特のポエジーがあって、とてもよいです。

5. brf, “BRF-KU EP”

オンラインの表現集団Baconの商品を取り扱うIsshi MiyakeのBRFより、東京の街のサウンドからつくられたというハードコアテクノ。鋭すぎる五感により写真のように鮮明に焼き付けられたのは、街の姿というより現代の都市を疾走する文化のポートレートのようなものかもしれない。

6. Cemetery, “DENIAL”

東京で活動するアーティスト集団CONDOMINIMUMの主催者、渡邉弘太のCemetery名義。猥雑な都市のノイズをかき消す雨のような詩情に溢れている。かすかに歪んだガラスのような硬質な響きが鉱石のような世界を作り出す、メロディアスかつロマンチックなアンビエント作品。

7. CARRE, “GREY SCALE”

80年代のインダストリアルを継承しながら現代のエレクトロミュージックの音楽のエッセンスを感じさせるデュオ。近藤さくらとの展示も記憶に新しい本作は、深宇宙に潜り込んだかのような抽象的でモノクロームの音響が広がる傑作。15年の作品だが、カセットが本年リリースとなった。スピーカーのような装置を用いたパフォーマンスもとてもインパクトがある。

8. Constellation Botsu, “ちゅざけんなッズベ公!!”

島根在住のトラックメーカー。切り刻まれ破片となったシンセ/ハーシュノイズは繊細かつ破壊的で、マダラ模様に進行する時間感覚は想像を超えたグルーヴを纏い、聴くものを酩酊に導く。そのサウンドのみらず、Tweetされる言葉から、アートワークまでその独特の表現に世界からの注目が集まっている。

9. CVN, “Unknown Nerves”

CVNはJesse RuinsのメンバーNobuyuki Sakumaのソロプロジェクト。複雑性とシンプルな骨格の間を繊細なバランスで揺れ動く、ハイファイで硬質な感触を持つサウンドを作り出す。彼が間に見つけ出した新鮮で力強い美学は、〈Where To Now?〉をはじめ〈Orange Milk〉、〈Dream Disc〉、〈Flamebait〉などさまざまなレーベルに見出され、作品がリリースされた。

10. dagshenma, “NYP1232016”

dagshenmaは京都市在住の樋口鋭太朗による電子音楽のプロジェクト。高周波のようなノイズが、彫刻のように硬質な構造物を描き出す。アンドロイドのような人工的質感をまとったそのサウンドは、低温度の世界観に貫かれており、上質なノイズ/エレクトロとして聴くことができる。京都を拠点とするMadeggとのユニットAcrylも注目。

11. DJWWWW, “Arigato”

DJWWWWは、一度の休止からふたたびオンラインでsimforartなる新しい音楽メディアを開始したKenji Yamamotoの音楽名義のひとつ。この世界のありとあらゆる場所から音を見つけ出し、縦横無尽に組み合わせる豊かなセンスは自身のレーベル〈Wasabi Tapes〉とも共通した感性を感じさせる。純粋な遊びから生まれたというその音のコラージュは新しい感触に貫かれていて、深い音楽愛から新しい音楽フォーマットを作り出してしまったかのよう。オンラインアンダーグラウンドの成果のひとつの結実として記憶に刻まれたマスターピース。

12. EMAMOUSE, “eyeballnized”

もはや謎が神話レベルに高まりつつあるPsalmus Diuersaeから作品を発表する数少ない日本人。自作の独特なイラスト作品に登場する奇妙なキャラクターを模したマスクをすっぽりと被ってライブを行ったり、自撮りをアップするなど、虚構と現実の間を往復する不思議な人物。ゲームミュージックのように繊細に組みあげられたデジタルサウンドや、風変わりなデジタルフォーク的作品も作り出す。エンディングへと疾走するような激しく、めくるめく変転する展開はクセになる心地よさ。

13. former_airline, “Our Fantasies for Science and Pornography”

Former_Airlineは東京在住の久保正樹によるプロジェクト。金属的でノイジーなテクスチャーの音響が、張り詰めたテンションを持続させながら無人の都市を飛翔して行く。ミニマルなパターンの中に豊穣な情景が作り出されてくさまは、クラウトロックのよう。

14. GENSEIICHI, “Berlin”

インプロヴィゼーションユニットa snore.のメンバーでベルリンへと拠点を移した、GENSEIICHIによる作品のタイトルは「Berlin」。ミニマルテクノ的な圧を感じる変則的なビートの上でノイズのパターンが展開していく。低く抑えられた速度が、奇妙な白昼夢のような世界を作り出している。

15. Hakobune, “Impalpable Ashes”

多作で知られるドローン界を代表する才人。アトモスフェリックな音像のなかに神々しく荘厳なサウンドスケープが浮かび上がる。至福の美しさを持つ、アンビエントドローン作品。

16. H Takahashi, “Body Trip”

アンビエントユニットUNKNOWN MEの結成も記憶に新しいアンビエント作家のH Takahashi。結晶を形作るように空間を浮遊する音の像が見たことのない姿を描いていく。スピリチュアルというよりは、日常にある感覚を拡大したかのような優しく朗らかな奇妙さがある。春のような温かみすら感じる、ニューエイジの新しい時代を導いたアンビエント作品の金字塔。

17. Kazuya Suwa, “Above the Head / World is Echo”

レーベル〈Squiggle Dot〉の最初のリリースを飾ったKazuya Suwaの最新作。サイケデリックな夢を漂っているかのようなストレンジな世界観にポップさが光るそのスタイルには、どこか人肌のような温かみや陽気さも存在している。その軽やかさは、今の時代の感性という感じがする。

18. KΣITO, “Juke Shit 3”

Juke/Footworkの遺伝子から、多彩な進化を作り出す早熟な鬼才。本作は縦横無尽に進行するビート、ジャポニズムを意識してか和楽器の音色が絡み合う実験作。

19. Kentaro Minoura, “あー ep”

画家として知られる箕浦建太郎の音楽家としての一面が発揮された作品。音色がそぎ落とされた、静かに荒ぶるノンビートなノイズが徐々に解き放たれて行く1曲目。対極的に終末に向かうようなメランコリックさをたたえた2曲目のアコースティックな演奏でエンディングを迎える。

20. Lisachris, “LINE EP”

トラックメイカー、DJ、モデルと多彩な活動を見せるLisachrisのサウンドはベースミュージックの感性を下敷きにし、オンライン的なコラージュ感や高解像度の視覚イメージも掛け合わせたエッジ感の強いスタイル。そのエッセンスはDiploのMad Decentにも通じるような形式を独自に変容させてしまうような軽やかなセンスを感じさせる。

21. 鶴岡龍とマグネティックス, “Luvraw”

BTBを解散したトークボックス奏者のLuvrawの新次元を見せた新しいプロジェクト、鶴岡龍とマグネティックス。南米の甘く狂気に満ちた夜を思い起こさせるような、危険で楽しい、生の快楽に満ちたエキゾチックな楽曲集。

22. LSTNGT, “Boarding Gate”

トランスを新しい角度から解釈したかのような、身体をドライヴする至高のシンセサウンド。きらびやかな情景を描き出すそのメロディは、生まれ出た生命を表現するかのように、自由にその形を躍動させていく。ただ美しいだけでなく、聴くものの視聴を内側から突き破る破滅的な衝動を揺さぶる傑作。

23. MANTIS, “Resolution EP”

MANTISは、Moss(モス)とLa-Pachu(ラパチュ)によるデュオ・プロジェクト。エレクトロミュージックやダブの影響を独自の言語で昇華し、重くもたつくようなビートの上に高密度に敷き詰められた音像が複雑に交錯する暗く硬質な音の世界を作り出す。本作は、去年のアルバムからのヴァイナルカット作品だが、異なるヴァージョンとPoleのStefan Betkeによるリミックスが収録されている。

24. Madegg, “New”

Madeggは京都在住の音楽家/アーティスト。全ての像がぼやけたようなモノクロームのサウンドスケープが、霧が晴れたように新鮮な音遊びの世界へと移行。さまざまな音楽がキマイラのように結合し、異形の進化を遂げる。音楽が見た夢のような分裂病的鮮烈さをもつ抽象的なエレクトロミュージック。

25. Metome, “FEATHER”

Metomeは大阪を拠点として活動するTakahiro Uchiboriによるソロ・プロジェクト。高精細なテクスチャーと変形されたボーカルに、断片的な音像が編み物のように組み込まれ複雑な姿を見せる抽象的なサウンドの構造物。安定感のあるクオリティに旺盛な実験精神が掛け算された、アップデートされたエレクトロニカ的感性。

[関連]Japanese track maker / musician 2016。日本のトラックメイカー/楽曲50。#26-50

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2016年の日本の豊穣な地下シーンを50組のアーティストと楽曲で振り返る。Japanese track maker / musician 2016。#26-50

26. Nozomu Matsumoto, “Pre-Olympic”

バーチャル聴覚室EBM(T) のメンバーとしても知られるNozomu Matsumotoの夢と消えたZaha Hadidの建築イメージが、切ない幻想性を掻き立てるシングル。人々の集合の力が生み出す巨大建造物の背後にある儚さ。資本主義が見る夢のような虚構性がエレクトロニックなサウンドの背後で鳴る荘厳でクラシカルなサンプルから響いてくる。

27. nukeme band, “Tower Mansion”

nukeme bandは、メンバー全員が寅年生まれのヌケメ、ドリタ、9s9、pagtas、suzukiiiiiiiiiiによるドローンをテーマにしたバンド。セカンドとなる本作は抽象的ではあるものの持続音に重さはなく、即興の遊びにより構築されたさまざまな音色が楽しく飛翔していく。シンセポップ的な要素が新鮮な新世代のドローン実験ユニット。

28. Rhucle “Yellow Beach”

Rhucleは東京在住のアンビエント作家。早朝のまどろみのような、やさしさと温かみを感じさせるあいまいなものの美しさ。奏でられる持続音の中に、森林の空気のような清々しい幻想が広がっていく。繊細さの奥に強い芯を感じさせる作品。

29. Ryo Murakami, “Esto”

Ryo Murakamiは大阪を拠点に活動するアーティスト。アラブ首長国連邦のレーベルより。硬質な響きが蠢き、聴くものの感覚を歪ませるようなインダストリアルな世界観が構築されている。どこまでも深くてどこまでも黒い、ドローン/エクスペリメンタル。

30. §✝§

音源は数少ないが、VRを用いたライブが評判。サウンドだけでなく、オンラインが現実に結実したかのようなパフォーマンスは、サウンドとヴィジュアルの稀な幸福な結合であり、唯一無二のもの。もっと聴きたいし、もっと見たい。

31. Seiho, “Collapse”

大阪の出身で、〈Day Tripper Records〉の主宰者。ロスの〈LEAVING RECORDS〉から認められ、その稀有な才能が「Collapse」に結実した。Arcaにも通じるフェティシズムを通過したその音の異形を愛でる美学は、崩壊直前の絶妙なバランス感覚の上に成立している。エレクトロニカ、ビート、アンビエントなどさまざまな音の要素が、溶け合うように結合した、優しくも美しい作品。

32. 食品まつり a.k.a. Foodman, “Ez Minzoku”

Juke/Footworkが日本で独自の進化を遂げた。スカスカした独創的で脱力した奇妙なサウンドは、あれよという間に世界中の音楽メディアに捕捉され、その多くから本年のベスト作品としてノミネートされた。既存のカテゴリーにはけして分類できない、まさに異能の天才が作り出した作品。その奥からは職人的な探求というより、子供の心を覗き込んでしまったかのような、純朴な即興性と素朴な音への関心の追求が聴こえてくる。

33. Sugai Ken, “鯰上 -On The Quakefish”

日本の伝統的意識を現代の意識で消化した、風変わりなエレクトロミュージック。想像を超えて奔放に形を変化させていく美しく奇妙な音の生き物たち。豊穣な暗がりの中からどこかユーモラスなファンタスティックな光景が浮かび上がる。動と静の垣間見える捉えどころない間が、聴くものを中毒性のある音像の世界へと導いていく。

34. Takahiro Mukai, “Bubble Over”

日本の〈Birdfried〉や〈Phinery Tapes〉、〈Hylé Tapes〉など国内外のレーベルから精力的にリリースを続ける大阪在住のアーティスト。電子パルスのパターンが変化しながら泡のように浮かび上がっては消えていく。絞り込まれたミニマルな要素のなかに新鮮な感触が作り込まれており、硬質な弾性を感じさせるその音の構築物は、ただ純粋にカッコよい。

35. takao, “V”

さまざまな音楽の響きが聞こえては遠くへ消えていく。彩度の低いくぐもった音響が重なり合いゆれうごく、フィルターを通して世界を眺めているような幻想性。ストイックな美しさを持つアンビエント作品。

36. Theater 1

Theater 1は、D.J.FulltonoとCRZKNYによるコンセプチュアルなシリーズ・プロジェクト。日本のジューク/フットワーク界を代表する二人がタッグを組み、月一でその可能性を探求。本作は完成したトラック群の総集編的なアルバムとなる。ミニマルでテクノライクなそのサウンドは、その裏にあふれんばかりの熱量と強烈な刺激を含んでいる。

37. toiret status, “◎omaru◎”

プリセット音のみで作られたという高音質な音の破片が歪みの中でかき混ぜられ、聴覚の酩酊の中で新しい姿を形成していく。強い重力により音が放たれる空間自体を歪ませたようなそのサウンドは、聴くものの予定調和を次々と破壊せずにはおかない。このような新鮮な才能が、食品まつりらと同じく〈Orange Milk〉から作品を発表したということも驚き。本作にも参加している同郷であるKenji Yamamotoとのユニット、Toiret $egatasにも注目したい。

38. TOYOMU, “印象VII : 幻の気配”

京都のビートメイカー/プロデューサー。カニエ・ウェストの新作を妄想で作り上げた作品に続いて作られた宇多田ヒカルの「Fantôme」の妄想作。感覚が先走ったその組み立てには、Vaporwaveの奥にあるコンセプトとの共通性も感じさせる。乱暴なまでに斬新で、かつ奇妙な独自の世界を作り上げている。

39. UNKNOWN ME, “AWA EP”

UNKNOWN MEはやけのはら、P-RUFF、H TAKAHASHIにより結成されたアンビエントユニット。自身の分野で才能を開花させている3人がアンビエントの新機軸となるファーストカセットから、はやくも7inchのEPをリリース。日常における気持ち良さを拡大し持続させたような、透明で美しい幸福の気配に包まれたアンビエントハウスの傑作。

40. Ultrafog, “Faces, Forgotten”

Solitude Solutions〉よりリリースされたUltrafogのファーストカセット。厚みのある音像空間に、ミニマルな音の襞が優しく広がっていく。サイケデリックでほのかな温度を感じるローファイなアンビエント作品。

41. ROTTENLAVA, “KDK-8 ROTTENLAVA – MOTHER C”

メランコリックな響きを持つシンセサウンドの揺らめきに包まれながら、暗闇で微かな光を頼りに進む方向を確かめるように、もったりとしたビートがどこからかやってきては消えていく。反復によって作られるその感触はドローンのようだが、気がつくとダンストラックのような姿をしていたりする。不安定だが、儚さゆえの美も感じる作品。

42. Ryota Mikami, “Wedding”

Ryota Mikamiは東京を拠点とするアーティスト。Weddingというタイトル通り、希望を感じさせるメロディのループが高らかに鳴り響く。躍動感のあるサウンドの表面には、多彩な音の色や形が敷き詰められており、ポップさの中に荘厳な美しさのある世界を作り出している。9つの波で構成されたミュージックビデオ「Pyre」も発表した。

43. WoopHeadClrms, “日本の鎌倉母”

WoopHeadClrmsは愛知在住のトラックメーカー。変則的なビート、ボーカル、サンプルから作り出される脈絡のなさが際立つそのサウンドコラージュはMADの影響を受けたものだという。拡散的でノイジーなサウンドテクスチャーで構成されるそのグルーヴは、無重力で三半規管がかき混ぜられるようなカオスの中にある気持ち良さがある。

44. world’s end girlfriend, “LAST WALTZ”

world’s end girlfriendは前田勝彦によるプロジェクト。6年ぶりとなるこのアルバムはこれまででもっともパーソナルな哲学の領域に踏み込んだものだという。粒子の粗いメロディが深層へ語りかけるように静けさのなかに荘厳に響き渡り、その独自の物語空間へと聴くものを誘いながら、次第に耳へと重くのし掛かってくる。この重力の質感と、彼岸へと暴走するような虚無感は、どこかウィッチハウスとも共通する感触を感じる。

45. xoltev, “zero”

Wasabi Tapes〉より、鹿児島を拠点に活動する音楽家、xoltevのリリース。そのサウンドには空想的な明るさのようなものがあり、邪気のない心で希望に満ちた世界を映し出す。天上へ突き抜けていくような上昇感をまとったハーモニーに、変則ビートが空気のような軽さで交絡み合い、それらが美しい光景を描きながら、生命の喜びに満ちた躍動感で跳ね踊る。

46. Yoshitaka Hikawa

Yoshitaka Hikawaは東京を拠点に、〈CVLT〉や〈Astral Plane〉、O Fluxo Magazineなどに楽曲やリミックスを提供するプロデューサー。本作は、ju caとYoshitaka Hikawaのスプリット作品となる。さまざまな音のマテリアルが切り刻まれ、重ねられて生み出された靄がかった音像が、抽象的だがくっきりとした美学を感じさせる構造物を作り出していく。オンラインで生まれたばかりの新しい身体感覚をここに聴くことができるだろう。

47. 夕方の犬(U ・ェ・), “Choir and Room”

犬推しのイメージで聴くものを混乱させる音楽家、夕方の犬(U ・ェ・)。賛美歌とミュージック・コンクレートを結合。おもちゃのような不思議な感触がある環境音を背景に、神々しい響きを持つメロディが響き渡る。繊細な美しさと奇妙さが同居した幻想的な作品。

48. YPY, “The Rusted U.F.O”

goatリーダーのHino Koshiroのソロ名義YPYがJMT Synthのみを用いて制作した作品。もちろんただのデモンストレーションではなく、Hinoのストイシズムの中に無限とも思える豊かさを作り出すその才能がここでも存分に発揮されている。聴き心地の良いテクスチャーが形作った音のカーペットは、驚くほどいろいろな姿を映し出す。そのストラクチャー全てに聴くものをダンスへと誘う強い引力が存在している。

49.YYOIY

マドリード在住の日本人トラックメイカーでファッションデザイナー。ボーカルサンプルをスクリューしたR&B/ベースミュージック的な感触のある楽曲。去年〈Day Tripper Records〉から発表された「Hyper Pastelism」にも通じる、オンラインやポップ、ストリートなどに遍在するさまざまな要素をハイブリッドし独自に昇華したような、純粋に楽しく、新鮮な未来的感覚が存在している。

50. Yuta Inoue, “Piercer”

こちらも〈Day Tripper Records〉から作品を発表するアーティスト。粒子感のある様々な音像がマーブル模様を描くようにビートの上で混じり合い、帯状の分厚い音の層を作り出していく。モノトーンの色彩で描かれた抽象画のようなビートミュージック。

[関連]Japanese track maker / musician 2016。日本のトラックメイカー/楽曲50。#1-25

2016-Dec-215 Shares 

Liam Wongが写す今の東京の中に見える未来。Vaporwaveを彷彿とさせる、サイバーパンク、ネオ東京の姿。

ぼんやりと光るネオン、夜空に伸びるサーチライト、無数に並んだビル群、糸を引くバイクのライト。大友克洋原作、1988年公開「AKIRA」の舞台として視覚化されたネオ東京の姿は、そんな東京の未来的なイメージを世界に知らしめました。原作の舞台は2019年、今の日本はAKIRAのような混沌とした世界にはなりそうもありませんが、西新宿や丸ノ内のビル群を見ると、そうした未来的な風景に似た部分も感じられます。

今回は、東京の都市の今を、レンズを通して未来の姿として写し出すフォトグラファーの「Liam Wong」を紹介したいと思います。

Liam Wongはカナダ在住で、Ubisoftでグラフィックデザインディレクターとして働くかたわら、アートディレクターや2Dアーティストやフォトグラファーとしてもマルチに活躍し、2015年9月頃からInstagram上にロンドン・パリ・ロサンゼルス・東京などの都市の写真を公開してAdobeやCanonなどの企業からもFacebook上で評価を受けています。

ポートフォリオサイト「夜の美」には夜景の写真のみがアップしてあり「I love capturing real moments and transforming them into the surreal.(私は現実の瞬間を捉え、超現実に変えることを愛しています)」と書かれている通り、東京の夜景をネオンカラーへと変化させ、薄明るい暗さを闇へと変えることによって、情報や人や物であふれ混沌とした「サイバーパンク」を表現し、新宿や渋谷の街中で見たことのある光景は、彼のフィルターによってAKIRAやBlade Runnerのようなイメージへと昇華されます。

新宿歌舞伎町

My work is on the front page of @businessinsider and @Smithsonian today: "For art director and photographer Liam Wong, the streets of Tokyo at night are mesmerizing, like the "cyberpunk world" in the 1982 blockbuster "Blade Runner." Wong, who currently serves as graphic design director at video game developer Ubisoft, was inspired to photograph Japan's capital city during a recent trip there. "I was bewitched by how the city lit up, and I just kept taking picture after picture," he told Business Insider.

Influenced by his background in video games, @liamwon9 made mesmerizing, technicolor images of Tokyo, depicting it in a way it's never been seen before." #cyberpunk #neotokyo #night #tokyo #signage #street #shibuya #instagram #travel #streetphotography #streetphoto #neonsigns #neon #city #canon #liamwong #noir #neonnoir #bladerunner #enterthevoid #videogames #gamedev

A photo posted by LIAM WONG (@liamwon9) on

渋谷

https://www.instagram.com/p/BNE6LZ6Ang0/?taken-by=liamwon9

中野

担々麺の名店「ほおずき」の看板「担々麺」の文字が、ヴェイパーウェーブを彷彿とさせる。

浅草

https://www.instagram.com/p/BNcGyWugkOu/?taken-by=liamwon9

神保町

モノで溢れかえった新宿、渋谷の光景と比較して、浅草や神保町はサイバーパンク化した都市の片隅にあるノスタルジーを感じさせます。

彼のInstagramは定期的に更新されており、過去の作品も確認することができます。日本以外の国で撮影された写真もありますが、どうやらかなりの日本好きのよう。皆さんもぜひ覗いてみてくださいね。

Instagram: https://www.instagram.com/liamwon9/

ちなみにWebstoreでグッズ販売も行っており、個人的には新宿3丁目の写真のトートバッグがオススメです。

www.society6.com/liamwon9

A photo posted by LIAM WONG (@liamwon9) on

撮影場所はこちらのよう。

また、日本人写真家も未来を彷彿とさせる表現をしています。外側からの目線と中側からの目線の両方から日本とその未来を想像するとおもしろいですね。現在進行形の東京から見える未来を1枚の写真で表現する、そんな彼らをこれからもチェックしていきたいと思います。

Yuma Yamashita

Otaku Life #inspirationcultmag

A photo posted by Yuma Yamashita (@yuma1983) on

Takashi Yasui

https://www.instagram.com/p/BN6lnOZhE7j/?taken-by=_tuck4&hl=ja

(Text: 小松塚悠太)

2016-Dec-17153 Shares 

マイアミを拠点に活動する、La Mano Friaが立ち上げた新しいVaporwaveレーベル〈Sud Swap〉。そこに込められたソフトなメッセージ。

さて、今回はちょっとだけ過去の話題に触れたいと思います。2000年代初頭から音楽シーンを追っている人なら、〈Beta Bodega〉というレーベルが存在したことを覚えている方もいるかもしれません。自身のルーツである南アメリカへの思いと、力強い政治的メッセージが込められたそのビジュアルは、レーベルオーナーであるLa Mano Friaによるもの。音楽への情熱をグラフィックのみならずレーベル運営という形で表現し、また〈Rice And Beans〉や〈Botanica Del Jibaro〉などといったサブレーベルへと枝葉を伸ばしながら、さまざまな活動を精力的に行ってきました。

その彼が来日するというので久しぶりに会うことになり、そこで彼が新しいレーベル〈Sud Swap〉を立ち上げ活動しているということ、そしてそれがVaporwaveのレーベルであるということを聞いてとても驚きました。Bandcampのページを見てみると、今年だけでもかなりの量の作品がリリースされていて、かなりエネルギッシュに活動していることがわかります。

https://sudswapaudiobrewing.bandcamp.com

そのネットワークは拡大しつつあり、パートナーレーベルとして同じくマイアミのU-HALL法人営業のメンバーが運営する〈Botanica1〉が参加。また、日本のパートナーとしてはレーベル〈Seikomart〉があり、〈Sud Swap〉の限定リリースの作品などを買うことができるようです。

最新作は「Bottle Share 1」というコンピレーションです。U-HALL法人営業や、ミスターハンセン病患者などといったレーベルでリリースを行なっているアーティストたちの作品がパッケージされており、レーベルの全体像を知ることができる一枚となっています。

その内容は、レトロでドリーミーなアンビエントから、サンプルが引き伸ばされスクリューされたコラージュミュージックなど、Vaporwaveの定番的なスタイルを踏襲したものがメインとなっていますが、レゲエをコンセプトにしているというU-HALL法人営業のダビーなサウンドは、Vaporwaveのコンセプトとレゲエの手法に共通点を見出したものだそうで、そのあたりはマイアミならではの解釈、といえそうです。

「Vaporwaveとはコンセプチュアルな音楽」というのは彼の談ですが、強すぎる主張を盛り込むのは今の時代に合わないと言っていたのも印象的でした。強固な政治的メッセージが込められていた〈Beta Bodega〉のオーナーがそう言うのを聞くと、とても複雑な気持ちになります。かつてより困難な時代に突入しているからこその実感なのでしょう。けれど変わっていないこともあります。それは、彼がDIYで作られていく音楽シーンに可能性を見い出し続けているという点です。続けていくために変わっていくこと、それもまた必要な戦いなのかもしれません。

そんなLa Mano Friaさんですが来年はふたたび来日して、展示やライブなどを精力的に行うよう。予定は以下のような感じです。

1.5 SAPPORO @ 札幌駅地下歩道空間 チ・カ・ホ (exhibition)
1.7 CHITOSE @ 千歳市タウンプラザ (live/workshop)
1.8 TOMAKOMAI @ CLUB ROOTS (live)
1.12-16 TOKYO @ UPLINK GALLERY (exhibition)
1.14 NIIGATA @ TBA (live)

是非、La Mano Friaの新しい展開を体験して見てください。

2016-Dec-0915 Shares 

〈Hausu Mountain〉よりBen BillingtonによるQuicksails名義の電子音楽とジャズが既視感と未視感の上でまろやかに結合した作品「Mortal」がデジタルとLPにてリリース

これまでも色々なリリースを紹介してきましたが、レーベルからプレスリリースをもらうことも増えてきました。もっともレーベルオーナーですらアーティストの情報を持っていないこともあったりして、そういうのもネット以降の繋がり方という感じがします。少ない情報からも、いろいろな物語を想像するのはとてもたのしい作業です。

とりわけ〈Hausu Mountain〉のリリースはとても丁寧な仕事がされていて、毎回、その作品への愛を感じることができるものになっています。前回は彼らにインタビューをさせてもらいましたが、今回はそんな彼らから届いた作品をふたたび紹介したいと思います。

今回届いたのはBen BillingtonによるQuicksails名義の「Mortal」という作品。Ben Billingtonはシカゴで実験的なDIY、電子音楽、フリージャズのシーンで、Tiger Hatchery、ONO、ADTなどといったバンドのメンバーとして10年以上の活動歴があり、またソロとなるQuicksails名義では〈Spectrum Spools〉や〈NNA〉などといったレーベルから作品をリリースしてきました。

Hausu Mountain〉がとても変わった作品ばかりリリースするのはリスナーに聴いたことのない音楽を届けたいという情熱の表れだと思いますが、この作品からもそのヴィジョンが明確に伝わってきます。さまざまな要素のハイブリッドで形作られたその演奏スタイルは、実験を通過して長い視聴に耐えうる普遍的な形に結実した作品と感じました。

弾むようなパーカッションのリズムとエレクトロニックなテクスチャーから構成されるその表現は、エレクトロミュージックのなかにフリージャズのボキャブラリーが織り込まれているところが新鮮で、音のマテリアルをぐつぐつと煮込んで一体化させたかのような、既視感と未視感がまろやかに融合された美しさを持っています。

そんなQuicksailsの作品「Mortal」は、17年の1月13日にはフル・レンングスのLPがリリースされる予定だそう。これはフィジカルでじっくりと聴きたいタイプの作品かと思います。是非。

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2016-Dec-0773 Shares 

Oaklandの「最も美しい場所」、Ghost Shipで引き起こされた痛ましい火災。DIYの地下シーンを支えるさまざまな音楽レーベルから、犠牲者を支援する動きが広がる。

先日、OaklandのGhost Shipという倉庫で行われていたウェアハウスパーティで36人もの犠牲者を出した痛ましい火災がありました。当日は金曜日で、LAのレーベル〈100% SILK〉が関係するパーティが行われていたそうです。DIYで実験的な地下シーンを支えてきた老舗レーベルのパーティだったということで、その衝撃が波紋を呼んでいます。

thumpの記事によれば、11ヶ月間もこの場所に住んでいたというライターでアーティストのCarmen Britoは、Ghost Shipのことを「最も美しい場所」と述べています。ウェブサイトに写真があがっているのが確認できますが、さまざまな楽器や家具、アンティークな小物に埋もれた温かみのある愛に溢れた場所だということが伝わってきます。それを思うと、写真を見ているだけでとても胸が痛みます。

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不幸なことに、この会場は違法建築として調査されていた最中だったといいます。さらにスプリンクラーや火災報知器が働いた形跡がなかったことから、管理者に非難が集まる結果とになってしまいました。けれどもアーティストが高い家賃を避け、こうした古いスペースを見つけ出して拠点にする例は多く、そんな場所があるからこそ商業的ではない多様な表現が生み出されてきたということもまた事実なのです。亡くなってしまった命は取り戻すことはできませんが、事件によってこれまで築き上げて来られた文化が否定されるようなことがあってはいけないと思います。

以下のリンクは、映画評論家の町山智浩がこの火災に関して、カリフォルニアの「ジェントリフィケーション」という概念を紹介しつつ、その背景を語った内容を書き起こしをしてくれているブログです。どうしてアーティストたちがこのようなライフスタイルを作り出したのかよくわかる内容になっています。

http://miyearnzzlabo.com/archives/41020

この火災に関して、負傷者や犠牲者の方々への支援が始まっています。Youcaringというサービスを用いて、支援を行うことができます。

https://www.youcaring.com/firevictimsofoaklandfiredec232016-706684

また、アンダーグラウンドミュージックを担うたくさんのレーベルが同時に支援の声を上げ始めました。少し探しただけでもほんとうに多くのレーベルが何らかのアクションをとっており、ここに挙げきれないほどです。

悲劇的なこの火災がより痛ましいのは、非常に過酷な出来事が、純粋な善意と人々の相互扶助により作り出されてきた文化のなかで生じてしまったという点にあると思います。この事件は文化の脆さも露呈させもしましたが、同時に守らなくてはならない価値を浮かび上がらせもしました。犠牲になられた方々には冥福をお祈りするしかありませんが、日本からもドネーションを行うこともできます。ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

2016-Dec-0412 Shares 

Vektroidの最初期の名義Vektordrumの作品が3つ合わせてリリース。若さが才気走る、疾走するビート。

最近急に活発にリリースを始めたVektroidですが、自分自身の過去の作品をまとめようという時期に来ているのかもしれません。次々と変名を作り出すことでも有名ですが、今回の名義はVektordrum。そのリリースはVektroidより以前の2008年からのことで、この名義は彼女のもっとも若い時代のエイリアスであったようです。これらの作品は当時の再リリースということになります。

音源を聴いてみると、現在よりもリズムパートに比重が置かれており、よりメランコリックな傾向があることが分かります。それは時代のニュアンスも大きいと思いますが、くぐもったエフェクトや、さまざまな素材が折り重ねられ溶け合った果ての抽象画を眺めるようなその作曲スタイルはこのときからすでに完成しています。16歳から18歳まで使用していた名義らしいので、かなりの早熟な才能であったことは確かです。

Vektordrum, “Capitose Windowpane”

次第に明確になっていくリズムパターンの上で、歪んだシンセ音が歌うようにさまざまな表情を作り出す。暗くメランコリックな世界観が横たわっているが、作り出された構築物に重さはなく、ゆっくりとそのグルーヴを飛翔させていく。

Vektordrum, “Hello1&2”

雲の合間に光が差すように、美しい音色が柔らかな輪郭の上に現れては消えていく。シンプルで重さのあるビートの背後には、ロマンティックなニュアンスが見え隠れしている。一定の疾走感を保ちながら、作り込まれた楽曲構造により場面が次々と展開していく。そのさまは、まるでシューティングゲームの背後で鳴らされているBGMのよう。

Vektordrum, “Geese”

液体のように変化するリズムパターンに、低いテンションで何かを語りかけるボーカルのサンプルが重ねられたビート、アンビエントノイズ作品。丸みを帯びたノイズのテクスチャーが、低空飛行を続ける音階とゆっくりと溶け合っていく。16歳にして高すぎる完成度。

2016-Dec-0215 Shares 

プラハに拠点を置くカセットレーベル〈Genot Centre〉より、アウトサイダーハウスのスタイルをプレイするBryce Helmのアルバム「PERSONA」と360度ビデオがリリース。

プラハに拠点を置くカセットレーベル〈Genot Centre〉より、Bryce Helmのアルバム「PERSONA」のリリースされました。そしてアルバム収録の「Gone」の360度ビデオが、MASSAGEにてプレミア公開。カセットは55本の限定リリースだそう。

Bryce Helmはサクラメント在住のアメリカ人。アウトサイダーハウスと呼ばれる抽象的なハウスとテクノをノイズミュージックに融合したようなスタイルの楽曲を発表してるアーティストです。

そのスタイルは非常に幅広く、都市の情報過多を表象するかのようにサンプルが折り重ねられたサウンドのレイヤーは、その高い密度にもかかわらずインダストリアルな重さを感じさせません。ノイジーで神経質症的なテクスチャーには、AIのような独特の人工的肌感があり、その全体にさまざまなスペクトルが折り重ねられた複雑な感情と、透明感のある張り詰めた空気を生み出しています。

360度ビデオはLOLLABのメンバーDVDJ NNS。以前紹介したHERBARIUM「РИЗОМА」のビデオの制作者。その映像は、アナログとデジタルのロジックを用いて、有機物と無機物の要素を組み合わせ、見るものをフィジカルからヴァーチャルの間を移動する夢のような旅に誘い込みます。

2016-Nov-290 Shares 

〈Quantum Natives〉より、台湾在住のアーティストswiʌelized souηdsの「port / land」がフリーDLにてリリース。叙情的な光景の底にある、ひやりとした感触。

続けてですが、〈Quantum Natives〉から届いた最新のリリースを紹介したいと思います。

swiʌelized souηdsは88年からサイケデリックなサウンドを制作し続けている、オハイオ生まれで台湾在住のアーティスト。「port / land」はボーカルを中心とした「portraits」、そしてインストルメンタルからなる「landscapes」の2つのパートから構成されたアルバムです。

ダウンロードはこちらより。

http://www.mediafire.com/file/vmxsi503t7sslts/swivelized+sounds+-+port_land+%28QNR007%29-.rar

金属的な振動音を含んだ独特ボーカルが、幻のようにその景色の間に現れては消えていくサイケデリックでフォーキーな側面を見せる「portraits」。禅のような静けさを湛えた繊細な音の破片が、ノイズの織物の中に叙情的な光景を描き出していく「landscapes」。叙情的な音響の奥には不思議な懐かしさを感じさせる世界観があり、作り込まれた温かみのあるテクスチャーが独特の雰囲気を作り出しています。異世界のラジオを受信してしまったような、美しくもどこかひやりとした感触が残るアルバム。

イントロとなる楽曲「go where」の360度ビデオは〈Quantum Natives〉メンバーのAwe IXによるもの。台北の遺跡の中をアーティストとともに撮影したものだそう。

swiʌelized souηds
https://swivelizedsounds.bandcamp.com

portraits
1.go where
2.the new noise
3.underneath you
4.go do
5.bowl jumpr
6.penny for a needle

landscapes
1.un.now
2.took a powder
3.you can not change your mind
4.whispers of red
5.can i see the peoples

2016-Nov-270 Shares 

Vaporwave×VR。360度ミュージックビデオが見せるVaporwaveの新たな進化の方向性

11月14日、seihoのアルバム「collapse」より「Peach and Pomegranate」の360度のミュージックビデオが公開されました。

Matthewdavid主宰のLEAVING RECORDSからLPレコードとしても発売された「collapse」ですが、水の滴る音や絶妙に変化するノイズが組み合わさった実験的な一枚です。音圧が増幅してから転調するダンスミュージックらしい曲調の中、音と音の間の空白、鳴り響くカウベル、艶やかな女性の声。Electronica、ジャズ、IDM、Acid、Vaporwaveといったさまざまなジャンルの音楽がミックスされていると感じます。

seiho, Peach and Pomegranate

調べてみたところ2015年の5月ぐらいからYoutube上には360度のVRミュージックビデオが登場していて、IDM系のアーティストではSquarepusherが「Stor Eiglass」のMVを公開しています。アイドルやバンドも360度ミュージックビデオを公開していますが、今回はVaporwaveのVR、360度のミュージックビデオをご紹介したいと思います。

360度見渡すことができる動画ですのでPC環境か、スマートデバイスからは動画右下のアイコンからYoutubeアプリでご覧になるのをオススメします。

WHEREAREYOU Feat. FrankJavCee’s VaporTrap (360 VR) 4k 60FPS

この曲を構成しているPCの起動音やアラート音などは、だれもが一度は聞いたことがあるサウンド。背景にはWindowsのロゴやエラー画面、メーラーなどのアプリケーションのアイコンが飛び交い、ほとんどの音とビジュアルが既成のオブジェクトによって構成されていることが分かります。空間を感じるキック、細かく刻まれるハイハットやサンプルの連打、アナログなパッドが遠い場所で鳴り響き、その緩急は異次元へのトリップを誘う陶酔感を呼び起こします。既成のオブジェクトをサンプリングして、新しいものを創造するVaporwaveの特徴が表現された作品なのではないでしょうか。

#dicksoutforharambe: Legends Never Die – Harambe tribute (360/VR Video) 4K 60FPS

「dicks out for harambe」という危なげな曲名ですが、Harambeとは2016年5月にアメリカのオハイオ州で射殺されてしまったゴリラのこと。徐々に聴こえてくるシンセリードのアルペジオがアシッドのように蠢き、キックの裏で鳴るパッドにより、独特のグルーヴが生まれています。振り返ると彼の写真(思い出)は消えていますが、それは歴史の儚さを表しているかもしれません。

Bengfang – Never Ends (Official 360 VR Music Video)

この曲の中で出てくる「奔放」の意味は「常識や規範にとらわれないで、自分の思うままに振る舞うこと」で、そのタイトルからも彼の音楽性を感じることができる。映像は建造物の中から、サイケデリックな背景の空間へと変化していき、#dicksoutforharambeのMV同様、視点は次々と新しいシーンへと突入していく。バンドの360度MVビデオの視点は固定されたものが多いですが、Vaporwaveの360度MVにおいて視点は移動していくものが多い。刻々と変容していくインターネットカルチャーを表現しているのでしょうか。

今回紹介したものはあくまでも一部分で、いつなくなるかもわからない蒸気(Vapor)のようなもの。2015年10月ぐらいからはVaporwaveと並行してSIMPSONWAVEがインターネット上の掲示板にアップされはじめ、その作り方までアップされています。

Guide to Simpsonwave from simpsonswave

Guide to Simpsonwave

Vaporwaveというインターネット上に散開した掴みどころのないカルチャーは、VRの導入で、その世界観にさらなる広がりと深みが加わったように思います。今後もビジュアルと音楽両面で私たちを楽しませてくれるのではないでしょうか。

(Text: 小松塚悠太)

2016-Nov-2516 Shares 

メキシコ発のヴァーチャルギャラリー、VNGRAVITYが新しい展示のための資金をKickstarterで募集中。

メキシコ発のヴァーチャルギャラリーを発見したので紹介したいと思います。その名も「VNGRAVITY」。運営しているのはSalvador LozaGibrann MorgadoAlfredo Martinez、いずれもアーティストの3人です。

アーティストはこのプロジェクトのためにオリジナルの作品を制作。展示物はVRやAR、映像、GIF、インスタレーション、デジタル彫刻などさまざまなフォーマットにわたり、すでに50以上のアーティストが世界中から参加している。現在は「DREAMHOUSE」というタイトルの展示がアプリのダウンロード、あるいはブラウザを介して視聴することができます。

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VNGRAVITY Exhibition, “DREAMHOUSE”

彼らがオンラインギャラリーで提唱しているのは、場所の物理性から脱却するということ。それは観客が居住地に関係なく訪れられるということだけではなく、物理的な制約にとらわれない展示フォーマットを探求し、提示するということでもあります。

VNGRAVITYはまたUSBフォーマットで作品を販売しており、コマーシャルなオンラインギャラリーとしての側面も持っています。アーティストのことをより多くの人々に知ってもらい、これまで流通してこなかった映像やGIFなどのデジタルイメージの販売を民主化したいという意図から、彼らはけして裕福なコレクターを探しているわけではないといっています。

今回の資金の調達にあたって、「ECOSYSTEMS」「Aeon Debris」「Aeon Diverse」というタイトルからなる3つの展示プランが提示されている。どんな展示なのか解説を読んでも正直あまり分からないのですが、そんなこなれてない部分もこの領域の面白い要素だと思うんですよね。冒険心のある方、新しい展示の可能性の創造の一端に参加してみてはいかがでしょうか。

https://www.kickstarter.com/projects/2006686514/vngravity-a-virtual-gallery
http://www.vngravity.com

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2016-Nov-212 Shares 

若手作家が集う異色の展示が11月26日よりスタート。「眺めのよい部屋」が映し出す夢の国の光景とは。

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「眺めのよい部屋」とはいわずもがな国立近代美術館にある同名の部屋からつけられたタイトル。美術館の一角にある本当に眺めのよいその部屋から映し出される光景はとても奇妙で、時間の静止したよう見えるその漠とした様子は、どこかこの日本そのものを象徴しているような感じを受けます。

本展はその「眺めのよい部屋」を、芸術鑑賞という行為への問いかけとして、展示の形で再構成することを意図するものです。そのため、本展では展示会場自体には入場することができません。鑑賞者は展示室に通ずる1つの窓から見える光景を、鑑賞するという形となります。

参加作家は同世代の若手たち。その共通点は、消費されるためのイメージが氾濫するGUIネイティヴの時代にあって、改めてイメージを作り出すことを問い直すというアティチュードにあると思います。

そこで導入された方法が「俯瞰」という鑑賞方法なわけですが、おそらくそれは作品自体ではなく、作品を含んだ空間、それがある風景そのものを作品化しようという試みであると想像します。それが、この日本の風景自体を作品として描き出す本家の「眺めのよい部屋」(実際にはただの休憩室ですが)に繋がってくるわけです。しかしそれがはたして本当に既存の芸術鑑賞の形式を更新することになるのか、この段階では未知数だと感じます。

メディアの進化は私たち自身のものの見方自体を変化させてきました。けれども今美術という空間の「遅さ」と、デジタルな領域におけるテクノロジーの進化の「速さ」の間にある隔たりも大きくなりつつある気がします。また一方で、その差異によって引き起こされる衝突の結果、火花のように新たな作品や概念が生み出されつつあるともいえるでしょう。

それがふたたび長いスパンを持った歴史の目で問いなされるとき、どのような姿に見えるのでしょうか。美術を志す若者たちの目を通して、それを確かめてみたいという気がしました。

出展作家/森田貴之、鷲尾怜、森野大地、石毛健太、布施琳太郎
企画/森田貴之、メインビジュアル/hakke
日時/11月26日(土) – 12月3日(土) ※日曜日は休み AM11:00~PM19:00
最終日12月3日17:00からレセプションを行う予定です。
会場/ターナーギャラリー 1階
〒171-0052 東京都豊島区南長崎6-1-3 都営地下鉄大江戸線 落合南長崎駅 A2出口より徒歩10分 西武池袋線 東長崎駅 南口より徒歩8分

http://nagameno-yoi-heya.tumblr.com/

「ゴンドラから夢の国を俯瞰する」とは何か。
それは、簡単に言えば、「現実のような虚構」を「現実」から見るということです。夢の国をゴンドラから俯瞰することは、現実の中から「虚構」を見ることになります。しかし、例えば、夢の国にいる時は、それを現実だと思い込みます。それはなぜでしょうか。夢の国が、強力な物語を作り出しているからです。「テーマ」や「物語」の装飾が、訪れた人を没入させる空間にしているのです。そして、その没入を助けているのは、俯瞰の視点を排除している点です。夢の国には遊園地にあるはずの観覧車がありません。しかし、夢の国が徹底して排除した俯瞰の視点が、2キロ先の場所に存在しているのです。夢の国の「内部」にいる人は、いまここを「虚構のような現実」として実感しますが、「外部」から夢の国を覗いた人は、いまあの場所を「現実のような虚構」として感じられるはずです。私たちの作品はテーマパークのアトラクションのように配置されます。作品は「内部」にあり、私達は「外部」からそれを覗きます。「眺めのよい部屋」から見る風景は、どんなリアリティをもたらすのでしょうか。

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森田貴之 「夏に僕の町に東京ができる。」(2014)

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鷲尾怜 「私はこの桶をAmazonで購入した」(2016)

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森野大地 「爪を切る夜」(2016)

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石毛健太 「Seven days without water make one week(weak)」(2016)

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布施琳太郎 「不誠実な声帯」(2016)

2016-Nov-1855 Shares 

Carl Burtonによる初のゲーム作品「ISLANDS: Non-Places」。輪郭を失った世界で浮かび上がる無意識のザワつき。

ニューヨークを拠点に置くアーティスト、アニメーターであるCarl Burtonによる初のゲーム作品「ISLANDS: Non-Places」がリリースされました。

ユーザーが旅するのは、絵画のようにワントーンの色彩で描かれた日常の風景。どこにでもあるその事物の間をユーザーはシンプルな操作を行って移動していきます。淡々と繰り広げられる不思議な出来事を白昼夢を彷徨うように旅する、超現実的なロードムービーのようなゲームです。

ユーザーは制約された操作の中で先へ進む方法を見つけなくてはなりません。そのストイックな操作性は、David O’Rillyのゲーム「Mountain」を思い起こさせますが、「ISLANDS: Non-Places」の独自な点は、映画のワンシーンに迷い込んだようなそのムードにあるといって良いと思います。オブジェクトは霧がかった世界に溶け込むように存在しており、明確な輪郭を失っています。そこで引き起こされる出来事は、その絵のスタイルと同じようにどのようなストーリーも明確には描きませんが、それが逆にデビッドリンチの脚本のように無意識に語りかけてくるような効果を生み出しています。

このユーザーを拒絶するような感覚は、本人も影響を受けたと明言している名作ゲーム「Myst」の、さまざまなことを試みていくうちに世界の奥深くに誘われていく、あの孤独感と中毒性を思い起こさせます。

インディペンデントゲームのシーンが新しい表現の場になって久しいですが、David O’Rillyに匹敵するようなヴィジュアルの独自性に加え、ゲームのあたらしい体験を創造したという意味で、「ISLANDS: Non-Places」はアートとしてのゲーム史に刻まれる作品になるに違いありません。

SteamApp Storeなどで購入可能。

Carl Burtonのほかの作品もとても良いです。
http://carlburton.io/#_=_

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2016-Nov-140 Shares 

Hatraとnukemeによる新ブランドOkayが発足。先月開催された展示会の様子をレポート。日常を反転させるエレガンス。

ファッションブランドHatraと、ファッションデザイナー/アーティストのnukemeによる新ブランドOkayが発足しました。先月開催された展示会に行ってきたので、その様子をレポートしてみたいと思います。

Hatraは長見佳祐により2010年立ち上げられたユニセックスのウェアレーベル。ブランドの顔とも言える、スエットの素材感とゆったりめで未来的なシルエットのフードウェアが特徴的で、カオス*ラウンジなどさまざまなアーティストとのコラボレーションを行うなど、単なるファッションという枠組みにとどまらない活動を行ってきました。

そのHatraが同じくファッションデザイナーであり、アーティストのnukemeとタッグを組んで発足させたのが新ブランドの「Okay」です。

アーティストと名乗るようになってnukemeくんの活動もどんどん拡張してきており、単体の記事で紹介しきるのが難しいほどですが、彼の作品の代表となるのは、(ヌケメ帽を除くとしたら)やはりイメージやデータを破壊する「グリッチ」を取り入れた洋服たちということになると思います。

手法が注目されてしまうとどうしても「グリッチをやる人」という認識がつきまとってしまうと思いますが、もっと重要なものが彼の世界に対するその「接し方」にある気がします。

グリッチはものごとの成り立ちに近い部分にほんの少し手を加えただけで、世界がまったく異る見え方になることを教えてくれました。そういう種類の操作は、手法というよりも、アーティストたちが普段行っているもっとも普遍的な所作のようなもののように思えます。ucnvさんの一連の作品もそうですし、グリッチを使用していないnukemeくんの作品の流れにも、それがとてもくっきりと表れています。だから彼が最近アーティストを名乗るようになったのもの、その延長で考えるととても頷けるのですね。

その彼がいよいよ本格的なブランドに携わっているというので、とても楽しみにしていたのです。

結論から言えば、その内容は予想を超えた素晴らしさでした。

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個人的にもっとも印象に残った一着。ストッキングを用いたという生地が特徴的で、装飾のように用いられているのはシリコンコーティングが施された艶のあるパイピングテープ。素材自体の湾曲がゴージャスなドレープを生み出しています。色展開として、ベージュと赤があります。

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こちらはソックスですが、元になっているのはなんと懐かしのルーズソックス。既製品を染めたそうですが色が変化するだけでアイテムの印象がここまで変わってしまうのかという衝撃が走りました。濃紺とカラシ色の2色展開。

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アクセサリーは日本の伝統文化「鍵っ子」からインスパイアされたという鍵の束を留める金具。白シャツは特徴的な細いファスナーは、ドレスなどの後ろを留めるために用いられるコンシールファスナーと呼ばれるファスナー。ポケットの位置が変わっていますが、手を入れるとこの写真のようなポーズになることを意識して作られているそう。何がしかを抱きしめようとしているような感じになりますね。

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グリッチの雰囲気が残っているのがもしかしたらこのアイテムかもしれません。規則的にハサミを入れて独特のパターンを作り出しています。切り込みの仕方が、どことなく七夕の折り紙を切って作る飾りを思い起こしました。

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非売品だそうですが、大人気だったスリッパ。旅館にあるようなふつうのものだそう。

このスリッパに象徴的に現れていると思いますが、僕らが普段目にしている気にも留めていないようなもの、そういうものってハイファッションの目から見ると、これまではダサいものに分類されてしまうものだったと思います。そのダサいものが反転しておしゃれになる時、そこにはささやかだけれど新鮮な驚きが生まれます。Okayは、その最もよい見本を示してくれた展示だと思いました。

最後に、ブランド名「Okay」について。そのネーミングにはささやかな前向きな感情に加え、どこかなげやりな肯定感を感じました。ポジティブに生きるのが難しいこの時代にあって、そこに彼らの時代感や空気感が表現されているような気がしました。

OKAY Collection “NEW DAYS”
Photo: Mayumi Hosokura, Model: Mijika NAGAI, Hair and Make: Yosuke Toyoda

http://houseofokay.jp

2016-Nov-1123 Shares 

ロンドンのクラブ・シーンを牽引し、進化させてきたナイトクラブfabricを救うための111曲収録のコンピレーションがリリース #savefabric

ロンドンのクラブ・シーンを牽引してきたナイトクラブ、fabricを救うためのコンピレーションが先日リリースされました。

fabricはさまざまな文化をハイブリッドし、進化させてきたロンドンという都市を象徴するようなナイトクラブ。しかし、今年始めにクラブ内で10代の少年がドラッグにより亡くなるという事故が起きたことをきっかけに、営業ライセンスが停止され、1999年の開店以来17年に渡る歴史に一旦幕を下ろしている状況です。

警察から「ドラッグの温床」と呼ばれてしまっている現在の状況に対して、fabricはセキュリティー体制の見直しなどを行いながら、“Save fabric”の看板をクラブの玄関に掲げ、閉店という事態の見直しを図るためのメッセージを発信。今後のアクションのための費用を捻出するため、募金や支援のためのグッズを販売するなどさまざまな活動を展開してきました。

さらに、外部メディアやアーティスト、そしてクラブ・ミュージックを愛する多くの人々からの支援も始まりました。たとえば、fabricの閉店をきっかけに現在のクラブ・カルチャーについての討論会を催したり、Clams Casinoのようなアーティストはフリーで音源を配付。また、ある青年は24時間耐久で踊り続け寄付を呼び掛けるなど、有名無名、規模の大小を問わずに様々なアクションが展開されています。

そのほか、これまでの活動と現在の状況については#savefabricのハッシュタグを追うことで確認することができますが、上述したfabricへの寄付は9月末までに£300,000(日本円換算でおよそ4500万円)にも上ります。

今回リリースされたコンピレーションは義援金を募る活動の一環であると同時に、これまでfabricを支え、またfabricに支えられてきたイギリスに留まらずヨーロッパ、そして世界のエレクトロニック・ミュージックのアーティストたちからの「恩返し」とも言えるものとなっています。

コンピレーションには様々なジャンルで影響力をもつアーティストによる新曲や未発表曲などが合計111曲も収録。提供しているアーティストを見れば、先に述べたようにfabricがジャンルを横断しながらエレクトロニック・ミュージック全体の進化にとって如何に重要な場所であったかがわかるでしょう。

たとえばµ-ZiqやClarkといった電子音楽のレフトフィールドからダンスフロアを繋いできたアーティストがいる一方、SkreamやRuskoといったダブステップの黎明期からシーンを膨らませてきた立役者、またロンドンのベース・ミュージックにおける現在のトップランナーの1人であるPalemanなども顔を並べています。他にもレイブカルチャーの再興を牽引するSpecial Request、最先端のUKガラージを鳴らすtqdなど、イギリスのクラブ・カルチャーの長い歴史を象徴するような人選です。もちろん、イギリス以外からもRoman Flügel やMachinedrum、FiSなど様々な国、ジャンルから楽曲提供がなされています。

大型のクラブであるfabricの内部は3つの「ROOM」というフロアで構成され、一晩で3つの異なるパーティーが共存できます。多岐にわたるジャンルを牽引するアーティストやレーベルがそれぞれのROOMでフロアを沸かせることで、音楽はさらにハイブリットなものへ、そしてシーンはますます大きくなっていきました。つまり、fabricは多くのシーンにとって「ゆりかご」のような場所と言えます。fabricがどれほど大きな存在だったのかをコンピレーションに収められた111曲を聴く事により鮮明に理解できるのではないでしょうか。

Fabricという1つのクラブを救うためだけでなく、この先の全てのエレクトロニック・ミュージックの発展のためにも、更なる支援と注目が必要とされています。まずは一聴を。そして希望を繋ぐためにも是非、サポートを。

本コンピレーションのリリースに際してのfabricによる声明

fabricの閉店は、援助への15万筆以上の署名から我々の法的な戦いを支援する30万ポンド以上の義援金に至るまでの、完璧なまでに控えめでありつつも圧倒的なリアクションを引き起こしました。支援は、抑圧され営業停止とされている数多くの異なる会場にて義援金を募るイベントとともに、さまざまな方面から集っています。この反応は完璧なまでに、電子音楽のコミュニティが示す全てを要約したものです。

〈Fabric Records〉と アーティスト主導レーベルである〈Houndstooth〉はともに、このような魂を埋め込むことになる作品のリリースは我々のコミュニティがもつ集団としての力を示す、さらに強力な方法であると決意しました。我々は上記2つのレーベルと親交のあるアーティストに、素早く行動することが必要であり、合計たった3週間の〆切で始めからマスターを仕上げるまで頼みながら、我々の運動のために1トラックを提供してもらえるように依頼しました。その要点とは、我々に新曲か古いクラシック・トラックの別バージョンを未発表曲として提供してもらいたいというシンプルなものです。

驚異的な楽曲を届けてくれたアーティストたちの陣立てを含め、我々からの依頼への返事は期待をはるかに上回るものでした。この寛大さを考慮し,最終的に適した順番にすることを意図して、アルファベット順にして提供された全ての楽曲がこのリリースに含まれています。

ツアーや時間的制約のため、実際にはさらに多くのアーティストが関わっていただけたでしょうし、寛大にも所属アーティストに楽曲の提供を許可していただいたすべてのレーベルには、いくら感謝を捧げても十分ではありません。

プレイリストの時代において、このコンピレーションは実験的冒険という電子音楽の周縁からダンスフロアに対応したものまで、電子音楽の包括的な要約を表すものです。

Fabricの長期的な将来を左右するであろう裁判の日を前に、このコンピレーションをこの瞬間のドキュメントとしてだけでなく、fabricの全てを完全に体現し,表すものとして我々は発表したく思います。

(Text: 中村繁)

2016-Oct-3035 Shares 

hardvapourを標榜するウクライナ発のレーベル、〈H.V.R.F. CENTRAL COMMAND〉よりハローウィンにちなんだコンピレーションがリリース。

久しぶりにhardvapour関係の記事です。ウクライナ発のレーベル、〈H.V.R.F. CENTRAL COMMAND〉よりハローウィンにちなんだコンピレーションが届きました。hardvapourというと〈ANTIFUR〉というレーベルが目立っていますが、こちらもウクライナ発。ちょっと想像できないですが、ウクライナのシーンってどんなことになっているのでしょうか。

hardvapourというと僕なりの理解では、Vapourwaveの暗い部分を推し進めたようなジャンルというイメージ。フィリップ・K・ディックの描くようなサイバーパンク、汚れた空気が汚染する未来都市の倦怠と憂鬱を想像します。こういうサウンドがVapourwaveの系統に由来するということには若干違和感を覚えるのですが、北の果ての大地でまったく異なる創造性を獲得したのかもしれません。まったく今風ではないこのジャケットデザインといい謎が多い。ある種のギークぽさも感じます。そのあたりは姿勢として共通している部分も感じますが…。

そのhardvapourを標榜するレーベルが、ハローウィンというテーマというのはまさにという感じです。全体的にホラー感に貫かれていますが、実際のところかなり幅広い。49曲というボリュームに加え、アーティストのセレクトが興味深いです。

なにかと巷を騒がせているVapourwaveのアーティストPZAや、先日レーベル〈Hausu Mountain〉のインタビューで紹介したLockbox、日本からは Constellation Botsuなどの名前も挙がっています。ラップなんかも入っていたりと縦横無尽に横断していく感性には自由さを感じますし、なんだか共感するところもあります。

Name Your Priceで49曲とは、かなりお得な一枚ではないでしょうか。

2016-Oct-2611 Shares 

しー辰こと〈Constellation Tatsu〉より、Rhucle、Hakobuneなど2人の日本人を含む4つのアンビエント作品がリリース。

しー辰は2012年の設立以来、現行カセットシーンで重要なアンビエントの作品をリリースし続けてきました。そのへんのことは以前、Dirty Dirtさんが連載で紹介してくれましたね。

http://themassage.jp/dirt-on-tape-vol-05/

そんな〈Constellation Tatsu〉がレーベルの強い美学を感じさせる、本日新しい作品を4ついっぺんにリリースしてくれました。

東京のアンビエント作家Rhucleによる繊細さの奥に、強い芯を感じさせる「Fantastic Garden」。水が流れる具体音にメタリックなシンセの持続音が少しずつ変化しながら交錯していく。極端なほどに削ぎ落とされた要素が、ミニマルであるがゆえの幻想をかきたてます。スピーカーから流れるサウンドで空気さえ浄化されてしまいそうな、清々しい作品。

イギリスを拠点に活動する古いカセットテープを掘り起こすテープコレクター、Stuart Chalmersの作品「In the Heart of Solitude」。エコーの効いたギター音が、生き物のように次々と見たことのない形を作り出し、新しい絵を描いていく。たった5曲の間に数光年を旅したかのような、長大な物語が圧縮されているような展開。その抽象性の中に、どこか懐かしさすら感じるニューエイジ、アヴァンギャルド・フォーク。

8年間で50作以上のフルアルバムを制作したという精力的に活動する、日本のアンビエント/ドローン作家Hakobuneによる作品「In Arboreal Whispering」。流れる温風のように厚みのある持続音がゆっくりと脈動し、サウンドの皮膜に包み込まれてしまうような独特の安心感を感じさせる、気持ちのよい作品。

RoseはReuben Sawyerというイラストレーターの名義のよう。幻想的なロマン派的な画風で、とても独特です。絵と同様に暗く、粒子の粗いノイジーな音楽性。ささやくような女性ボーカルに、底から支えるように一定のビートが刻まれる。廃墟になった教会に鳴り響く賛美歌のような、退廃的な風景に差し込んだ光のような作品。彼のイラストが見られるTumblrも以下に貼っておきます。

http://rainbathv.tumblr.com

こういうずっと続けているレーベルが、常に先端の音を求めながらも、強い芯をつかんで離さないでいられるというのは本当にすごいことだと思います。ぜひ聴いてみてくださいね。

2016-Oct-1723 Shares 

虚構世界で使い果たされた時間と夢。White Goblinの彷徨える亡霊のようなサウンド

White Goblinはロンドンを拠点として活動するミュージシャン。〈Psalmus Diuersae〉からのリリース以降、その作品が確認できるのはYouTubeぐらいで、そのプロフィールは謎に包まれていました。ひとつはっきりしていることは、彼がTeribilis、Dj Save The NHS、Oxhy、Englesia、Ganx、Intentionally cold、infernal butcheressなどが所属するコレクティブXquisite Nihilの一員だということぐらいです。

そんなWhite Goblinの新作が、本日10月17日に〈Quantum Natives〉よりフリーDLにてリリースされました。独自の世界を持つ〈Quantum Natives〉からというのはとても頷ける素晴らしい展開ですね。また、YouTubeで発表されたビデオもとてもよいです。

ノイジーなテクスチャーの中にかすかななにかが形を取り始め、気づくとその燃立つ夕焼けのような世界に没入しています。泡のように不定形な音響、繊細かつローファイな、寂しくも懐かしい感覚。White Goblinのサウンドには、使い果たされた時間と夢の追体験しているかのような、荒廃した光景が広がっています。

ダウンロードはこちらより。

今回の収録曲、「🎲 U0001f3b2 (Seventh Realm)」について書かれたsimforartの美しいテキスト。以下のリンクより読むことができます。

http://simforart.blogspot.jp/2016/06/white-goblin-u0001f3b2-seventh-realm.html

現在、simforartの主催者でもあるDJWWWWと地下ダンジョン的なアルバムを一緒に制作しているみたいなので、そちらもとても楽しみです。

3週間このゲームをプレーしている
そして町の門にいる赤の集団に殺されずいまだ何もすることができない
泥棒たちは私のものっているものを奪っていく、青ブロックのプレイヤー、そしてショップでは犯罪者たちによって殺される
このゲームには嫌がらせをする者たちしかいない
彼らは殺し、その持ち物を奪うことで最初の街から去らないことがはっきりしている

私はゼロからスタートし続けなければならなかった
そしてただ騎乗の獣医に殺されるためだけに、自分のいた場所をバックアップした
彼らの鎧はほとんど破壊不能だった…
…そしてその武器は鎧を真っ二つにし、一撃で殺すことができた
彼らは初心者が行く街の墓場でお金を稼ぐためにキャンプさえした。

そのコミュニティはあらゆるものについて秘密主義だったので、新しいプレイヤーが成長するのは難しい。
そのコミュニティのほとんどのプレイヤーが大きな力をひけらかしているからだ。
彼らは追跡し、殺すために街の外の土地をパトロールしている。
だから生きて世界を探検するのがやっとだろう。

その土地を探検する唯一つのやりかたは幽霊のようになることだ
このゲームはうまくあなたの人生を引き継ぐかも知れない

自分の体を包む銀のローブとともに数字を入力する
私を盲目にし、恐れでいっぱいにする
彼らは何をしてるのか私に尋ねる。
いくらゴールドを持っているのかと。
なにを運んでいるのかと。

私は肉しか持っていないと伝えた
彼らは所持品を捨てるように言った

娘が私に所持品を捨てるように言った。

私はすべての希望をなくしている。

彼らは私を殺すと言う。

終わりは近い。

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