2016-Dec-28281 Shares 

2016年の日本の豊穣な地下シーンを50組のアーティストと楽曲で振り返る。Japanese track maker / musician 2016。#1-25

2016年、日本の地下シーンは沸騰前夜といってよい豊穣な一年でした。このような燃え上がる創造性の発現、そしてジュラ紀のような多様性の爆発は今まで経験したことがないものです。もちろんそれはこの数年の間に準備されてきたものだと思いますが、煮えたぎるような盛り上がりが可視化されることはありませんでした。ローカルな動きがオンライン経由でさまざまに繋がり合っていき、それが目に見える形で一気に顕在化したのがこの一年だったのではないでしょうか。

とりわけ重要なのが〈Orange Milk〉からの一連の衝撃的なリリースです。そして、UKのレーベル〈flamebait〉ではカオティックな側面を持つアーティストが、USの〈Squiggle Dot〉からはポップでアバンギャルドな感性にシンクロした作品が、〈H.V.R.F. CENTRAL COMMAND〉のHardvapour作品に混じり日本のアーティストがリリースされていたのも印象的でした。見渡すと世界の感性が日本のいろいろな局所的空間とシンクロし合っていることが分かります。

震災以降シーンが下火になり音楽メディアが消える一方で、地下茎のようにアンダーグラウンドでは新しい根が育ち、表現の部分ではむしろ熟成が進んだように思います。日本で表面化するより先に、その結実が海外の目利きたちに発見されていったというのが本当のところだったのかもしれません。

日本、海外という区分け自体はもう意味がなくなってきているとは思いますが、膨大なリリースのなかで日本の作品をあえて抽出してみると、その豊饒さを改めて感じてもらえると思います。だけど実際はそんな数ある面白い作品をこの冬は筆が追いつかず、全く紹介できていないという気持ちに苛まされていました。その代わりというわけではないのですが、年の終わりにいっきに50人の作品を紹介して2016年を締めたいと思います。一般的には順位をつけるのでしょうが、優劣を付けるのが苦手なのでアーティスト名のアルファベット順で並べてみました。

1. 7FO, “Water Falls Into A Blank”

7FOは、大阪を拠点に活動する音楽家。本作は〈RVNG Intl.〉の新プロジェクトとしてリリースされた。レゲエの影響を思わせるローファイで透明感のあるダビーな安定したビートに、フレッシュで透明感のある音響が交錯する。湖に浮かぶ光のゆらめきのような世界で、音の生き物たちが軽やかに舞い踊る箱庭的ユートピア。

2. Akobae, “[α ω α к є] му [ѕ σ υ ℓ]”

ネットの奥底から発掘されたきたようなコラージュ感覚とそこに垣間見えるセンスは、オンライン上でkawaiiとゴシック、そしてスピリチュアルが交雑し変異したような独特のもの。ノイズにより覚醒したドローン作品から、オンラインの落とし子といったコラージュ作まで。変名がいくつかあるようで、その全容はよく分からないけれど、強固で一貫したセンスを感じさせる。

3. alma, “Peach”

Lilyも参加の新宿眼科画廊の展示を終えたばかりのalmaは、ジェンダーの問題意識からさまざまな表現活動を行なっている。身体から発せられる声はとても繊細で、まるでそれ自体が電子音であるかのように、響きの中に溶け出していく。表現の前へ自身を投げ出していく全体を賭けた姿勢は、アーティストという存在の本来のあり方を思い出させてくれた。彼女のような存在が現れた意味を私たちは考えなくてはならないだろう。

4. 荒井優作

早熟な鬼才あらべぇから名義変更し荒井優作へ。モノクロームの映画の中で吹き荒れる静謐な嵐のような粒子の粗いアンビエント。彼が撮影した写真にも独特のポエジーがあって、とてもよいです。

5. brf, “BRF-KU EP”

オンラインの表現集団Baconの商品を取り扱うIsshi MiyakeのBRFより、東京の街のサウンドからつくられたというハードコアテクノ。鋭すぎる五感により写真のように鮮明に焼き付けられたのは、街の姿というより現代の都市を疾走する文化のポートレートのようなものかもしれない。

6. Cemetery, “DENIAL”

東京で活動するアーティスト集団CONDOMINIMUMの主催者、渡邉弘太のCemetery名義。猥雑な都市のノイズをかき消す雨のような詩情に溢れている。かすかに歪んだガラスのような硬質な響きが鉱石のような世界を作り出す、メロディアスかつロマンチックなアンビエント作品。

7. CARRE, “GREY SCALE”

80年代のインダストリアルを継承しながら現代のエレクトロミュージックの音楽のエッセンスを感じさせるデュオ。近藤さくらとの展示も記憶に新しい本作は、深宇宙に潜り込んだかのような抽象的でモノクロームの音響が広がる傑作。15年の作品だが、カセットが本年リリースとなった。スピーカーのような装置を用いたパフォーマンスもとてもインパクトがある。

8. Constellation Botsu, “ちゅざけんなッズベ公!!”

島根在住のトラックメーカー。切り刻まれ破片となったシンセ/ハーシュノイズは繊細かつ破壊的で、マダラ模様に進行する時間感覚は想像を超えたグルーヴを纏い、聴くものを酩酊に導く。そのサウンドのみらず、Tweetされる言葉から、アートワークまでその独特の表現に世界からの注目が集まっている。

9. CVN, “Unknown Nerves”

CVNはJesse RuinsのメンバーNobuyuki Sakumaのソロプロジェクト。複雑性とシンプルな骨格の間を繊細なバランスで揺れ動く、ハイファイで硬質な感触を持つサウンドを作り出す。彼が間に見つけ出した新鮮で力強い美学は、〈Where To Now?〉をはじめ〈Orange Milk〉、〈Dream Disc〉、〈Flamebait〉などさまざまなレーベルに見出され、作品がリリースされた。

10. dagshenma, “NYP1232016”

dagshenmaは京都市在住の樋口鋭太朗による電子音楽のプロジェクト。高周波のようなノイズが、彫刻のように硬質な構造物を描き出す。アンドロイドのような人工的質感をまとったそのサウンドは、低温度の世界観に貫かれており、上質なノイズ/エレクトロとして聴くことができる。京都を拠点とするMadeggとのユニットAcrylも注目。

11. DJWWWW, “Arigato”

DJWWWWは、一度の休止からふたたびオンラインでsimforartなる新しい音楽メディアを開始したKenji Yamamotoの音楽名義のひとつ。この世界のありとあらゆる場所から音を見つけ出し、縦横無尽に組み合わせる豊かなセンスは自身のレーベル〈Wasabi Tapes〉とも共通した感性を感じさせる。純粋な遊びから生まれたというその音のコラージュは新しい感触に貫かれていて、深い音楽愛から新しい音楽フォーマットを作り出してしまったかのよう。オンラインアンダーグラウンドの成果のひとつの結実として記憶に刻まれたマスターピース。

12. EMAMOUSE, “eyeballnized”

もはや謎が神話レベルに高まりつつあるPsalmus Diuersaeから作品を発表する数少ない日本人。自作の独特なイラスト作品に登場する奇妙なキャラクターを模したマスクをすっぽりと被ってライブを行ったり、自撮りをアップするなど、虚構と現実の間を往復する不思議な人物。ゲームミュージックのように繊細に組みあげられたデジタルサウンドや、風変わりなデジタルフォーク的作品も作り出す。エンディングへと疾走するような激しく、めくるめく変転する展開はクセになる心地よさ。

13. former_airline, “Our Fantasies for Science and Pornography”

Former_Airlineは東京在住の久保正樹によるプロジェクト。金属的でノイジーなテクスチャーの音響が、張り詰めたテンションを持続させながら無人の都市を飛翔して行く。ミニマルなパターンの中に豊穣な情景が作り出されてくさまは、クラウトロックのよう。

14. GENSEIICHI, “Berlin”

インプロヴィゼーションユニットa snore.のメンバーでベルリンへと拠点を移した、GENSEIICHIによる作品のタイトルは「Berlin」。ミニマルテクノ的な圧を感じる変則的なビートの上でノイズのパターンが展開していく。低く抑えられた速度が、奇妙な白昼夢のような世界を作り出している。

15. Hakobune, “Impalpable Ashes”

多作で知られるドローン界を代表する才人。アトモスフェリックな音像のなかに神々しく荘厳なサウンドスケープが浮かび上がる。至福の美しさを持つ、アンビエントドローン作品。

16. H Takahashi, “Body Trip”

アンビエントユニットUNKNOWN MEの結成も記憶に新しいアンビエント作家のH Takahashi。結晶を形作るように空間を浮遊する音の像が見たことのない姿を描いていく。スピリチュアルというよりは、日常にある感覚を拡大したかのような優しく朗らかな奇妙さがある。春のような温かみすら感じる、ニューエイジの新しい時代を導いたアンビエント作品の金字塔。

17. Kazuya Suwa, “Above the Head / World is Echo”

レーベル〈Squiggle Dot〉の最初のリリースを飾ったKazuya Suwaの最新作。サイケデリックな夢を漂っているかのようなストレンジな世界観にポップさが光るそのスタイルには、どこか人肌のような温かみや陽気さも存在している。その軽やかさは、今の時代の感性という感じがする。

18. KΣITO, “Juke Shit 3”

Juke/Footworkの遺伝子から、多彩な進化を作り出す早熟な鬼才。本作は縦横無尽に進行するビート、ジャポニズムを意識してか和楽器の音色が絡み合う実験作。

19. Kentaro Minoura, “あー ep”

画家として知られる箕浦建太郎の音楽家としての一面が発揮された作品。音色がそぎ落とされた、静かに荒ぶるノンビートなノイズが徐々に解き放たれて行く1曲目。対極的に終末に向かうようなメランコリックさをたたえた2曲目のアコースティックな演奏でエンディングを迎える。

20. Lisachris, “LINE EP”

トラックメイカー、DJ、モデルと多彩な活動を見せるLisachrisのサウンドはベースミュージックの感性を下敷きにし、オンライン的なコラージュ感や高解像度の視覚イメージも掛け合わせたエッジ感の強いスタイル。そのエッセンスはDiploのMad Decentにも通じるような形式を独自に変容させてしまうような軽やかなセンスを感じさせる。

21. 鶴岡龍とマグネティックス, “Luvraw”

BTBを解散したトークボックス奏者のLuvrawの新次元を見せた新しいプロジェクト、鶴岡龍とマグネティックス。南米の甘く狂気に満ちた夜を思い起こさせるような、危険で楽しい、生の快楽に満ちたエキゾチックな楽曲集。

22. LSTNGT, “Boarding Gate”

トランスを新しい角度から解釈したかのような、身体をドライヴする至高のシンセサウンド。きらびやかな情景を描き出すそのメロディは、生まれ出た生命を表現するかのように、自由にその形を躍動させていく。ただ美しいだけでなく、聴くものの視聴を内側から突き破る破滅的な衝動を揺さぶる傑作。

23. MANTIS, “Resolution EP”

MANTISは、Moss(モス)とLa-Pachu(ラパチュ)によるデュオ・プロジェクト。エレクトロミュージックやダブの影響を独自の言語で昇華し、重くもたつくようなビートの上に高密度に敷き詰められた音像が複雑に交錯する暗く硬質な音の世界を作り出す。本作は、去年のアルバムからのヴァイナルカット作品だが、異なるヴァージョンとPoleのStefan Betkeによるリミックスが収録されている。

24. Madegg, “New”

Madeggは京都在住の音楽家/アーティスト。全ての像がぼやけたようなモノクロームのサウンドスケープが、霧が晴れたように新鮮な音遊びの世界へと移行。さまざまな音楽がキマイラのように結合し、異形の進化を遂げる。音楽が見た夢のような分裂病的鮮烈さをもつ抽象的なエレクトロミュージック。

25. Metome, “FEATHER”

Metomeは大阪を拠点として活動するTakahiro Uchiboriによるソロ・プロジェクト。高精細なテクスチャーと変形されたボーカルに、断片的な音像が編み物のように組み込まれ複雑な姿を見せる抽象的なサウンドの構造物。安定感のあるクオリティに旺盛な実験精神が掛け算された、アップデートされたエレクトロニカ的感性。

[関連]Japanese track maker / musician 2016。日本のトラックメイカー/楽曲50。#26-50

2016-Dec-28110 Shares 

2016年の日本の豊穣な地下シーンを50組のアーティストと楽曲で振り返る。Japanese track maker / musician 2016。#26-50

26. Nozomu Matsumoto, “Pre-Olympic”

バーチャル聴覚室EBM(T) のメンバーとしても知られるNozomu Matsumotoの夢と消えたZaha Hadidの建築イメージが、切ない幻想性を掻き立てるシングル。人々の集合の力が生み出す巨大建造物の背後にある儚さ。資本主義が見る夢のような虚構性がエレクトロニックなサウンドの背後で鳴る荘厳でクラシカルなサンプルから響いてくる。

27. nukeme band, “Tower Mansion”

nukeme bandは、メンバー全員が寅年生まれのヌケメ、ドリタ、9s9、pagtas、suzukiiiiiiiiiiによるドローンをテーマにしたバンド。セカンドとなる本作は抽象的ではあるものの持続音に重さはなく、即興の遊びにより構築されたさまざまな音色が楽しく飛翔していく。シンセポップ的な要素が新鮮な新世代のドローン実験ユニット。

28. Rhucle “Yellow Beach”

Rhucleは東京在住のアンビエント作家。早朝のまどろみのような、やさしさと温かみを感じさせるあいまいなものの美しさ。奏でられる持続音の中に、森林の空気のような清々しい幻想が広がっていく。繊細さの奥に強い芯を感じさせる作品。

29. Ryo Murakami, “Esto”

Ryo Murakamiは大阪を拠点に活動するアーティスト。アラブ首長国連邦のレーベルより。硬質な響きが蠢き、聴くものの感覚を歪ませるようなインダストリアルな世界観が構築されている。どこまでも深くてどこまでも黒い、ドローン/エクスペリメンタル。

30. §✝§

音源は数少ないが、VRを用いたライブが評判。サウンドだけでなく、オンラインが現実に結実したかのようなパフォーマンスは、サウンドとヴィジュアルの稀な幸福な結合であり、唯一無二のもの。もっと聴きたいし、もっと見たい。

31. Seiho, “Collapse”

大阪の出身で、〈Day Tripper Records〉の主宰者。ロスの〈LEAVING RECORDS〉から認められ、その稀有な才能が「Collapse」に結実した。Arcaにも通じるフェティシズムを通過したその音の異形を愛でる美学は、崩壊直前の絶妙なバランス感覚の上に成立している。エレクトロニカ、ビート、アンビエントなどさまざまな音の要素が、溶け合うように結合した、優しくも美しい作品。

32. 食品まつり a.k.a. Foodman, “Ez Minzoku”

Juke/Footworkが日本で独自の進化を遂げた。スカスカした独創的で脱力した奇妙なサウンドは、あれよという間に世界中の音楽メディアに捕捉され、その多くから本年のベスト作品としてノミネートされた。既存のカテゴリーにはけして分類できない、まさに異能の天才が作り出した作品。その奥からは職人的な探求というより、子供の心を覗き込んでしまったかのような、純朴な即興性と素朴な音への関心の追求が聴こえてくる。

33. Sugai Ken, “鯰上 -On The Quakefish”

日本の伝統的意識を現代の意識で消化した、風変わりなエレクトロミュージック。想像を超えて奔放に形を変化させていく美しく奇妙な音の生き物たち。豊穣な暗がりの中からどこかユーモラスなファンタスティックな光景が浮かび上がる。動と静の垣間見える捉えどころない間が、聴くものを中毒性のある音像の世界へと導いていく。

34. Takahiro Mukai, “Bubble Over”

日本の〈Birdfried〉や〈Phinery Tapes〉、〈Hylé Tapes〉など国内外のレーベルから精力的にリリースを続ける大阪在住のアーティスト。電子パルスのパターンが変化しながら泡のように浮かび上がっては消えていく。絞り込まれたミニマルな要素のなかに新鮮な感触が作り込まれており、硬質な弾性を感じさせるその音の構築物は、ただ純粋にカッコよい。

35. takao, “V”

さまざまな音楽の響きが聞こえては遠くへ消えていく。彩度の低いくぐもった音響が重なり合いゆれうごく、フィルターを通して世界を眺めているような幻想性。ストイックな美しさを持つアンビエント作品。

36. Theater 1

Theater 1は、D.J.FulltonoとCRZKNYによるコンセプチュアルなシリーズ・プロジェクト。日本のジューク/フットワーク界を代表する二人がタッグを組み、月一でその可能性を探求。本作は完成したトラック群の総集編的なアルバムとなる。ミニマルでテクノライクなそのサウンドは、その裏にあふれんばかりの熱量と強烈な刺激を含んでいる。

37. toiret status, “◎omaru◎”

プリセット音のみで作られたという高音質な音の破片が歪みの中でかき混ぜられ、聴覚の酩酊の中で新しい姿を形成していく。強い重力により音が放たれる空間自体を歪ませたようなそのサウンドは、聴くものの予定調和を次々と破壊せずにはおかない。このような新鮮な才能が、食品まつりらと同じく〈Orange Milk〉から作品を発表したということも驚き。本作にも参加している同郷であるKenji Yamamotoとのユニット、Toiret $egatasにも注目したい。

38. TOYOMU, “印象VII : 幻の気配”

京都のビートメイカー/プロデューサー。カニエ・ウェストの新作を妄想で作り上げた作品に続いて作られた宇多田ヒカルの「Fantôme」の妄想作。感覚が先走ったその組み立てには、Vaporwaveの奥にあるコンセプトとの共通性も感じさせる。乱暴なまでに斬新で、かつ奇妙な独自の世界を作り上げている。

39. UNKNOWN ME, “AWA EP”

UNKNOWN MEはやけのはら、P-RUFF、H TAKAHASHIにより結成されたアンビエントユニット。自身の分野で才能を開花させている3人がアンビエントの新機軸となるファーストカセットから、はやくも7inchのEPをリリース。日常における気持ち良さを拡大し持続させたような、透明で美しい幸福の気配に包まれたアンビエントハウスの傑作。

40. Ultrafog, “Faces, Forgotten”

Solitude Solutions〉よりリリースされたUltrafogのファーストカセット。厚みのある音像空間に、ミニマルな音の襞が優しく広がっていく。サイケデリックでほのかな温度を感じるローファイなアンビエント作品。

41. ROTTENLAVA, “KDK-8 ROTTENLAVA – MOTHER C”

メランコリックな響きを持つシンセサウンドの揺らめきに包まれながら、暗闇で微かな光を頼りに進む方向を確かめるように、もったりとしたビートがどこからかやってきては消えていく。反復によって作られるその感触はドローンのようだが、気がつくとダンストラックのような姿をしていたりする。不安定だが、儚さゆえの美も感じる作品。

42. Ryota Mikami, “Wedding”

Ryota Mikamiは東京を拠点とするアーティスト。Weddingというタイトル通り、希望を感じさせるメロディのループが高らかに鳴り響く。躍動感のあるサウンドの表面には、多彩な音の色や形が敷き詰められており、ポップさの中に荘厳な美しさのある世界を作り出している。9つの波で構成されたミュージックビデオ「Pyre」も発表した。

43. WoopHeadClrms, “日本の鎌倉母”

WoopHeadClrmsは愛知在住のトラックメーカー。変則的なビート、ボーカル、サンプルから作り出される脈絡のなさが際立つそのサウンドコラージュはMADの影響を受けたものだという。拡散的でノイジーなサウンドテクスチャーで構成されるそのグルーヴは、無重力で三半規管がかき混ぜられるようなカオスの中にある気持ち良さがある。

44. world’s end girlfriend, “LAST WALTZ”

world’s end girlfriendは前田勝彦によるプロジェクト。6年ぶりとなるこのアルバムはこれまででもっともパーソナルな哲学の領域に踏み込んだものだという。粒子の粗いメロディが深層へ語りかけるように静けさのなかに荘厳に響き渡り、その独自の物語空間へと聴くものを誘いながら、次第に耳へと重くのし掛かってくる。この重力の質感と、彼岸へと暴走するような虚無感は、どこかウィッチハウスとも共通する感触を感じる。

45. xoltev, “zero”

Wasabi Tapes〉より、鹿児島を拠点に活動する音楽家、xoltevのリリース。そのサウンドには空想的な明るさのようなものがあり、邪気のない心で希望に満ちた世界を映し出す。天上へ突き抜けていくような上昇感をまとったハーモニーに、変則ビートが空気のような軽さで交絡み合い、それらが美しい光景を描きながら、生命の喜びに満ちた躍動感で跳ね踊る。

46. Yoshitaka Hikawa

Yoshitaka Hikawaは東京を拠点に、〈CVLT〉や〈Astral Plane〉、O Fluxo Magazineなどに楽曲やリミックスを提供するプロデューサー。本作は、ju caとYoshitaka Hikawaのスプリット作品となる。さまざまな音のマテリアルが切り刻まれ、重ねられて生み出された靄がかった音像が、抽象的だがくっきりとした美学を感じさせる構造物を作り出していく。オンラインで生まれたばかりの新しい身体感覚をここに聴くことができるだろう。

47. 夕方の犬(U ・ェ・), “Choir and Room”

犬推しのイメージで聴くものを混乱させる音楽家、夕方の犬(U ・ェ・)。賛美歌とミュージック・コンクレートを結合。おもちゃのような不思議な感触がある環境音を背景に、神々しい響きを持つメロディが響き渡る。繊細な美しさと奇妙さが同居した幻想的な作品。

48. YPY, “The Rusted U.F.O”

goatリーダーのHino Koshiroのソロ名義YPYがJMT Synthのみを用いて制作した作品。もちろんただのデモンストレーションではなく、Hinoのストイシズムの中に無限とも思える豊かさを作り出すその才能がここでも存分に発揮されている。聴き心地の良いテクスチャーが形作った音のカーペットは、驚くほどいろいろな姿を映し出す。そのストラクチャー全てに聴くものをダンスへと誘う強い引力が存在している。

49.YYOIY

マドリード在住の日本人トラックメイカーでファッションデザイナー。ボーカルサンプルをスクリューしたR&B/ベースミュージック的な感触のある楽曲。去年〈Day Tripper Records〉から発表された「Hyper Pastelism」にも通じる、オンラインやポップ、ストリートなどに遍在するさまざまな要素をハイブリッドし独自に昇華したような、純粋に楽しく、新鮮な未来的感覚が存在している。

50. Yuta Inoue, “Piercer”

こちらも〈Day Tripper Records〉から作品を発表するアーティスト。粒子感のある様々な音像がマーブル模様を描くようにビートの上で混じり合い、帯状の分厚い音の層を作り出していく。モノトーンの色彩で描かれた抽象画のようなビートミュージック。

[関連]Japanese track maker / musician 2016。日本のトラックメイカー/楽曲50。#1-25

2016-Dec-215 Shares 

Liam Wongが写す今の東京の中に見える未来。Vaporwaveを彷彿とさせる、サイバーパンク、ネオ東京の姿。

ぼんやりと光るネオン、夜空に伸びるサーチライト、無数に並んだビル群、糸を引くバイクのライト。大友克洋原作、1988年公開「AKIRA」の舞台として視覚化されたネオ東京の姿は、そんな東京の未来的なイメージを世界に知らしめました。原作の舞台は2019年、今の日本はAKIRAのような混沌とした世界にはなりそうもありませんが、西新宿や丸ノ内のビル群を見ると、そうした未来的な風景に似た部分も感じられます。

今回は、東京の都市の今を、レンズを通して未来の姿として写し出すフォトグラファーの「Liam Wong」を紹介したいと思います。

Liam Wongはカナダ在住で、Ubisoftでグラフィックデザインディレクターとして働くかたわら、アートディレクターや2Dアーティストやフォトグラファーとしてもマルチに活躍し、2015年9月頃からInstagram上にロンドン・パリ・ロサンゼルス・東京などの都市の写真を公開してAdobeやCanonなどの企業からもFacebook上で評価を受けています。

ポートフォリオサイト「夜の美」には夜景の写真のみがアップしてあり「I love capturing real moments and transforming them into the surreal.(私は現実の瞬間を捉え、超現実に変えることを愛しています)」と書かれている通り、東京の夜景をネオンカラーへと変化させ、薄明るい暗さを闇へと変えることによって、情報や人や物であふれ混沌とした「サイバーパンク」を表現し、新宿や渋谷の街中で見たことのある光景は、彼のフィルターによってAKIRAやBlade Runnerのようなイメージへと昇華されます。

新宿歌舞伎町

My work is on the front page of @businessinsider and @Smithsonian today: "For art director and photographer Liam Wong, the streets of Tokyo at night are mesmerizing, like the "cyberpunk world" in the 1982 blockbuster "Blade Runner." Wong, who currently serves as graphic design director at video game developer Ubisoft, was inspired to photograph Japan's capital city during a recent trip there. "I was bewitched by how the city lit up, and I just kept taking picture after picture," he told Business Insider.

Influenced by his background in video games, @liamwon9 made mesmerizing, technicolor images of Tokyo, depicting it in a way it's never been seen before." #cyberpunk #neotokyo #night #tokyo #signage #street #shibuya #instagram #travel #streetphotography #streetphoto #neonsigns #neon #city #canon #liamwong #noir #neonnoir #bladerunner #enterthevoid #videogames #gamedev

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渋谷

https://www.instagram.com/p/BNE6LZ6Ang0/?taken-by=liamwon9

中野

担々麺の名店「ほおずき」の看板「担々麺」の文字が、ヴェイパーウェーブを彷彿とさせる。

浅草

https://www.instagram.com/p/BNcGyWugkOu/?taken-by=liamwon9

神保町

モノで溢れかえった新宿、渋谷の光景と比較して、浅草や神保町はサイバーパンク化した都市の片隅にあるノスタルジーを感じさせます。

彼のInstagramは定期的に更新されており、過去の作品も確認することができます。日本以外の国で撮影された写真もありますが、どうやらかなりの日本好きのよう。皆さんもぜひ覗いてみてくださいね。

Instagram: https://www.instagram.com/liamwon9/

ちなみにWebstoreでグッズ販売も行っており、個人的には新宿3丁目の写真のトートバッグがオススメです。

www.society6.com/liamwon9

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撮影場所はこちらのよう。

また、日本人写真家も未来を彷彿とさせる表現をしています。外側からの目線と中側からの目線の両方から日本とその未来を想像するとおもしろいですね。現在進行形の東京から見える未来を1枚の写真で表現する、そんな彼らをこれからもチェックしていきたいと思います。

Yuma Yamashita

Otaku Life #inspirationcultmag

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Takashi Yasui

https://www.instagram.com/p/BN6lnOZhE7j/?taken-by=_tuck4&hl=ja

(Text: 小松塚悠太)

2016-Dec-171 Shares 

マイアミを拠点に活動する、La Mano Friaが立ち上げた新しいVaporwaveレーベル〈Sud Swap〉。そこに込められたソフトなメッセージ。

さて、今回はちょっとだけ過去の話題に触れたいと思います。2000年代初頭から音楽シーンを追っている人なら、〈Beta Bodega〉というレーベルが存在したことを覚えている方もいるかもしれません。自身のルーツである南アメリカへの思いと、力強い政治的メッセージが込められたそのビジュアルは、レーベルオーナーであるLa Mano Friaによるもの。音楽への情熱をグラフィックのみならずレーベル運営という形で表現し、また〈Rice And Beans〉や〈Botanica Del Jibaro〉などといったサブレーベルへと枝葉を伸ばしながら、さまざまな活動を精力的に行ってきました。

その彼が来日するというので久しぶりに会うことになり、そこで彼が新しいレーベル〈Sud Swap〉を立ち上げ活動しているということ、そしてそれがVaporwaveのレーベルであるということを聞いてとても驚きました。Bandcampのページを見てみると、今年だけでもかなりの量の作品がリリースされていて、かなりエネルギッシュに活動していることがわかります。

https://sudswapaudiobrewing.bandcamp.com

そのネットワークは拡大しつつあり、パートナーレーベルとして同じくマイアミのU-HALL法人営業のメンバーが運営する〈Botanica1〉が参加。また、日本のパートナーとしてはレーベル〈Seikomart〉があり、〈Sud Swap〉の限定リリースの作品などを買うことができるようです。

最新作は「Bottle Share 1」というコンピレーションです。U-HALL法人営業や、ミスターハンセン病患者などといったレーベルでリリースを行なっているアーティストたちの作品がパッケージされており、レーベルの全体像を知ることができる一枚となっています。

その内容は、レトロでドリーミーなアンビエントから、サンプルが引き伸ばされスクリューされたコラージュミュージックなど、Vaporwaveの定番的なスタイルを踏襲したものがメインとなっていますが、レゲエをコンセプトにしているというU-HALL法人営業のダビーなサウンドは、Vaporwaveのコンセプトとレゲエの手法に共通点を見出したものだそうで、そのあたりはマイアミならではの解釈、といえそうです。

「Vaporwaveとはコンセプチュアルな音楽」というのは彼の談ですが、強すぎる主張を盛り込むのは今の時代に合わないと言っていたのも印象的でした。強固な政治的メッセージが込められていた〈Beta Bodega〉のオーナーがそう言うのを聞くと、とても複雑な気持ちになります。かつてより困難な時代に突入しているからこその実感なのでしょう。けれど変わっていないこともあります。それは、彼がDIYで作られていく音楽シーンに可能性を見い出し続けているという点です。続けていくために変わっていくこと、それもまた必要な戦いなのかもしれません。

そんなLa Mano Friaさんですが来年はふたたび来日して、展示やライブなどを精力的に行うよう。予定は以下のような感じです。

1.5 SAPPORO @ 札幌駅地下歩道空間 チ・カ・ホ (exhibition)
1.7 CHITOSE @ 千歳市タウンプラザ (live/workshop)
1.8 TOMAKOMAI @ CLUB ROOTS (live)
1.12-16 TOKYO @ UPLINK GALLERY (exhibition)
1.14 NIIGATA @ TBA (live)

是非、La Mano Friaの新しい展開を体験して見てください。

2016-Dec-0914 Shares 

〈Hausu Mountain〉よりBen BillingtonによるQuicksails名義の電子音楽とジャズが既視感と未視感の上でまろやかに結合した作品「Mortal」がデジタルとLPにてリリース

これまでも色々なリリースを紹介してきましたが、レーベルからプレスリリースをもらうことも増えてきました。もっともレーベルオーナーですらアーティストの情報を持っていないこともあったりして、そういうのもネット以降の繋がり方という感じがします。少ない情報からも、いろいろな物語を想像するのはとてもたのしい作業です。

とりわけ〈Hausu Mountain〉のリリースはとても丁寧な仕事がされていて、毎回、その作品への愛を感じることができるものになっています。前回は彼らにインタビューをさせてもらいましたが、今回はそんな彼らから届いた作品をふたたび紹介したいと思います。

今回届いたのはBen BillingtonによるQuicksails名義の「Mortal」という作品。Ben Billingtonはシカゴで実験的なDIY、電子音楽、フリージャズのシーンで、Tiger Hatchery、ONO、ADTなどといったバンドのメンバーとして10年以上の活動歴があり、またソロとなるQuicksails名義では〈Spectrum Spools〉や〈NNA〉などといったレーベルから作品をリリースしてきました。

Hausu Mountain〉がとても変わった作品ばかりリリースするのはリスナーに聴いたことのない音楽を届けたいという情熱の表れだと思いますが、この作品からもそのヴィジョンが明確に伝わってきます。さまざまな要素のハイブリッドで形作られたその演奏スタイルは、実験を通過して長い視聴に耐えうる普遍的な形に結実した作品と感じました。

弾むようなパーカッションのリズムとエレクトロニックなテクスチャーから構成されるその表現は、エレクトロミュージックのなかにフリージャズのボキャブラリーが織り込まれているところが新鮮で、音のマテリアルをぐつぐつと煮込んで一体化させたかのような、既視感と未視感がまろやかに融合された美しさを持っています。

そんなQuicksailsの作品「Mortal」は、17年の1月13日にはフル・レンングスのLPがリリースされる予定だそう。これはフィジカルでじっくりと聴きたいタイプの作品かと思います。是非。

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2016-Dec-0768 Shares 

Oaklandの「最も美しい場所」、Ghost Shipで引き起こされた痛ましい火災。DIYの地下シーンを支えるさまざまな音楽レーベルから、犠牲者を支援する動きが広がる。

先日、OaklandのGhost Shipという倉庫で行われていたウェアハウスパーティで36人もの犠牲者を出した痛ましい火災がありました。当日は金曜日で、LAのレーベル〈100% SILK〉が関係するパーティが行われていたそうです。DIYで実験的な地下シーンを支えてきた老舗レーベルのパーティだったということで、その衝撃が波紋を呼んでいます。

thumpの記事によれば、11ヶ月間もこの場所に住んでいたというライターでアーティストのCarmen Britoは、Ghost Shipのことを「最も美しい場所」と述べています。ウェブサイトに写真があがっているのが確認できますが、さまざまな楽器や家具、アンティークな小物に埋もれた温かみのある愛に溢れた場所だということが伝わってきます。それを思うと、写真を見ているだけでとても胸が痛みます。

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不幸なことに、この会場は違法建築として調査されていた最中だったといいます。さらにスプリンクラーや火災報知器が働いた形跡がなかったことから、管理者に非難が集まる結果とになってしまいました。けれどもアーティストが高い家賃を避け、こうした古いスペースを見つけ出して拠点にする例は多く、そんな場所があるからこそ商業的ではない多様な表現が生み出されてきたということもまた事実なのです。亡くなってしまった命は取り戻すことはできませんが、事件によってこれまで築き上げて来られた文化が否定されるようなことがあってはいけないと思います。

以下のリンクは、映画評論家の町山智浩がこの火災に関して、カリフォルニアの「ジェントリフィケーション」という概念を紹介しつつ、その背景を語った内容を書き起こしをしてくれているブログです。どうしてアーティストたちがこのようなライフスタイルを作り出したのかよくわかる内容になっています。

http://miyearnzzlabo.com/archives/41020

この火災に関して、負傷者や犠牲者の方々への支援が始まっています。Youcaringというサービスを用いて、支援を行うことができます。

https://www.youcaring.com/firevictimsofoaklandfiredec232016-706684

また、アンダーグラウンドミュージックを担うたくさんのレーベルが同時に支援の声を上げ始めました。少し探しただけでもほんとうに多くのレーベルが何らかのアクションをとっており、ここに挙げきれないほどです。

悲劇的なこの火災がより痛ましいのは、非常に過酷な出来事が、純粋な善意と人々の相互扶助により作り出されてきた文化のなかで生じてしまったという点にあると思います。この事件は文化の脆さも露呈させもしましたが、同時に守らなくてはならない価値を浮かび上がらせもしました。犠牲になられた方々には冥福をお祈りするしかありませんが、日本からもドネーションを行うこともできます。ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

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Vektroidの最初期の名義Vektordrumの作品が3つ合わせてリリース。若さが才気走る、疾走するビート。

最近急に活発にリリースを始めたVektroidですが、自分自身の過去の作品をまとめようという時期に来ているのかもしれません。次々と変名を作り出すことでも有名ですが、今回の名義はVektordrum。そのリリースはVektroidより以前の2008年からのことで、この名義は彼女のもっとも若い時代のエイリアスであったようです。これらの作品は当時の再リリースということになります。

音源を聴いてみると、現在よりもリズムパートに比重が置かれており、よりメランコリックな傾向があることが分かります。それは時代のニュアンスも大きいと思いますが、くぐもったエフェクトや、さまざまな素材が折り重ねられ溶け合った果ての抽象画を眺めるようなその作曲スタイルはこのときからすでに完成しています。16歳から18歳まで使用していた名義らしいので、かなりの早熟な才能であったことは確かです。

Vektordrum, “Capitose Windowpane”

次第に明確になっていくリズムパターンの上で、歪んだシンセ音が歌うようにさまざまな表情を作り出す。暗くメランコリックな世界観が横たわっているが、作り出された構築物に重さはなく、ゆっくりとそのグルーヴを飛翔させていく。

Vektordrum, “Hello1&2”

雲の合間に光が差すように、美しい音色が柔らかな輪郭の上に現れては消えていく。シンプルで重さのあるビートの背後には、ロマンティックなニュアンスが見え隠れしている。一定の疾走感を保ちながら、作り込まれた楽曲構造により場面が次々と展開していく。そのさまは、まるでシューティングゲームの背後で鳴らされているBGMのよう。

Vektordrum, “Geese”

液体のように変化するリズムパターンに、低いテンションで何かを語りかけるボーカルのサンプルが重ねられたビート、アンビエントノイズ作品。丸みを帯びたノイズのテクスチャーが、低空飛行を続ける音階とゆっくりと溶け合っていく。16歳にして高すぎる完成度。

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プラハに拠点を置くカセットレーベル〈Genot Centre〉より、アウトサイダーハウスのスタイルをプレイするBryce Helmのアルバム「PERSONA」と360度ビデオがリリース。

プラハに拠点を置くカセットレーベル〈Genot Centre〉より、Bryce Helmのアルバム「PERSONA」のリリースされました。そしてアルバム収録の「Gone」の360度ビデオが、MASSAGEにてプレミア公開。カセットは55本の限定リリースだそう。

Bryce Helmはサクラメント在住のアメリカ人。アウトサイダーハウスと呼ばれる抽象的なハウスとテクノをノイズミュージックに融合したようなスタイルの楽曲を発表してるアーティストです。

そのスタイルは非常に幅広く、都市の情報過多を表象するかのようにサンプルが折り重ねられたサウンドのレイヤーは、その高い密度にもかかわらずインダストリアルな重さを感じさせません。ノイジーで神経質症的なテクスチャーには、AIのような独特の人工的肌感があり、その全体にさまざまなスペクトルが折り重ねられた複雑な感情と、透明感のある張り詰めた空気を生み出しています。

360度ビデオはLOLLABのメンバーDVDJ NNS。以前紹介したHERBARIUM「РИЗОМА」のビデオの制作者。その映像は、アナログとデジタルのロジックを用いて、有機物と無機物の要素を組み合わせ、見るものをフィジカルからヴァーチャルの間を移動する夢のような旅に誘い込みます。

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