2017-Jan-2266 Shares 

反トランプを掲げ立ち上がったアクション「ウィメンズ・マーチ」。世界中の人々の見せたウィメンズパワーとそのイメージ。

誰もが予想をしていなかったトランプ大統領就任から一夜明け、21日に行われたトランプへの抗議と女性の権利向上を主張するために行われたウィメンズ・マーチ。その数は大統領の就任式に集まった人数をゆうに超える50万人となり、ホワイトハウスの周辺はピンクの帽子をかぶった人々で埋め尽くされました。また東京を含む世界60カ国でも連動した抗議が行われ、その抗議の波は世界中へと広がりを見せています。

当初から女性蔑視的な発言を繰り返して来た大統領への反発は当然とはいえ、悪くなっていく世の中に決して黙せずアクションを畳み掛けていくエネルギーは、都市における多様性の共存というテーマを動物という比喩を介して表現した『ズートピア』のような映画をどメジャーな場所で作りだしてしまうようなアメリカの強い良識の部分が表れていると感じます。

驚いたのが海外のInstagramのフォロワーたちが関連する写真をあげまくっていて、タイムラインがウィメンズ・マーチ一色になってしまったことです。日本ではセレブのデモなんて揶揄する人もいますが、立場のある人だからこそ発言するというのはひとつの常識、ということなのでしょう。アーティストやミュージシャンもしかり。そこで今回は新しいガールパワーも予感させる、印象に残ったプラカードや写真をピックアップしたいと思います。

girls march #womensmarch

DISさん(@dismagazine)が投稿した写真 –

Dismagazineより。あまり示威効果はなさそうですが控えめさが逆に目を引きます。わたしが一番ってやっているみたいで、かわいいですね。

#womensmarch

DISさん(@dismagazine)が投稿した写真 –

こちらもDismagazine。Disに関してはあまり政治的なスタンスは明らかにしていない印象がありましたが、さすがにということなのでしょう。写真のトリミングにDisらしい斬新さがありますが、クローズアップすぎて場所がどこなのかよくわかりません。彼らの拠点のNYでしょうか。

とにかく手書きのプラカードがかわいい。日本でもプラカードに統一感を出しておしゃれにする動きがありましたが、なかなかこういうのは作れないなあと思います。手書きなのにいろいろな字体があって見ていて飽きません。

Rihanna at the #womensmarch in NY

@emmafntyが投稿した写真 –

こちらも手書きのプラカード。モデルのようにポーズを取っているのはどうやらリアーナのようです。どういうシチュエーションでこうなったかわかりませんが、プラカードをおいていっちゃうのは欧米スタイルなのでしょうかね。

こういった横断幕もよく見かけますが、プラカードとはまた違う趣があってよいです。文字が傾いていたり、歪んでいるのも味わいがありますね。女性だけでなくすべてのジェンダー・スペクトラムへ向けたメッセージのようです。

I used to walk to the Trump Tower after work when I was interning at the Met Museum. It was around the time of the Occupy Wall Street protests, and I would go sit in that gaudy temple of doom to reflect on how trickle down economics function (aka disfunction). ⛓ The Trump Tower is a dead mall. When you take the escalator upstairs, all that's there is shuttered stores that used to exist to attract tourists, but now are out of business shrines to nothingness. It is a metaphor for what this presidency is going to look like. So, my fellow Americans, it is up to us to fight back and to reclaim justice against those who seek to destroy & silence us in the name of greed & exclusionary uses of power. The next four years require strength & mobilization, and for us to come together to fight for what we believe in. Let's get to work.

Signe Pierceさん(@signepierce)が投稿した写真 –

タイムズスクェア前でとても美しいパフォーマンスを作り出す、アーティストSigne Pierceのインスタより。こちらは成金趣味で悪名高いトランプタワーの前ですが、パフォーマンスのようなことを行なっているのでしょうか。

#womensmarchonwashington photo by @madjohnchick

The Riot Grrrl Projectさん(@theriotgrrrlproject)が投稿した写真 –

パンク・ シーンでの性差別に反対して生まれたライオットガールのムーブメントのドキュメンタリーを作成しているプロジェクト、The Riot Grrrl Projectより。独特のフェイスペイントとプラカードがマッチしていてパワフルです。

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GURLS TALKさん(@gurlstalk)が投稿した写真 –

こちらはGurls Talkという女性のためのコミュニティをつくる運動体のインスタ。モデルのAdwoa Aboahによって設立された団体だけあって、おそろいの衣装がおしゃれですし、スウェットに書かれたメッセージも気がきいています。

ざっと駆け足で見て来ただけですが、こうやってみると世界中にどれだけ多くのコミュニティや運動体が存在しているのかを改めて実感します。わたしたちがふだん接している文化や物事は、そうした見えない意思の存在によって支えられてきたのかもしれません。普段ばらばらに存在しているそうした流れも、危機にさらされた時には抵抗の声をあげ、また連帯して動いていくのだと思います。正直未来は暗いと感じざるを得ませんが、こうした個人が作り出す動きの中には可能性の光が潜んでいるのではないでしょうか。

2017-Jan-191 Shares 

インターネットのお土産屋?プロダクトを売るコレクティブのプロジェクト「the internet shop」。

僕らが「インターネット・カルチャー・ショップ」という展示をやらせてもらったのは2014年のことですが、先日その名も「the internet shop」というプロジェクトを見つけたので、今日はこちらを紹介したいと思います。

そういえばインターネットはば英語で「The Internet」と書きます。Theがつくのはインターネットが世界で一つしかないからとのこと。しかしそれはこれまでの話で、去年AP通信が「internet」と普通名詞で表記するよう転換をしたというニュースがありました。確かにそれはそうだよねという感じです。

そう思うとインターネットってとうとう「海」とか「森」とか「宇宙」といった言葉と並べられるようなものになったのかなと。だから海の近くには海グッズを売る店があるような感じで、インターネットにもインターネットのグッズがあってもよいですよね。「the internet shop」はインターネット好きが訪れる、お土産物屋さんというイメージなのかもしれません。

そんな「the internet shop」ですが、立ち上げたのはVeryVeryContemporaryというクリエイターのネットワーク。メンバーを見て見ると、ドイツを中心にヨーロッパ界隈で集まっているという感じ。コレクティブみたいなやり方ってあまり日本では聞かないのですが、各々が独自に活動しながらゆるく集まって活動するこの感じはよいですよね。「the internet shop」はそんな感じで友人たちが作ったものを集めて売るプロジェクトなんではないかと想像します。

Welcome @sucukundbratwurst to #theinternetshop 💛 limited print #BEWATERMYFRIEND now exclusively available: #brucelee #vosswater #stayhydrated

The Internet Shopさん(@theinternetshop)が投稿した写真 –

collection for @laurakokinova is now ready for your neck 🌹

The Internet Shopさん(@theinternetshop)が投稿した写真 –

☃ snowden snowball ☃ #theinternetshop

The Internet Shopさん(@theinternetshop)が投稿した動画 –

O'cock 🔜 at #theinternetshop 🍆⏰

The Internet Shopさん(@theinternetshop)が投稿した写真 –

https://the-internetshop.com

2017-Jan-180 Shares 

ヴァーチャルギャラリーDiMoDAが作り出した、知覚を変容させる鑑賞体験というアート。

いわゆるインターネットネイティブといわれる世代が固執するヴァーチャルな三次元空間への憧憬は、おそらく世代的にゲームの体験に由来しているのではないでしょうか。フラットな世界から立体への移行という革命の最初の経験は、これからくる未来への期待に彩られており、私たちはその技術的な欠点や未熟さをイマジネーションで埋めることができました。そしてそこにある不完全性は次第に新しさや独自性に転換し、ひとつの文化的領域を形作るまでに拡張したように思います。

そして近年ではUnityやBlenderなどの登場により、ほとんど無料でそれと同等かそれ以上の技術を用いることができます。アーティストたちは美術を正式に学ぶより前に、こうしたツールで作品を作りまくることが可能です。こうした今の状況は、美術に対する空間への意識も変化させずにはおかないでしょう。そしてオンラインギャラリーとVR技術の組み合わせはそうした創作物の最適な保管場所であり、またそれゆえにそれらはホワイトキューブの空間に変わる新しい礼拝所になりつつあります。

さて今回紹介するのは、DiMoDAというヴァーチャルギャラリーです。DiMoDAはDigital Museum of Digital Artの略とのこと。アーティストのAlfredo Salazar-Caroと、William Robertsonにより、2013年に構想、2015年にThe Wrong Biennaleのパビリオンとして最初の展示を行って以来、年二回、少数のアーティストたちからなる展示を作り出してきました。

ユーザーはフロントとなるインパクトのある建物から、ポータルを介して3つの会場に行くことができます。会場にはそれぞれ独自の物理的な特性があり、作品を見るのと同時に自身へフィードバックされる感覚の変容も見所になっています。

彼らの特徴のひとつは、そのプロジェクト自体をさまざまなフィジカルな空間で展示している点かもしれません。マイアミビーチで開催されたアートバーゼル、NYのTransfer Galleryなどで展示を行うなどなかなかエネルギッシュに活動しています。またこの一月からは、ロードアイランド州のRISD MuseumでVR展示を行う予定とのこと。

最新の展示は以下のサイトからダウンロードできますので、是非体験してみてください。

http://digitalmuseumof.digital/art/

2017-Jan-120 Shares 

Boomkat Editionsの新シリーズ「12×12」がスタート。第一弾はRaimeの新名義、Yallyによるシングル。

イギリス、マンチェスターを拠点として、クラブトラックから実験的なベッドルーム・ミュージックまで幅広い電子音楽を取り扱うレコードショップであるboomkatが新しい12枚の12インチをシリーズでリリースする、『12×12』をスタートさせました。本シリーズは2017年でレコードショップとしての経営が20年目を迎え、またセルフレーベルboomkat editionsのスタート5周年を記念するものです。

その第一弾を飾るのはRaimeの新名義、Yallyによるシングル。いまだ1枚の7インチしかリリースされていない姉妹レーベルも含め、これまで『Blackest Ever Black』のみでリリースをしてきた彼らにとっては初の「外仕事」とも言えるでしょう。

ジャングルや2ステップなどのクラブ・ミュージックから小杉武久や裸のラリーズ、またFugaziやSlintといったハードコア、スロウコアのバンドからの影響についても公言してきた彼らは、これまでの2作のアルバムではインダストリアル,ノイズといったサウンドを主として展開してきました。yallyの名義での本作ではグライムやジャングルといったイギリスのストリートから産まれた音楽を主軸としたものとなっています。boomkatによるノーツでは,本プロジェクトは「ベース・フューチャーの開拓」と称されており、これまでのイギリスの音楽において常に重要なエッセンスであった「暗さ」がしっかりと受け継がれていることが感じられます。

さらに,Boomkat editionsの第2弾を飾るのは,先述のYallyと同じくロンドンを拠点として活動を続けるBeatrice Dillonです。

これまで〈The Trillogy Tapes〉や〈Where to Now? 〉のようなレーベルから,ゆっくりしたペースでリリースを続けてきた彼女は,半世紀近くの間、イギリス国内外の現代美術家の一つの重要な居場所となってきたLisson Garalleyなどでプレイするなど,先鋭的な音楽を芸術などの他のフィールドへ繋げていく(もちろん、音楽はそれ自体が非常に芸術的なものだけれど)活動を続けてきました。

第1段のYallyとは異なるアプローチながら,クラブミュージックの周縁を開拓し続けている彼女のリリースには,レフトフィールドと呼ばれるような音の実験と、音楽の革新の場であったクラブという空間を繋げてきたレーベルの先鋭的な姿勢を見ることができると思います。まさに本シリーズにふさわしい記念碑的なリリースです。

2017年となり、今後数ヶ月に渡って合計12枚のリリースを完成させる予定のBoomkat Editionsの『12×12』シリーズ。今後、どのようなアーティストやミュージシャンが我々の耳を驚かせてくれるのか、期待して待ちましょう。レーベルにとって記念すべき年となる2017年の電子音楽の台風の目となるかもしれません。

(Text: 中村繁)

2017-Jan-060 Shares 

〈Quantum Natives〉より、ラトビアの二人組zolitudeによる「zolitude」。その和やかな高揚が呼び覚ます、街の記憶。

これまでにも数多く紹介してきた気鋭のレーベル〈Quantum Natives〉より、ホリデーのタイミングで新作が届きました。ラトビアの首都リガにある町の名を冠した二人組zolitudeの8曲入りコンパイル。メンバーのViktor Timofeev は、暗号をモチーフにした、未来的で凄く独特な作風のアーティスト。もう一人のKaspars Groševsのサイトにも、象形文字のような特徴的なドローイングがならびます。

レーベルからの情報には、zolitudeの町の区画についての説明があって(主要および建設予定の道路の名前やその数など)、つらつらとなんだか物々しいので、ついgoogle mapの航空写真で確認すると、一角には鈍く光る鉤形をした堀や柵、城壁のように配置された建物が。ストリートビューで見たら実際には団地のような集合住宅がなにかの要塞のように見えて、ああ、この既視感は何かと考えたらこれはまるで戦国時代の進軍をあらわす勢力図じゃないかと。「真田丸」ロスのみんなの心も満たしてくれる(?)、その音もまるで戦争叙事詩なのです。単体ではポップなデジタル音も、全体を覆うスモーキーなノイズのせいで銃声の暗喩のように響きます。

たとえば4曲目「Eiko-Klubs」では、ジャズを奏でながら練り歩くキャラバンがインベーダーに出くわし、ビームの応酬に遭いながらも我関せずと行程を変えず突き進んでいったり。次の5曲目、ユニット名でもある「zolitude」では、緩やかに高揚しては墜落していくベース音のループから、荒涼とした砂地に埋まった地雷のごとく予期できない音の欠片が滑り降り、跳ね回り、弾けとんだ挙げ句、防空壕から聞こえるようなくぐもったサイレン音へと収縮していきます。それに続く6曲目の「Dvor」は男前でダンサブルなミニマルでスタートするもやはり暗雲が立ち込めて、ドローンやらアラームやら二転三転し、なんとか生きながらえるかの渾身の14分。1〜2分と切り刻まれた曲が多い彼らの作品のなかでは大作の類で、白眉の作。

ラトビアにはこれまで数ヶ国に植民地支配された蹂躙の歴史があって、そのせめぎあう音の背後には欧州の歴史の重量を感じることもできるかもしれません。こうしてひたすらの感動を長々と書き綴ってしまいましたが、とりあえず1曲目「Zole」の映像を体験してみてください。遠景から映し出された装甲車は、見ればただ地を這う小さな虫なわけで。巨視と微視とをアンリズミカルに往き来するさまは、軽やかというよりもズンズンと重い。ていうかただただカッコイイ、とだけ言ってしまいたいのが本音なので、いますぐぜひ。

ダウンロードはこちら
http://www.mediafire.com/file/j41mawhnuow62fm/Zolitude+-+Zolitude+%28QNR008%29.rar

(文・松屋加奈子)